« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »

2013年2月

2013年2月28日 (木)

映画「レ・ミゼラブル」を見て

 今、公開中の映画「レ・ミゼラブル」をパリで見てきました。最初はミュージカルに違和感がありましたけれど、ぐんぐん引き込まれました。最後は、感動の渦に巻き込まれ、3時間近くもあったのに、あっという間の短さに感じました。映画を見て、こういう風に思うのは久しぶりです。

 アカデミー賞でオスカーを期待していましたが、アン・ハサウェイの助演女優賞と録音賞、メイクヘアスタイリング賞の3部門の受賞にとどまり、少し残念。全編カメラの前で演技しながら実際に歌っているのを撮影したそうで、とくにアン・ハサウェイの美しい歌声には魅せられます。

 フランス革命後の大河ドラマなので、騒乱に明け暮れていた頃の歴史がわかり、コスチュームの変遷も興味深かったです。当時の男子服、ダンディと呼ばれた彼らのスタイルは、最近の女性ファッションにも影響を与えています。服飾を学ぶ学生に、ぜひおすすめしたい映画です。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月27日 (水)

“Fashioning Fashion 成型されるファッション”展

86de33117c4b38f47c1e9eab40e306c9_2  パリの服飾芸術美術館(Musee des Arts D?coratifs)で、“Fashioning Fashion 成型されるファッション”と題した展覧会が開催されていました。既に2010年にロサンゼルスの美術館LACMAで行われ、昨年春にベルリン、そしてバリに来た巡回展です。開催は4月14日まで。

Cimg2646musee1  1700年から1915年までの2世紀にわたる西洋の服飾の変遷が紹介されていて、これを見ればモードの源流がわかります。ドレスの前にはルーペがあり、下着のファウンデーションで美しく成型されたドレスの構造を見ることができるようになっています。またロココの男性服や、ナポレオン時代のきらびやかな軍服もすばらしく、これは次のシーズン、またしても注目のトレンドになりそうです。

 学生たちがたくさん来ていて、メモをとったり、スケッチしたりしていました。このような身近な場所で、ファッションを学べる環境があるパリはうらやましいですね。これは東京にもぜひ巡ってきてほしい展覧会と思ったことでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月26日 (火)

東京ファッション専門学校で原石輝くファッションショー

 昨日、東京・銀座で東京ファッション専門学校恒例のファッションショーが行われました。
    
 全体テーマは「零(ゼロ)」で、原点からの発露を形にした、40点ほどの作品が発表されました。いずれもパワフルな力作そろい。今という時代の流れにそい、きちんと仕立てられたシルエットは美しかったです。この若い原石たちが、これからの日本のファッション業界を支える力になってくれることを祈っています。
Cimg27331jpg Cimg27311

 なお材料提供団体として、いつも日本綿業振興会の名前を掲載していただいていることを知り、大変うれしく思ったことでした。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月25日 (月)

クロエ60周年記念イベントでコレクター・コレクション

 PV開催の期間中、パリのプランタン百貨店で、クロエが誕生して60周年の記念イベントが行われていました。

 注目は、コレクター垂涎のコレクションのリ・エディション。
Scimg2309chloe  クロエのブランド創設者、ギャビー・アギヨンの1960年のドレスから、ステラ・マッカートニーのデザインによるパイナップルモチーフのTシャツ(写真左)、2005年のパディントン・バッグまでの16点で、再演出されて販売されていました。


               Scimg2310chloe1jpg  
 中でもびっくりしたのは、1970年代にカールラガーフェルドがデザインしたバイオリンドレスがあったこと。(写真左)これは限定60着ということで、たちまち売り切ったようです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月24日 (日)

ロンドン「セルフリッジ」の“ノーノイズ”キャンペーン

 この2月、ロンドンの大手百貨店「セルフリッジ」では、“ノーノイズ No Noise”キャンペーンを行っていました。このデパートは、いつも他に先駆けて新しい取り組みをしているので、必ず立ち寄るスポットです。ところで“ノーノイズ”とは、「騒音なし、つまり静寂」のこと。24時間ノンストップで騒音があふれる現代に、静かさをアピールするとは、何と新鮮な試みでしょう!

 このキャンペーンの意図は、コマーシャリズムに踊らされ続ける消費者に「静寂の力」を知ってもらいたいということだそう。なるほど、現代社会は広告だらけで、情報や刺激がいっぱいですから、かえって本質が見えにくい。そこで機能の美を見直し、自然のリズムに沿ったシンプルでピュアな生活スタイルに戻ってみようというわけです。

 ショーウインドーは、白い綿雲を浮かべるなど、ナチュラルライフを示唆する機能的なインテリアで構成されていて、この春一番のアクネのコレクションが出ていました。アクネは、スエーデンのファッションブランドで、このところよく聞かれる人気ブランドです。
Cimg2093self1_2 Scimg2102self_2

 セルフリッジでは「ブランド名にも意味はない」と、キャンペーン期間中は、自社のロゴを買いもの袋から取り除くなどもしていました。日本の「無印良品」のコンセプト?を思わせます。 

