PVメゾン・デクセプション 日本の匠の技を現代に生かす
小規模でも類まれなクラフツマンシップを発揮するアトリエで構成される、プルミエール・ヴィジョン(PV)パリの「メゾン・デクセプションMaison d'Exception」。この職人工房エリアも、今年で4回目です。毎回出展している工房も、ビジネス創出に積極的に取り組んでいる、そんな様子を強く感じました。
日本の工房も、着物の世界で培った伝統の技を、広幅にして、現代に生かすことに挑戦しています。そのモダンな柄行きやトレンドを意識した表面感など、優れた品質に高い評価が集まっていました。
○奥順(茨城県結城市)
本場結城紬の老舗が見せたのは、すべて手つむぎ、手織りによる広幅の織物です。
ハイエンドな欧州市場を意識した品揃えになっていました。とくにシックなスーツ地が人気といいます。
○廣瀬染工場(東京都新宿区)
武士の裃がルーツという江戸小紋を、昨年PVの舞台で発表し、今年で2年目となります。
今回も小紋染めを実演され、伝統の技法をアピールされていました。とはいえデザインは従来にない大胆な「和モダン」です。大きな水玉の中に繊細な鮫小紋をはめ込んだり、動きのある波打つグラフィックにしたり。写真は、そんな新作に挑む、同社常務取締役の福本芳栄さんです。
○民谷螺鈿(京都府京丹後市)
螺鈿織とは、貝殻を織り込む装飾技法による織物です。貝殻の内側にある真珠層を細く削り、それを和紙に貼りつけ、糸状にカットしたものを横糸にして柄を織り出すという、まさに工芸品。貝の虹色が神秘的な光沢を放ちます。
今回は、この光を、今風の幾何学柄で表現していました。
実物の貝も展示し、その大きさにびっくり。パウアシェルというニュージーランドのあわびだそうです。
○西山産業開発(石川県白山市)
牛首紬とは、玉繭(2匹以上の蚕が合体した繭)から、伝承の「手挽き糸」技法によりつくられる紬です。この伝統を継承する同社も、現代のライフスタイルに合わせた新商品を次々に発表しています。
今回は美しい色揃えが目を惹いていましたが、売れ筋はというと、やはり紺やベージュなどのニュートラルカラーが中心とのこと。中でも玉繭らしいスラブを生かした表面感の、しっかりした横張りのスーツ地が好評といいます。
○遊絲舎(京都府京丹後市)
古代から続く藤蔓の織物を、現代に甦らせている藤布メーカーです。
代表の小石原将夫氏が、途方もない時間をかけて制作されたという帯地を広げて見せてくださいました。その野趣のある味わいは、洗練された趣で、何とも風雅です。
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