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2015年7月

2015年7月31日 (金)

JFW-IFF企業文化を伝える「100年コート」が話題

 先般、開催されたJFW-IFFインターナショナルファッションフェアで、「100年コート」が出展し、来場者の関心を集めていました。
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 リリースによれば、これはコートの老舗、三陽商会が、2013年に設立70周年を迎えたことを機に、同社の象徴となるようなモノをつくりたいとの思いから誕生した製品といいます。この春、J∞QUALITY商品認証第1号を取得したことで、一躍話題となりました。

 「100年」という言葉の通り、子から孫へと世代を超えて永く大事に着ていただきたいというメッセージが伝わって来るようなコートです。
 縫製は、青森県にある自社工場、サンヨーソーイングが行っています。つい最近までライセンス契約していたバーバリーのコートの生産のために設立されたという工場で、綿ギャバジンのトレンチコートの仕立てで、とりわけ評価が高いといいます。もちろんウール生地も定評があり、縫製の工程数が多いコートの縫製工場として、国内最高水準を誇っています。自衛隊の制服もここでつくられているそうです。
 素材は、厳選された国産素材が使用されています。織物、染色、整理を手がけるのは、埼玉県で代々繊維製造業を営むダイワインターテックです。
 いずれも高い技術力を誇り、J∞QUALITY認証を受けています。日本の優れた匠の技を結集してつくられたコート、それが「100年コート」なのですね。

 昨年は、ダブル前仕立てのトレンチコートに加え、シングル前仕立てのバルマカーン(ステンカラー)コートも紳士服と婦人服で新たに開発し、今年は「タイムレスコート」として7型を展開しています。婦人物では、ロング丈を採り入れた新モデルのトレンチコートも追加されています。
 カラーは、定番のベージュ、ネイビー、ブラックにレッドもあり、この落ち着いたレッドが予想以上に好評だそうです。
 また「100年オーナープラン」という、メンテナンスやアフターケアの相談にのるサービスに共感する客も着実に増えているといい、2014年度の売上は、前年の約3倍で推移したとの発表もありました。
 よりよいものを長く愛用したい消費者が多くなっている、ということのあらわれで、最近のマーケットの変化を痛感します。

 この「100年コート」、「ほんとうにいいものをつくろう」という企業文化の心意気を伝えるこだわりのコートと改めて思いました。

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2015年7月30日 (木)

JFW-IFF「サステイナビリティー」に着目

Img_18801  この22〜24日、東京ビッグサイトで開催されたファッションビジネスの総合展示会、JFW-IFFスタッフのユニフォームは、「no nastiesノーナスティズ」のコットンTシャツでした。これはフェアトレードコットンイニシアティブが独占販売権を取得した、インドのオーガニック&フェアトレードブランドです。スタッフの一人に伺うと、「肌触りが気持ちいいです----」。

 今シーズン、JFW-IFF事務局では、「サステイナビリティー(持続可能性)」に着目。正面のアトリウムでは、フェアトレードやエシカル、オーガニックなどサステイナブルなファッションブランドを集積したエリアがつくられていました。約10ブランドが軒を連ねる一角に、前述のフェアトレードコットンイニシアティブのコーナーがあり、「ノーナスティズ」のTシャツを中心に、トートバッグの新作を展示。デザインは、元ラルフローレンのデザイナーだったというデリワラ氏で、すべてに国際フェアトレード認証ラベルとオーガニックコットンのGOTS認証ラベルが添付されています。
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 昨年創設された同社ですが、フェアトレードコットンの日本でのシェアはナンバーワンといいます。環境や社会貢献意識が高まる中、シェアの拡大が期待されます。

 このエリアで、もう一社、注目されたのが豊田通商グループです。国際フェアトレード認証を受けたインドやセネガルのフェアトレード綿で、オーガニック綿の生産から製品まで一貫して取り組んでいる姿勢をアピールしていました。
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 「サステイナビリティー」を追求するブランドや循環型ビジネスモデルへの取り組み、今後ますます市場に浸透していきそうですね。

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2015年7月29日 (水)

JFW-IFF「大人のための美モード」 存在感光る

 いつでも、どこでも、誰でもがファッションを楽しめる人のための美モード (Be Mode)」が、この22〜24日、東京ビッグサイトで開催されたJFW-IFFインターナショナル・ファッション・フェアに出展。ナチュラルライフスタイル・エリアで一際光る存在感を放っていました。
 ファッションは似合わないからダメと思っていた女性も、ここに来ると自分にも着こせそう、と思える服が並んでいたからでしょう。ブースでは足を止めて見る来場者への応対に、担当者が追われている様子でした。
 ビデオも人気で、同ブランドが協力するガモコレ(巣鴨コレクション)の映像を放映したことが効果的だったようです。ファッションを生き生きと楽しむシニア女性たちの姿を、興味深く見つめる人たちが数多く見られました。
 私も、偶然居合わせた知り合いに、これは誰が企画しているのかなどと問われ、このようなファッションイベントへの関心の高まりを改めて感じました。
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 ブース展示は、手前正面にキャシー中島のカラフルな「マカナナキャシー Makana na Cathy」、左手後ろに、新ブランドのアンミカの「アネラリュクス ANELA LUX」、右手にヒロミヨシダの「デイトゥーデイ day to day」の新作コレクションを配して、マネキンを使ってショーイング。いずれもシルエットが美しくエレガントで、着やせして見えそうなものばかりです。
   あらゆる人が笑顔でいられるように、という同ブランドのユニバーサルファッションへの思いが、素直に伝わってくるステキな提案でした。

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2015年7月28日 (火)

2016春夏モード・イン・フランス展 洗練されたリラックス感

Img_20621  ファッション業界では、もう2016年春夏コレクションを発表しています。昨日のこのブログで掲載した「コレクション フランセーズ」展と共同開催していた「モード・イン・フランス」展で、早くも来春夏に向けたプレタポルテコレクションを垣間見ることができました。
 同展は第39回目、フランスの婦人プレタポルテ、レザー、アクセサリー企業が47社56ブランド参加しています。各社の展示から、2016年春夏ファッションをウオッチしてみました。

Img_20652_2  全体に洗練されたリラックス感のあるファッションが中心です。今年浮上したヒッピーやボヘミアンといった70年代調のファッションが、より自由に解放された形で出てきているようです。

 右は、メイド・イン・センスMade in Sensのゆったりとしたコーディネイト。遊び心のあるビジュアル性に富んだコレクションを打ち出しています。チャップリンのモチーフをのせたプリントのシャツは、自由を愛するボヘミアンムードたっぷりです。

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ビタミンカラーのアンサンブル         大胆なアート感覚クリエーション
明るいハッピーなムード               エフォートレスなフォルム
アナンケ/フエゴ Ananke/Fuego                       シャコックChacok

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透ける白のシャツ・ジャケット             プリント表現がクリエイティブ
スポーティでアクティブな女性に           エレガントで自然体な女性に
ロディカ・ザニアンRodika Zanian             ポール・ブリアルPaul Brial

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2015年7月27日 (月)

「コレクション フランセーズ」展 新規ブランドに注目

 第44回「コレクション フランセーズ」展が、22〜24日、ウェスティンホテル東京で開催されました。これはファンシージュエリーを中心に、バッグやスカーフなどモードアクセサリーを手がけるフランスの有力ブランドが集結する展示会です。
 今回は27ブランドが参加し、EPV無形文化財認定企業(4社)や、ラ・フランス・デュ・サヴォワールフェールというメイド・イン・フランスの一定の質的基準を満たす企業(9社)が多数出展、フランスの職人やクリエイターのレベルの高さを披露していました。
 広報担当者によると、日本はファンシージュエリー分野でフランスの輸出相手国第4位だそうです。第一位がスイスというのには驚きましたが、フランスにとって日本は非常に重要な輸出先であることに間違いないようです。
 今回はバカンスの季節と重なったことで、ブランド数が減少したそうですが、日本への関心は高く、とくに新規出展は9ブランドと多いことが注目されます。