 ちょっと気が早いかもしれませんか、ファッション企画はもう2014/15秋冬に向けての取り組みが始まっています。先日STYLESIGHT社のファッション予測情報を見せていただきましたら、2014/15秋冬メガトレンドの一つに「Quietude静穏」のテーマがあり、これはセルフリッジの“ノーノイズ”そのものでしたので驚きました。
 ノイズレスなデザイン、今後の方向になりそうと注目してみています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月23日 (土)

「フュチュロ・テキスタイル」展に見る繊維の未来

 この2月初旬、パリのシテ科学産業博物館で開催中の、テキスタイルの未来に向けた展覧会「フュチュロ・テキスタイルFUTURO TEXTILES」展を見てきました。

 これはフランス北部にあるリール市の「リール3000」の一環として行われているテキスタイル展です。「リール3000」とは、2004年にEU文化都市となり、未来に開かれた町というイメージのリール市が、その持続を目的に2年に一回、ヨーロッパ27カ国を対象に開催している文化イベントのこと。

Scimg22711  会場中央には、革新的な素材によるドレスが並び、その周りを取り囲むように、光るドレスやテキスタイルアート、人工を加えた自然素材、リサイクル素材、アスレティックウエア、メディカル繊維などが展示されていて、日本製や日本人の名前のついた製品も多々あり、「さすが日本は繊維大国!」と誇らしく思ったものでした。

 そのいくつかをご紹介しましょう。

Scimg22241_2  天池合繊のスーパーオーガンザを使った天使の羽根のようなドレス。





Scimg22471jpg 赤ワインの滓を発酵させた不織布のドレス。





Scimg22251jpg  襟元の光の色で、人の感情を伝えるドレス。青は落ち着いていて、赤はナーバスな状態という。




Scimg22691  昼間は太陽光で発電し、夜になると発光する衣服。

Cimg22341jpg  1999年春夏のヨージヤマモトのコレクションから、3通りに着用できる、スカートが膨らんだドレス。

Scimg22541_2

 マダガスカルの蜘蛛の糸でつくったヤーン。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月22日 (金)

PV 新開発のエステ素材で美しく健康に 

 健康関連素材では日本が進んでいる部分が大きいと思われますが、ヨーロッパのメーカーもこの分野に力を入れています。マッサージ効果や、新陳代謝を良くして血行を改善する効果など、エステの機能がある新素材が開発され注目されます。

○タイアナTaiana(イタリア)
 初のエステティック・ファブリック“Allure”を開発。これは遠赤外線を放つ特殊物質を練り込んだナイロン6.6ファイバーによる新しい織物です。遠赤外線が、コラーゲン成分を肌に届きやすくするので、ハリと弾力のある引き締まった肌になるとか。また新陳代謝や血行が良くなり、アンチ・セルライト効果もあるといいます。
Cimg2454taiana1jpg_3  用途は写真のようなインナー、身に着けるだけで、よりシェイプされたシルエットが演出できそうです。

○シューラ― Schoeller(スイス)
 同社の“Energear”は自己再生テキスタイルと呼ばれ、着用すると、ナチュラルなセラミック(鉱物)が放出する遠赤外線効果で、血行が促進されて疲れがとれ元気が出るといいます。
Cimg2458scholer1jpg  
 写真は通気性、耐天候性に優れたポリエステル100%の“Energear”。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月21日 (木)

PVバイヤーの買い付けコースに「リサイクル素材」

 PVでは毎シーズン、テーマを決めてバイヤーのために買い付けコースを提案しています。今シーズンは多々ある環境保護というアプローチの中で、「リサイクル素材」にスポットを当て、これをテーマにコースが組まれていました。

 リサイクリングは、歴史的、文化的に古くから確立した産業ですが、マーケティングの対象ではありませんでした。しかしテクノロジーの進化とともに、差別化の一つと見なされるようになり、ファッションを超えたファッションとしての存在感を放ち始めています。 

 注目のリサイクル技術を持つ出展社をご紹介します。(写真はクリックで拡大)

○コーヒーをリサイクルするシングテックスSingtex(台湾) 
6singtex7singtex1_2Singtex1_4  同社のS.Cafeブランド製品は、何とコーヒーを淹れて飲んだ後の出し殻が原料。1日に500kgの出し殻から繊維をつくっているといいます。まさに「飲んで、着る」です。まず脱水、次に残油を除去、残った滓をペットボトルとともに溶融紡糸したものが、S.Cafeヤーン。速乾性があり、消臭、UVカット機能などに優れているため、ランジェリーからシャツ、アウター、スポーツシューズなど、幅広い用途で用いられているとのこと。

○ウールリサイクルのリニア・ロスLinear Ross(イタリア)
Inea_ross1   イタリアのブラート商工会議所では、70%以上のリサイクルウール製品を「グリーン」ラベルで支援し、エコ・フレンドリーな産地であることを世界に訴求しています。とくに注目されるのが、1960年代のセーターからのウールリサイクル技術で、リニア・ロスはこれを受け継ぎ、ベロア調のニットをつくっています。しっかりしたコシのある質感が好評といいます。 

○漁網をリサイクルするフランティソール・クリエーションFrantissor Creations(フランス)
Frantissor  アウトドア市場では、とりわけ自然環境を意識した素材が求められていて、実際北欧ではエコ・フレンドリーな商品が人気です。これはフランスでも成長マーケットとか。同社は、ペットボトルをリサイクルしたポリエステル素材を進化させ続ける一方、新たに漁網やカーペットをリサイクルしたナイロン素材を開発。海をクリーンに守り、ごみの減量化に貢献しているといいます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月20日 (水)

