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2015年1月12日 (月)

ホイッスラー展 究極の美を求めて-ジャポニスムの巨匠

Cimg99061_2  今、横浜美術館で開催されている「ホイッスラー展 究極の美を求めて-ジャポニスムの巨匠」を見てきました。日本では27年ぶりという大回顧展です。

 ジャポニスムとは、19世紀後半にヨーロッパで起こった日本趣味のことで、服飾の分野でも日本の着物や文様が、西欧のコスチュームデザインに重要な変化をもたらしました。この影響を、モードの視点から検証した「モードのジャポニスム」展が、1994年、京都服飾文化財団主催により行われ、世界にセンセーションを巻き起こしたことは記憶に新しいところです。そしてこの展覧会でしばしば引用された画家が、ホイッスラーでした。私もこの頃からホイッスラー作品に注目するようになりました。とはいえ実際、どのような画家であったのか、その全貌をまとめて観たのは、今回が初めてです。

 一人の画家の個展というと、年譜を追うことが多いものですが、本展では「人物画」、「風景画」、「ジャポニスム」の3章構成で、約130点の作品が展示されています。ここで私がもっとも興味が持ったのは、やはり第3章の「ジャポニスム」でした。
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 とくに目を惹かれたのは、ちらしにも掲載されている「白のシンフォニーNo2とNo3」の2枚の絵です。
51sa81ax7l  モデルはいずれも恋人のジョーといいます。No2(写真右)は、鏡に映る彼女の顔が別人のようだ、と批判されたりもしたそうですが、そういうところもまたこの画家の魅力になっているようです。
 No3(写真上)も、遠近法にとらわれない浮世絵の美意識を感じさせます。絵の中にタイトルが書き込まれているのも、斬新な試みと思われます。描かれている団扇や陶器など、東洋風のオブジェはすべて画家の所持品だそうで、ホイッスラーはその偉大なコレクターでもあったのですね。

B0044404_154222241  風景画で印象的だったのは、夜景を描いた「ノクターン」シリーズです。中でも「ノクターン:青と金色─オールド・バターシー・ブリッジ」(写真左)は、その横に歌川広重の「名所江戸百景(京橋竹がし)」の絵も架かっていて、比較対照しながら鑑賞できてよかったです。巨大な橋桁の下に船頭さんのような人が小舟の上に立っていて、これは確かに広重に似た構図! 抑えた色彩のグラデーションで、花火がうっすらとが描かれているのも、小粋な感じです。

 「シンフォニー」と「ノクターン」、それに人物画にみられる「アレンジメント」など、作品名に音楽用語が頻繁に使われているのも、この画家の特徴といいます。これには幼い頃からピアノに親しんだこともあるようですが、写実主義から唯美主義へ傾倒していく中で、次第に絵を音楽としてとらえるようになり、色と形が奏でる調和をジャポニスムに見出していくのです。ジャポニスムはホイッスラー絵画の究極の美の完成形であり、革新的画家といわれた所以でもあったのですね。

 それにもう一つ、ジャポニスムでおもしろかったのが絵のサインです。自分のイニシャルであるJとWを、日本の家紋のイメージで、蝶をモチーフにデザインしているのです。どこにこの蝶があるかを探すのも楽しかったです。蝶が衰弱する妻を静かに見守るかのように飛ぶ場面を描いた版画もあり、ホイッスラーの優しさがにじみ出ているようでした。また絵から飛び出して額縁に入っている蝶のマークもたくさん見られました。ホイッスラーは絵だけではなく額縁もデザインし、また置かれる場所にもこだわったといいます。
 当時、異色の画家であったことがうかがえます。

 終盤のキーフレーズ、「音楽が音の詩であるように、絵画は視覚の詩である。そして主題は音や色彩のハーモニーとは何のかかわり合いもないのである」が心に響きました。

 3月1日まての開催です。

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