 その注目ブランドをいくつかご紹介しましょう。

○オーギュスティーヌ・パリ Augustine Paris
Img_20491  ここはとにかく溜息のでる素晴らしさ! 伝統的なガラスペーストを使い、金属の枠の中に肉厚のガラスをあしらったアクセサリーは、ゴージャスとしか言いようがありません。  
 EPV認定のアクセサリーの工房で、シャネルやルイ・ヴィトン、ディオールなどのコレクションを手がけ、日本でも既に知られる存在です。
 デザイナー、ジョゼット・グリポアは伝統的なガラス職人のノウハウを伝承する4代目で、伝統継承につとめていくといいます。
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○ポアポ poapo
Img_20321jpg  2011年にサンドラ・ルフェーブルにより創設されたブランドで、今回初出展です。
「ポ」はフランス語で「skin 皮」の意味で、革とシルバーコーティングの真鍮を使ったアクセサリーが小粋で女性らしい。
 革は、エルメスの端切れを再利用しているそうです。また着脱はすべてマグネットを使用しているというのも、大人の女性にとってうれしい機能です。

○エリック・エ・リディ Eric et Lydie
Img_20221  自然や地域民族、また様々なアートをヒントにジュエリーをつくっているブランドで、素材もアメジストやヒスイといった天然石が中心です。初出展の今回は、「ミツバチ」テーマのものを多く見せています。
 1995年からオートクチュールやプレタポルテ、また映画のために作品を制作されているとのことで、女性らしく繊細なデザインが好評のようです。

○スリーズ・エ・ルイ Cerise et Louis
Img_20551  初出展のバッグメーカーです。
 革製品なのに、持ってみると軽くてびっくり! これなら使いやすいと思います。カラーも明るいパステルで、ジャカードやプリントの柄もレトロなのにモダンなイメージです。
 フランスのアンジュにある自社アトリエで制作され、100%メイド・イン・フランスを謳っています。
 遊び心のあるカワイイ感じのデザインと使い勝手の良さで、人気を集めそうです。
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○アム・ドゥパリ A.M.de PARIS
Img_20401  パリジェンヌのエスプリを喚起させるストールやスカーフを提案しています。素材は、上質の天然のもので、ベビーアルパカやカシミア、シルク、コットンなど。
 ベビーアルパカのふんわりとしたやさしさ、また和更紗のようなプリント柄のストールに惹かれました。
 ちなみにA.M.は、デザイナーのアニエス・ドゥ・ラ・ムイエールのイニシャルだそうです。

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2015年7月26日 (日)

アール・ヌーヴォーのガラス展 そのリアルさにびっくり!

 今、パナソニック 汐留ニュージアムで開催されている「アール・ヌーヴォーのガラス展」(このブログで予告2015.7.1)を見てきました。ドイツの実業家、ゲルダ・ケプフ夫人が30年以上にわたり蒐集したヨーロッパ屈指のガラスコレクションで、とくにアール・ヌーヴォーの粋を集めた140点が展示されています。

 何度も見ているアール・ヌーヴォーのガラス作品ですが、今回はガラスとは思われないリアルさにびっくり!です。

1_2  とくにポスター掲載のドーム兄弟による花器「ブドウとカタツムリ」は、本物のカタツムリが這っているかのようにリアルです。両側に付いているので、把手のように見えますけれど、あまりにも実物そっくりなので、とてもつかむ気にはなれません。

   植物や魚などの水生動物をモチーフにした作品もたくさん出ています。
4_2  注目は、エミール・ガレでしょう。ガラスであることを忘れさせる絵画的な要素にあふれています。
 花器「カッコウ、まつよいぐさ」は、紫色や黄色のガラス片をはめこんだ「マルケトリー」と呼ばれる技法でつくられているのですね。これは象眼をガラスに応用したものといわれ、ガレはこの技術で特許を取得しています。
 立体感のあるガレ作品に、自然の生命力を感じます。

 また本展では、当時の大潮流であった、ジャポニスムやアジア影響もまざまざと見せつけられました。葛飾北斎の跳ね上がる鯉の図を使ったウジェーヌ・ルソーの「台付蓋付花器」など、興味深い作品を見ることができます。とくに印象に残っているのが、北斎画の布袋様をそのまま描いた作者不詳の花瓶「象の頭の飾付花器」です。ちょっと変な意匠と思いましたけれど、この時代の人々にはさぞかしエキゾティックで驚きに満ちたものだったのでしょう。

 優雅で繊細、ガラスの不思議な魅惑に触れる展覧会。開催は9月6日までです。

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2015年7月25日 (土)

「子育てママのための時間を見直す10か条」テーマに

 授乳服ブランドのモーハウス代表光畑由佳さんから、新生青山ショップ1周年記念イベントが開催されるというので、先日、行ってきました。昨年旧店舗から少し渋谷寄りにショップをオープンされたのですが、あれから早くも1年経ったのですね。(このブログ2014.6.1付け参照)
 イベントは、昨年もここでお会いした家事塾代表の辰巳渚さんの講演会です。

 会場は可愛い赤ちゃんたちがハイハイしていてびっくり! そう、ここはお母さんが生まれたばかりの赤ちゃんと一緒に参加する場でした。私はまったく場違いでしたけれど、子育てしていた頃を思い出しながら、耳を傾けました。
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 テーマは、「子育てママのための時間を見直す10か条」です。「家族と仲良く」の5か条と「自分を知る」の5か条に沿い、辰巳さんが、居並ぶお母さんたちに質問しながら、お話を上手にまとめていかれます。

 「時間に関して困っていることはありませんか?」では、ほとんどのお母さんが「自分の時間がない」と答えていました。伴侶がアメリカ人という方が一人いて、この方を除くと、夫の力はまったく得られないという人が大半でした。イクメンが話題に上ってはいますが、子育てをはじめとする家事については昔も今も変わっていない様子です。
 そんな悩みを辰巳さんは、「今は家族のために時間を充てるとき」と考えてみては、と提案されます。子どもがいて大変なのは当たり前です。だからこそ「赤ちゃんとともに過ごせる時間を幸せと思う」ことが大切といいます。私も今となってはそう思えるのですが、子育てまっただ中では、なかなかそうした心のゆとりがなかったと反省しています。

 また「夫の助けや家族の援助も頼むこと」も大事で、家のお手伝いについては、何と1歳の小さな子どももできるそうです。

 日々の営みの中に幸せがあり、「家事はエンドレスで、家事をしなくなるのは死ぬとき」というお話も、心に沁みました。

 家事・育児に追われる若いお母さんたちの心に、人生を生きる大きなヒントがあったと思います。
 久しぶりに心がなごむ、やさしさいっぱいの講演会でした。

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2015年7月24日 (金)

コットンインコーポレイテッド 2017春夏アクティブウェア

 スポーツへの関心の高まりから、アクティブウェアへの注目が集まっています。アメリカのコットンインコーポレイテッドCOTTON INCORPORATE社では、このアクティブウェアにフォーカスし、早くも2017春夏アクティブウェアのファッショントレンドを発表しています。
 先日、東京・日本橋で行われたプレゼンテーションを簡単にレポートします。

