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2014年11月26日 (水)

「ジョルジョ・デ・キリコ 変遷と回帰」展

Cimg88911jpg  あのシュールレアリスムの巨匠、サルバドール・ダリも影響されたという20世紀を代表する画家、ジョルジョ・デ・キリコの「ジョルジョ・デ・キリコ 変遷と回帰」展が、12月26日まで、パナソニック汐留ミュージアムで開催されています。このブログ10月14日付けでもお知らせしました。

 今月初め、この内覧会に参加する機会があり、ジョルジョ・デ・キリコ(1888- 1978)の初期から最晩年までの画業をたどってきました。

 イタリア人の両親の元、ギリシャで生まれたデ・キリコは、前衛芸術が盛んだったミュンヘンで青年期を過ごします。1911年、パリに出て、ドイツロマン主義や神秘主義、ニーチェ哲学などの影響を受けた絵画を発表し、センセーションを巻き起こします。それは写実的でありながら、現実離れした神秘的な作品で、彼はこれを「形而上絵画」と呼びます。形を超えた抽象的なもの、背後にある真の本質を直観で描くスタイルで、当時の画壇にその名を知らしめます。
M_s500_e8ac8ee38281e38184e3819fe686  右写真のちらしにも掲載されている「謎めいた憂愁」(1919)はその代表作です。遠近法なのにゆがんだ、複雑な空間構成で、日常を取り巻くものからズレた感覚が、不安をよび起こします。タイトルの通り、謎めいた絵です。

 しかし第一次世界大戦後、一転、様式を変えてしまいます。ローマのボルゲーゼ美術館で見たティッツィアーノらの古典絵画の技法に打ちのめされたからと言われているそうですが、伝統的古典主義を極める新しい創作を続けます。馬のモチーフがよく出てきますが、人間の感情を持っているように描かれていて、だまし絵風のものも多く、古典主義を自分のものにしようと闘う画家だったことがわかります。

Dekiriko_20140702  その後、晩年には再び1910年代の作風に回帰し、新形而上絵画に取り組むようになります。左のポスターに使われている「古代的な純愛の詩」はその頃の作品です。この絵には1942年と書かれているのに、実際は1970年頃に制作されたというのもミステリアスです。
 最晩年の「燃えつきた太陽のあるイタリア広場」は、つながった“影”が不可思議ですし、ギリシャ神殿をコラージュした馬の頭部「神秘的な動物の頭部」も興味深くて、ジュゼッペ・アルチンボルドの絵を思わせます。

 東京では約10年ぶりの回顧展で、未亡人の旧蔵品を中心にパリ市立近代美術館から104点もの名画が来ています。ちょっと幻想的な絵画で、空想の世界に浸ってみてはいかがでしょう。

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