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2013年8月11日 (日)

京蒔絵の工房を見学

 蒔絵は、平安時代に京都で発達し、全国に広がっていった日本独自の漆工芸技術で、京蒔絵は文化の中心地として栄えた京都という環境の中で洗練されていったといいます。
 今回の服飾文化学会夏期セミナーでは、この京蒔絵を見学しました。訪問させていただいたのは、京都で3代目の蒔絵師、下出祐太郎氏の工房です。

Cimg56451_2  
 下出氏は、京都迎賓館の調度品を手掛けられるなど、伝統を受け継ぎながらも、作家としても独創的な作品を発表されている漆工芸界の第一人者です。私たちを温かく出迎えてくださり、お話も終始、気さくな雰囲気で進めていただきました。
 
 まず我が国の伝統工芸産業について、その事業者数は平成3年のピーク時に比べ、平成21年になると76%減に激減。この京都でも50%減少し、観光産業化しつつあり、伝統を継承していくことは実に大変なことと、改めて思いました。
 
 次に漆について、その最古の漆工芸は法隆寺の玉虫の厨子にみられるものだそう。とはいえ1万年以上も前の縄文遺跡から漆が出土していることから、漆工の技術は日本が世界でもっとも古いと推察されるといいます。
 
 漆は、山野の低地に生えているうるしの木から出る汁で、10数年経た1本の樹木からひと夏かけて採取できる漆の量は、牛乳瓶1本程度だそう。これを精製して絵の具や塗料、接着剤として用います。蒔絵は、漆を筆につけて描いた絵に、金や銀などの金属粉や色粉を蒔き、塗りを重ね、乾かし、研磨するなど様々な工程を通してつくられます。

Cimg56801_2  中でも興味深いのが、漆の乾燥で、適度な温度と高い湿度が必要だそう。右の写真のような漆室(うるしむろ)という室に入れて乾かすそうで、雨の日のように、湿度が高いほど乾くという漆の性質に驚かされます。

 ネズミの毛の蒔絵筆や、金粉、銀の代わりによく使われるというプラチナ粉など、様々な道具や材料を拝見させていただき、精緻な逸品の数々を鑑賞しました。
 
Cimg56651jpg  上の写真は、復元された華やかな高台寺蒔絵屏風を前に、解説していただいているところ。これは平成23年に、ロンドンのヴィクトリア&アルバートミュージアムで展示されたといいます。
 
Cimg56561  左は、来日されたオバマ大統領に贈られた香合と同じもの。お値段は50万円とのこと。


 


Cimg56911 Cimg56781_2  工房風景です。   中啓の親骨に塗りを施しているところ。

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