 講師はニューヨーク支部のファッショントレンドアナリストのシャンタル・ヒューズさんです。
Img_17271_2  素材の提案で、オヤッと思ったのが「シャケット shaket」という言葉です。シャツとジャケットからの造語で、シャツともジャケットともつかない中間的なアイテムをこう呼んでいるそうです。
 右上はこのシャケットのサンプルを手に解説するヒューズさん。
 「コーディガン」というカーディガンとコートの中間アイテムが流行っているのも、同じ流れでしょう。従来の服種ではとらえられない、新しい概念が広がっています。
 
 素材傾向として、
⑴裏打ち素材、透けるメッシュやレースにボンディングなど。
⑵光沢素材、濡れたようなコーティングからチラチラする光りまで。
⑶構築的素材、ダブルニットなどのコンパクトでしっかりした感覚。
⑷透ける部分と透けない部分を組み合わせたデザインの重要性。
 などが語られました。

 カラーでは次の3つのレンジが提案されています。
⑴プリミティブなカラーとポップなカラーの組み合わせで、刺激的コントラストを演出するパレット。
⑵明るい穏やかなパレットで、洗練されたスモークグレーやピーチ。メタリックなカラーがアクセント。
⑶モダンなカラーブロック構成を意識させるカラーパレット。

 またライフスタイルトレンドとして次の3つのテーマを挙げています。
⑴モラル・コードmoral code
 テクノロジーの進歩で、人間のモラルが問われる時代性に注目。たとえば人間の体の一部を3Dプリンターでつくる、また人の記憶を操作する、脳の思考をクラウドに永遠に残すなど。
⑵サスペンション suspension
 現実と非現実の中間的世界にフォーカス。建築デザインやアートの世界でも、スローモーションで動きながらストップしたような感覚に耳目が集まっている。
⑶マス・カスタマイゼーション mass customization
 今や誰もがクリエイター。個人の好みやサイズに合うプロダクツがつくれる小規模の企業が増加している。個とファッションの両立へ。
 いずれも現代を読み解く重要なキーワードでは、と思われます。

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2015年7月23日 (木)

色彩と文様展 染織祭衣装にみる昭和初期の職人の技

Img_19981_2  「染織の都」京都では、昭和初期、「染織祭」と呼ばれる女性時代衣装行列が行われていたといいます。この「京都染織祭・復元時代衣装にみる 色彩と文様展」(京都染織文化協会と文化学園大学共催)が、東京・新宿の文化クイントサロンで25日まで開催され、先日見に行ってきました。

  会場では、染織祭で使用された女性装束を復元した時代衣装が、古墳時代から江戸時代まで時代順に、展示されています。衣装を保全している京都染織文化協会によると、143領の全ての修復が完了し、今回その内の34領を厳選して公開しているとのことです。歴史を彩る衣装はいずれも華麗で美しく、中でも江戸時代のものはきらびやかで豪華絢爛です。
 それにしてもかつての未曽有の大戦をよくぞ生き延びたものと、改めて感動させられます。
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 龍谷大学京都産業学センターの北野裕子先生によると、染織祭とは、京都の基幹産業である染織業の振興を図るため、昭和6年に創始されたお祭りだそうです。昭和8年に、8つの時代(上古・奈良・平安・鎌倉・室町・桃山・江戸前・江戸後)の豪華な衣装が完成し、時代衣装行列が加わって、京都の三大祭りといわれる葵祭・祇園祭・時代祭に匹敵する盛大な祭りであったとか。しかし日中戦争の開戦によって昭和13年に行列は中止され、その後は祭祀のみとなって昭和26年まで続いたといいます。

Img_19741jpg  衣装がつくられた昭和初期は、日本の染織技術が最高潮に達した時期で、西陣・友禅・丹後などの職人たちが精緻な技を競い合ったといいます。しかしそれらの技の多くは、今ではもう再現できないそうです。
 江戸時代の京友禅の繊細な文様、その細かな筆さばきや微妙なぼかしの技法、室町時代の精細な絞り染めや、安土桃山時代の金箔の細密な表現---など、当時の匠の技のすばらしさに圧倒されますが、いずれも現代では不可能な技術となっているといいます。
 文様は花や葉など、植物模様が中心ですが、鎌倉時代の小袖にはクモの巣や蛾などをモチーフにしたものも見られ、日本人の自然観察眼の鋭さにも驚嘆させられます。
 色彩はもちろん全てが草木染めです。それがまた何とも色艶やかで、美しく映りました。

   まず圧巻と思ったのが、正面中央に置かれた江戸時代の振袖で、「藤花水車文様」のものです。
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Img_19851_3  淡紅色と淡藍色の曙染めを施し、肩から背にしだれた藤の花、裾には水車が波間に浮かぶように配されています。
 友禅染めの極地ともいうべき精密な職人技に驚かされます。

 

Img_19771  次に安土桃山時代の「垣に桜紫陽花文様小袖」です。これは紋綸子地全体を文様で詰めた衣装で、染織技術の粋を集めた豪奢なものです。
 地文様と上文様を分化したデザインは、何とも斬新で、金箔で表現した細かな筋目模様の繊細さにも魅せられました。 

Img_19441_3  また室町時代の「源氏香図文様小袖」(右)と「肩裾紅葉水玉文様小袖」(左)も印象的でした。源氏香の符号と水滴が飛び散る様が絞り染めで表現されています。今はもう、このような絞り染めは再現不可能だそうです。  

Img_19921jpg  左は古墳時代の衣装、「葦絹鴇色に蔦文様衣」です。
 版木で摺りあげた蔦の葉は、まさに自然そのままの風情を醸し出しています。

 昭和初期の職人の精緻な技にすっかり感銘させられた展覧会でした。

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2015年7月22日 (水)

「和モダン」なプリントのワンピースで夏を楽しく!

 最近、キャリア女性たちの間で、人気を集めているのがプリントのワンピースドレスです。あのヴォーグ誌のカリスマ編集長アナ・ウィンターも、そんなワンピースをかっこよく着こなしています。

Img_17501jpg_2  様々なプリントが出回る中、先日、青衣(あおごろも)というブランドに出会いました。
 東京・表参道のスパイラル「ショーケース」で、ポップアップショップをオープンしていたのです。京都発のプリントテキスタイルのブランドで、「和モダン」な雰囲気がいっぱい!
 モチーフは、富士山や錦鯉、菊の花といった日本人が昔から親しんできた和柄で、それらを抽象的にアレンジし、彩り鮮やかに仕上げています。美しい日本の青を基調に、ちょっとポップな色彩を採り入れたプリントは、北欧のモダン感覚を思わせ、楽しく明るい印象です。

Img_17551  生地はいずれも熟練した京都の職人の手で染め上げられているといいます。素材は、爽やかで心地よいコットン100%です。

 柄を生かしたシンプルなデザインのワンピースドレスは、15,000円くらいから。お揃いの帽子やストール、バッグ、ポーチなど、ファッション小物も多数品揃えされています。なお、このショップは24日までですが、今月末から、新宿伊勢丹5階で再び展開されるとのことです。

 それにしても、どこか昔懐かしいコットンのプリント生地が、こんなにすてきなワンピースになって蘇っているとは! 今、風は「和モダン」なテイストに吹いている。このことは以前から言われていましたけれど、これを目にしてはっきり感じ、うれしくなりました。

 この夏は、「和モダン」なプリントのワンピースを着て、楽しい思い出をつくりたいものですね。

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2015年7月21日 (火)

魔法の美術館 見て触って楽しむ光のアートに笑顔溢れて

Img_18461  夏休みを子どもと楽しむイベントが、日本のあちらこちらで始まっています。さいたまスーパーアリーナで開催されている「魔法の美術館 Art In Wonderland 光と遊ぶ超体感型ミュージアム」もそのひとつです。
 先日、この夜間特別鑑賞会があり、行ってきました。 
 全国巡回展で、これまでにのべ100万人以上を動員したという人気の展覧会です。今回は10組17点の展示で、東京・上野で行われたときと比べると15点が新作だそう。ほとんどが入れ替わっていますね。