PV注目のエコ・コンシャス企業

 PVで注目されたのが、サステイナブルなアプローチへの取り組み。とくにテキスタイルの生産に欠かせない水資源を保護する動きが広がっています。たとえコストが高くなっても、水を汚染から守り、使用する水量を節約する、エコ・コンシャスな2社を取材しました。

○ミログリオ・テキスタイル Miroglio Textile
 イタリア有数のデジタルプリントのリーディング・カンパニーで、アーティスティックかつクリエイティブな表現力で名高いミログリオ・テキスタイル。この程アメリカの多国籍企業とコラボし、ほとんど水を使わずに染める、ポリエステルの新しい染色システム、E.VOLUTIONを開発。これにより使用する水量を、これまでの50に対し1まで減らし、CO2を90%、エネルギー使用量を50%削減するといいます。またコカコーラ染めのような食品由来の無害な染料を用いた染色法も採り入れています。
Cimg2461miloglio1_2  写真はペットボトルで、E.VOLUTIONシステムで染めたプリント地のカバーをかけたもの。




○カネパ Canepa
Scimg2464kanepa  1966年に、イタリアのコモ湖畔で創業以来ずっと、環境保護に熱心に取り組んでいる企業で、昨今の大量の水の使い過ぎと、環境破壊を招きかねない水温の上昇、フィルターを使っても除去しにくい化学物質に汚染された水の問題を解決しようと、「Savethewater」キャンペーンを立ち上げました。とくに最近は、非常にファインな薄地が人気ということもあって、こうした生地を生産するために、水溶性の糸を使って補強することが多くなり、水に溶けた物質が水質汚染を引き起こしているといいます。
 この「Savethewater」キャンペーンのプロジェクト、その一端をご紹介しましょう。
・目標は2つ:自然環境と優れた品質の双方を守ること
・R&Dに投資後、現在、使用する水量は従来の12分の1になり、温暖化ガスも90%削減された。水溶性の糸の生産に関しても、汚染物質は90%減り、汚染物質を減らしながら、水量を60%削減している。
・2014年には、キトサンから作られるナチュラルポリマー・ファイバーで天然繊維をカバーするキトテックスKitotex企画を推進。これによりタッチがソフトで、しかもより濃い色調が得られ、さらなる水量削減と汚染物質をトータルに除去する計画。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月19日 (火)

PV・MUサステイナブルなファッションがテーマに

 2014年春夏向けテキスタイルと副資材の見本市、パリPV とミラノMUでは、共にサステイナブルなファッションがテーマの一つに掲げられました。

419jgjcswl__sy300_  とくに以前からテキスタイル産業における「持続可能性」に関心を寄せていたPVでは、「美と善―イタリアから持続可能なファッションを考察する」と題した本が、このほど英語で出版されたことを好機に、ファッション産業の環境に対する責任に伴う新たな課題を議論するパネルディスカッション「A VIEW OF SUSTAINABLE FASHION 持続可能なファッションを考察する」が行われました。

 パネリストは、フィレンツェのイタリアファッションセンター事務局長のアルベルト・スカッチョーニ氏、本の共著者でミラノ・ポリテクニック工科大学教授のマルコ・リケッティ氏、ファッション評論家のマリア・ルイザ・フリスカ氏、カネパ社などエコロジカルな素材を推進している出展社代表、そしてユナイテッド・アローズ上級顧問、栗野宏文氏。   
 栗野氏は、「日本では大震災後、生きること、命の問題が重視されるようになり、食べるものや着るものについての品質への関心が高まった。とくにどこで誰がどのようにして作ったものなのかを見きわめてから購入する消費者が多くなった。今、売れているのはそうしたアピールをしている商品だ」と話されました。
 アルベルト・スカッチョーニ氏の言葉、「テキスタイルのないファッションはないし、エコロジカルなテキスタイルでないファッションはサステイナブルではない。グリーンでないファブリックは最終的にコストが高くつく」が印象に残ります。

 またMUでも、カネパ社による「水+クオリティ=Savethewater(水資源保護) 革新と持続性」のセミナーは、満席の盛況ぶりでした。ブルミネ社の最初の取り組み、「環境にやさしいイタリアのテキスタイル/服飾付属品」の紹介も行われ、改めてサステイナビリティが焦点になってきていると感じさせられました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月18日 (月)

PVとベンシモンのカラフルなコラボレーション

 今シーズン、PV会場のコンパニオンのユニフォーム制作に携わったのはベンシモン。同社は、約30年このかた、カジュアルシックで快適なコレクションを提案しているフランスのブランドで、ウルトラカラフルで、タイムレス&シンプルなコレクションで定評があります。

 デザインされたのは、2014春夏にPVが提案したカラーレンジで染めた22色のコットンのテニスシューズとドレス。なお、シューズとドレスの素材は、ポルトガルの老舗テキスタイル企業リオペレとのパートナーシップで実現したとのこと。シューズはジェネラルフォラムへ通じる通路でも展示されました。Cimg23951

