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2015年11月

2015年11月30日 (月)

「エニー東京」展 テーマは“美しき多様性”

 今年で3回目を迎えるデザイン展、「エニートーキョー ANY TOKYO」が、先月末、東京・芝の増上寺を舞台に開催されました。
 テーマは“美しき多様性”で、様々な分野から新しい暮らしのアイディアが提案され、このブログ(2015.11.28)で掲載した発熱ジャケットもその一つでした。この他、いくつか興味深いプロダクツを取材しましたのでご紹介します。

studio MAE ENGELGEER
Mode01blue_2  オランダのアムステルダムのテキスタイルブランドで、デザイナーのメイ・エンゲルギールMAE ENGELGEERさんによるテキスタイルコレクションです。今年のミラノ・サローネで発表した新作といいます。
 左のように羽織ってまとえるファーニチャー・ファブリックで、ウール100%のダブルフェイスや、繊細なグラデーションが特徴です。またモロッコのベルベル人の伝統的なカーペットをヒントにしたラグも展示。シンプルで構成的なデザインが北欧らしいと思いました。 
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“Dye It Yourself”
Img_61081  にじむ色彩が美しくて目が惹かれたのがこのプロダクツです。今春ミラノ・サローネでTAKT PROJECTが発表した 新提案の家具で、3Dプリンター技術により、量産と使い手によるDIYの両立を可能にするものとか。多孔質プラスチックで吸水性があるので、白い椅子やテーブルなどを水性絵の具で誰でも簡単に染色することができるといいます。

Embodiment of Fractal
Img_61151  デザイナーの森田裕之さんの作品で、未乾燥の間伐材を使ったオブジェです。不均質な木目や木の割れ目の美しさに思わず見入ってしまいました。

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2015年11月29日 (日)

飾って絵になる標本のようなハーブティー

 ハーブの様々な効用が知られるようになって、ハーブティーが健康的な飲み物として人気を集めています。ハーブを乾燥させて自分で手作りされる方も多いようです。茶葉はそのまま煮出せば、それで終わりですけれど、その前に植物標本にして飾ってみても楽しいですよね。
Img_53281_2  このアイディアを商品化させたのが、「ハブ・ア・ハ―バル・ハーベスト Have a Herbal Harvest」。オーダーメイドなケータリングサービス「CATERING ROCKET」と日本が誇る花文化の現在形を世界へ発信する「plantica」によるハーブティー・ブランドです。

 今秋開催された「場と間」展に出展されていて、目が釘付けになりました。まるで植物図鑑で見る絵のようだったからです。ハーブ一本一本の枝ぶりや葉のカタチを生かしたまま乾燥させているので、視覚的に美しく、それを透明アクリル板で挟んだり、ラミネート加工したり----。壁に貼っても、吊り下げても、またスタンドにして立ててもよし、インテリアとして楽しめます。ミントやレモングラス、ローズマリー、ローズ、カモミールがあり、価格は1,620円。
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  季節のオーガニックハーブを使用し、手作業で制作される1点ものなので、ひとつひとつ顔が違うのも魅力です。艶やかなピンクの花びらや白い可憐な花の押し花などは、飲むのが惜しくなる出来栄えです。
 ギフトに喜ばれているといいますが、自分自身へのご褒美にもしたくなりました。

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2015年11月28日 (土)

機能的でデザイン性の高い発熱ジャケット

 おしゃれな寒がりさんに朗報です。といってもいわゆるあったかグッズではありません。それは機能的でデザイン性の高い発熱ジャケットです。その展示をこの秋開催の「場と間」展と「エニー東京」展で発見しました。いずれもヒーター機能を内蔵させたジャケットで、手掛けたのは、メンズブランド「ミノトール MINOTAUR」です。

 「場と間」展では、「アンリアレイジ×ミノトール コネクテッド バイ パルコ ANREALAGE ×MINOTAUR connected by PARCO」のブースで見つけたスカジャンが、それです。
Img_53221_2  これは「パルコ」のプロデュースにより、コレクションブランドの「アンリアレイジ」と「ミノトール」がコラボして実現したもの。ポケット内に取り付けられたスイッチを押すか、あるいはスマホ上で専用アプリを操作すれば、スカジャンの内側から発熱し、温度変化にともなって胸の部分からグラフィックな柄が浮き出てきます。

Img_53231 左は若者好みのロック調のモチーフです。
 ヒーターは両胸と背中の3か所に内蔵されていて、温度調節は3段階で可能、充電器も付いています。サイズも揃い、レディスもあります。まさに温かさと色を楽しめる遊び心のたっぷりのウェアで、ファッションとテクノロジーの見事な融合に驚嘆しました。
 価格は77,000円と92,000円の2型で、今月100着がパルコで限定販売され、来月からオンラインなどでリリースされるといいます。

 東京・芝の増上寺で行われた「エニー東京」展では、「ミノトール」による発熱するメンズジャケットが話題を集めていました。
 Img_61191胸ポケットの上に付いている緑色のボタンは電源で、このスイッチを入れると背面の熱を発する特殊繊維が作動し、温かくなってくるといいます。ボタンの色は、温度が低い順に緑→青→赤へ変化し、前述のスカジャン同様、スマホで3段階の温度調節ができるそうです。価格は88,000円。

 これならどんな寒さも怖くないし、洗練されてスマートに見えます。懐炉ももう不要ですね。日本の最新技術、本当にすばらしい!

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2015年11月27日 (金)

企画展「タンゴ・ツイスト-糸と織のリズム」

 京都府の丹後地方といえば縮緬(ちりめん)の里として有名です。服飾文化学会の夏期セミナーで、4年前に訪れたことがあり、産地の機屋さんに大変お世話になりました。その思い出の地の企画展が先月中旬から今月初旬にかけて、松屋銀座で開催されました。

Img_63331  題して「タンゴ・ツイストTango Twist-糸と織のリズム」です。監修はテキスタイルデザイナーの須藤玲子さんで、ギャラリー中央に参加した有力企業の8社の生地、18点が会場中央にシンプルに美しくレイアウトされていました。壁面には、写真家の市川明氏が撮影した各社の仕事場の写真パネルが展示され、顔見知りの方も多くいて大変懐かしかったです。
 ディスプレーされた生地は、いずれ劣らぬ伝統の職人芸を現代風に洗練させたものばかり。さすがに須藤さんという目利きのデザイナーが選んだものらしい、「和モダン」の粋を見た思いがしました。
 そのうち4点をご紹介します。