 すべてが見て触って楽しめる光のデジタルアートで、こういうのをメディアートともいうようです。美術展というよりはアミューズメントパークにでも来たかのような感じでした。

Img_17741_2  写真撮影もOKですので、子ども連れで行くときっと楽しいでしょう。自分の影が赤く光ったり(右のレイヨグラフィ)、また自分の姿がピクセルの中に取り込まれてしまったり、 Dsc_00431_2 手を動かすとピアノの音が出てきたり(左のサウンドラウンド)-----。次から次へと魔法?と思う不思議な世界が現れます。子どもたちの笑顔や歓声が聞こえてくる気がしました。

 この日は、とくに2組の作家が会場を訪れていて、自作を紹介してくれました。
 その一つが、「スプラッシュ・ディプレー」です。
Img_17801  無数の白い小さなビーズの中を光の輪が動き回っています。この光にスポンジの弾を投げ込むと、空中に彩り豊かな光の粒が舞い上がります。まるで花火でも見ているかのようで楽しい! 本展でこれが一番人気というのもわかります。
 制作者の一人、的場やすしさんは、火薬が爆発する様子を表現したかったとのこと。もちろん手を入れてもまったく安全で、痛くも痒くも何ともないのです。でも「子どもが中に入りたがって、ちょっと困る---」と言っていましたね。
Dsc_00671jpg  
 もう一つは、岡田憲一・冷水久仁江さんの二人組による「トランスフォーム」。
Img_18281  カメラで取り込まれた人の顔が、木箱の中で架空の世界の住人に変身して、空を飛んだり、水中を泳いだり、踊ったりする、楽しさいっぱいの作品です。
 これは子煩悩で知られる人気お笑い芸人、藤本敏史さんが愛娘と一緒に遊べるものをつくりたいと、プロデュースされたものだそう。

 この他、ただの通路のように見える小道ですが、中に入ると色や光が溢れ出す「七色小道」(左)や、白い絵本を持って歩くと、絵本の上に童話やおとぎ話の世界が現れる「がそのもり」(右)などなど。
Dsc_00731 Dsc_00781jpg  大人も子どもも遊んで楽しい展覧会。8月31日までの開催です。

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2015年7月20日 (月)

キリスト品川教会「マタイ受難曲」アリア演奏会に感動! 

 連休の一日、クラシックのコンサートに行ってきました。メンデルスゾーンによるバッハ復活「マタイ受難曲」アリア演奏会です。
 キリスト品川教会の礼拝堂という静謐な場所も、この重厚な宗教曲にぴったりでした。
Img_17561  
 指揮を執られたのは、以前から存じ上げている指導者でもある高畠浩氏。アリア独唱とコラールを中心に、ソロ楽器も入ったオーケストラ・アンサンブルによる演奏は、アマチュアが混在しているとは思われないレベルの高さでした。
 その厳かな美しい調べとともに、田中昇神父によるイエスキリスト受難のドラマが語られ、すっかり引き込まれてしまいました。
 清々しく、心が洗われるようで、久しぶりに大きな感動を覚えたコンサートでした。

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2015年7月19日 (日)

正しい姿勢をサポートするスリッパ

 家ではくスリッパも、姿勢を正しくサポートしてくれるものであったら----。こんな願いをかなえる室内履きが、東京ビッグサイトで開催された第6回デザイン東京展に出品されていました。スリッパの老舗、オクムラが開発した「3Dコンフォートスリッパ」です。
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Img_16131jpg_2  アーチ状の3D成型で、歩く際の重心バランスを保ち、理想的な歩き方といわれる爪先ローリングを可能にする新しいタイプの室内履きといいます。

 試しに履いてみましたら、足の運びが確かに普通のスリッパと違います。これがつま先で蹴って踵で着地するローリング歩行なのかと、体感しました。普段意識しないお尻や太もも、ふくらはぎの筋肉も使うので、引き締め効果もありそうです。
 インソール材は、柔軟性と弾力性があり、衝撃吸収に優れた新開発のEVA樹脂が使用されているとのこと。フィット性にも優れているようです。
 ヒールは3cmくらいの適度な高さがあって、足全体を美しく見せてくれます。パンツの裾を踏むなどという心配もなさそうです。

 こんなこだわりのスリッパで、家でくつろぐときも正しい姿勢を維持したいものと思います。
 今年10月からの販売で、価格は2,000円とのこと。

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2015年7月18日 (土)

前かごもすっぽりかぶれる自転車専用レインポンチョ

 自転車で困るのが雨。前かごに乗せた荷物にカバーをかけるなど、めんどうな雨対策が欠かせません。
12  先般開催のファッション雑貨エキスポで、それでも乗りたい自転車派にうれしいレインウェアを発見しました。収納ケースなどを扱う東洋ケースの「Sunny feels サニーフィールズ」というブランドが出品していた自転車専用レインポンチョです。
 前かごもすっぽりかぶれて、フードに透明ビニールの大きめのつば付き。風を逃す通気口や背中に夜間走行も安心な反射テ―プ、内側にバタ付を軽減するベルトなど、工夫されています。素材は撥水ポリエステルで軽く丈夫そう。
 今秋からの発売で、価格は5,900円とのこと。

 今年6月からの道交法改正で、傘がさせないなど、取り締まりも厳しくなりました。自転車によく乗る私、こんなポンチョ、あったらいいなと思ったことでした。

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2015年7月17日 (金)

透明ビニールの折り畳みショートワイド傘で雨の日も安全に

 透明ビニール傘は前方が見えて明るくて安全でいいのですが---、でも折り畳みのものがないので、持ち運びに不便と、いつも思っていました。

Img_15821jpg  先般8〜10日、東京ビッグサイトで開催されたファッション雑貨EXPOで、初めて透明ビニールの折り畳み傘を見つけ、これは便利と思いました。
 展示していたのは、傘を中心に洋品雑貨を手がけるスギタです。独自開発のショートワイド傘が注目のメーカーで、透明ビニール傘の商品ラインを展開しています。傘の縁や骨部にはカラーが施され、彩りも楽しい傘です。
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 ショートワイド傘は、「短くて広い」というように、折り畳んで短くなるのに、広げると60cmとかなり大きい傘です。開閉も長傘のように簡単で、傘立てに立てられます。長傘と折りたたみ傘の両方のメリットを持つ傘なのです。
 小さくなるといっても、普通の折り畳み傘に比べ長いですが、大きめのバッグやカバンなら入りそう。価格も、税込み1,200円とのことでお手頃です。

 なおもう一つ、この傘で感心したことがありました。それは傘のゴミを減らすのに役立つということです。
 同社パンフレットによれば、傘は毎年1億3千万本も輸入され、この内9千万本がビニールの長傘で残りが生地の傘です。そのほとんどは長傘で廃棄されていきます。しかしこのゴミは分別できないためにリサイクルもされず、ほぼ全てが埋め立てられているといいます。長傘がこれほど廃棄される理由は、その持ち運びのしにくさにあるようです。このことは鉄道の忘れもの第1位が、毎年長傘であることからもわかります。
 そこで傘を持ち運びやすいサイズにし、持ち帰りしたくなる、捨てたくなくなる傘を、つくったのだそう。
 折り畳みビニールのショートワイド傘は、雨の日も明るく安全というだけではなくて、環境にもエコという効用があったのです。

1_3  なお、このメーカーは、水滴を一滴も漏らさないシリコン製の傘カバー、「モラッサンmorrasan」という便利グッズ(右の写真)も開発しています。
 これを使えば、濡れた際もカバンに入るので、濡れた傘が周囲の方々に触れる心配もなく、傘がカバンにしまえれば、スマートフォンなどの操作もできます。現代人には必須アイテムになりそうです。