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月16日 (土)

PV:匠の技が光る「メゾン・デクセプション」

 今シーズン、PV の目玉となったのは、2011年9月の初開催で好評だったPVの特設エリア「メゾン・デクセプションMaison d'Exception」です。今年から毎年この2月会期に行われることになりました。
 これは、伝統的な素材作り(職人芸的技術)もしくは革新的な素材作り(先端技術)に力を注いでいる工房に、国際的知名度とビジネス拡大の機会を与えるとともに、卓越したクリエーションを奨励することが目的。今期は16の工房が出展し、そのうち日本から下記、5つの工房が参加しました。(写真はクリックで拡大)

奥順(茨城県結城市)
 国の重要無形文化財で、ユネスコ無形文化遺産にも登録された「本場結城紬」を伝承する奥順。初めて出展した2011年9月展で、ルイ・ヴィトンの12/13秋冬コレクションに採用されたとのことで、今回は広幅(144cm幅)の、より目の込んだ服地を打ち出していました。  
1_2
  写真は一見ツィードのように見える紬地のジャケットを着用された同社のデザイン企画ご担当の上村絵里加さん。


Scimg2366okujun  四角い専用の道具を使って、絣くくりの手仕事を実演。木綿糸で経糸と緯糸をくくります。そのくくりが防染の役割を果たし、点や線で模様を表現します。


西山産業開発(石川県白山市)
 「牛首紬加賀の織座」のブランド名を持つ同社の牛首紬は、玉繭(2匹以上の蚕が合体した繭)から、伝承の「手挽き糸」技法によりつくられる絹糸で織った紬地で、しっかりとしたタッチでシワになりにくく、しかも肌馴染みがよいと、既に世界のファッション&アパレル業界から定評があります。
 今シーズンは、その広幅地にアンバーガード加工と呼ばれる松脂を使用した撥水加工の服地を発表し、そのほどよい光沢感とさらっとした弾力のある風合いが好感されていました。
 
Scimg2375ushikubi  ブースで、代表の西山博之氏。





遊絲舎(京都府京丹後市)
 藤蔓から生まれる「丹後藤布」を継承する同社は、現在パリのシテ科学産業博物館で開催中の「FUTURO TEXTILES」展にも出展されています。その類稀な、昔ながらの製法にこだわった懐かしい響きの帯地やアクセサリー、インテリア雑貨は、世界的に高い評価を集めています。

Scimg2381yushisha  ブースで、代表の小石原将夫氏。

Cimg2589yushisha  今回は藤績みの作業を実演されていました。




民谷螺鈿(京都府京丹後市)
 今回、初出展し、貝殻を織り込む螺鈿織を披露。蒔絵の「引き箔」技法で、アワビや黒蝶貝などの貝殻を和紙に付け、細いテープ状に切ったものを横糸にして織った織物は、深海のきらめきさながらに美しく、来場者を魅了していました。

Scimg2371tamiya  ブースで、代表の民谷共路氏。





天池合繊(石川県七尾市)
 世界の最先端技術で、世界一細い5デニールという超極細ポリエステル織物「天女の羽衣Super Organza」をつくっている同社は、まさに日本の誇りともいうべき存在。

Scimg2386amaike  Cimg2595amaike1 今シーズンは絹から透明ポリエステルへ、素材もカラーもグラデーションする服地や、大型のいくらのような漁卵をイメージさせる手絞りなど、これまで見たこともないような新素材を発表し、PVニュースに大きく掲載されて、反響を呼んでいました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月15日 (金)

2014年春夏PV:日本の新規出展社はコットン中心

 今シーズン、パリPVに出展した日本企業は、過去最多の40社。そのうち新規に参加したのは、コッカ(大阪市)、森下メリヤス工場(和歌山県紀の川市)、カネマサ莫大小(和歌山市)の3社です。(写真はクリックで拡大)

コッカ
 以前からテックスワールドに出展されていて、今回初めてPVに参加したという、プリント中心のメーカー。テックスワールドではアジア系の客が多かったが、PVではヨーロッパ系のしっかりしたバイヤーが来てくれて、商談しやすいとのこと。 
 人気は、「TOKYO KAWAIIカワイイ!」の小花柄シリーズで、風合いを重視してプリント加工したものがいい。
Cimg2470kokka1jpg  写真の綿サテンのマーブルプリントも、トレンドフォーラムに出品したこともあって、好評だそう。

 

森下メリヤス工場
 1907年創業の丸編みメーカーで、ブーメラン効果を期待してPVに初出展。いわゆるジャージー=メリヤスのイメージを塗り変える新しいものづくりに積極的に取り組まれています。 
 今シーズンは、洗えるソフトなリネン糸を開発したり、編地なのに布帛のようなハリ・コシのあるニットを提案したり。綿のツィードそっくりのニットや蛇柄ジャカード、強撚の透け感のある薄地、ラメ使いや光沢加工のファンシーなものなど、幅広い展開で、バイヤーを魅了。
Cimg2409morishita1jpg  写真は、代表の森下展行氏で、凹凸のある畝編が好評だったというビスコース混のサンプルを手にしていらっしゃるところ。



