PVでイエール最優秀賞の松重健太コレクション展
パリのテキスタイル見本市、プルミエールヴィジョン(PV)で、このブログの5月3日付けでご紹介した、第29回イエール国際モード&写真フェスティバルのレディス部門でPV最優秀賞を受賞した新星、松重健太さんのコレクションが展示され、17日夕、PVプレスルームで交流パーティが開かれました。
松重さんはスラリとした長身の謙虚なイケメンです。お話によると、コレクションのコンセプトは、日本の「鄙美(ヒナビ)」といいます。これはきらびやかな「雅(ミヤビ)」に対する言葉で、「侘び寂び」に通じる自然を愛でる美意識です。ウールメルトンとコットンポプリンの自然素材を使い、カラーは陽光や水に晒されたような白っぽいニュートラルで統一されています。
シルエットは、シンプルかつ構築的です。緻密に計算された幾何学的で非対称なカットは、きっちりとモダンで美しい。クチュールで培った立体裁断の技と、細部にまでこだわった仕上げのテクニックは、完成度が高く、さすがイエールの審査員たちは見る目が高い、と感動しました。
デザインのインスピレーション源を問うと、即座に「直島」と答え、安藤忠雄の建築で有名な地中美術館や、ウォルター・デ・マリア、またリ・ウ・ファンらの作品を挙げました。彫刻的で無駄のないシャープなボリュームは、そこから来ているのかと、納得しました。
高校生の頃、マルタン・マルジェラのドレスを見て感動し、ファッションデザインを志したという松重さん。大阪エスモードに入学し、ベルギーのアントワープ系デザイナーに憧れて創作した作品で、神戸ファッションコンテスト特選を受賞、パリのサンディカ(クチュール組合の学校)に奨学金留学した輝かしい経歴の持ち主です。尊敬するデザイナーは、アレクサンダー・マッククィーンやジョン・ガリア―ノだそう。エレガントを学ぶ雰囲気はやはりパリといいます。
パリ在住6年でつかんだPV最優秀賞の栄冠。これを胸に、洋洋たる前途が期待されます。パリのコレットやニューヨークのバーニーズ、ロンドンのドーバーストリートマーケットなど、有名セレクトショップとの関係もできつつある様子で、今後の活躍が大変楽しみです。
| 固定リンク
「ファッション・アクセサリ」カテゴリの記事
- ジャンポール・ゴルチエ特別企画展 創造への尽きない情熱(2019.12.02)
- 「プロジェクト東京」9月展 注目のアパレルブランド(2019.11.30)
- 毎日ファッション大賞 「アンリアレイジ」森永邦彦が大賞に(2019.11.29)
- 2020春夏リトゥンアフターワーズ“フローティング ノマド”(2019.11.24)
コメント