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2015年1月13日 (火)

全国アパレルものづくりサミット 国産の誇りを未来へ

 第2回全国アパレルものづくりサミットが、昨年12月13日、「日本発ものづくり提言プロジェクト」実行委員会の主催により、東京・渋谷区の文化学園で開催されました。
 “未来を担う世代への技術の継承がなければ、MADE IN JAPANの魂は失われてしまう”の悲痛な声が聞こえてきます。“持続可能な国内アパレル製造業のあり方とはどうあるべきなのか”、その現状と課題を見つめ直そうと、業界関係者や学生など約400人もの人々が参加しました。
 前回にも増して白熱した今回のサミット、遅ればせながら、その模様をまとめてみました。

Cimg96271jpg  第一部の基調講演では、当委員会発起人の一人で、「メーカーズシャツ鎌倉」会長の貞末良雄氏が、「MADE IN JAPANの現状と希望」をテーマに登壇。世界に打って出られたご自身の体験を基に、これからの日本のものづくりは前途洋洋と語られました。

 ご講演はまず、あの3.11東日本大震災での困難から始まりました。福島県白河市内にある縫製工場でつくられる同社のシャツは、風評被害もあって生産量が半減。しかし福島の技術は欠かせないと、工賃を上乗せして窮地を乗り切られます。同氏はこれを「MADE IN JAPANならぬMADE IN FUKUSHIMAの挑戦」だったといいます。福島で生産されたシャツに「東北からありがとう」の下げ札をつけて、感謝の気持ちを記していらっしゃいます。
 そんな貞末氏とはどのような人物なのでしょう。かつてアイビールックでならした石津謙介氏の門下生だった同氏は、1968年にヴァンジャケットに入社します。その後紆余曲折を経て、1993年に鎌倉を本拠地にアパレルメーカー「メーカーズシャツ鎌倉」を設立。国内で品質を落とさずに5,000円以下でシャツをつくるために、中間マージンを徹底的にカットする一方、売場づくりにも注力。全国22店舗を展開する中で、2012年、ニューヨークの目抜き通り、マディソン街に初進出します。
 当地では、シャツといえば通常200ドルですが、それを79ドルで販売。欧米のドレスシャツでは当たり前のポケットなしのデザインで、やや大きめのサイズを増やし、それまで中国製に甘んじてきた米国人の心をつかむことに成功します。
 何故ニューヨークに出店したのかというと、激戦区で目利きが多く、ここで上手くいけば、日本のものづくりの良さを世界に証明できると考えたからだそうです。
 その成功の秘密は次の3点にあるようです。
 一つは、ロジスティックスの問題で、月に2回のデリバリーを欠かさずに、常に新品を仕入れることが大事。このためには日本でつくるしかないといいます。アジア生産ではたとえ価格が安くても間に合いません。
 二つ目は、日本製であれば誰も真似できないということ。日本でつくって売ることは、どこの国もできません。ごく当たり前の利点です。
 三つ目は、「Made in Japan」が、繊維以外の他産業で冠たるブランドとして認知されていること。だからメンズシャツも必ず評価されると信じたといいます。

 次に同氏は、以前ご苦労された経験から、業界の現状を批判。アパレルも百貨店をはじめとする小売業も、リスクをとらない今の企業体質では回転率も消化率も上がらず、いずれ消滅すると断言します。 
 また経産省の統計から、繊維製品の国内シェアが今や3.2%、ニット製品は0.8%と、まさに風前の灯になっている事実を踏まえ、「原価の低いところを求めて歩くことに未来はあるのか」ときっぱり。結果としてファストファッションに市場を奪われたと、数字とともに実例を挙げながら、厳しい見解を述べられました。

 さらにネットショッピングの台頭にも触れ、世界マーケットが変化する潮目のときと認識した上で、米国でのアンチ・アウトレットや体験型売場への動き、Made in USAの見直し現象など、様々なメガトレンドから、日本でのものづくりや流通のあり方を変えていくことが重要と強調。
 今後は、世界クラスのスタンダード品を地道に提供する仕組みをつくっていくことこそポイントと、エールを送られました。

 最後に、「Made in Japan」の誇りを未来に、明るい見通しを語って、講演を締めくくられました。

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