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2012年12月23日 (日)

「シャルダン展―静寂の巨匠」

 「シャルダン展―静寂の巨匠」が、東京・丸の内の三菱一号館美術館で開催されています。1月6日までですので、すでに終盤に近づいた先週のひと時、観覧してきました。

 ジャン・シメオン・シャルダンは18世紀ロココ様式時代のフランス絵画界を代表する画家で、当代の人気画家ヴァトーと並び称される巨匠です。食器や果物など、日常の品々を題材にした静物画が有名ですが、民俗画の傑作も多く、服飾研究の重要な史料であり教材となっています。

 とはいえ、日本ではあまり知られていません。これまでまとまった形で展覧会が開かれたことがなかったからでしょう。シャルダンは個人所蔵のものが多いのだそうで、今回のように38点(内、26点初来日)、それもルーヴル美術館名誉総裁・館長ピエール・ローザンベールの監修による厳選された作品が展示されることは大変稀といいます。

Docu00902jpg  中でも私が一番興味を惹かれた作品は、ちらしにも使われている「食前の祈り」。これは1740年、シャルダンがルイ15世に謁見したときに献上したといわれている作品で、同主題のものは4点現存し、その内2点、シャルダンが亡くなるまで手元に残していたというルーヴル美術館所蔵のものと、ロシアのエカチェリーナ2世が愛蔵したエルミタージュ美術館所蔵のものが出品されていました。両者は同じように見えましたが、手前に置かれた道具など、モチーフが少しずつ違うことを確認しました。シャルダンはよくこういうことを行ったようです。また女の子が二人描かれていますが、手前は実は男の子です。当時は小さな男の子が健康に育つようにと、女の子の格好をさせる風習があったのです。

Docu00911  光を捉える技法も天才的で、静かな調和のとれた画面の中から、光を当てられた部分が飛び出してくるように、ぐんと立体的に見えます。1768年の静物画「桃の籠」に描かれた桃は、まさにビロードのようにリアルに迫ってきます。1737年の「羽根を持つ少女」も、シャルダンの優れた技量がよくわかる美しい作品です。

 シャルダンは後世、19世紀に活躍したセザンヌら印象派の画家たちに、大きな影響を与えています。本展はこのことも実感できる、中身の濃い展覧会でした。

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