成長するアスレジャー市場をコットンで差別化
今、米国でアスレジャー市場が伸びています。出回っている商品の約3分の2は、合繊なのですが、アンケートによれば10人中8人がコットンのものがあれば、それを選ぶと回答しているといいます。
成長するアスレジャー市場をコットンで差別化してみては、と提案するのは、米国コットンインコーポレイテッド社のマネージャーでマーケット・アナリシス、CSPMのジャスティン・コーテス氏です。先月中旬に来日され、東京・北青山で、「最新マーケットリサーチ情報」をテーマに講演されました。これはそのときの、締めの言葉です。
「アスレジャー(athleisure)」とは、運動競技のアスレティック(athleitics)と余暇のレジャー(leisure)を組み合せた英語の造語です。米国でアスレティック・スポーツウェアを、普段着として仕事場でも着用する人が増える現象が目立つようになり、この市場をアスレジャーと呼ぶようになったといいます。
同氏によると、世界のアスレジャー市場は現在1,450億ドルですが、2020年には2,000億ドルに達するとのことです。実際、10人中9人が、運動していないときでも、普通にアスレティックウェアを着ているといいます。ヨガやジョギングなど、トレーニングに着用する服で、街着にしてもおかしくないものが増えてきているのですから、当然といえば当然の成り行きでしょう。「Y3」に始まるスポーツメーカーと有力デザイナーとのコラボも、今や真っ盛りの様相です。最近では「NikeLab x sacai ウィメンズスポーツウェアコレクション」が話題になっていますし、TOPSHOP×ビヨンセの新会社がこの秋に設立されるとのニュースもあります。リラクシングウェア市場も、近年とみにファッション性の高いブランドが増えてきました。
ファブリックの方も、心拍数が測れるなど健康状態をモニターするスマートファブリックが登場しています。しかしその多くは合繊です。同氏は、この分野でとくにコットンのパフォーマンス性が求められていると強調します。消臭や体温調節、撥水など、コットンの様々な高機能素材が開発されていますし、コットンで違いを際立たせることがさらなるポイントになることは間違いないでしょう。
日本は今後、アパレル支出が5%以上、下落するとみられています。しかしこの中で、逆に4%以上伸びると予測されているのがアスレジャー市場です。高齢社会で、健康志向がとりわけ強く、2020年には五輪もある日本です、これを背景に、このマーケットは格段に大きくなるでしょう。
これまでカジュアルウェアやストリートウェア市場をリードしてきたコットンですが、これからはアスレジャー市場にシフトしていくことが重要になりそうです。そんなことを印象づけられたセミナーでした。
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