Img_63241 Img_63271 田勇機業 多層織り「パピリオ」     創作工房糸あそび リボン織
強撚の緯糸を部分的にカットし、     リボンをねじれないように
布全体に蝶のような表情を演出     織り上げた神業的織物

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民谷螺鈿 螺鈿織「貝細工」     安田織物 紋紗織「インパルス」
北欧モダンと日本の伝統を融合     透け感を保ちながら、柄を
させた3D効果の螺鈿織          くっきり見せる絹織物

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2015年11月26日 (木)

T・N JAPAN東京展 「冬の綿プロジェクト」テーマに

 日本の各産地の特色ある生地メーカーによる合同展が「T・N JAPAN東京展」です。「T・N」は「テキスタイル・ネットワーク」の頭文字をとったものです。今シーズンも2016-17年秋冬のテキスタイルを発表する展示会が、5〜6日、14社が参加して東京・渋谷の文化ファッションインキュベーションで開催されました。

 テーマは、秋冬物展には珍しい「冬の綿プロジェクト」です。各社各様のウインターコットンの“冬物語”を語る新作が発表され、いずれも“いい感じ”に仕上がっています。
 主催者によると、最初は冬物にコットンは無理、とくにシルクの機屋さんに綿織物はできないのでは、と思われていたそうです。しかしスタートすると、意外に良いものができ上がり、新しい発見をしたと、メーカーから喜びの声が上がったとのお話でした。
 なお綿糸は同展常連のタオルメーカー、渡辺パイル(愛媛)が、オーガニック・スーピマとサンフォーキン綿を提供されたといいます。

 提案素材では、総じて凹凸の立体感のあるものやジャカードが目立ち、毛足や起毛素材、ツィード風のタッチのものも多かったです。

 その一端をご紹介しましょう。

匠の夢(新潟)
 タッチはまるでウールなのに、実はコットン100%です。
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 左はダブルガーゼのジャカードで、ふんわりと心地よい肌触りです。
 右はスーツ地向けのランダムな線構成ジャカード。

クレッシェンド・ヨネザワ(山形)
Img_64451jpg  ストールが中心のメーカーですが、先染め織物や多重織、表面変化、プリントや塩縮、ニードルなど様々な素材を扱い、小ロットにも対応しているといいます。
Img_64431jpg  右のストールは綿100%ジャカード。何とも心地よい風合いが魅力です。左は綿/ウールの千鳥格子の素材です。

宮下織物(山梨)
 クチュール向けフォーマルな高級シルク地メーカーで、「富士山織り」ジャカードで一躍全国に知られる存在です。
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 左はシルク織機でつくられたコットンピケ。洗練された高級感のある持ち味はさすがです。
 右は玉虫のように光るフリンジが美しいジャカード、ポリエステル94/キュプラ6。

遠孫織布(兵庫)
 素材と後加工にこだわったジャカード織物を提案。
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 左はキルティング風の綿織物です。中にポリエステル糸を入れて織ったもの。
 右はモール糸使いのボーダーです。

古橋織布(静岡)
Img_64241  綿を中心にした高密度織物を得意とするメーカーです。低速シャトル織機を使い、糸使いや織り方、加工を工夫し、他にない独特の風合いを演出されています。 右はナチュラルな味わいにハリ感を持たせた綿100%素材です。

福田織物(静岡)
Img_64281  やわらかくてふくらみのある細番手の二重織や多重織、なめらかなものから凹凸感、起毛まで様々。

 右は梳毛ウールのようにしっかりとコンパクトな綿100%素材です。

山崎ビロード(福井)
Img_64161  ビロードやベルベットはパリのPVで来秋冬のベスト素材に挙げられていました。同社はベルベットの中でも、本物の素材にこだわり、常に表情・手触り、加工で興味深いものを手がけられています。
 右はヴィンテージ調の綿100%のベルベット。ムラ感を洗練されたタッチで表現しています。

双葉レース(東京)
Img_64081jpg  引き続きレースブームの中、秋冬向けに暖かいラッシェルレースを提案。ウールレースやモールレース、起毛レースがたくさん見られます。 右はふんわりとした毛足のコットン67.3/ナイロン32.7のラッシェルレース。

林キルティング(岸和田)
Img_63971  キルティングの中綿にシルクを使い、ジャカード風のステッチで表現した新作を披露。

Img_64021  絞りのワザを使った立体的な表面感に目が引きつけられました。

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2015年11月25日 (水)

2016/17秋冬尾州産地展 ウール人気で大盛況

 公益財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター(FDC)主催の2016/17秋冬尾州産地の素材展「尾州マテリアル・エキシビション」が、先月14〜16日、東京・港区テピアで開催されました。出展社は、尾州産地の素材メーカー16社に加えて、今回初の併催となった「ジャパン・ヤーン・フェア・イン東京」の10社です。来場者は2,270人が来場し、昨年同期に比へると大幅増で、ウール人気も相まって大盛況でした。

 トレンドエリアも前回同様、FDCが提携しているパリのトレンド発信企業のネリーロディ社の情報を基に設置され、新作生地1,650点の中から選出された170点と製品16点が3テーマに分けられ展示されました。とくに人気を集めたのは、多彩な表情のある紡毛織物や縮絨、起毛加工、リバーシブルへの関心も続いています。

 トレンドエリアから、注目素材をピックアップしてご紹介します。

○ラショナル RATIONAL (理性的)
Img_56951  長く使えるものをつくることに美を見出す傾向。
 ・すっきりとコンパクトな無地。
 ・デニムの影響。仕事着向け素材からのインスピレーション。
 ・機能的な素材。
Img_56981 Img_57021  
ファインテキスタイル             虫文毛織 穴あきツィード
綿/ウールガーゼ・チェック         水溶性ビニロン糸を使用し、
綿とウールの交織による表情の違い    窓の開いた素材に

〇ワイルド・フォレスト (野生の森)
Img_56881  グリーン・ムーブメントの進化形。
 ・自然のままに。
 ・カラーミックス、シネ調。
 ・レギュラーなレリーフ、部分的にふんわりしたタッチ。
Img_56901 Img_56921jpg
鈴憲毛織 木目ジャカード        中伝毛織
後染め、染め分けによる         コットンストレッチドビー
立体感のあるウールジャカード     糸の太細と組織による表情感

〇クラシック3.0 CLASSIC 3.0
Img_56821  落ち着きのある和やかな気分を醸し出すクラシックなスタイル。
・繊細な梳毛織物
・高級感のある、魅力的な手触りのカシミア、ウール+シルク、ウール+リヨセル。