 これはNHKニュースおはよう日本の「まちかど情報室」(この6月25日放映)でも取り上げられ、今大きな反響を呼んでいるといいます。

 透けるビニールのショートワイド傘といい、このモラッサンといい、今までにありそうでなかったアイディア商品です。これで雨の日の憂鬱が吹き飛ぶといいですね。

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2015年7月16日 (木)

新江ノ島水族館で魚に花々が乱舞する幻想的な海の世界

Img_16881  巨大水槽の前に立つと、魚たちの体に花々が映し出されています。大きなエイに投影された模様はひときわ美しい。サメにも無数のイワシの群れにも、きらめく光とともに花の色が浮かび上がります。彼らが動くと、花はパッと飛び散って消えてしまう、一瞬のデジタルアートです。

 そんな魚たちに花々が乱舞する幻想的な海の世界を現出させているのが、新江ノ島水族館の「ナイトワンダーアクアリウム2015」。同水族館とチームラボのコラボレーションで実現した3Dプロジェクションマッピングです。子どもたちの夏休みが始まる18日から12月25日まで、午後5時から午後8時の間、開催されます。

 昨日、この内覧会があり行ってきました。昨年の「ナイトアクアリウム」(このブログ2014.7.19参照)とは違い、今年は世界で最も注目を浴びているアート集団、チームラボが手掛けるとあって、興味津々でした。

Img_16451jpg_2  まずは「呼応する球体と夜の魚たち」です。 入口から奥に向かって、ゴム風船のような無数の大球が、のしかかるように現れます。これは光の球で、ぶつかったり叩いたりすると、色が変わります。水槽の方も人が近づくと同様に色彩が変化したり、色特有の音色を発したり。

Img_17021jpg  ここをくぐり抜けて地下に下りると、同水族館自慢の相模湾大水槽です。
 テーマは「花と魚 - 相模湾大水槽」で、水槽全体に花を咲かせようというプロジェクトです。周囲も花々におおわれて、花畑のようです。魚たちが横切るたびに、花が投影され、魚が近づくと水槽の周りの花々が散っていきます。暗い海が華やかな光と色で彩られる別世界。泳ぎ回っている魚たちも、何と生き生きと見えることでしょう。
Img_16871   
 魚の動きに応じて、瞬間的に変容し続ける様子に魅了されました。さすが世界のチームラボ、ですね。

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2015年7月15日 (水)

「テキスタイルネット展2016春夏」ジャカードやデニムに注目

 「テキスタイルネット展2016春夏」(アパレルウエブ主催)が、この8〜9日、ラフォーレ原宿で開催されました。織物やニットメーカー、染工場など、32社が参加して、盛況の様子でした。
 コットン素材も、100%のドレスシャツ地から、テキスチャー効果のあるサッカーやストライプ、ギンガムなどのチェック、ジャカード、プリントまで、新鮮味を感じさせるものが随所に見られました。
 中でも注目は、立体的な表面感のジャカードや、デニムです。次の2社のコレクションをご紹介します。

大城戸織布
 兵庫県の播州織産地で、こだわりの布づくりを目指しているユニークな機屋さんです。
 今回もジャカードを駆使し、アート性のあるファンシーなテキスチャーを表現した素材が人目を引いていました。二重織や三重織といったガーゼ調の多重組織で、大胆な凹凸やふくれ効果を見せたり、片面カットして、その間にレザーを挟み込んだり、糸使いも経糸にコットン、緯糸に和紙、ウール使いだったり。様々な工夫が感じられます。
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ダックテキスタイル
Img_15241  広島県福山市を本拠地とするデニムやジーンズテキスタイル専門の生地商社です。
 今シーズンは、ストレッチデニムが人気のようで、写真のシャツに仕立てたコットンデニムは、ポリウレタンの混率がそれほど高くないのに、まるでニットのように伸縮し、びっくりしました。

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 またジャカードデニムで要望が多い、大きいドット柄にも力を入れている様子です。カラーはインディゴブルーが好評ということもあり、インディゴに緯糸ブルーといったベーシックな新色を追加。発注を伸ばしていくとのことでした。

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2015年7月14日 (火)

ロボティクスファッション手がける新世代の感性に衝撃!

 シルバーに光る長いアーム型ロボットを肩にのせているのは、きゅんくん、こと松永夏紀さん。弱冠20歳のロボティクスファッションクリエイターです。
Img_15161_3  
 先般開催されたテキスタイルネット展で、セミナー講師として登壇し、「近未来ウェアラブルテクノロジーとファッション」と題して、ファッションとして身につけるロボットの世界を語られました。
 写真はそのときのものです。ご自身で手がけた「Metcalf」と呼ぶロボットを組み立てて、着装して見せてくれました。

 これはセンサーの働きで、人と機械が交信し、自由自在に手や肘に当たる部分を動かすことができるウェアラブルロボットで、狙い通り、腕が4本あるように見えます。アルミ製で、重さは2.5キロもあるそう。でもきゅんくん、これを楽々と着ていました。

 少女の頃からメカが大好きで、SFアニメに浸っていたという天才美少女、きゅんくん。現在は機械工学を学ぶエンジニアで、ウェアラブルロボットの開発がライフワークといいます。
 ウェアラブルデバイスというと、すぐに思い浮かぶのがアップルウオッチやグーグルグラス----。またヘルスケアなど何らかの機能を有するものを想像します。しかし彼女が目指すのは、役に立つことよりもファッションの観点で、カッコよさや楽しさを実現するロボットなのです。

 何の役にも立たないメカニカルなロボットに、なぜこれほど魅せられるのか。新世代の感性に衝撃!を受けました。

 近未来はロボット社会といわれます。ファッションもこのようなロボティクス時代を迎えることになるのかもしれませんね。

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2015年7月13日 (月)

「動きのカガク展」は「図工室」のような動くアートの作品展

Top_poster  東京・六本木の21_21 デザインサイトで「動きのカガク展」が、9月27日まで開催されています。これはモーション・デザイン、つまり電動モーターなどで動くアートの作品展です。

 ディレクションを手がけたのは、クリエイティブディレクターで映像作家の菱川勢一氏で、以前、このブログ2015.3.15でもご紹介したことがあります。同氏は、先月行われたオープニングトークで、次のように語っています。
 「今、中高で音楽や美術のカリキュラムが減っている。未来のものづくりに注目が集まる中、子どもたちにデザインやアートの楽しみを感じてもらえるような展覧会はできないか、と考えて企画した」と。

 展示室は「図工室」に見立てられています。作品は、普段身近にある材料や道具を、アートに仕立てたものが中心です。動く仕組みや創作の手の内がわかる解説や動画もあり、わかりやすく展示されています。「カガク」とあるので、難しそうと思っていましたが、そんなことは全然なくて、誰もが参加して遊んでみたくなる作品が揃っていました。タッチすると音が出たり、形や色が変わって見えたり----。
 私も様々な動きを体験し、楽しみました。

Img_12921  まず目にするのが、青いゴミ袋を68個使用した『シックスティー・エイト』というインスタレーションです。袋が浮き袋のようにふくらんだりしぼんだり。波がうねっているかのように見えます。これはドイツ人アーティスト、ニルズ・フェルカーの作品で、中に冷却用ファンが組み込まれているといいます。
 菱川氏が、本展で真っ先にオファーしたのが、この作品だったとか。どこにでもありそうな単純な発想が、図画工作という本展のテーマにぴったりと思いました。

