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2014年9月 3日 (水)

ヨコハマトリエンナーレ2014 「忘却の海」の世界を浮彫りに

 横浜発、現代アートの国際展、ヨコハマトリエンナーレ2014を見に、横浜美術館と新港ピアの二つの会場に行ってきました。

 メインテーマは「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」で、読書が禁じられた架空社会を描いたレイ・ブラッドペリの名作「華氏451」と現代社会を重ね合わせて、アートで「忘却の海」に沈んだ世界を浮彫りにしようという構成です。本展で、私たちはなにか大切な忘れ物をしてはいないだろうかと、問いかけられます。人生で忘れ去ってきたものや、時代の流れの中で見捨ててきたもの、進化とともに失ってきたものなど、様々な角度からそうした忘れ物が照らし出される仕掛けに満ちていて、現代に警鐘を鳴らしているかのようです。その奥深い表現にアートの持つ力を考えさせられました。

20140817103904imgp0002jpg1  横浜美術館では会場前の広場に、序章として、赤さびた骨組だけの「低床トレーラー」が置かれています。トレーラーなのにゴシックの廃墟のよう。ヴィム・デルボアの作品です。

 

Cimg6234jpg1  館内正面に見えるのが、マイケル・ランディの「アード・ビン」。これはガラス張りの巨大な「アートのゴミ箱」です。はしごで上り、上方から不要品を落とします。

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 下にたまったゴミの山の中に、今回アーティスティック・ディレクターを務めた森村泰昌氏の作品も捨てられていました。

 注目されたのは、第一話の「沈黙とささやきに耳をかたむける」。
 表現を極限まで抑制して単純化し、何が描かれているのか、観るものに想像させる逆説的作品が展示されています。たとえば白一色の空白の絵画は、キャンバスを石膏で固めただけですが、1年かけて作られたといい、また村上友晴の黒の油彩キャンバスは、木炭の粉を混ぜてナイフで削るなどして、数年がかりで仕上げられたものだそう。それにしても、シンブルにそぎ落とすのに、これほどに時間がかかっているとは、驚きでした。ここは写真が撮れなくて残念でした。

Cimg6248jpg1  次に第2話「漂流する芸術にであう」です。

 釜ヶ崎芸術大学による、多くの問題を抱えた釜ヶ崎の表現。ここはどこかホッとする空間でした。

 

 また展覧会の本命とされる展示がされているのが、第3話「華氏451はいかにして芸術にあらわれたか」の部屋です。
Cimg6259jpg1Cimg6261jpg1_2   積み重なった本の山。           「MOE NAI HON燃えない本」
 でもアルファベットはすべて逆さま。

Cimg6258jpg1  古いテレビなど、大切な“忘れ物”などが展示されています。




 とくに興味深かったのは、第4話「たった独りで世界と格闘する重労働」のコーナーです。
Cimg6269jpg1_3  左は福岡道雄の「何もすることがない」の言葉だけを、FRPの板にただただ彫刻刀で彫り込んだ細かい作品、何と大変な重労働とびっくり。1日に10行ずつ彫り進んだそうです。他に「何もしたくない草花」の“つぶやき”もあります。

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 第5話は「非人称の漂流」。テニスコートから監獄へ。監獄から法廷へ。変容するプロセスをプラモデル化したもの。作者不詳とあります。



 さらに第6話「おそるべき子どもたちの独り芝居」のアリーナ・シャポシニコフの作品。とくに写真がユニークで、何と噛んだガムの変形した形をカメラにおさめたもの。子どもの頃のガムの記憶がよみがえります。

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20140817141746imgp0093jpg1_3  新港ピア会場では、「忘却の海に漂う」がテーマ。

   入り口でお出迎えしてくれたのは、色鮮やかなステージ・トレーラー、やなぎみわの作品です。新作演劇「日輪の翼」(原作:中上健次)のための移動舞台車の一部とのこと。

 
  

 大竹伸朗の「網膜屋/記憶濾過小屋」と名付けられた作品。内部には古い写真がびっしり。
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Cimg6374jpg1_4  なお、ポスターに使われた作品は、ギムホンソックの黒いごみ袋でつくったクマのぬいぐるみ。

 みなとみらい駅の改札ロビーに展示されていましたが、ちょっとしょぼくれた感じで、かわいそうな感じでした。

 開催は11月3日までです。

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