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2014年7月20日 (日)

デュフィ展 絵筆が奏でる色彩のメロディー

 ラウル・デュフィといえば、20世紀初頭、“脱コルセット”で“女性の解放者”と呼ばれたモードの帝王、ファッションデザイナーのポール・ポワレの服地デザインを手がけた画家として知られます。アーティストによるテキスタイル・デザインの先駆者となりました。

Scan0208    この彼の回顧展、「デュフィ展 絵筆が奏でる色彩のメロディー」が、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで、開催されています。27日までですので、もっと早くに見ておきたかったのですが、なかなか機会がなく、先日ようやく行ってきました。

 展示は4章で構成されています。
第1章 1900-1910年代 造形的革新のただなかで
 印象派に共感を覚え、やがてマティスに刺激されて、フォーヴィズムに入った頃の作品が集められています。マティスとは作風が少し違う、パステル調の色彩で、詩情豊かな感性にデュフィらしさを感じます。

第2章 木版画とテキスタイル・デザイン
 やはり一番の見どころは、この章ではないかと思いました。絵が売れず悩んでいたデュフィでしたが、ポール・ポワレに出会って、転機が訪れます。ポワレは、彼の色彩感覚を見抜き、木版画をテキスタイル・デザインに転用、二人で協同のテキスタイル製作所を立ち上げます。またリヨンの絹織物業者、ビアンキニ・フェリエと契約し、1920年代を通して、この分野で活動しました。植物や抽象形態、パリの近代生活などをモチーフにした数々の柄は、今なお、新鮮な輝きを放っています。

Photo_2  右写真は、「たちあおい」(1918年) ビアンキニ・フェリエのためのシルクプリントです。

 また布に模様を染色するときに、色によって異なる版が用いられるため、軸線と色面にズレが生じることがあります。デュフィはこれを絵画に応用し、線と色彩を分離して表現するようになります。
 画家としても転換期だったのですね。

第3章 1920-1930年代 様式の確立から装飾壁画の制作へ
 デュフィのもっとも輝かしい時代です。線と色彩の自律、装飾的な記号、光としての色彩表現といった独自のスタイルを確立し、「色の魔術師」と呼ばれます。

20140608_1207930_2  「馬に乗ったケスラー一家」1932年
 左のちらしに使われている絵で、明るい色使いが幸せな家族を表現しています。

 1937年、パリ万博のフランス電気館で展示された大壁画「電気の精」は、10m × 60mもの大作で、これによりレジオンドヌール勲章を受賞します。本展ではその縮小版リトグラフが出品されていますが、それでも大きいです。電気の象徴であるタービンが、オリンポスの神々やオーケストラなどに祝福される光景で、絵巻のように描かれています。線が細かくて、目を凝らして鑑賞するといった感じです。

第4章 1940-1950年代 評価の確立と画業の集大成
 色彩をほとんど単色にし、その上に線によりモチーフを描く様式を確立します。1952年、「生きるよろこび」を謳い上げた作品で、ヴェネチア・ビエンナーレで大賞を受賞。フランス画檀の巨匠といわれるようになります。

 副題の「絵筆が奏でる色彩のメロディー」というように、デュフィの絵からは、のびやかで心地よい音の響きが伝わってくるようです。
 色彩=光の明るく爽やかなタッチも、鬱陶しい梅雨の季節にぴったりな展覧会でした。

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