○カネマサ莫大小
Cimg2525wakayama1  綿100%中心に、オリジナル糸を80%使用して、肌に優しい着心地のよいシャツやジャケット用のニット生地をつくっているといいます。
 今回、とくに引き合いが多かったのは、インディゴ染めのジャカードニットとのこと。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月14日 (木)

2014年春夏プルミエールヴィジョン(PV)カラー

 2014年春夏の服地を発表するパリPVが、12~14日開催され、トレンドフォーラムでカラー傾向が提案されました。

Cimg25753jpg    全般に強い色が目立った先シーズンに比べると、微妙なニュアンスの色合いが多くなり、これまでよりも素材感、とくにクールな光沢感のあるカラーが重視されています。

 提案されたカラーグループは、下記の①~④で、その中央に背骨が通るようにニュートラル調のカラーが配され、その周りを様々なカラーが花開く、といったカラーパレットになっています。縦方向と横方向からカラーがつながり、わかりやすい配色構成です。

① ハイブリッド
未来感覚とプリミティブの混交。自然と人工の矛盾を感じさせるカラー。
② サブスタンス(実質的)
 生命体から抽出したようなピグメントのカラー。
③ プロジェクション
 クレヨンのように、すぐに使えるカラー。
④ ディジーネス(めまい)
 夢のような想像の世界を思わせる、酔ってしまいそうなカラー。

Logopvss14_hd_1_colonne_mode_2   これらのカラーは、今シーズンの4という数字のロゴが表現しているように、マルチカラーやレイヤードで使われるといいます。 
                      
 なお13日の速報によると、ベストは、明るいさわやかなカラー。
 プリントではマルチカラーのパステル調に人気が集まり、シャツ素材のストライプでは青ざめたハーモニー、メンズスーツ地では明るいグレーが好評で、白に溶けていくようなカラーも好まれたとのこと。
 
 総じて来春夏はソフトな光を感じさせる色が中心になってきそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月13日 (水)

バレンタインデーのデコレーション

 今回の欧州出張でミラノ、ロンドン、パリを巡り、各都市の店頭で目立っていたのが、バレンタインデーの飾りつけでした。厳しい真冬の街を暖かく彩っていたハートの装飾をご紹介します。

Cimg20561  ミラノでは、モード発信の中心地、モンテナポレオーネ通りが赤いハートの天蓋におおわれていました。




Cimg21501jpg  ロンドンでは、コベントガーデンに、縁結びの南京錠がたくさんかかっているハート型の大型のフェンスが設置されていました。



Cimg2652colette1  パリでは、モードのセレクトショップとして有名なコレットが、写真のようなウインドーディスプレーで、バレンタインデーを盛り上げていました。
 こちらでももちろん日本と同じで、チョコレート屋さんが大繁盛していました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月12日 (火)

マン・レイ展:リー・ミラーのポスターに惹かれて

Manray_cat  厳寒の小雨模様のロンドンに来て、美しいリー・ミラーの横顔の写真に目を引かれました。それはナショナル・ポートレート・ギャラリーで開催されているマン・レイの肖像写真展のポスターです。

 写真家として、またモダンアートの先駆者として、ファッション写真でも著名なアーティスト、マン・レイの回顧展を見る機会は、東京でもそんなに多くはありません。早速行ってみることにしました。

 会場には、1920年代のマルセル・デュシャンからヘミングウエー、ハリウッド女優たち、1960年代のカトリーヌ・ドヌーヴまで、これまで本や映画の中でしか見たことがなかった実物の肖像写真がずらりと展示されています。

Manrayingresviolin1924  中でもひときわ目立っていたのが、ターバンを巻いたキキ・ド・モンパルナスをモデルにした「アングルのバイオリン」。彼女のボディをバイオリンかチェロに見立てたシュールレアリズムの作品です。「アングルのバイオリン」とは、フランスのことわざで「下手の横好き」の意味というコメントも添えられていました。他にもキキの写真はたくさんあって、可愛いらしくも儚げな女性だったことが偲ばれます。 
 
 またもう一つ、注目の一品がポスターに使われたリー・ミラーの肖像写真です。リー・ミラーはマン・レイの二度目の妻で女流写真家に転身し、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で報道写真家として活躍しました。今でもよくファッションクリエイターたちが、ミリタリー調のモードなどイメージ・ミューズとして取り上げることの多い女性です。エレガントな中に芯の強さを感じさせる女性像は、現代女性の原点的存在なのでは、と思います。

 写真はすべて白黒ですが、真に迫り、それぞれがまるで生きているかのようでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月11日 (月)

春一番のモードにオプティカルなヴィジュアル

 この春一番のミラノやパリのモードストリートを回って、目を引くのがオプティカルなヴィジュアルのショーウィンドーです。

 全般にジオメトリックなデザインで大柄なものが多くなっている今シーズンですが、ジオメトリックというよりも、目がチカチカするような錯視効果のあるオプティカルアート、それも写真のような白/黒による構成が目立ちます。ルイ・ヴィトンの今春夏コレクションにならったかのようなチェッカーボード柄も、増殖している感じです。モードリーダーたちが揃って同じテーマになるとは、モードって不思議ですが、だからファッションということでしょう。
Cimg1485maxmaraCimg1450pinco_3 
PINCO(ミラノ)       MaxMara(ミラノ)
1 