Img_57111 Img_56861
渡六毛織 アルパカビッグ千鳥    長大             
ウール/アルパカ混紡糸を      アンゴラヘリンボン       
使用のツィード             ソフトで高級感のあるヘリンボン 

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2015年11月24日 (火)

高野口パイル「ぷわぷわ11th」展 多彩なパイルを一堂に

 今年で第11回目を迎える和歌山県高野口産地のパイルファブリック展「ぷわぷわ11th」が、先月初めラフォーレ原宿で開催されました。今回は和歌山県繊維協会との初の合同展で、初出展の2社を加えた14社が出展、各社独自の多彩なパイルが一堂に集結し、盛会でした。
 とくに注目のパイルをご紹介します。

妙中パイル
 シングルのベルベット機があり、ループカットが可能なのは同社だけといいます。
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 左はイノックス・ベルベットで形状記憶が特徴のベルベットです。イノックスとはステンレスヤーンのことで、これを使うことで独特なシワ効果が得られます。
 右はコットン100%のジオメトリックなジャカード織ベルベットです。

岡田織物
Img_52341  化学繊維で天然のファーを表現するフェイクファーの専門メーカーで、今シーズンは三菱レーヨンが開発した特殊断面素材を使用した、エコファーを打ち出しています。

 とくに目を引いたのが、写真のスカートに見られるニードルパンチです。
 天然では不可能なニードルパンチもエコファーならこのように可能なのですね。

野上織物
Img_52511  毛並みが玉虫のように光って美しい、透けるほどに薄いパイルにびっくり。

 化合繊からコットンまで、多彩な品ぞろえです。

ヤマシタパイル
Img_52451  今回初出展して、大きな反響があったといいます。
 注目はアウトラスト・ファー。つまり吸熱発熱素材のフェイクファーです。
 高機能素材への関心の高まりを感じます。

貴志川工業
Img_52191  今回初出展したニット生地染め・加工の会社で、新素材の「綵(あやぎぬ)」を提案。
 これは綿100%にシルケット加工やバイオ加工を施したもので、ドレープ性があって、ハリ感やコシを出した、新しい風合い加工です。

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2015年11月23日 (月)

日本綿業振興会賞に植物の生命力に着想した作品

 第53回全国ファッションデザインコンテスト(一般財団法人ドレスメーカー服飾教育振興会・学校法人杉野学園主催)が、先月10日に開催され、愛知県の加藤志乃さんの植物の生命力に着想した作品に日本綿業振興会賞が贈られました。
 今回は一般の部に2082点のデザイン画の応募があり、その内、ファッションショー形式による審査会に臨んだのは、入選作品37点です。この中から、文部科学大臣賞を始めとする各賞が授与されました。日本綿業振興会賞は企業賞の一つで、私も審査員の一人として参加しています。
Mengyo  日本綿業振興会賞を受賞した加藤志乃さんは、名古屋ファッション専門学校ファッションマスター科で学ぶ2年生、20歳です。本作への意図を伺いました。
 表現したかったのは、たとえどんな場所であっても強い生命力を発揮して生きる、そんな植物たちのたくましさ、美しさといいます。よく見ると、一見ロマンティックな花のようなドレスですが、実はかなり構築的なつくりになっています。
 花といっても華麗なガーデンフラワーではなく、高山植物のような逆境に耐えて咲く花がイメージされているのです。白一色にしたのも、何にも染まらない強さを表したかったからといいます。
 特徴的なのが襟とウエスト周りを縁取る大きめの花弁のようなひだ飾りです。フリルのように見えますが、実は芯入りのしっかりとしたキルト仕立てになっています。素材はコットンと不織布使いで、ビーズをたたくように刺繍して仕上げたとのことです。
 少しロック風な反逆精神を感じさせる作風で、そこが新鮮に思われて訊ねますと、以前から憧れているミュージシャンがいるのだそうです。繊細なのにタフな人物で、その人への思いを作品に込めたといいます。
 目指すのはファッションデザイナーへの道という加藤さん。この受賞を機に、そのミュージシャンのようにタフになって、大いに羽ばたいていかれますことを期待しています。

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2015年11月22日 (日)

パリで「テニススタイルの歴史展」を見て

 パリに行くといつもそうなのですが、これまでに行ったことのないミュージアムを訪ねてみたくなります。この9月は、ブローニュの森の南にあるローラン・ギャロス・テニス博物館を訪問しました。
Affichejeusetetmode682x1024  ここはテニスの四大国際大会の一つ、全仏オープンが開催されることで知られるテニス競技場内の施設です。「ジュー、セット・エ・モードJeu, Set et Mode テニススタイルの歴史展」が開催されていたことも、見学の理由でした。

 今年はファッショントレンドに「アスレティックatheletic + レジャーウェア leisure wear」の造語、「アスレジャーath-leisure」のキーワードも浮上しています。中でも注目されているのがテニス気分でしょう。来春夏もステラ・マッカートニーなど有力デザイナーのコレクションで、ポロシャツやVネックのチルデンニットなど、テニスウェアにヒントをとったデザインが散見されます。
 錦織選手の活躍もありますし、最近テニスが気になっていました。

Img_42081_2  ミュージアムは地下にあり、まさにテニスの殿堂といった雰囲気です。
 その広い会場には1890年代から現在に至るテニスウェアが60点と、写真やスタイル画などが年代順に展示されていました。

Img_42091_2  最初はロングスカートだったのが次第に短くなり、色も白一色だったのが、60〜70年代にはカラフルにポップに変化していく様子がわかります。

Img_42201 1  1920年代のクチュリエ、ジャン・パトゥがデザインしたテニスウェア。

 この時代“テニスの女神”といわれたスザンヌ・ランラン(左)のウェアもジャン・パトゥの作品です。



Img_42331  “ミスター・テニスファッション”と呼ばれたファッション・デザイナー、テッド・ティンリング Ted Tinlingによるテニスファッション(上)。1960〜70年代のもの。

Img_42571  ワニのロゴマークで有名なルネ・ラコステ Rene Lacosteのデザイン(上)です。

Img_42731  アディダスの“テクノ・テニス”ウェア(上)。
 吸湿速乾、ストレッチなど様々なImg_42921_2高機能素材使いでアンドロジナスなテニスウェアです。
 ハイテク・テニスウェアの進化を見せつけられます。

