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2013年8月10日 (土)

植物のいのちの色を再生する紬の美

 「いのちの色で糸を染める」をテーマに、NHKのプロフェッショナル仕事の流儀(2013.5/27) で放映された人間国宝、染織家の志村ふくみ氏と、ふくみ氏の薫陶を受けて藍染めによる新たな美の可能性を探り続けている長女志村洋子氏。
Cimg55831_3 このお二人が、今年4月に開校された「アルスシムラ」を、服飾文化学会夏期セミナーで訪れました。

 お二人に導かれて、ギャラリーや教室をご案内いただき、ご講演を拝聴しました。

Cimg55701jpg_2 志村ふくみ氏は、まず「なぜ50年以上も前に、植物染めで平織りの紬を織りたいと思ったのか」という話をされました。それは「万葉の時代から自分の想いを色で伝えてきた日本人の心情がすばらしいと思ったから」と語られ、「この美意識は、現代の私たちの血の中に受け継がれている」といいます。「糸は裏切らない。これは信念のようなもの」だそう。

 「植物の色は、四季折々に美しく感動的で、決して同じ色にはならない。だから何回やっても楽しい」とも。
 そしてさくら染めに触れ、花のいのちを奪うけれど、これは「いのちの交換」と考え、「いのちを色に再生する気持で染めている」といいます。
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 こうした意識を若い世代に伝えていきたいと、洋子氏とともに、学校をオープンさせたそうです。(写真は紬を織っているところ)
 
 お二人に、スライドでたくさんの作品を見せていただきましたが、その中の一枚、ふくみ氏の本振り袖姿の写真がすてきでした。昨年の米寿のお祝いで撮られたとのことで、くちなしの黄色に紫紺で染めた藤のモチーフだそう。

 またニガヨモギの話しもされ、これは西洋では「呪われた毒草」と言われているけれど、実は清らかな緑色が出せるとのこと。どんな植物も最高の色を持っていて、これが生きる勇気を与えてくれるといいます。

 
 色糸は何重にも重ねて機にかけ、即興でつむいでいかれるとか。霞がかかったような情景など、単純素朴に見えて実は深みのある複雑な奥行きを感じさせる紬織りです。
 いわゆる花鳥風月よりは、シックなヨーロッパ文化の方に興味があるというふくみ氏。ギャラリーに展示されていた紬のきものには、そんな凛とした潔い美しさが漂っていました。

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