LANVIN(パリ)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月 9日 (土)

ミラノ・ウニカ成功裡に閉幕

 ミラノ・ウニカ(MU)の最終報告によると、第16回開催展は、前年同期比+5.5%となる19000人を超える訪問客を集め、盛況のうちに閉幕したとのことです。そして「これはイタリア繊維産業が支持された結果」という、MU会長シルヴィオ・アルビーニ氏の喜びの言葉を伝えています。

 訪問客が増えたのは、とくにイタリア国内からの来場増によるもので、逆に外国からは-2%とわずかに低下。これは中国の春節やミュンヘンでのテキスタイルフェアと重なったことによるものとしています。しかし重要な国からの来客は、日本+25%、USA+20%、インド+19%、メキシコ+19%、フィンランド+16%、トルコ+6.5%、スイス+3%と増加。香港と英国も高い数字を維持し、またカザフスタンやコロンビア、南アフリカ、アンゴラから初めてバイヤーが来場したといいます。

 全般に訪問客、出展者とも、満足の声が聞かれたとのことで、イタリア繊維産業の回復と成長が期待されます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月 8日 (金)

ミラノ・ウニカで「ボタン:アートとファッション」展

 今回のミラノ・ウニカで、併催イベントの一つとして服飾付属品エリアで行われたのが、フランコ・ヤカッシ氏監修による「ボタン:アートとファッション」展です。
 フランコ・ヤカッシ氏は、Musei Mazzucchelliのキュレーターで、このミュージアムでは、16~20世紀までの1万点以上ものボタン・コレクションを集めた同名の展覧会が、4月半ばまで開催されているとのことです。ここではそのうちの約4,000個のボタンが、円形のテーブルに年代ごとに分類され、展示されました。
Cimg14271_2  記者会見で、左がフランコ・ヤカッシ氏。 中央は同博物館のジミナリ・ピエランジェラ氏。


 
Cimg13661_2   18世紀に流行ったパールのボタンや19世紀のカメオやウエッジウッドのボタン、20世紀のベークライトやセルロイド製のものなど、中には日本の「raku楽焼? 」風のものもありました。

またスキャパレリ(写真右)1 やディオール、バレンチノ、プッチ、フェラガモ、クレージュら、オートクチュールで使用された希少なボタンも披露され、小さなアクセサリーにすぎないボタンが、ファッションやアートと密接に結びついていることを伝えてくれました。

 現在も約500社がボタンを生産しているというイタリア。この分野ではイタリアが世界のトップに君臨していることをアピールする展覧会でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月 7日 (木)

2014年春夏ミラノ・ウニカ「Be Bold! 大胆に!」

Energy_fun_0051_2   2014年春夏シーズンに向けてミラノ・ウニカ(MU)のコンセプトは「Be Bold! 大胆に!」。 

 テキスタイル/服飾付属品業界にあえて「大胆であれ」と求めているのは、裏を返せば、イタリアの経済環境が悪化し、無難な路線へ傾く傾向がみられるからにほかなりません。新しい地平を切り拓くために、勇気を出して変革して、とメッセージを発信しているのです。

 MUのトレンドエリアも、今シーズン、大胆に変化していました。ヴィジュアルが大画面での映写となり、素材ディレクションもこれまでテーマが四つあったのを、次の二つに絞って提案されています。
 (1)ラグジュアリー・グラムLuxury-Glam(魅惑) エレガントでシック、フォーマルな感覚。
 (2)エナジー・ファンEnergy-Fun(楽しみ) カジュアルでスポーティブ、インフーマルな感覚。
Energy_fun_0111_2 Luxury_glam_0291_2

ラグジュアリー・グラムの展示 エナジー・ファンの展示 (写真:MU提供)
 
 スタイル委員長のアンジェロ・ウズレンギ氏によると、ファッションの大きな潮流は、「スポーツ・クチュール」。つまり(1)と(2)が複雑に絡み合う、双方の感覚を併せ持ったスタイリングだそうです。

 いずれにしても「大胆な試み」を進めること、これ以外に打開の道はないようです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月 6日 (水)

ポール・スミス氏を迎えてミラノウニカ開幕

 今日から8日までの3日間、2014年春夏向けイタリアとヨーロッパのテキスタイルコレクションの精髄を発表する見本市、第16回ミラノウニカ(MU)が 開催されています。ここミラノは青空が広がりさほど寒くはありません。今朝早く到着し、すぐ同会場に入り、恒例のオープニングを取材しました。

 式典は特別ゲストとして、メイド・イン・イタリーのテキスタイルを愛してやまないというイギリスの人気デザイナーで実業家のポール・スミス氏を迎えて始まり、まずMU会長のシルヴィオ・アルビーニ氏が次のように挨拶されました。