 2010年のヴィーナス・ウイリアムズのテニスウェア(右)も展示されていました。まるでランジェリーのようにセクシーです。

 

 ところでテニスというスポーツが誕生したのはフランスです。16世紀頃は、“ジュ・ド・ポーム jeu de paume”と言われていたのですね。今もチュイルリー公園に、この名前のミュージアムがあるのは、かつてここにジュ・ド・ポームの競技場があった名残だったのです。テニス tennisの語源も、フランス語の“トネ tenirs”に由来し、サーブを打つ方が相手に「お受けなさい」という意味。このミュージアムの別名が「テニセウム Tenniseum」というのもこのためといいます。
 調べていくうちにどんどん興味がわいてきました。こんなちょっとしたことですけれど、知っているとテニス観戦もおもしろくなります。
 でも見るだけではなく実際にやってみたくなってきますね。

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2015年11月21日 (土)

パリで「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」を訪ねて

Img_42031  この9月に行ったパリで、「フォンダシオン ルイ・ヴィトン Fondation Louis Vuitton」現代美術館を訪れました。ここは昨年10月、パリ西端のブローニュの森に開館したホットスポットです。
 森の散歩道をまっすぐに歩いていくと、建築家フランク・ゲーリーが設計したダイナミックな動きのある構造物が見えてきます。
 確かに巨大な帆を持つ艦船のようなフォルムです。 

Img_41961  その日は雨が降っていましたが、観光客が多いようでけっこう混んでいました。10分くらい行列して、チケットを購入しました。

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 中に入ると、まず目に付いたのが、レストランのたくさんの魚のモビールです。魚好きなゲーリーの”魚ランプ”ですね。

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 建物は、ガラスパネルを組み合わせた5階建て(フランス風に言うと4階)、地下1階構造で、最上階はテラスになっています。
 パノラマのような森が見渡せましたが、お天気が悪くて、エッフェル塔は見えませんでした。

 展示テーマは「ポップとミュージック」でした。
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Img_41081  ギルバート&ジョージの“リビング・スカルプチャー”やアンドレアス・グルスキーの写真作品などから、ジャン・ミッシェル・バスキアのグラフィティアート、アンディ・ウォーホルのポップアートまで、大型のモダンアートが壁を飾っていました。

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Img_41531_2  またミュージックの演奏会場面を映した巨大ビデオ空間もあります。まさに音楽を体感するアートでした。

 

 帰国して、東京・表参道にある「エスパス ルイ・ヴィトン東京」で「フォンダシオン ルイ・ヴィトン建築展」が開催されることを知り、先日、見てきました。
Img_65151  フランク・ゲーリーの製作プロセスを紹介する模型が6つ、インスタレーションされています。
 パリで、あの自然光に彩られた動きのある空間に立ったときのことが思い出されました。
 なお、この展示は来年1月末までです。

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2015年11月20日 (金)

ランバンのアルベール・エルバスが退任とは!

Img_50591   ランバンのアルベール・エルバス退任のニュースが流れて、驚いています。ついこの9月にパリを訪れ、ヨーロッパ写真美術館で開催された「アルベール・エルバス/ランバン宣言 ALBER ELBAZ / LANVIN MANIFESTO」展を見てきましたから。

 ランバン展といえばこの夏、ランバンのクリエイティブディレクター、アルベール・エルバスの指揮で、創始者、ジャンヌ・ランバンの大回顧展がパリ市モード美術館で開催されていました。約16万人もの観客を集めて大盛況だったといいます。私も見たかったのですが、9月にはもう終了していました。でもこの写真美術館の展示を見て、残念な気持ちが帳消しされました。それほどすばらしい企画展でした。

Img_50581  写真展とはいいながら、そこには上の写真のように、ランバンの服をつくるアトリエが再現されていたのです。

Img_50532_2  広い展示室には、たくさんのドレスをドレーピングしたボディが並び、それらの後ろ壁に、エルバスの大きなデザイン画が描かれていました。仮縫いや試着の様子も直に伝わってくるような構成でした。

Img_50671_2  これは、ランバンとヨーロッパ写真美術館のコラボレーションで実現したといいます。いつも写真を紹介する美術館が、ファッション・ブランドと提携するのは極めて珍しいことのようです。もちろんこの展覧会もアルベール・エルバスによるものです。
 タイトルには「宣言 MANIFESTO」」とうたわれています。メゾン再生の立役者だったエルバスが、まさかこの後、退任することになるとは、誰が想像したことでしょう。
 
 今年は、このランバンをはじめディオールやバレンシアガなど、多くの有力クチュリエでデザイナー交代劇が繰り広げられました。常に創造性が求められる世界では、やむをえないことなのかもしれません。
 この先ますます激化しそうなブランドビジネスの行方に注目です。

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2015年11月19日 (木)

それでもパリは美しく輝いている!

Cid_4924d3d9c89c4da7bb72c48772ff0_2  テロで非常事態が宣言されているパリ。それでもパリは美しく輝いている!
 パリ在住の友人、坂巻素子さんが、変わらない美しさをたたえるパリの風景を送ってくれました。写真を撮られたのは、テロのあった2日後、15日の夕方だそうです。
 この辺り一帯はノートルダム寺院を望むセーヌ河岸で、私が一番好きな場所です。何が起こっても、ここだけは静謐であって欲しいと思う、そんな一角です。
Cid_b81c061e104f4b719944f5195d0b2_2  悲惨な事件の後だけに、夕暮れの風情はまた格別に美しく思われます。

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2015年11月18日 (水)

パリを悼んで

 あのパリが今「戦争状態にある」とは!言葉を失います。私にとってパリは第二の故郷のような場所です。とうてい他人事とは思えません。テロで犠牲となられた方々に心より哀悼の意を表します。
 昨夜もTVのニュースでパリ近郊サンドニの銃撃戦を伝えていました。サンドニにはずいぶん昔、一目ゴシックの大聖堂を見ようと行った記憶があります。あの頃もあまり治安がよくなかったのですが、静かなよい街でした。
 それにしても犯人はまだ捕まっていないようです。逮捕されたとしても次にいつまたテロが起こるかわかりません。パリの友人が言っていたように、自爆、乱射に打つ手はありませんから、今後何が起こっても不思議ではありません。
 この9月にパリを訪れたときも、物騒になったと感じました。何しろスリが横行していますから。これまで以上に警戒が必要です。
 シリア空爆の激化で、事態は悪化する一方のパリを思います。報復に次ぐ報復の連鎖を止められないものでしょうか。何とか政治的に解決する道はないのかと思うのですが-----。
 パリはファッションの都で、このファッションほど平和な産業も他にありません。戦争がおしゃれする道を閉ざさないように、ファッションを退化させることのないように、願っています。

