揺らぐ造形を表現したアート感覚な帽子
今回の服飾文化学会作品発表会で、美しいアートな表現の帽子に出会いました。それは風に揺れてひらひらと舞う被り物で、「動体としての帽子」と題したテオの帽子アトリエ代表の松本由伎子先生の作品です。
「帽子は明治期に洋装から来たと思われていますが、実はその原型は日本の兜にあったのですよ」と話される松本先生は、帽子作家であると同時に、兜の研究者でもいらっしゃいます。兜には武具として求められる堅牢な造りとともに、象徴、誇示、歌舞くといった精神の反映があって、そこにアートと呼ぶべきものがあると考えるようになられたとか。
今回の作品は、変わり兜の一つ、黒漆塗置手拭型兜がヒントとのこと。手拭を頭の上に乗せたようなこの兜の上板の後方が跳ね上がっているかたちが、風にあおられて手拭の端がはためく一瞬を造形したものではないかと閃き、これを帽子で表せないかと考え、創作を始められたといいます。
しっかりと形作られた構造体の上に、水鳥の羽根のようなしなやかな素材で構成された帽子は、全体が揺らめき動くアートなストラクチャー。ふわりと空中を漂うような感覚に魅せられました。
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