 「今回は出展社が前年同期比23社減の417社となり、イタリアのテキスタイル産業の総売上高も、2012年、5.1%減少した。とはいえEU域外諸国への輸出額は、中国5.5%増、アメリカ6.8%増、日本18.3%増、ロシア12.4%増となり、テキスタイル産業の貿易収支の黒字額は25億5,000万円に増加している。これは歴代政府が我々業界の競争力を支えるいかなる措置を講じてこなかったにもかかわらず、私たちが収めることのできた業績だ」と述べ、ジョルジォ・アルマーニ氏の指摘を引用して「イタリアのファッション産業に手を差し伸べないことは“自殺行為”に等しい」と強調。
 さらに続けて「私たちがとくに目を向けなければならないのは新しい市場で、消費者はデジタル世代であり、購買力があり、品質や技術革新への関心も高い。実業家として私たちの企業を単なる製品の作り手からブランドの作り手へと進化させ、消費者にとっての価値を創出することを戦略の中心に据えるために、今日はポール・スミス氏からお話をうかがえる貴重な機会になる」と、スミス氏を紹介。

Opening_ceremony_002  左はポール・スミス氏、右はシルヴィオ・アルビーニ氏




 そのポール・スミス氏は、「考えるべき様々なこと」をテーマに、イタリアのテキスタイル業界に焦点を当てながら、世界のファッションビジネスの現況について、ご自身のイラストを駆使したユーモアに満ちたスピーチをされ、場内を沸かせていました。
 「感覚ではなくロジカルに考え、違いを創れ」、「イージーに陥るのではなく正しいことをやれ」、「ファッションとは今日と明日、100%あるか全くないかを考えること」などなど。とくに巨大コングロマリットが幅を利かせている現状を鑑みて、今後重要な鍵となるのは、“コラボレーション”と成功例を挙げて話されていたことが印象的でした。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月 5日 (火)

1枚の白い布からシャツの「素」を引き出す「無印良品の白いシャツ展」

 無印良品で定番のシャツといえば、「洗いざらしのシャツ」。最初から肌になじみ、洗っても風合いが変わらない。このシャツは「無印良品の顔」ともいえるシャツです。
 デビューしたのは1983年で、今年でちょうど30年が経ちました。この節目の年に向けて、シャツの本質に向き合おうと「無印良品の白いシャツ展」が、有楽町店の「ATELIER MUJI」で、3月3日まで開催されています。これは一枚の布からシャツの「素」を引き出そうという試みで、ここに無印良品の原点があり、未来があるといいます。
 
 作品構成は、衣服造形家の眞田岳彦氏で、コンセプトはシャツを解体し、身体を直接包む一枚の布から、「素」を抽出するアイディアです。ポイントとなるのは、首まわりを被う一枚の小布、即ち襟。襟は布を着用する人の印象や認識に大きく影響する大切で必要な印であり、これに気づくことで、新しい暮らしの場を手に入れ、豊かに生きる方法を無限に変化させることができるといいます。
Cimg13201_2  
 中央の壁面に展示されているのが、「印無いシャツ」と題した、無垢な一枚の布がつらなるコットンのダブルガーゼの作品。その両脇には白い綿布が左右各5枚ずつ吊り下げられ、各布には襟の付いた円形の開口部が開けられていて、白いシャツを連想させます。インド綿や新疆綿などといった原綿の産地も表示されていました。
 
Cimg13011  無印良品では昨年、定番のシャツの「見直しプロジェクト」をスタートさせ、着心地を研究。シルエットや生地、ボタンを見直すことにより、背中と肩にかかる衣服圧が、現行より46%軽減されるシャツを新開発したとのことで、今、写真のように大々的に販売されています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月 4日 (月)

白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ

 白隠の初の本格展が、東京・渋谷のBUNKAMURAザ・ミュージアムで開催されています。

 我が家は臨済宗なので、白隠慧鶴(1685~1768)は「白隠禅師 座禅和讃」でお馴染みですが、この禅僧が、現存総数1万点を超える絵を描き、日本美術史上最多の作家であったとは知りませんでした。本展では、その内約100点が展示され、中でも自身を描写しているといわれる達磨の絵がたくさんあって印象に残っています。

Pic_12_hakuin  写真はちらしにも使われた「半身達磨」で通称「朱達磨」。背景の黒に赤い衣、眼球の白と色彩のコントラストが鮮やかで、最晩年80代の作品と言われています。「直指人心 見性成仏」の賛が記されていて、「まっすぐに自分の心を見つめて仏になろうとするのではなく、本来自らに備わっている仏性に目覚めなさい」と説いているといいます。

 戯画も多く、マンガティックな風刺は現代のサブカルチャーである、マンガ文化に似ています。当時もこのような絵は、浮世絵同様、狩野派など正統派絵師たちからは見下されていたに相違ありません。

 絵師としてはマイナーだったかもしれない白隠ですが、後生に大きな影響を及ぼしています。そこにはユーモアに包まれた、深い意味が刻まれているからでしょう。
 本展の監修者で美術史家の山下裕二先生によれば、ジョン・レノンは白隠思想に感化されていたそうです。映画「イマジン」の中に、ジョン・レノンが自宅に白隠の達磨絵を飾っているシーンが出てくるといいます。

 展覧会は、白隠が時空を超えて私たちに届けてくれたメッセージ。2月24日までの開催です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月 3日 (日)

鎌倉で旬な自然派レストラン

 節分の穏やかな一日、鎌倉に昨年10月にオープンした、話題のレストラン、「鎌倉ガーデンハウス」でランチしました。予約しないで行ったので、やはり少し待たされましたが、ビザが美味しかったです。お値段はやや高め。テラス席の方はペット同伴OKだそうです。