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2015年11月17日 (火)

第3回「ファッション ワールド東京」で注目の新ブランド

 この秋、東京ビッグサイトで開催された第3回「ファッションワールド東京」には、昨年比210社増の720社が出展し、約30,000人が来場したといいます。主軸の「国際アパレルEXPO」には200社が出展し、新規出展社も多数見られました。この中でとくに注目した新ブランドをご紹介します。

〇ワンピースブランド「ユカシイ トウキョウ yucasii tokyo」
 公認会計士の吉田ユカさんが「ワンピースしかつくらない」のコンセプトで、この春立ち上げたワンピースブランドです。デビューして6ヵ月で、累計売上高1,000万円を突破したといいます。
Img_52161  シルエットはウエストを絞らない、カクーン(繭)型のチュニックスタイルです。腕が華奢に見えるように肩にプリーツを入れたり、胸元にタックを入れたり。パンツを合わせてもいい、バランスのとれた丈です。これなら体型に左右されずに、誰もが美しく着こなせると思いました。パターンは、元ヒロココシノのアトリエでパタンナーをされていた方が制作しているそうで、丁寧なつくりです。 
 とくにこだわっているのは日本古来の和紙の柄やテキスチャー。しかもすべてメイド・イン・ジャパンのモノづくりで、日本人のみならず外国人をターゲットにしていること。今後はアジアへの輸出を増やしていきたいといいます。価格帯は29,000円から60,000円です。

〇Tシャツを遊ぶ「インインク inink」
Img_51341  新進気鋭のデザイナーコーナーで、びっくりしたのがこの“おもしろTシャツ”です。まず目に付いたのは、“手を貸してくれるTシャツ”で、手の部分が透明ポケットになっていて、スマホを入れるとまるで手がスマホを持っているように見えます。歯磨き粉がTシャツの胸にくっ付いているものもあります。歯磨き粉が立体的で本物そっくりなので、触ってみたくなります。
 こんな奇想天外なTシャツブランドを手掛けるのは井上薫さん。「着る」のではなく「遊べる」Tシャツをコンセプトに、シンプルで面白いTシャツを展開しています。
Img_51381 Img_51391  この他、洗剤が垂れているTシャツ、絵の具が飛び出すTシャツ、ボトルが噴出しているTシャツ、左上は信号が光るTシャツ、右上はアイスクリームTシャツです。
 とくに子どもたちが大喜びしそう、楽しいですね。

〇ナチュラルなライフスタイル「ソルト SALT」
Img_52121  ブースには白や生成りのコットンドレスが並びます。北海道の自然が生んだブランドといいます。あのファッションデザイナーのカミシマチナミさんもデザインに関わっているとか。ナチュラルでシンプルなスタイルに豊かさを感じます。

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2015年11月16日 (月)

「クロスカンパニーの成長戦略」

Img_51561  少し前のことになりますが、「ファッション ワールド 東京2015秋」で、クロスカンパニー代表取締役執行役員社長CEOの石川 康晴 氏が特別講演されました。題して「クロスカンパニーの成長戦略」です。
 同社は昨年、創業20周年を迎え、年商1,100億円を達成、従業員4,000人を抱え、22ブランドを持ち、世界28か国にグループを含めて約1,200もの店舗を展開しているグローバル企業です。事業領域も今年、「アパレル」から「ライフスタイル&テクノロジー」へ拡大、新たな挑戦に乗り出しています。

 講演は、まず大きな転機となったブランド「アース・ミュージック&エコロジー earth music & ecology」の話からスタートしました。立ち上げたのは16年前の1999年で、当初は岡山のセレクトショップでオリジナルTシャツのみを扱っていたそうです。その後SPAを導入し、2009年、宮崎あおいをキャラクターにしたTVCMで一躍、認知度が17%から60%に上昇。売り上げも140%増と大きく伸ばしました。この成功がなければ今のクロスカンパニーはないと断言します。
 この好調をよそに、これまで20年間続けてきた「全正社員制度」を廃止したことも公表されました。就職を希望するものの、正社員を望まない層があることが理由だそうです。今後は非正規3割、正社員7割で運営するといいます。
 同時にドメインも今年2月から「ライフスタイル&テクノロジー」へ変更。衣食住の生活文化全体を対象に、ITを中心とした投資を積極的に行っていく方針とか。インテリア雑貨からコスメ、またショップでのアイスクリームなど、食の販売も手掛けているといいます。現在、レトルトカレーも開発中だそうです。
 さらに服は売って終わりというのではなく、クリーニングやお直しサービス、クローゼット、つまり預かりサービスの倉庫業にも着手しているとのこと。その上、この9月からはアパレル初の日常着のレンタルサイト「メチャカリ」も開始。月額5,800円の定額で、気に入った服を借り放題できるといいます。

 次に語られたのが、同社のコミュニケーション・アイデンティティーの取り組みです。よき人間関係こそ、創造的事業の要と位置づけ、通路に社員のポートレートを貼り出すなどして、社員同士のつながりを深めたり、親睦イベントを行ったり、社内報や「クロカンTV」動画を配信したり----。「組織はフラットに」も社長のモットーだそうで、呼び方も肩書ではなく「さん」で呼ぶとのこと。社長自身が全社員の「パパ」となるように、努力されている様子が伝わってきました。

 人に焦点を当て、質の高いコミュニケーションを目指しながら、生活周辺ビジネスにまで手を広げ始めたクロスカンパニー。今まさに注目の企業といえるでしょう。

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2015年11月15日 (日)

アンダーカバー25周年展LABYRINTH OF UNDERCOVER

 東京オペラシティ・アートギャラリーで開催されている「ラビリンス・オブ・アンダーカバーLABYRINTH OF UNDERCOVER」に、MBFWT東京コレクションの最中でしたが、行ってきました。
Img_62991 これはファッションデザイナーの高橋盾が手掛ける「アンダーカバー UNDERCOVER」の設立25周年を記念する回顧展です。右は2009年春夏の「GRACE」の展示。

 アンダーカバーは、1990年代にストリートの若者たちの支持を集めて、パリコレに進出し、今やコムデギャルソンの川久保玲らと並ぶ、押しも押されもせぬ世界のトップブランドに成長しています。それにしてもこのブランドが立ち上がって、もう25年が経過したとは! 月日の流れは早いものですね。

