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2014年12月 4日 (木)

「フェルディナント・ホドラー展」脈動する生命のリズム

22cf151f814b1cd092ca39987368b87f  前から見たいと思っていた「フェルディナント・ホドラー展」が、上野の国立西洋美術館に来ています。日本では40年ぶりの開催で、日本・スイス国交樹立150周年記念展だそうです。先日ようやく機会を見つけて、行ってきました。

 ホドラーは19世紀末から20世紀初頭のスイスを代表する画家です。といっても日本ではあまり知られていませんが、スイスでは、彼の傑作「木を伐る人」(日本では倉敷の大原美術館にほぼ同じような絵が所蔵されているそうです)が、紙幣にデザインされるなど、国民画家として絶大な人気があります。最近、パリのオルセー美術館などでも見直しの機運が盛り上がっていると聞きました。

 このホドラー回顧展を振り返ってみましょう。

 1853年にベルンに生まれたホドラーには、死が常につきまといます。両親が早世し、絵を描くのが好きだった少年は、画家を志してジュネーヴまで160キロもの道のりを徒歩で旅したといいます。初期の風景画は暗く、辛い思いにあふれているようです。

Hodler03  ジュネーヴにやって来た彼は、人物画を描き始めます。目には見えない人間の心や内面に興味を持ち、それを作品で表現するようになります。

 写真はちらし掲載の「傷ついた若者」(1886年)です。それまでの自然主義から象徴主義への目覚めの時期でした。

Images  人間の心理描写に向かったホドラーは、しかし暗鬱の世界にこもるのではなく、「生」の力強さを描くようになります。
 注目したのは、脈動する生命のリズムです。似た形の繰り返しや繰り返しを少しずらすことによって生まれるリズムで身体を表現し、心の動きを伝えようとしたのです。

 写真はちらしやポスターに掲載されている「感情Ⅲ」(1905年)で、ポピーの花園に舞う、4人の類似する女性像です。

 本展最大の見せ場は、やはり雄大なアルプスの風景画でしょう。Photo_3
 人物画同様、自然現象に潜む内的現象への関心から、風景も写実的ではなく抽象化されて描かれ、雲もリズムに乗って、ファンタジックです。

 ホドラーにとって、スイスの自然は想像力の塊であったようです。

 写真はちらし掲載の「トゥーン湖とニーセン山」(1910年)。調和のとれた美しいハーモニーに、心が洗われるような気がしてきます。

 なお表紙を飾る岩肌のごつごつした山は、「ミューレンから見たユングフラウ山」(1911年)であることも付け加えておきましょう。

 最晩年は最愛の女性に先立たれ、レマン湖の畔で、モンブランを眺めながら一人暮らしたといいます。その女性の死体を描いた装飾画や、風景画がまたすばらしくて、目に焼き付いています。

 展覧会開催は1月12日まで。

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