Img_1274j1pg  次に興味深かったのが、クワクボリョウタの『ロスト #13』。鉄道模型を思わせる作品です。
 電車が回るたびに、積まれているLEDライトが、レールの周囲に置かれた日用品を、影絵のように浮かび上がらせます。異次元の街を見ているかのようで、印象的でした。

Img_12901jpg  大ホールの展示では、手前に広がる『統治の丘』に注目です。
 佐藤雅彦+桐山孝司のユニット、ユークリッドによる作品で、真ん中のステージに上って指さすと、眼下に林立する円錐が、家来のように一斉にその方向を向きます。私もやってみました。従順に従ってくれるので、まるで領主にでもなったような気分です。天井のセンサーが人の動きを感知しているのですね。
 でもだからといって、両手で指したりすると、パニックを起こして、言うことをきかなくなります。それも楽しい体験でした。

Img_13281jpg  また目を丸くしてじっと見てしまったのが、岸 遼の『アトムズ』。何しろピンポン玉のような球が浮遊しているのです。
 これはベルヌーイの定理を応用した作品だそう。角度を真上から斜めに変えても、球は生き物のように振動しながら空中を動きまわっていました。かなり強い気流が流れているようです。 

Img_13241  さらにスイスのアーティスト、ジモウンの作品『124のdcモーター、コットンボール、53×53×53センチ』も不思議でした。
 段ボール箱を積み上げた塔の中に入ると、壁には振り子のような小さなボールが付いているだけなのに、音が聞こえてくるのですから。
 箱の中に小さなボール付きモーターが内包されていて、これが揺れて音を立てているといいます。

Img_13591  中庭では白いリボンが飛び交っています。これはチームラボの若手、藤元翔平の『動くとのこる。のこると動く』。
 センサーに手をかざすと、リボンが生き物のように反応する、インタラクティブな作品です。 

 この他、佐藤雅彦+ユーフラテスの、虫眼鏡でのぞくと、アニメーションの原理が体感できる「森のゾートロープ』(左)や、沼倉真理の透明なカーテンに円や線が浮き出てくる『レイアー・オブ・エアー』(右)、アトリエオモヤの水の表面張力を利用した『水玉であそぶ』など、オヤッと思うような作品がいっぱい。
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Img_13681_4  最後に、メルセデス・ベンツが1885年に製作したという、世界初のガソリン車『ベンツ・パテント・モトールヴァーゲン(レプリカ)』も展示されていてびっくり。
 こんな風に、人は動くものをつくろうと、夢を抱いてきたのですね。

 さあ、これから子どもたちも夏休みです。ここは、そんな彼らの絶好の遊び場になりそうです。

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2015年7月12日 (日)

サンダルもスニーカー風が人気

 ここ数シーズン、グローバルトレンドとなっているのがスニーカーです。アスレジャーなライフスタイルとともに、おしゃれなスニーカーが増え、トラッドなシューズにも、スニーカーの影響が見られるようになりました。
 とくに今夏はサンダルにスニーカー風のフォルムが、人気を集めているようです。

1  写真は、知人の男性が履いていたスポーツサンダルです。アウトドアスポーツ用品店で購入したそうで、運動靴のように歩けて履き心地がいいのだとか。

 街の中で、また海や山で、活躍しそうですね。

 スニーカー型ですと、一足で多様なオケージョンに対応できます。実は、私も今やすっかりスニーカー派なのです。
 色や柄も豊富ですし、今後どんな斬新なデザインが出てくるのか、楽しみに見ています。

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2015年7月11日 (土)

モーダ・イタリア & シューズ・フロム・イタリー記者発表会

 2016年春夏のイタリアンファッションを発表する第47回モーダ・イタリア展 & 第57回シューズ・フロム・イタリー展が、8〜10日、ウェスティンホテル東京で開催されました。出展したのは159社で、内訳はアパレル57社、レザー43社、シューズ59社です。
 今回はアジア諸国からのバイヤーが、例年になく数多く来場していたようです。日本を拠点にアジア進出をはかろうというイタリアの戦略でしょう。

Img_14891  初日に行われた記者発表会では、冒頭、駐日イタリア大使のドメニコ・ジョルジ氏が、「来年は日伊通商条約締結から150周年の記念年。これを祝し、文化や経済交流を盛り上げていきたい。今回の成果を期待している」と挨拶しました。

 また日本市場について、輸出は、2014年円安などの影響でスローダウンしたといいます。とくに靴が数量で4.9%減、金額ベースでも4.4%減となり、今年も2〜3%程度の減少が見込まれています。しかしミラノの靴の見本市「ミカム」には、日本人バイヤーが1,000人も訪れていて、その数に変化はなく、全体的にはそれほど心配していないと述べられました。
 イタリアは2億足の靴を生産し、その85%が輸出されていて、日本はその輸出先第11位だそうです。ロシア向けは落ち込みましたが、米国向けは好調で、中国もFTA締結で関税が50%以上引き下げられ、期待しているといいます。日本にも同様の関税引き下げが望まれるとのことでした。
Img_15041_2  
 この後、トレンド・プレゼンテーションがあり、モード関連をElementi Modaのクリエイティブ・ディレクター、オルネッラ・ビニャーミ氏が、シューズ関連をWGSNのシニア・コンサルタント、ヴァネッサ・ベッロー氏が解説されました。
 ビニャーミ氏は、着心地のよい服を大前提に、次の9つのストーリーを提案しています。①上質なデイリー(高級感のあるクラシック)、②カルチュラル・フュージョン(エスニック&アルティザン)、③サトル・トレース(繊細さと優美さ、シルキーパステル)、④ブリージー・フレッシュネス(透け感や光沢感、アクアカラー)、⑤ブルー・ワールド(マリーンやデニム調)、⑥白/黒デュアリティ(グラフィカル、ジオメトリック)、⑦クロモ・バリエーション(ビビッド&カラフル)。

 ベッロー氏は、2016年春夏を「Disrupt to Innovate革新へ向かうための破壊」のシーズンと位置づけ、シューズのトレンドを次の4つのテーマで紹介されました。春物として①モニュメンタルMonumental、②グレースフルGraceful、夏物として③サルトリアルSartorial、④ヴィセラルVisceralです。

 暖冬で世界的にブーツの売れ行きが鈍化したり、スニーカーブームでマーケットが侵食されたり----、イタリアのファッション業界もなかなか厳しい状況にあるようです。しかし持ち前の「クオリティ(上質)」、「イノベーション(革新性)」、「クラフツマンシップ(柔軟な職人の技)」を合言葉に、それを乗り越えていこうという、力強い気迫を感じた発表会でした。

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2015年7月10日 (金)

「期待されるアスレジャー市場」

 リラクシングウェアが人気を集める中、「アスレジャー」と「レジャー」を組み合せた造語「アスレジャー」と呼ばれる市場が、期待されています。

 そこで、一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION コットンプロモーション」(2015年夏号)のコラム、マーケティング・アイに、次のような記事を書きましたので、ご紹介します。
 本紙と併せてご覧下さい。
Scan0309
  (画像はクリックで拡大します。)

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2015年7月 9日 (木)

シースルーでカジュアルを女らしく

 今人気のNHKテレビ小説「まれ」の冒頭に出てくる、シースルー。とってもアクティブなのにエレガントで上品です。パティシエを目指すヒロインにぴったりですね。

 今年は、そんなシースルー、透かして見せるファッションが広がっています。シフォンやオーガンジー、レース、カットジャカードといったシースルー(透ける)素材は、元々フォーマルに多く使われてきたものです。それが普段着カジュアルに、どんどん進出し、アクティブスポーツウェアのイメージをも、一新させています。

1  ファッションは昨夏、どちらかというとスポーティでベーシックな感覚が強かったのですが、今シーズンは一転、スカート丈が長くなるなど、女らしい印象へ変化しています。

