イリス・ヴァン・ヘルペン展 近未来を予感する異次元モード
イリス・ヴァン・ヘルペン Iris Van Herpen といえば、オランダ出身の前衛的デザイナーで、3Dプリンターで服をつくっていることで知られています。
数年前から、パリのオートクチュールコレクションに進出し、ビヨークやレディー・ガガも愛用しているとあって、話題を集めています。
この「イリス・ヴァン・ヘルペン展」が今、渋谷・西武百貨店でが開催されています。先日、コレクションへの興味もあり、見に行ってきました。
薄暗闇の中、サーチライトがドレスを照らし出しています。無機質なドレスはレーザー光線に打たれたかのように光りを放ち、稲妻模様を浮かび上がらせます。
不思議な素材が使われているようで、何とも近未来を予感させるドレスです。
空間デザインを担当したのは、ロボットデザイナーの松井龍哉氏で、この異次元モードの世界観を上手く表現しているな、と思いました。
中央のケースにおさめられていたのが、3Dプリンティングによるドレス(写真左)です。パーツをつくり、それをボディに合わせて構築しているようです。
デザイナー自身が「私のファッションは-----観て、そして着られるアートです」と語っているように、これはまさに身に纏うアート作品と思いました。精巧な細部にも目をみはります。3Dプリンターならではの、これまでに誰も見たことのないデザインです。
しかも想像以上にかっちりとした「よろい」のようなフォルム! 環境の激変が予想される近未来には、身体防御のためのサバイバルウェアとして好都合なのかもしれません。ただしどうにも動きにくそうです---。
その隣に展示されているのが、ヒールレスハイヒール(写真右)です。
前衛的シューズデザイナー、舘鼻則孝が手掛ける「ノリタカ タテハナNORITAKA TATEHANA」とのコラボレーションで制作されたもので、透明クリスタルのヒール部に、3Dプリント技術が用いられています。2015-16年秋冬「HACKING INFINITY」のコレクションショーに登場して、センセーションを巻き起こしたものといいます。
3Dプリンターによる造形デザインが、服のような大きなものにも、ついに現れ始めました。影のように忍び寄るハイテクノロジーが、未来のファッションシステムをどのように変えることになるのでしょう。今後に注目しています。
なお、本展は6日までです。一見の価値ありですので、お見逃しなく。
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