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2013年7月30日 (火)

デジタルプリントで変わるアパレルのモノづくり

 ここ数年、プリントの伸びが目覚ましい。従来なら不可能とあきらめていたリピートなしの巨大なパネル柄や、プリントなのに本物の毛皮か、はたまた杉綾などの織物かと見紛う立体的でリアルな柄、繊細な濃淡を見せるグラデーション(ぼかし柄))などが登場して、新しいトレンドを生み出しているのです。
 これを可能にしているのが、インクジェット機を使ってデータを布地に出力するデジタルプリントです。

Cimg51211  先般、JFW-IFFで、「トレンドをつくるデジタルプリントその可能性」と題したセミナーが行われ、テキスタイルデザイナーの梶原加奈子さん、コニカミノルタ執行役インクジェット事業部長の大野彰得さん、セイコーエプソンインダストリアルソリューションズ事業部副事業部長北原強さんが登壇し、デジタルプリントの現状や活用に向けた課題などが議論されました。
 
 これによると、デジタルプリントがもっとも進んでいるのはイタリアで、今から15年ほど前にコモ湖周辺で始まったといいます。業績が落ち込んでいたプリントビジネスは、これにより復活し、次第に裾野を広げていきます。当初はシルクの最高級ブランド向けが主体でしたが、ZARAやH&Mなどのファストファッションに拡大し、今やデジタル化率は30%、素材もコットンが多くなり、現在はコットン55%、シルク35%になっているといいます。
 デジタルプリントは、トルコや南米、中国など新興国も盛んに導入していますが、世界全体でみれば、プリント生産のまだ0.5%でしかなく、この10年で10%ぐらいになるのではないかとのことです。 
 
 では日本ではどうか、というと、梶原さんは、技術の進歩は認めるものの、いくつかの問題点を指摘されています。たとえば「イタリアに比べると、美しさや鮮やかさが劣る、またプリント下地のバリエーションが乏しく、限られた素材にしかプリントができない、風合いが硬くなる」。さらに「染料の浸透が十分ではないため、裏が白っぽい。色合わせも難しく、漆黒の黒がなかなか出せない」といったことを挙げられていました。
 大野さんと北原さんは、「インクジェットプリンターの性能は、発色性など、最近は見違えるほど改善されてきている。しかしそれだけではパーフェクトではなくて、前処理や後処理も重要な作業。イタリアでは産学官が連携し合ってノーハウを蓄積し、新人技術者を育成するシステムがある」。またコモ地区には最新トレンド情報が真っ先に入ってくる土壌があり、「プリントのデザイン力が高い」とも。
 
 どうやら日本は、イタリアよりもデジタルプリント後進国になっている様子です。元来デジタル好きな日本人なのですから、梶原さんがおっしゃっているように、デジタルを扱うプリントデザイナーを養成し、その地位を確立していかないとクリエーションも育たないと、強く思います。
 
 デジタルなら短納期、小ロット、フルカラーが可能でスクリーンよりも高精細、しかも水やエネルギー使用が大幅に抑えられて環境にもやさしい。これぞ未来の染色法です。

 写真は会場で見せていただいたサンプルの一部です。
Cimg51251 Cimg51311_2

3D(立体的)に見えるプリント    写真のようにリアルなプリント

 今後アパレルのモノづくりそのものを変えてしまうインパクトがあると言われるデジタルプリント。そのさらなるブラッシュアップが期待されます。

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