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2015年7月 2日 (木)

太田伸之氏 特別講演会「海外市場を狙う」

  先月初め、ファッションビジネス学会総会で、特別講演会が開催されました。Img_09861jpg_3 講師として登壇されたのは、海外需要開拓支援機構(クールジャパン支援機構)代表取締役社長の太田伸之氏です。「海外市場を狙う~日本のアパレル・テキスタイルをどう売り込むか」をテーマに、海外市場進出への基本的な考え方や方法を解説されました。

 同機構の社長就任以来、早くも1年半が経過したという同氏。日本の商品を海外展開するためのプラットフォームづくりに奔走されている様子です。
 現在12件の案件を抱えているとのことですが、ファッション・ライフスタイル系はわずか2件。それも百貨店関係であり、アパレルやテキスタイル関連はゼロだそうです。
 なぜファッション業界はこうも後ろ向きなのか。近隣諸国には急成長しているマーケットが存在し、しかもネット社会となった今、できることはたくさんあるはずです。今こそやり方を変えていくべき、と次のように提言されました。

 まず、世界で高く評価されている日本素材を、国内アパレルも、もっと使用すべきといいます。実際、パリコレ終了後、多くの有力ブランドの担当者が素材探しに来日しているそうです。セリーヌでは素材の7割が日本製と聞いてびっくり。高密度ポリエステル、プリント技術、デニムは、とくに好評だそう。韓国や中国でも、日本の素材を起用するブランドが目立っているといいます。
 次に世界のファッションビジネスが、プレシーズンのコレクションを中心に動いていることに触れ、この対応が急務と強調。プレ・コレクションの割合は、今や7割になっていて、秋物は5月、春物は11月のデリバリーが世界の趨勢なのだそう。しかもベーシック調ではアウトで、斬新な商品提案が求められているといいます。世界に打って出るには、展示会も納品もすべて前倒しで行わなければなりません。その覚悟が必要ということです。
 さらに卸売型から小売型へ、ビジネスモデルの転換を進言。内外価格差を意識してマージンをのせた小売りビジネスを行うか、あるいは現地パートナーと組んでフランチャイズ契約するか、どちらかにすべきとアドバイス。これについてはイッセイミヤケでの自らの体験をもとに語られました。卸売をやめたことでFOBを下げずにすんだといいます。
 最後に「おまけしない日本」になることを勧告。海外の小売店やエージェントが大きく儲けるビジネスはクールではないと断言します。
 私も日本企業が相手国エージェントの値引き交渉に応じて出荷価格を下げるのを何度も目にしてきました。でもそうしたとしても、小売価格が下がることはありませんでした。
 値引きすると、商品の価値は下がります。だから同氏が力説されるように、価値ある商品をワケあって高い、と堂々と売ることが重要なのですね。

 さすがの卓見に、ビジネスにうとい私としては目からウロコ。多くの学びをいただいたすばらしい講演でした。

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