2020年を超えて ~UDが起こす社会変革~
先日、「ユニバーサルデザインビジネスシンポジウム2014」が、東京・千代田区で開かれ、情報のユニバーサルデザイン(UD)の普及を目指す活動をされているユーディット会長兼シニアフェローの関根千佳氏が、「2020年を超えて ~UDが起こす社会変革~」をテーマに講演されました。2020年は東京オリパラリンピックの年でもあり、これを契機に社会やコミュニティのデザインも変わるべきであると語られ、認識を新たにしました。
実は日本はフランスなど他の国々に比べ、かなりUD先進国と思っていたのです。ウォッシュレットや自動ドアが普及していますし、点字ブロック設置なども進んでいます。ところが、情報面では完全に後進国だったのですね。
とくに外国人旅行者からは不満が相当あるようです。たとえば海外から日本の情報が得られにくい、来日しても無線lanやWifiなどのネット環境が整っていない、ジャパンレールパスではのぞみに乗車できない(これはジパングも同じ)、クレジットカードを使えない店が多い、地図や案内が多言語化されていない、関西方面ほど和式トイレが多い----など、問題点が指摘されています。
観光庁は、2020年までに外国人観光客を2,000万人にするという目標を掲げ、また65歳以上の高齢者も2020年には3,300万人になります。ということは、情報・移動で障害を感じる人が、5,000万人を超えるということです。
同氏は、このために2020年までにあって欲しいサービスとして、次のことを挙げられました。
① どこへでも行ける周遊カード。これ一枚あればJRや私鉄など移動に関する支払いすべてOKで、自国からネットで購入でき、オンライン座席予約可能。
② 国際パーキングパーミット制度の周知徹底。海外では違反すると高額の罰金が課せられる。
③ 誰でもトイレの有効活用。ニーズのある人を優先するよう、たとえばICカードをかざすと、中の人に行列があることなどを知らせるシステムをつくる。もちろんトイレをより広くし、数も増やすことが必要。
④ いつでも自国語でOKのコールセンター。24時間365日対応、救急医療もクラウドからサポート可能にする。
⑤ いつでもどこでもみんなでボランティア。手話や点字、ガイド、ヘルパー、医師、看護師など、情報を開示し、必要な人をサポートする仕組みを整える。ここではとくにシニアの活躍が期待される。
⑥ 古い建物のUDリノベーション。たとえば明治時代のファサードはそのままにして、車いすで入れるように改装するなど、観光の目玉の一つにもなる。
⑦ 完全にアクセシブルな情報提供。すべての自治体や企業などで、サイト等の多言語化を推進する。
この他、UD環境整備のための課題は、まだまだたくさんあるようです。
とかく内向きになってガラバコスと化す日本ですが、これではいけないと、改めてユニバーサルな都市のあり方を考えさせられた、心に沁みるセミナーでした。
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