Cimg13281  ここは漫画家の横山隆一さんの邸宅があった場所で、アトリエらしい瀟洒な雰囲気があります。自然の中のレストランらしいツリーハウスも建っていました。といっても地上に設置されているのですが、これは1月30日付けでご紹介したツリーハウス・クリエイターの小林崇氏が手がけられたものだそう。

Cimg13261jpg  食事やお茶するだけではなく、雑貨やシャツなどの衣類、地方の名産品などの販売もあり、まさに今、旬な複合施設と思いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月 2日 (土)

「新井淳一の布 伝統と再生」展で布の奥深さを体感

20130122_299938  世界的テキスタイル・プランナーの新井淳一氏の「新井淳一の布 伝統と再生」展が、東京オペラシティ アートギャラリーで、3月24日まで開催されています。
 
 新井淳一氏は、1970年代から80年代にかけて、既に三宅一生や川久保玲らファッションとの関わりで新風を巻き起こし、その名が広く知られていました。私は80年代初めに、桐生のご自宅(アトリエ)を訪問させていただいたことがあり、青い作務衣姿で、やさしく接して下さったことが忘れられません。そのときいただいたコンピュータージャカードによる白/黒の風通織で超強撚糸使いの綿のスカーフは、今も私の宝物です。
 
 同氏も今年は傘寿だそう。本展は、同氏のこれまでの布つくりを集大成するもので、 3つのセクションで構成されています。

1. 自己組織化
 「あらゆる物質は自己組織化(self-organisation)して、自分自身の組織や構造を作り出す性質を持っている。この自己組織化と自然の摂理を重視し、それら自身の力を借りて、まだ見ぬ布が自ら生まれるのを待つのです」のパネル表示があり、コンピュータージャカードを駆使した筒状織物や風通織、大三角、ロンドンのビクトリア&アルバートミュージアムにも収蔵されたという布目柄、絞り、縮絨、また金銀に輝くスリットヤーンや真空熱転写、メルトオフなど、これまで見たこともない素材や工程の様々な布地35種が、平面にフラットに並べられ、ほの暗い中に浮かび上がっている。その光景は、まるで銀河系の中に漂っているかのようにも見えます。
2. 精神と祈り
 パネルには「布は様々な形に変幻する。かすかな風にもそよぎ、光を反射し、祈りに満ちた伝統の流れの中でつくられるそれぞれの布が呼応し合い、未知の作品として創生する」とあり、天井からつり下げられた長い布が目を引きます。「氷河」、「光輪」、「オホ・デ・ディアス(神の眼)」、「アフリカン絞り」といったテーマ名があり、世界各地の自然や民族文化が発想源になっていることがわかります。
3. 創生の火種
 「創生の原点は伝統の鉱脈の中にある。伝統なくしての創生はあり得ない。伝統とは人が人となって以来、守り続けてきた精神の歴史であり、そこにはすべての創生にゆれる火種が燃え続けている」。ここでは同氏が世界を巡る旅の中で撮影した豊富なスライドプロジェクションが廊下の床面いっぱいに展示されています。
 
 規制の枠にはまらない自由な発想で、手仕事とテクノロジーを融合させた新井淳一氏、そのすばらしいクリエーションに、改めて布の奥深さを体感させられます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月 1日 (金)

日本の繊維製品立て直しはエコマインドで

 低迷する日本の繊維業界で、「メイド・イン・ジャパンのよさを発揮させるには、エコロジカルなマインドを採り入れることが大事」というのは、NPO法人日本ファイバーリサイクル推進協会理事長の木田豊氏。

 ユニバーサルファッション協会の定例会で、「最近の繊維3R動向とリクチュールファッション」をテーマに行われた同氏の講演は、改めて3R(リサイクル、リデュース、リユース)の重要性を浮き彫りにしました。

 日本の繊維産業の生産はリーマンショック以降減少し、在庫は増大の一途。全国百貨店売上高は、昨年ようやく16年ぶりにプラスにはなったというものの、繊維製品の輸入浸透率はますます増えて、2005年の95.4%が2012年には96.7%になり、アパレル縫製業は壊滅状態です。
 これを立て直すには、エコマインドこそキーポイントといいます。日本のテキスタイルは優秀で、縫製技術も優れているので、あとはそれに3Rの精神を入れればいいと。3Rはもともと日本から発信された考え方ですし、日本製の底力はそこにありそうです。

 今、若年層やファッション感度の高い層で、ものを大切にしようという動きが広がっていて、古着ショップやフリーマーケットが人気を集めています。リフォームやリペア業の伸びも目覚ましい。その一方で、繊維製品のリサイクル率は低く、約75%が可燃ゴミになり、温暖化ガスを発生させているといいます。

 ゴミになる前に工夫して再利用するのが、リクチュール。端材や残反、古着、故繊維(再生品)などをクリエイター、デザイナーたちの手によってクオリティの高いモノに作り替えるというもので、他にない一品物としてつくり出される商品です。これにより3Rはおしゃれで楽しいものになります。
 昨年「リクチュール塾」を起ち上げられ、今後はリクチュール塾卒業者によるリクチュールデザイナー協会を設立されるという同氏。最後におっしゃった「捨てない、さらに捨てない」は、ファッションの未来を示唆しているように思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »