ヒールレスハイヒールに興味津々!
ヒールのないハイヒールとは! これでは歩けない、と思います。でも元来ハイヒールはつま先歩きです。かかとが無いつま先立ちスリッパが、健康ダイエットスリッパとしてヒットしているといいますし、やはりこれも“あり” なのですね。
このヒールレスハイヒールを愛用しているのが、ミュージシャンのレディ・ガガ。彼女が転倒したことで、それがまた話題を呼び、一斉を風靡しているのがこの靴です。
先日行った女子美アートミュージアム「高田喜佐 ザ・シューズ」展の関連イベントで、このレディ・ガガ専属のシューズデザイナーでファッションデザイナーでもある、舘鼻則孝氏が、キサ代表の高田邦雄氏と対談する特別講演が行われました。
講演で、舘鼻さんは、ご自分の生い立ちをユーモアたっぷりに語られました。新宿歌舞伎町生まれで鎌倉育ち、28歳の若きアーティストであることを知り、そういえば鎌倉のタウン紙に出ていたことを思い出しました。
人形作家だった母の影響もあり、世界的ファッションデザイナーになることが夢だったそうです。このため日本のファッションであるキモノを勉強しなければと、東京芸大工芸科に入学、友禅染めなどを学ばれます。そして卒業制作に、ちりめんのドレスと、花魁の下駄から発想した靴を発表します。花魁の下駄は、歩くことを否定する履物です。その前衛性に着目し、未来を感じたといいます。
卒業後、まもなく「NORITAKA TATEHANA」ブランドを立ち上げ、この靴を自ら世界に発信しようと試みますが、なかなか受け入れられず、唯一価値を認めてくれたのがレディ・ガガのスタイリスト、ニコラ・フォルミケッティ氏だったそうです。そしてこれをきっかけに一躍、世界の注目の的になっていきます。
写真左は、舘鼻さんがデザインしたヒールレスハイヒールです。一見、見たことがないモダンな形ですが、よく見るとそこにはコッポリとか缶ポックリなどといった、日本的な精神が流れているのを感じます。
クールジャパンといっても、伝統そのままでは少しも新しくないし、外見を和っぽく見せただけでは、単なるコピー。舘鼻さんは、「過去を遡り、それを未来にどう進めるか。それにはどのくらい過去をふり返れるかが大事」と話していました。
一人で何もかもこなし、創るのは、すべてオーダーメイド。顧客はほとんどが外国人といいます。
日本文化に潜む前衛性を、世界に伝える伝道師、舘鼻さん。次はどのようなものに取り組まれるのでしょう。興味津々に見ています。
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