« パスキン展  生誕130年 エコール・ド・パリの貴公子 | トップページ | 変容するファッションビジネス-小売に革命が起きている »

2015年1月23日 (金)

「社会学から見た最新のNYファッション」

 ニューヨーク (NY)は世界のファッションセンターの中枢です。この情報抜きにファッションは語れません。昨年末、このニューヨークのファッションやファッションビジネスの新動向を語る国際シンポジウム、題して「新時代のファッションビジネスを語る」が、東京・明治大学商学部創設110周年特別企画として開催され、ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)の川村由仁夜准教授が登壇、「社会学から見た最新のNYファッション」をテーマに講演されました。

 同准教授は、この中で、今やファッションシステムそのものが変化しているといいます。プロが服をつくり、ショーをして、お店で販売する従来の形式が大切なものではなくなっているというのです。そしてこの大きな要因がソーシャルメディアの発達であると断言します。

 ところでファッションのトリクルダウン理論は、機能しているのでしょうか。米国ではファーストレディがトレンドリーダーになることが、これまでにも度々起きています。現在はミッシェル・オバマ大統領夫人ということになりますが、彼女はあまり名前を知られていないマイナーなデザイナーやアジア系のデザイナーブランドを積極的に着用しているようです。たとえば台湾系のジェイソン・ウーや、キューバ系のナルシソ・ロドリゲスなどですが、今では彼らはNYコレクションのスター的存在に成長しています。トリクルダウンも従来とは違う方向に動いているのですね。
 そしてこれと軌を一にするように、ファッションショー離れも見られるようになっています。これには費用対効果もあるでしょうが、それ以上に2010年頃から始まったブログの一般化や、ユーチューブ、ツィッターなどの影響が大きいといいます。
 こうしたソーシャルメディアを最大限に活用したファッションブロガーの成功例も次々に出ていて、たとえばエミリー・シューマンのCupcakes & Cashmereは、毎日16万人ものビジターがいるそうですし、またソフィア・アモルソのNasty Galは、今では年商2,500万ドルにも上るとか。

 やる気とインターネットがあれば、ファッションの発信が必ずしもプロでなくてもできる、そんなファッションの時代が来ています。
 同准教授の著書「スニーカー文化論」にもあるように、世は挙げてスニーカーブームですが、これも自分が身に着けたいと思うものの価値は、わかる人が見て共有してくれればそれでいい、という価値観のあらわれです。ハイファッションとポピュラーファッションの境目がなくなり、ファッションの仕組みが変わっていくことは当然の流れでしょう。

 最後は米国での人種への偏見とファッションの問題提起で締めくくられました。今のNYファッションを社会学的立場で分析された、なかなか深い、考えさせられるご講演でした。

|

« パスキン展  生誕130年 エコール・ド・パリの貴公子 | トップページ | 変容するファッションビジネス-小売に革命が起きている »

ファッションビジネス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/588192/61025069

この記事へのトラックバック一覧です: 「社会学から見た最新のNYファッション」:

« パスキン展  生誕130年 エコール・ド・パリの貴公子 | トップページ | 変容するファッションビジネス-小売に革命が起きている »