“重介護ゼロ社会”実現に向けて
先日、星新一賞記念イベントで、このブログ7月3日付けで掲載した「ロボットスーツHAL FITⓐ」を発明された筑波大学教授・サイバニクス研究センター長で、サイバーダイン株式会社代表取締役社長山海嘉之氏の講演が行われました。
「サイバニクスに託す未来~ビジネスと夢の追求~」をテーマにお話され、「ここ5年以内に“重介護ゼロ社会”を日本から発信する産業をつくる」と宣言、またしても感銘させられた次第です。
サイバニクス(Cybernics)とは、山海教授が確立し、命名された新学術分野で、わかりやすく言えば、人とテクノロジーをどう一体化するか、低下した身体機能の残存能力をどう高めるか、介護する側とされる側の双方に役に立つ技術を研究する学問です。長年、医療・福祉・生活に焦点を当てて研究されてこられた成果が、世界初のサイボーグ型ロボットHALⓐ(Hybrid Assistive Limbⓐ)です。
写真は湘南ロボケアセンターで撮ったもの。
原理は、次のようです。人体は生体電位信号を発しています。脳には無数の神経系がこの信号とともに流れて体を動かしているのですが、病気になると、この神経系のループがこわれてしまいます。HALⓐは、人が体を動かそうとするときに皮膚表面に流れる微弱な信号をキャッチし、コンピュータの中で整理して、こわれたループを元通りに作り直す働きをします。ですからこれを装着すると、機能再生が促され、歩けなかった人も再び歩くことができるようになるのです。
この技術で最高の特許を取得された先生ですが、大手企業が採用してくれず、10年前、ご自分でサイバーダイン社を設立したといいます。
今では、地球規模の展開になりつつあり、EUでは、昨年初めて医療機器認証を取得され、とくにドイツで公的労災保険が適用されて、一人当たり40万円がカバーされているといいます。日本では170の病院で約400体が稼働中、治験も進み、医療器械として認定されるのも間もない模様です。
身体はすべて神経細胞でつながっているので、ロボットとの連携ブレーが可能なのですね。今後は脳卒中などの予防から、寝たきりになってもメッセージを送れる装置の開発など、様々なテクノロジーを準備しているといいます。
重介護ゼロの社会を実現しようと努力されている、山海教授。私たち未来の希望の星です。本当にスコーイ!としかいいようがありません。
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