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2013年8月 5日 (月)

「たんす鉱山」を掘り起こす和装リサイクルとリクチュール

 「たんす鉱山」とは、たんすの中に眠っている着物や帯を、価値ある鉱山に見立てた造語。最近よく聞かれるレアメタルなどの都市鉱山に倣った言い方です。先日、この言葉を「きもの業界のリサイクル事情」と題する和装リクチュールセミナー(NPO日本ファイバーリサイクル推進協会主催)でお聞きし、こういうところにもビジネスチャンスがあると、興味深く思ったことでした。Cimg51971_2
 セミナーの講師を務められた東京山喜の社長中村健一氏のご講演をまとめてみます。

 東京山喜は、1924年、京都創業の老舗呉服店で、1993年に社長に就任した同氏は、衰退産業とされていた和装業界で、きもののリサイクル事業に乗り出し、「たんす屋」を開発。1999年にその第1号店を船橋に出店して以来、全国にショップを展開。「たんす鉱山」を掘り起こし、和装リサイクルビジネスを成功に導きます。2001年には、第11回ニュービジネス大賞優秀賞を受賞するなど、今や、きもののリサイクルショップでは日本最大手「たんす屋」の総帥です。

 同氏によれば、日本全国のたんすの中には、着物と帯が各々4億点、その96%は女性ものが占めていて、金額にして約40兆円にも上るといいます。これは国家予算の半分に相当する莫大な額です。というのも、戦後に販売された着物や帯の金額は、総額45兆円で、その9割は、実はゴミとして燃やされず残存しているからです。

 同社は、25,000軒から50万点の和装品を購入し、これをすべて丸洗い・抗菌・消臭加工し再生させて販売していて、50万点の内、35万点は再度たんすの中に入るといいます。また扱う商品の1割が、胴裏などからみて戦前のものだそう。昔から女の魂が宿ると考えられているきものです。処分することはなかなかできないということでしょう。
 
 ところで、きもの市場ですが、昨今の和のブームもあって、再び動き始めているようです。その歴史をたどると、マーケットに火が付いたのは、1959年の皇太子ご成婚のときで、ピークを迎えたのは1975年、2兆円の市場規模に達した頃だったとか。これ以降、凋落の一途をたどり、2012年には3,000億円にまで縮小します。小売り以上に悲惨なのが、産地の疲弊で、これは地場産業全体に言えることですけれど、胸が痛みます。
 
 しかし同氏は、これから必ず日本へ回帰する時代がやってくるといいます。競争社会から共生社会への転換が起こり、それとともにきものの価値観が見直され、きものリクチュールが重要な概念になってくると述べられていました。
 
 リクチュールとは、リペア、リフォーム、リメイクの3Rをクリエイター達の手により、モノづくりに活かしていく活動。きものなら、羽織を名古屋帯にしたり、きものを長コートに仕立てたり。

 写真は、このセミナーの会場となった東京・中野の織田学園の学生によるリクチュールきものです。左は黒の5つ紋だったものだそう。
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 モデルも同学園の学生で、その美しい着物姿に魅せられました。日本女性はやはりきものが一番似合います。

 きものが好きで、着たいと思っている人がいる限り、きもの市場がなくなることはないでしょう。高級きもののレンタルやシェアリングサービスも伸びてくることでしょうし、またもっとフレキシブルにきものを着こなす日が訪れるのではないでしょうか。
 
 きものリクチュールに大きな未来を感じます。

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