 テーマの「ラビリンス LABYRINTH 」は「迷宮」の意味です。これはデザイナーのクリエーションへの謙虚な姿勢を表しているようです。
 序文には、「昔も今も暗中模索、ゴールなき迷路をさ迷っている」とあり、「反骨精神を武器に始めたUNDERCOVER」、「作品は混沌とした脳内の細胞を、不安定なバランス感覚で具現化したもの」であり、「いまだ脳内迷路をひたすらゴールめがけて走っている」と哲学的に結ばれています。

Img_62531  展示は時系列で、ファーストコレクションから今秋冬コレクションまで、ディスプレーされています。微妙に移り変わる変化を楽しみながら、このブランドらしい反逆的なミリタリーやパンク、ロック風、毒気のある可愛らしさ、SF感覚のものなど、デザイナーのいう「混沌と調和の融合」の世界が堪能できます。
 その一部をご紹介しましょう。

 右は、1999年春夏「RELIEF」。

Img_62571   2002年春夏「THE ILLUSION OF HAZE」。

Img_62591  2004年春夏「LANGUID」。

Img_62731  2005-06年秋冬「ARTS AND CRAFTS」。

Img_62901  2015年春夏「PRETTY HATE BIRD」。

Img_62951  2015年秋冬「HURT」。
 突き刺さるガラスの破片で、「傷ついた人」を表現しているジャケット。


Img_62671 アトリエ風景を垣間見るデザイン画やアイデアスケッチ・コーナーもあり、デザイナーを志す人の参考になるでしょう。
 写真撮影も映像を除きすべてOKという配慮もうれしいです。

 なお、展覧会は12月23日までの開催です。見ごたえのある内容ですので、鑑賞はお早めにどうぞ。

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2015年11月14日 (土)

「もうひとつの輝き 最後の印象派1900-20's paris」展を見て

 先日、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催されていた「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20’s paris」展を見に行ってきました。 
 これは20世紀初頭のパリで活躍した、モネやルノワールといった印象派を受け継ぐ「ソシエテ・ヌーヴェル」のメンバー、約20名の作家による企画展でした。

  知られざる名画が多数展示される中で、とくに惹かれたのがアンリ・ド・シダネルの「日曜日」という作品です。
1_2  シダネルは「ソシエテ・ヌーヴェル」の中心人物だったとか。淡い光の中に浮かぶ女性たちは皆、白い衣裳を着ています。この時代は華やかな色彩よりも、白や黒が流行ったと再認識しました。

2_2  チラシに掲載されたエミール・クラウスの「リス川の夕陽」は、光の捉え方が美しくて、まさに印象派といった感じです。何気ない場面ですが、どこか神々しい印象の、神秘的な絵と思いました。

 なお本展は終了してしまったのですが、14日からは岐阜県美術館で展示されます。来年は広島など国内各地を巡回する予定だそう。

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2015年11月13日 (金)

「青児とパリの美術~東郷青児のコレクションより」展 

1  あの宇野千代の小説に登場する画家が東郷青児です。優しい色調の夢見るような美人画で昭和モダンをリードし、戦後一世を風靡しました。

この画伯の展覧会「青児とパリの美術~東郷青児のコレクションより」が、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で、1121日(土)~1223日(水)まで開催されます。

フランスには1921(大正10)年から1928(昭和3)年まで滞在して、パリの香りをもたらしたといいます。その甘美なイメージと、現実のパリに対峙した画家として制作した作品とを比較展示されるとのことで、楽しみです。

詳細はサイトhttp://www.sjnk-museum.org/program/current/3323.htmlをチェックしてください。

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2015年11月12日 (木)

映画 「ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション真の代償」

Tcposter  先日、映画「ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション真の代償」の試写会がエシカル協会主催で行われました。想像していた以上の衝撃的な内容で、見終わった後、重い気持ちになりました。

 映画は、華やかなファッション業界の裏側で起こっている生産現場の現状を次々と暴き出します。中でも悲劇的なのが、2013年4月に起きたバングラデシュ・ダッカの縫製工場「ラナ・プラザ」の倒壊事故です。このときはニュース映像が何度も流れましたから、見知ってはいましたけれど、何と1100人を超える死者を出しました。なお本作はこの事故をきっかけにアンドリュー・モーガン監督がメガホンを撮ったといいます。
 労働者たちは、危険とわかっている工場でも、低賃金で働かざるを得なかったのですね。そうしないと暴力を振るわれ、仕事を奪われる、その悲惨な姿も映し出されました。 
 ファストファッション企業は、その国の法律に基づき正規に生産しているといいます。しかし実情はやはり違っているようです。低価格へのしわ寄せは、相変わらず貧しい労働者たちに及んでいるのです。こうした労働者の血の代償で成り立つファッションシステムは、やはり異常と言わざるをえません。
 この他、映画には環境活動家やオーガニックコットンの栽培農家も登場します。モンサントの利益至上主義も痛烈な非難の対象でした。その不条理を改めて考えさせられました。
 また環境汚染を引き起こす産業は、第一に石油産業、次いで衣服産業であるという指摘も胸にグサッと突き刺さって、未だに離れません。

 ファッション業界の闇にスポットを当てたこの記録映画、一見の価値ある作品と思います。多くの方に見ていたただきたいですね。
 14日から渋谷アップリンクにて公開されます。

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2015年11月11日 (水)

「毎日ファッション大賞」に「サカイ」の阿部千登勢さん

 「2015年度(第33回)毎日ファッション大賞」の表彰式が、この5日、日本橋・三井ホールで開催されました。私は少し遅れてしまったのですが、大賞を受賞された「サカイ sacai」の阿部千登勢さんが表彰された場面に間に合いました。

Img_63461jpg  阿部さんは受賞コメントで、「自分の見たことのない景色を見たいと思っている。これからも精進していきたい」と発言されたのが印象的でした。デザイナーはいつも新しいクリエーションを要求されます。それはデザイナーの宿命です。見たことがない風景を創造することは、本当に大変なことと思います。でも今年春、ナイキラボとのカプセルコレクションをスタートさせるなど、国内外に圧倒的存在感を見せてくれました。これが2度目の受賞につながったのですね。
 2007年に同賞を受賞した後の活躍ぶりには目をみはりました。今回も、さらに飛躍されることでしょう。
Img_63571   また新人賞・資生堂奨励賞には「クリスチャン・ダダ CHRISTIAN DADA」を手がけるデザイナーの森川マサノリさん、鯨岡阿美子賞に大丸隆平・大丸製作所2社長、話題賞に「ディオール DIOR」、特別賞に第一織物が選ばれました。

