日本綿業振興会賞に植物の生命力に着想した作品
第53回全国ファッションデザインコンテスト(一般財団法人ドレスメーカー服飾教育振興会・学校法人杉野学園主催)が、先月10日に開催され、愛知県の加藤志乃さんの植物の生命力に着想した作品に日本綿業振興会賞が贈られました。
今回は一般の部に2082点のデザイン画の応募があり、その内、ファッションショー形式による審査会に臨んだのは、入選作品37点です。この中から、文部科学大臣賞を始めとする各賞が授与されました。日本綿業振興会賞は企業賞の一つで、私も審査員の一人として参加しています。
日本綿業振興会賞を受賞した加藤志乃さんは、名古屋ファッション専門学校ファッションマスター科で学ぶ2年生、20歳です。本作への意図を伺いました。
表現したかったのは、たとえどんな場所であっても強い生命力を発揮して生きる、そんな植物たちのたくましさ、美しさといいます。よく見ると、一見ロマンティックな花のようなドレスですが、実はかなり構築的なつくりになっています。
花といっても華麗なガーデンフラワーではなく、高山植物のような逆境に耐えて咲く花がイメージされているのです。白一色にしたのも、何にも染まらない強さを表したかったからといいます。
特徴的なのが襟とウエスト周りを縁取る大きめの花弁のようなひだ飾りです。フリルのように見えますが、実は芯入りのしっかりとしたキルト仕立てになっています。素材はコットンと不織布使いで、ビーズをたたくように刺繍して仕上げたとのことです。
少しロック風な反逆精神を感じさせる作風で、そこが新鮮に思われて訊ねますと、以前から憧れているミュージシャンがいるのだそうです。繊細なのにタフな人物で、その人への思いを作品に込めたといいます。
目指すのはファッションデザイナーへの道という加藤さん。この受賞を機に、そのミュージシャンのようにタフになって、大いに羽ばたいていかれますことを期待しています。
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