 写真のように、ショートパンツにシースルーをまとえば、フェミニンに早変わり。

 Tシャツやスウェットなどにレースをあしらうのも、流行っていますね。

 シースルーでいつものカジュアルを女らしく装ってみてはいかがでしょう。ちょっと華やいで気分転換になりそうです。

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2015年7月 8日 (水)

安曇野アートヒルズミュージアム エミール・ガレを訪ねて

Img_14761_3  信州安曇野で、天蚕センター(昨日のブログ参照)見学後、訪ねたのが安曇野アートヒルズミュージアムです。
 ここはガラス工芸の美術館で、アール・ヌーヴォーを代表するガラス工芸家、エミール・ガレのコレクションを常設展示しています。

Img_14751_2  北アルプス常念岳の麓にたたずむ同館は、安曇野の自然とモダンなつくりが溶け込み合う、お洒落なミュージアムでした。
 ガレの工房に刻まれていたという言葉、“Ma Racine est au Fond des Bois”(我が根源は森の奥にあり)が、出発点といいます。
 自然を愛するガレ作品を展示するのに、雰囲気がぴったりマッチしていると思いました。

Scan0308  作品は、アール・ヌーヴォーを中心にアールデコまで、逸品ぞろいです。
 
 植物や鳥、魚など自然のモチーフに見る、美しい色や光にうっとりさせられながら、流麗なサインを見つけては感動したりして----。
 洗練された曲線と絶妙な立体感のアートワークを堪能しました。

 

Img_14791_5  広々としたミュージアムショップがあり、工房では、ガラス制作も体験できます。

 今度はもっとゆっくり来たいですね。

 

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2015年7月 7日 (火)

天蚕センター見学会 太った緑色の幼虫がいた!

Img_14191jpg_2  ガやチョウの幼虫って本当に気持ちが悪い。目にするだけでぞっとします。でも先日、すおうの会の見学会で、安曇野市天蚕センターへ行き、とうとうその虫を見てきました。

 大きくて太った幼虫(4齢期?)は緑色で、木の葉っぱと同じような格好をしています。かたまっているようにも見えます。これだけコロコロ太っていると、怖いというより愛嬌を感じます。
2_3  これが天蚕、ヤママユガの幼虫です。
 日本原産の大型の野生絹糸虫で、クヌギやナラ、カシワなどの葉を食べて、日本全国に棲息しているといいます。葉を2、3枚集めてその間に薄緑色の繭をつくるのですが、太陽光に当たると繭の色が濃い緑色に変わるとか。これも自然の神秘ですね。
Img_14291jpg_2 Img_14521jpg
 かつては天蚕による織物づくりが盛んに行われていたといいますが、今では飼育して織物までつくっているのは、このセンターのある穂高有明地区だけだそうです。

Img_14261  工房では、手織りの実演もしていただき、優美な光沢や透明感、しなやかさにも触れることができました。糸を引っ張ってみて、繊細なのに強く伸縮性があることもわかりました。天蚕とは、テグスの語源でもあったのですね。
 大変希少な繊維で、優れた特徴を持っていることから「糸のダイヤモンド」とも呼ばれているそうです。価格は1キロ70万円から、1グラム約1,000円とのことでした。

Img_14331g  天蚕センター奥には、ビデオコーナーがあり、天蚕を使った大正時代の花嫁衣装や縫い取りの着物、紬の着尺などが展示されていました。

 ショップでは、小物やストールなどが販売されています。

 世界を見渡しても稀有な絹、その伝統を守り続けている天蚕センターは、テキスタイル関係者でなくても、一見の価値あり、と思いました。

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2015年7月 6日 (月)

「フランス絵画の贈り物 とっておいた名画」展にみる文化力

 先日、「フランス絵画の贈り物 とっておいた名画」展(このブログ2015.5.19付けで予告紹介)を見に、泉屋博古館分館に行ってきました。
Img_13991  泉屋は旧財閥住友の屋号で、泉屋博古館は、明治から大正期、第15代住友吉左衛門(春翠)が収集した美術品コレクションの公開を目的に開設された美術館です。本館は京都ですが、分館は東京・六本木の緑多い高台にあります。瀟洒な建物で、以前から訪れたいと思っていました。

 本展は、住友家の麻布別邸で展示されていたという絵画の企画展です。鑑賞しているうちに、タイムスリップして、この洋館に入り込んだような気分になります。その文化力は、さすがにすごいと思いました。

 最初のコーナーは、ジャン=ジャック・エンネルの「赤いマントの女」から始まります。アングルの流れを汲む新古典主義の油彩で、首を長く描いているのが興味深いです。次にジャン=フランソワ・ミレーのスケッチ、それにマルソー将軍の死を題材にしたジャン=ポール・ローランスの歴史画の大作も置かれています。

1   ギャラリー正面は印象派で、その真ん中にクロード・モネの「モンソー公園」(右の絵で、ちらしからとったもの)が架かっています。今回のポスターに掲載されている絵でもあり、てっきり大きいサイズと思っていましたが、実際は意外に小さかったです。全体にそれほど大型のものはなく、洋館を飾るのにふさわしい、小さめの作品が多かったです。
 この絵の中で、ピンクの花をいっぱいに咲かせている木は、マロニエです。光あふれる初夏のパリは、この絵のように美しく、また行ってみたい気持ちにかられます。
 印象派の後は、シニャックらのポスト印象派やマティス、ヴラマンクとぃったフォーヴィスム、ルオー、ドラン、ボナール、さらにピカソやシャガール、ビュッフェまで、19世紀から20世紀前半までのフランス絵画の名品がずらりと並んでいます。

 雨模様の昼下がり、名画を堪能しました。
 なお、開催は8月2日まてです。

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2015年7月 5日 (日)

「旅の風景 安野光雅 ヨーロッパ周遊旅行」展 開催

20150707_poster190x268  東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で、7月7日(火)?8月23日(日)、「旅の風景 安野光雅 ヨーロッパ周遊旅行」展が開催されます。

 本展は、画家、絵本作家、装丁家として幅広く創作活動を続けている安野光雅(1926年~)の風景画展です。風景画は、彼の代表的なテーマのひとつといいます。
 今回はとくにヨーロッパの風景に焦点をあて、鉛筆の柔らかな線に淡い水彩で仕上げられた水彩原画約100点が展示されます。いすれも郷里(島根県津和野)にある安野光雅美術館のコレクションからのものとのこと。

 静かな旅情を湛えた作品を鑑賞しながら、ヨーロッパを旅する気分を味わってみるのも、いいのではないでしょうか。
 公式サイトhttp://www.sjnk-museum.org/program/current/3101.html

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2015年7月 4日 (土)

「原宿から世界を見る〜今後のビジネスの提案〜」

 先月半ば、ファッションビジネス学会東日本支部講演会が杉野学園で開かれました。10619929_400336646825068_1382963589
 講師はハイパーハイパー代表取締役社長、早川千秋氏です。「原宿から世界を見る〜今後のビジネスの提案〜」をテーマに講演されました。
 ハイパーハイパーは、ゴシック・ロリータ系のブランド「プトマヨ」などを手がけるアパレルです。講演会には、このプトマヨのドレスをまとった青文字系雑誌「KERA」の読モ、星名桜子さんも現れました。本当にカワイイ! (写真がなくて残念です)

 東京では最近、ゴスロリ・ファッションをあまり見なくなったと思っていましたが---、世界は実はそうではなくて、SNSなどを通じて、熱狂的なファンが世界中にどんどん広がっているといいます。
 実際、インバウンドの若者たちの急増には驚かされます。「カワイイ」が世界共通語になり、あちらこちらで「これ、カワイイ!」の声が聞かれるようになりました。
 昨年末には原宿観光案内所「もしもし日本」も開設され、同氏も訪日外国人の対応に追われている様子です。

