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2013年12月 4日 (水)

明治・大正・昭和戦前期の宮廷服にみる洋装化考

Scan0164 今、明治・大正・昭和戦前期の「宮廷服展」が、東京・代々木の文化学園服飾博物館で12月21日まで開催されています。

 これに関連して、文化学園が観光庁との共催で「文化学園服飾博物館」をユニークベニューとして活用するために、同展学芸員による展示解説と文化学園理事長大沼淳氏による講演会が開かれました。

 
 展覧会では、当時の宮廷服約70点が、2階フロアーに洋装、1階に装束と、分類展示されています。ちなみに装束とは、平安朝から現代に続く、十二単に代表される日本の伝統的な衣裳です。

37531 まず洋装では、大礼服(マントー・ド・クール)に目を奪われます。これは明治天皇の皇后、昭憲皇太后が着装されたもっとも格式の高い衣裳(右 同展のちらしの写真から)で、19世紀初頭のエンパイアスタイルに倣ったデザインといいます。腰部から下りる赤いビロードのトレーンは、幅3m、長さ4mもの重く長いもので、裏側には取手があり、お付きの人がこの裾を持って歩いたそうです。同皇后が憲法発布記念式の際、着用されたドレスや、浅香宮夫妻の衣裳など、数々の華麗な名品がディスプレーされています。

 また明治天皇がお召しになられたという陸軍の軍服の展示もあり、これは明治神宮のご神体ともなっている衣服だそうで、門外不出のところ、特別に借用されてこられたといいます。
 明治政府が各国の貴族制度を手本に、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の華族制度を採用し、衣服の襟や袖などのデザインで、階級を区別したことがわかる服の実物にも触れることができ、これもまた大変興味深かったです。

 
Scan0166 次に装束ですが、最初に目が向けられるのは、やはり華やかな十二単(左 ちらしの写真から)でしょう。十二単とは俗語で、五つ衣唐衣裳を指し、重さは何と12~13kg、これに脚の自由の効かない長袴をはいたことや、男子では成人と未成年で異なる束帯の着装など、日本服装史を学び直しました。

 正面には大正天皇が新嘗祭で着用した生絹の祭服が大きく展示されています。これは10年ぶりの公開だそうです。

 
 その後の講演会では、文化学園理事長大沼淳氏が「宮廷服にみる洋装化考~隠された日本近代化へのベールを解く~」をテーマに登壇され、同展の見どころである洋装を中心に、近代の衣裳文化を保存することの重要性を解説されました。

 近代化推進のため洋服を宮廷服とした明治政府ですが、一方で儀式によっては伝統的な装束を着用する場合もあり、また身分制度を廃止したものの、新階級制度をつくり、服装コードを詳細に規定していました。宮廷服は、そんな近代日本のもう一つの顔を映し出しています。
 同博物館では近代宮廷服の3分の2を所蔵されているとのことですが、これまで宮廷衣裳のほとんどは残存されることがなかったのだそうです。
 その貴重なことを改めて思い知り、これは服飾関係者でなくとも、もっともっと多くの方にご覧いただきたい展覧会ではないかと思ったことでした。

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