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2014年11月12日 (水)

「ボストン美術館ミレー展」傑作の数々と画家の真実

Cd68d9d05c12b8d6904effa231b7f40b  東京・丸の内の三菱一号館美術館で開催中の「ボストン美術館ミレー展」で、先月半ばに行われた内覧会に行ってきました。

 まず同美術館館長の高橋氏から、趣旨説明がありました。
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 お話によると、今年はジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875)生誕200年記念の年で、先頃南仏を旅してミレー作品に出会い、必ずしもオールドマスターとは言えない当時としてはモダンな才能の持ち主であったことを発見、正直これはいいと思われ、企画を思い立たれたそう。またミレーというと清貧なイメージがありますが、実は豪農の家に生まれ育ち、農民を描いたけれど本業は画家であって、農民画家ではなかったともいいます。さらにまた、ミレーを高く評価してきたのは、アメリカ人と日本人であったと伺い、なるほどと思いました。パリの美術館では、確かに館長がおっしゃる通り、ミレーの扱いは他の画家に比べ低い気がしていましたから。

 このミレー作品をもっとも豊富にコレクションしているのが、ボストン美術館で、170点所蔵しているそうです。本展では、この美術館からミレーと彼が移り住んだバルビゾン村を中心に活躍したバルビゾン派の絵画64点、うちミレー25点が展示されています。

 学芸員の安井氏により、これら選りすぐりの名画を解説していただきました。(写真はクリックで拡大します。撮影は許可を得て撮らせていただきました。)

Cimg86051jpg_2  注目はやはり、30年ぶりに東京に来たという、チラシにも使われている「種まく人」(1850年)です。筋肉質の堂々とした若い農夫の姿を、あえて影のようなシルエットで描くことで、個性や表情を浮かび上がらせています。太い腕から蒔かれる種は、よく「麦」といわれますが、同氏はやせた土地で栽培しやすい蕎麦ではないか、とおっしゃっていました。 

Cimg86031  次に「刈り入れ人たちの休息(.ルツとボアズ)」(1850-53年)です。旧約聖書の物語をテーマに、ラテン語にも堪能だったミレーの、アカデミックな素養にあふれた作品といいます。17世紀フランドル絵画に見るような奥行のある画風です。

Cimg86121jpg  「羊飼いの娘」(1870-73年頃)。妻の療養で出会った娘の姿を捉えた作品。陽光に照らされた背後の平原はフォンテーヌブローの森の隣のシャイイと言われているそう、昔行ったことがあり懐かしい気持ちになりました。

Cimg86171jpg  「編み物のお稽古」(1860年頃)という2つの作品。
 ミレーはしばしば妻と娘たちをモデルにしたそうです。これもそんな日常の光景を絵にしたもので、妻の方は襟元にスカーフが巻かれています。

Cimg86251  「糸紡ぎ、立像」(1850-55年頃)。ミレーの幼いころの記憶は糸を紡ぐ女性たちの声であったとか。糸紡ぎの複雑な工程を示した興味深い絵です。

 ミレーは、スケッチはしましたが、キャンバスを外に持ち出すことはなかったそうです。すべて目に焼き付けた景色であり、回想であったといいます。そこが外光に照らされた風景を切り取って絵にした印象派との大きな違いでもあるようです。
 それにしても、19世紀という時代に、働く人に、これほどまでに焦点を当てた画家もいなかったでしょう。そこが当時の質実を重んじたアメリカ人に、新鮮に思えたのかもしれません。 
 「種まく人」は、美術史上初めて「農村での労働」をテーマにした傑作です。これを見るだけでも価値ある展覧会と思います。もちろんミレー以外にコローなど、見ごたえのある名画が揃っていることはいうまでもありません。

 会期は来年1月12日まで。どうぞお見逃しなく。

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