« 藍商の歴史ある脇町「うだつがあがる町並み」 | トップページ | 徳島の夏の夜はやっぱり阿波踊り »

2015年8月22日 (土)

夏にぴったりな「阿波正藍しじら織り」

 日本伝統の綿織物の一つとして有名なのが、阿波しじら織りです。サンプル帳で見て、いつか工場見学したいと思っていました。それがこの夏、服飾文化学会夏期セミナーに参加して実現しました。

 訪れたのは明治30年創業の老舗綿織物メーカーで、長年しじら織りを手がけている長尾織布合名会社です。
 パンフレットによれば、しじら織りは、布面にチヂミのようなシボがあり、空気をよく通して涼しいのが特徴です。蒸し暑い日本の夏にぴったりな生地なのですね。明治維新の頃、阿波阿宅村の“海部ハナ”という機織りの女性が、雨に濡れて縮んだ縞木綿を干して乾かしたところ、布に見たこともない凹凸があらわれ、これをヒントに考案したといいます。
 同社はこの独特の木綿縞、しじら織りを復元し、阿波藍で染め上げ、昭和39年に「阿波正藍しじら織」の商標登録を取得。昭和53年には、日本の伝統工芸品に指定されています。
 社名の「織布」を「おりふ」と読ませるところも、昔ながらの伝統の技にこだわっているようで、好ましく思われます。

1_2  工場を案内してくださったのは、同社5代目社長の長尾伊太郎氏です。
 伝統を守りつつ、和から洋へ、小幅とともに広幅を採用するようになって、クールビス用のシャツ地やかけふとん地なども製造されているとのことです。

 まずは藍染めの現場を見せていただきました。アンモニア臭が漂います。

Img_24091_2  写真右は、俵(重さ55キロ)から、取り出した「すくも」です。「藍の館」でも見ましたが、藍葉が発酵して腐葉土のようになっています。

Img_24071jpg_2  写真左は、藍を建てる、つまり水に溶けない藍を可溶性にして染色できる状態にする藍甕です。

 

Img_24131_2  写真右は、綛糸染めし、天日干ししたもの。しじら織りには経糸、緯糸とも30番手綿糸が使われています。
 同社は、吉野川支流の鮎喰川の近くにあります。水が良好で豊富に使える、染色に適した環境にあるのですね。

 機場では、たくさんの色糸が見られました。化学染料のものも含め、約100色もの色糸を揃えているとのことです。
Img_24171_2
 織機は、今では広幅と小幅が半々の割合になっているそうです。
Img_24181_2
Img_24281_2  経糸の3本引き揃えと1本を交互に織り上げて、しじら織りのタテシボを出しているといいます。

 左は美しいグラデーションの縞木綿です。

 

Img_24241  織り上がった布は湯通しし、仕上げます。

 同社のような工場は、今では4社しかないとのこと。

 綿織物産地というと、とかく分業が多いですが、ここでは染色から整経、織り、仕上げ加工まで、すべて一貫した工程で行われています。
 しかも織物の伝統や手作りのものに興味を持っていただきたいと、藍染め体験教室や、このような工場見学会などの教育事業にも積極的に取り組まれています。
 「阿波正藍しじら織り」を未来に受け継いでいくという、社長の熱い思いを感じました。

|

« 藍商の歴史ある脇町「うだつがあがる町並み」 | トップページ | 徳島の夏の夜はやっぱり阿波踊り »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 夏にぴったりな「阿波正藍しじら織り」:

« 藍商の歴史ある脇町「うだつがあがる町並み」 | トップページ | 徳島の夏の夜はやっぱり阿波踊り »