Img_63741_2 Img_63661_2  授賞式後のパーティで、森川マサノリさんによる「クリスチャン・ダダ」の2016年春夏ランウェイショーが行われました。パリコレに進出してメンズコレクションを発表し、高評価されていますので、今回もメンズと思っていましたら、レディスでした。先般のMBFTW東京コレクションで参加されていたのに、私はショーを見逃してしまいましたので、大変興味深かったです。 
  テーマは「バラードBALLAD」というように、優しい情緒にあふれた美しいコレクションでした。Img_63831_2
  後でお話を伺いましたら、今年からウィメンズコレクションにも注力されているとのこと。またシンガポールに新しく直営店をオープンさせるとも。森川さんの「世界で戦えるブランドにしたい」という想いは、早晩叶いそうです。

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2015年11月10日 (火)

2016春夏「トクコ・プルミエヴォル」“パナマ”からの風

 MBFWTウィークから離れて、2016年春夏コレクションを発表したレナウンの「トクコ・プルミエヴォル TOKUKO 1er VOL」に行ってきました。

 ブランドを手がける前田 徳子さんは、旅するデザイナーとして知られています。ところが最近は不安定な世界情勢からテーマ探しの旅に出ることが難しくなっているそうです。
 こうした中、世界の十字路といわれる民族色豊かで、何らかの発見がありそうな“パナマ”を訪れたとか。
 ショーでは、この“パナマ”からの風に乗ってやって来たような、陽気なモデルが次々に飛び出しました。
Img_61421 Img_61591jpg Img_61531  
 スタートは、サンブラス諸島で暮らすクナ族の女性たちが創り出すカラフルなHOLA刺繍のロングドレスです。モチーフは花や植物から、動物、また女性の顔を描いたプリントも見られます。
 Aラインのドレスにチュニックをレイヤードし、チュールレースを組ませて軽やかにコーディネイトしているのも目に付きました。
Img_61851jpg  
 カラーはまず赤、次いでブルー、黒、そしてフィナーレは白で、パナマの代表的なフォークスタイルとともに締めくくられました。

 いつものことながら、とても楽しくて幸せ気分あふれるコレクションでした。

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2015年11月 9日 (月)

2016春夏「ヨシキモノ」インパクトのある着物を世界に!

 先般のMBFWT東京コレクションで大トリを飾ったのが、「ヨシキモノYOSHIKIMONO」。ロックバンド「X JAPAN」のYOSHIKIさんが、立ち上げた着物のブランドで、そのファーストコレクションが披露されました。
 会場には早くから熱狂的なファンが押し寄せ、1200人もの観客であふれかえりました。さすがロック界の大スターですね。
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Img_61591 Img_61611  異様な熱気に包まれる中、着物を羽織ったYOSHIKIさんが現れ、ランウェイ中央に置かれたグランドピアノの前に座り、クラシックの生演奏をスタート。それと同時に美しく着飾ったモデルたちが登場しました。
 いずれも華やかな花魁風を着崩した着こなしです。肩肌を脱ぎ、覗くランジェリーとのコーデは何とも艶めかしい。裾もからげて脚を出し、パンク風のスタッズシューズやロングブーツに網タイツを合わせる、ロックな着物スタイルです。超長い簪を何本も髪に差しているのも印象的な演出でした。
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Img_61851  呉服屋の長男として誕生したというYOSHIKIさん。日本の伝統文化である着物を世界に紹介したいという思いが「ヨシキモノ」を生んだといいます。ミュージシャンならではの感性で表現されたインパクトのある着物の世界に、私もすっかり魅了されました。本当にすばらしかったです。着物はこんな風に進化して、モードを根底から変えていくことになるのかもしれません。久しぶりの感動のコレクションでした。

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2015年11月 8日 (日)

2016春夏ミキオサカベ&ジェニー ファックス 刹那性に注目

 先般のMBFWT東京コレクション最終日、ファッションデザイナーの坂部三樹郎が手がける「ミキオサカベMIKIO SAKABE」と、シュエ・ジェンファンShueh Jen-Fangが手がける「ジェニー ファックスJenny Fax」が初の合同ショーを開催しました。

 今シーズンは「呪い」がテーマとか。ランジェリー姿のストリッパーやキョンシーなどの奇怪なパフォーマンスが繰り広げられる舞台で、ショーはスタート。
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Img_61101  坂部によると、中心は「ジェニー ファックス」の“ワンダーランド”で、前後に「ミキオサカベ」を組み込んだ構成だったそう。

 とくに現代カルチャーのカオスの中で、ファッションの存在感をどう演出するか、その刹那性に注目し、ペンキが流れて溶けていく様子をドレスに表現したといいます。
Img_60911 これらは直前にバックステージで染めたというのでびっくり!まさにアクションペインティングの手法で模様を付けたようです。モデルの脚にもペイントが飛び散っていました。

 布の裁ちっ放しやシースルー、ラバー加工、長すぎる袖、ありえないもの同士の組み合わせなどが次々に登場。
 これまで見たことがないキッチュな美意識満載の異次元空間に、目がくらくらするようなコレクションでした。

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2015年11月 7日 (土)

2016春夏ヒロミチナカノ 着物の美をさりげなく現代に表現

Img_60451 先般の2016年春夏MBFWT東京コレクションでは、ベテランといわれるファッションデザイナーの活躍も光っていました。
 その一人が「ヒロミチナカノ」を手がける中野裕通で、9年ぶりにランウェイに帰ってきました。

 今シーズンは「着物の美を気軽に楽しんでほしい」と、昭和初期に大流行した“銘仙”の着物にインスパイアされたコレクションを発表しています。

 優しい色合いの縮緬のような質感の絹織物で、袂のように揺れる袖や襟が重なったワンピースやシャツ、コートなど。繊細な和のタッチをさりげなく表現し、現代の洋装に溶け込ませています。パッチワークやアップリケのテクニックもキーポイント。
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 大きい玉のモチーフは、日の丸をあしらったデザインのようです。
Img_60561  
 “ガーリーの先駆者”と言われたデザイナーらしい、どこか乙女心をくすぐるコレクションでした。

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2015年11月 6日 (金)

