家事を一緒に楽しむ「家事のユニバーサルデザイン」
家事というのは面倒なものです。でも家族と一緒にするなら、楽しいでしょう。そんなアイディアが「家事のユニバーサルデザイン」です。
この言葉をお聞きしたのは、今月初めのセミナーでのこと。登壇された大手住宅メーカーの積水ハウス総合住宅研究所住生活研究室ナレッジキャピタルグループ課長河崎由美子氏の講演テーマがこれでした。家の中全体を皆に気持のいい住まいにしようと「スマートユニバーサルデザイン」を提唱する住宅メーカーは、さすが先進的と思いました。(写真はそのカタログから)
同氏が、この「家事のユニバーサルデザイン」を考えるようになったきっかけは、最近の若い人たちの暮らし方の変化といいます。
同社のパパ家事調査によると、近頃の若い夫婦は共働きが増え、アラサーといわれる25〜34歳の夫は、60%が家事を手伝います。40代から50代では家事をするといってもゴミ出し程度なのに対して、アラサーはゴミ出しするのは当たり前で、洗濯や掃除、料理もする人が多い。家事を夫婦で分担すべきとする男性もアラサーでは50%に上り、しかも夫婦一緒にやりたい人たちが40%に達します。
アラサー夫婦は、家事を共有する楽しさを求めていて、とくに台所では子どもも一緒になって料理する家庭も多い様子。それならキッチンを家族の楽しいコミュニケーションの場になるように設計してみよう、というのがこのコンセプトの始まりといいます。
家事には「セーフティ(安全・安心)」で、「イージー(わかりやすい)」、その上に「ファン(したくなる心)」の要素が大切ですが、中でもポイントとなるのが、家事をしたくなるようなインテリアデザインです。たとえば台所は、楽しい協同作業ができるように、複数で動きやすい動線や、シェアできるキッチン台、どこに何があるか、見ればすぐにわかるウオークインタイプの収納など、様々な企画を提案されていました。
もう十分に心地よいと思っていた住宅ですが、若い世代では、ソファを置かない、窓辺に居所を求める、自然素材を好む、そして家事を共にするなど、ライフスタイルが変わってきているのを感じます。
「家事のユニバーサルデザイン」は、今後の住生活の方向を示唆する、注目のデザインになりそうですね。
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