 折しも今、パリでは「ジャパンエキスポ」が開催されています。これはヨーロッパ最大の日本文化とエンターテイメントの祭典で、24万人が集まるといいます。「原宿カワイイ!」も、さぞかし盛り上がっていることでしょう。
 同社は今年も、この時期に合わせて、パリのオペラ座近くに期間限定ショップ「ディスカバリー・ジャパン」をオープンしているそうです。「プトマヨ」とロリータ・ブランドの「アンジェリックプリティ」が共同出店し、ショーやお茶会などのイベントを催して、日本の感性を世界に向けて発信しているといいます。

 今後は、ゴスロリをサブカルチャーに注視するだけではなく、ファッションとして、世界に攻勢をかけていくといいます。このためにメイドインジャパンへの取り組みを強化したり、人気のスイーツなどとコラボレーションしたり。新しいビジネス展開に挑戦していくとのことでした。

 ヤングのメッカ、世界の原宿で、ハイパーハイパーの発信力が注目されています。

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2015年7月 3日 (金)

映画「アドバンスト・スタイル―そのファッションが人生」

11401468_972130969504299_4413629541  この4月公開の表題の映画を、先日ようやく見てきました。ブログAdvanced Styleが話題となり、写真集が出版され、写真展(このブログ2015.2.26)も開催されましたから、既におなじみの方も多いことでしょう。

 映画は、写真家アリ・セス・コーエンが、2008年から4年にわたり、62歳から95歳のニューヨーカー、女性7人に密着取材したドキュメンタリーです。この7人の超個性的なファッションや人生観は、私たち日本人にも、大いに共感させられるものがあると思いました。

 実は、私はこの映画を見る前、「アメリカ人シニアは過剰に派手好き」という偏見を持っていました。今話題のベストセラー本、「フランス人は10着しか服を持たない」を読んで、フランス人のマダム・シックの生き方に共鳴していたからです。といってもこの10着はシャツなどの組み合わせ服で、コートやジャケットやドレスは含まれていません。タイトルが誇張し過ぎで、だまされたといった感じでしたが---。良いものを長く着る精神は、見習いたいものです。
 この映画の中の女性たちも、マダム・シックのように、シャネルのバッグをいつまでも大切に愛用していたり、自分で古着をリメイクしていたりします。7人それぞれがその人らしい、独創的な装いを楽しんでいるのです。
 80歳になるジョイス・カルパティの気品のある着こなしにも魅せられます。「若く見えることよりは魅力的に見えたいの」という彼女の言葉が、心に響きました。 
 また赤く染めた自分の髪の毛を切って、つけまつげをつくってしまう、93歳のイロナ・ロイス・スミスキンにもびっくり!です。彼女は、「今のファッションは何でもアリ。昔は固定観念があって、何がエレガントか、何が下品か明確だった。でもこの歳になると本人がよければいいと思う。おしゃれは自分のためだもの」と語っています。これはまさに名言です。着ることは生きることそのものなのですから。こんなふうにいつまでも自由でありたいものですね。
 カメラは、さらに最高齢95歳のゼルダ・カプランを追いかけます。アフリカで見つけたという布で仕立てた服を誇らしげに着ていましたが、ファッションショーを見ている最中に帰らぬ人となってしまいます。ドラマティックな最期でした。
 死と隣り合わせであればこそ、彼女たちにとって、おしゃれが生きるエネルギー源になっていることがわかります。

 とてもあんな風には装えませんけれど、刺激的でした。見終わって、元気をもらった感じがしました。館内には、お年寄りに交じって若い女性や、また男性の姿もちらほら。きっと同じ感想を持たれたのではないでしょうか。久しぶりにいい気分で映画館を後にしました。

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2015年7月 2日 (木)

太田伸之氏 特別講演会「海外市場を狙う」

  先月初め、ファッションビジネス学会総会で、特別講演会が開催されました。Img_09861jpg_3 講師として登壇されたのは、海外需要開拓支援機構(クールジャパン支援機構)代表取締役社長の太田伸之氏です。「海外市場を狙う~日本のアパレル・テキスタイルをどう売り込むか」をテーマに、海外市場進出への基本的な考え方や方法を解説されました。

 同機構の社長就任以来、早くも1年半が経過したという同氏。日本の商品を海外展開するためのプラットフォームづくりに奔走されている様子です。
 現在12件の案件を抱えているとのことですが、ファッション・ライフスタイル系はわずか2件。それも百貨店関係であり、アパレルやテキスタイル関連はゼロだそうです。
 なぜファッション業界はこうも後ろ向きなのか。近隣諸国には急成長しているマーケットが存在し、しかもネット社会となった今、できることはたくさんあるはずです。今こそやり方を変えていくべき、と次のように提言されました。

 まず、世界で高く評価されている日本素材を、国内アパレルも、もっと使用すべきといいます。実際、パリコレ終了後、多くの有力ブランドの担当者が素材探しに来日しているそうです。セリーヌでは素材の7割が日本製と聞いてびっくり。高密度ポリエステル、プリント技術、デニムは、とくに好評だそう。韓国や中国でも、日本の素材を起用するブランドが目立っているといいます。
 次に世界のファッションビジネスが、プレシーズンのコレクションを中心に動いていることに触れ、この対応が急務と強調。プレ・コレクションの割合は、今や7割になっていて、秋物は5月、春物は11月のデリバリーが世界の趨勢なのだそう。しかもベーシック調ではアウトで、斬新な商品提案が求められているといいます。世界に打って出るには、展示会も納品もすべて前倒しで行わなければなりません。その覚悟が必要ということです。
 さらに卸売型から小売型へ、ビジネスモデルの転換を進言。内外価格差を意識してマージンをのせた小売りビジネスを行うか、あるいは現地パートナーと組んでフランチャイズ契約するか、どちらかにすべきとアドバイス。これについてはイッセイミヤケでの自らの体験をもとに語られました。卸売をやめたことでFOBを下げずにすんだといいます。
 最後に「おまけしない日本」になることを勧告。海外の小売店やエージェントが大きく儲けるビジネスはクールではないと断言します。
 私も日本企業が相手国エージェントの値引き交渉に応じて出荷価格を下げるのを何度も目にしてきました。でもそうしたとしても、小売価格が下がることはありませんでした。
 値引きすると、商品の価値は下がります。だから同氏が力説されるように、価値ある商品をワケあって高い、と堂々と売ることが重要なのですね。

 さすがの卓見に、ビジネスにうとい私としては目からウロコ。多くの学びをいただいたすばらしい講演でした。

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2015年7月 1日 (水)

「アール・ヌーヴォーのガラス展」開催               ~デュッセルドルフ美術館 ゲルダ・ケプフコレクション~

 「パナソニック 汐留ニュージアム」で、7月4日(土)~9月6日(日)、「アール・ヌーヴォーのガラス展」が開催されます。
1  これはヨーロッパ随一のガラスコレクションで知られるドイツのデュッセルドルフ美術館に寄贈されたゲルダ・ケプフ夫人のガラスコレクションです。

 実業家ケプフ夫人は、自身ガラスの技法を学び、その可能性を理解し、優れた審美眼で、第一級のコレクションを築いたといわれています。

 私もエミール・ガレやドーム兄弟の作品など、その美しい色や優美な形に魅せられて、これまでにも何度も見てきました。でもこれだけの大きなまとまった形で、アール・ヌーヴォーのガラス工芸を鑑賞できる機会は、ないように思います。
 これはどうしても見逃せない展覧会になりそうです。

 公式サイト:http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/15/150704/index.html

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