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2013年2月 2日 (土)

「新井淳一の布 伝統と再生」展で布の奥深さを体感

20130122_299938  世界的テキスタイル・プランナーの新井淳一氏の「新井淳一の布 伝統と再生」展が、東京オペラシティ アートギャラリーで、3月24日まで開催されています。
 
 新井淳一氏は、1970年代から80年代にかけて、既に三宅一生や川久保玲らファッションとの関わりで新風を巻き起こし、その名が広く知られていました。私は80年代初めに、桐生のご自宅(アトリエ)を訪問させていただいたことがあり、青い作務衣姿で、やさしく接して下さったことが忘れられません。そのときいただいたコンピュータージャカードによる白/黒の風通織で超強撚糸使いの綿のスカーフは、今も私の宝物です。
 
 同氏も今年は傘寿だそう。本展は、同氏のこれまでの布つくりを集大成するもので、 3つのセクションで構成されています。

1. 自己組織化
 「あらゆる物質は自己組織化(self-organisation)して、自分自身の組織や構造を作り出す性質を持っている。この自己組織化と自然の摂理を重視し、それら自身の力を借りて、まだ見ぬ布が自ら生まれるのを待つのです」のパネル表示があり、コンピュータージャカードを駆使した筒状織物や風通織、大三角、ロンドンのビクトリア&アルバートミュージアムにも収蔵されたという布目柄、絞り、縮絨、また金銀に輝くスリットヤーンや真空熱転写、メルトオフなど、これまで見たこともない素材や工程の様々な布地35種が、平面にフラットに並べられ、ほの暗い中に浮かび上がっている。その光景は、まるで銀河系の中に漂っているかのようにも見えます。
2. 精神と祈り
 パネルには「布は様々な形に変幻する。かすかな風にもそよぎ、光を反射し、祈りに満ちた伝統の流れの中でつくられるそれぞれの布が呼応し合い、未知の作品として創生する」とあり、天井からつり下げられた長い布が目を引きます。「氷河」、「光輪」、「オホ・デ・ディアス(神の眼)」、「アフリカン絞り」といったテーマ名があり、世界各地の自然や民族文化が発想源になっていることがわかります。
3. 創生の火種
 「創生の原点は伝統の鉱脈の中にある。伝統なくしての創生はあり得ない。伝統とは人が人となって以来、守り続けてきた精神の歴史であり、そこにはすべての創生にゆれる火種が燃え続けている」。ここでは同氏が世界を巡る旅の中で撮影した豊富なスライドプロジェクションが廊下の床面いっぱいに展示されています。
 
 規制の枠にはまらない自由な発想で、手仕事とテクノロジーを融合させた新井淳一氏、そのすばらしいクリエーションに、改めて布の奥深さを体感させられます。

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