2016春夏ヤストシエズミ フランク・ゲーリーにインスパイア

 MBFWT東京コレクションで、このところいつも建築にインスパイアされたコレクションを見せる「ヤストシ エズミYasutoshi Ezumi」が、先般2016年春夏コレクションを発表しました。

 今シーズン、ブランドを手がけるファッションデザイナーの江角泰敏が着想したのは、フランク・ゲーリーです。グッゲンハイム美術館やルイヴィトン・ファウンデーションなどの建築デザインで知られる建築家ですね。
 配布資料には、コンセプトに「マッタ・クラーキングMATTA CLARKING」とあります。何かと思いましたら、これはゴードン・マッタ・クラークというアーティストに由来する建築技法のこと。既存の建物を大幅に切断、その構造体を露出させるこの技法で、ゲーリーのオフィスでは、建物の構成材料をはがし、それらを新しく再構築することを実際に「マッタ・クラーキング」と呼んでいたそうです。
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 ショーでは、この技法を応用した新しい形の服が多数披露されました。ゲーリー建築に特徴的な斜めのラインや、パーツをレイヤードした立体的なフォルム、また袖を意外な部分にあしらうなど、パーツを再構築したデザインなど-----。

 そのシャープなカットや美しいドレープにも魅了されました。
Img_60031  
 明るいギャラリーを会場に、モデルを間近に見ることができたことも大変うれしい、すてきなコレクションでした。

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2015年11月 5日 (木)

「バイオミミクリー」に注目

 最近ファッション素材で、自然を模す傾向が顕著になってきました。
 そこで(一財)日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION コットンプロモーション」(2015秋号のコラム、マーケティング・アイに、下記のような記事を書きましたので、ご紹介します。
 本紙と併せてご覧下さい。
Scan0373                    (画像はクリックで拡大します。)

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2015年11月 4日 (水)

2016春夏「ジン カトウ」“天なるあでやかさ” テーマに

 ロマンティックな雰囲気の服を得意とする「ジン カトウ ZIN KATO」が、先般のMBFWTで、2016年春夏コレクションを発表しました。

Img_59501 Img_59571  テーマは“天(あめ)なるあでやかさ”で、ランウェーには繊細で優雅な大人の女性のドレスが並びました。ブランドを手がけるファッションデザイナーの加藤 徹は、艶やかな女性美をはかない一瞬のものととらえ、サラ・ムーンの写真に着想したといいます。その淡いトーンで表現されるはかなげな世界を、着やすいデザインのドレスに落とし込んでいました。

 素材は表面変化のあるものが中心です。たとえば裏カットジャカードやビーズ刺繍、スパンコールエンブロイダリーレースなどを多用し、フラットなものにも、ひと手間かけてクラフト感を演出していました。
 カラーはモノトーン系が多く、先の読みにくい昨今の世相を反映しているようです。
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 今を生きる女性の真の美しさとは何かが、伝わって来るコレクションでした。

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2015年11月 3日 (火)

第2回東京ファッションアワードの受賞者発表式

 今シーズンのMBFWTの期間中、第2回目となる「東京ファッションアワード2016」(主催:東京都/繊維ファッション産学協議会)の受賞者発表式が開催されました。
 このアワードは、東京の旬のファッションデザイナーを選定し、東京ブランドを世界に発信し、注目を浴びることを期待する、というものです。受賞者は、2016年1月のパリファッション・ウィーク中にショールームにおいて、世界のバイヤーとのビジネスマッチングの機会が設けられ、国内外でのビジネス拡大が支援されます。
 昨年の第1回アワードでは、「リトゥンアフターワーズ」の山縣良和さんや、「サルバム」の藤田哲平さんらが受賞しています。
Img_58641  今回、賞を贈られたのは、橋本 唯(ETHOSENS)、三浦 進(AVALONE)、清水則之(Name)、池内啓太、森 美恵子(and wander)、大江 健(Coohem)、下野宏明(WHIZ LIMITED)の6ブランドです。
 一人ずつ歓びの言葉が発せられて、式典は終了しました。

 なお審査員は有力小売りバイヤーの方々でした。その一人が審査のポイントを3つ挙げていたのが印象に残っています。それは、①オリジナリティがあること、②東京らしさへの意識があること、③わかりやすいメッセージ性があること。
 デザイナーを目指す新人に、大きな励みになる賞です。
 受賞者には思い切り世界に羽ばたいていって欲しいと思います。今後の活躍を楽しみにしています。

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2015年11月 2日 (月)

2016春夏「サルバム」 “エスニック”を自由な気分で

 新進気鋭のフファッションデザイナー、藤田哲平が手掛ける「サルバム」が、先般のMBFWTで2016年春夏コレクションを発表しました。
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 「サルバム」といえば、この9月のミラノウニカ展で「オン・ステージ」に出場し、世界のバイヤーの目を釘づけにしたブランドです。このブログ2015.9.13付けで紹介しています。

 このときの「オン・ステージ」ではメンズのみでしたが、今シーズンはウィメンズが冒頭から登場しました。「おやっ」と思うと同時に、男女の枠を超えた服づくりの新しい面を見せていただき、改めてすばらしいと思いました。

Img_59381  テーマは“エスニック”で、軽やかに気ままに生きるボヘミアン気分が意識されていたようです。布端が切り放しだったり、縫い目を表に出したり、アシンメトリックなカットだったり---。素材は、黒とデニムが多く使われていました。

 一見ルーズなつくりを、テイラードスタイルにのせて、洗練されたきちんと感を表現し、才能の煌めきを感じました。さらなる展開を期待しています。

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2015年11月 1日 (日)

2016春夏オニツカタイガー×アンドレア ポンピリオ熱狂!

 先般のMBFWTで「オニツカタイガー Onitsuka Tiger×アンドレア ポンピリオ ANDREA POMPILIO」の2016春夏コレクションが開催され、その熱狂ぶりにびっくり!
  最近、人気急上昇中のブランドとあって、カメラマンの数もものすごく多く、場内は熱気満々で、まるでお祭り騒ぎのような大混雑でした。

Img_59001 Img_59151_2  都会的なサーファーイメージが中心で、サーフボードを抱えたモデルも登場し、カリフォルニアの陽気なビーチスタイルを彷彿させていました。ウイメンズでは、洗練されたロングドレスも見られ、スポーツファッションとはいえ、幅広く着こなせそうです。
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 スウェットやメッシュ、またウエットスーツに使われるネオプレンのような素材も多く、このようなテクニカルな新素材がアスレティック用途に限らず、カジュアルウェアに進出していることを強く意識させられたコレクションでした。

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