「Future Beauty日本ファッション:不連続の連続」展
京都国立近代美術館で開催されている「Future Beauty日本ファッション:不連続の連続」展に行ってきました。
これは「Future Beauty」展の巡回展です。2010年にロンドンのバービカン・アート・ギャラリーで初めて行われた後、5都市を回り、今回の京都で6都市目となります。
私は2年前に東京都現代美術館で開催された「Future Beauty日本ファッションの未来性」展を見ていたのですが、本展のちらしやカタログの表紙を飾る、山縣良和さん手掛けるリトゥンアフターワーズの作品に強く惹かれ、急きょ見に行きました。
最初は「陰翳礼賛」のグループです。谷崎潤一郎の同名の小説になぞらえた、日本独特のほの暗さの文化や陰翳の美をファッションで表現する、川久保玲や山本耀司といったデザイナーの作品が並べられています。日本ファッションは、これを契機に世界へ向けて発信するようになります。
次は「平面性」で、着物の平面的な表現や着物のようにたためる服を展示したグルーブ。
左の写真はその一つで、リスト表紙にも掲載されている、川久保玲のフエルトにピンクのフエルトをアップリケしたコート (2012年秋冬)。
また東京展では見られなかった「イッセイミヤケ・リアリティラボ」の、平面から立体のドレスが立ち上がる、折り紙技法を活用したドレスも出品されていました。
さらに「伝統と革新」グループでは、素材に対する日本人デザイナーの強い感性が示されます。
とくに興味深かったのは、ご当地、京都ならではの伝統工芸の工房、西陣織の「細尾」や京友禅「千總」の「アートにしむら」、辻が花染めの「福村健工房」などとコラボレートした作品群です。職人技と新しい技術、デザイナーの創造力の融合が生み出す美に、感銘しました。これこそまさにクールジャパンでしょう。
右の写真は、マトフの長着で、襟とベルトは西陣織の金箔と螺鈿の引箔織使い(2007年秋冬)。
また革新的なものとして、アンリアレイジのフォトクラミックな服(20013年秋冬)のコーナーもあり、紫外線を当てると、色が変わる様子を実演していました。
最後は「物語を紡ぐ」です。ここでは日本の伝統を受け継ぎながら、サブカルチャーからの引用や独自のストーリーを服に盛り込む、若手デザイナーの作品が紹介されています。
前述のリトゥンアフターワーズやアシードンクラウド、ミキオ・サカベ、ハトラなど、彼らは、着る人が彼らの服の物語に共感し、その続きを紡いでいってくれる服をつくろうとしています。これは、服が人と対話する、新しいコンセプトの服づくりです。
ファッションの未来への胎動を、改めて感じさせてくれた注目の展覧会でした。
最終日は11日で、あとわずか。どうぞお見逃しなく!
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