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2012年12月11日 (火)

ジョルジュ・ルオー「アイ・ラブ・サーカス」展

Cimg07281jpg  ジョルジュ・ルオーのアイ・ラブ・サーカス」展に行ってきました。会場はパナソニック 汐留ミュージアム(東京都港区東新橋)で、閉幕間近とあってかなり混雑していました。

 同ミュージアムは「ルオーギャラリー」を常設し、ルオーの企画展を毎年開催していますが、今回は「サーカス」がテーマです。ルオーというと厳粛な聖画のイメージが強いのですが、実はサーカスに因んだ作品も大変多く、全作品3,000点のうち約3分の1を占めるといわれています。

 ルオーは「我々は皆、多かれ少なかれ道化師」というボードレールの詩に共感し、サーカスの道化師に扮した自画像をいくつか残しています。本展ではこの自画像の一つが冒頭に展示されていました。社会的弱者の道化師に同化しようとしたルオーは、社会の底辺に生きる人々に人間本来の姿を見ていたのでしょう。そうした労働者や踊り子、娼婦たちといった人物を描写した絵画が、年月とともに変化していく様子を見ることができて、大変興味深かったです。

 まず師であったモローが亡くなった頃の、若かりし日の作品には、サーカスの華やかな舞台の裏側に佇む人々が、どちらかというと醜い姿で描かれています。哀切な身の上が胸に迫ってくるようです。

2_2   その後30歳を過ぎると、ロートレックやマチス風の作風が見られるようになります。アクロバットをする人や当時のキャバレー、永井荷風も通ったという「バル・タバラン」などに見る、ブルーの水彩の濃淡で奥行きを感じさせる構図に、抽象化への萌芽が感じられます。

 20~30年代になると、大口の画商がついて、同じサーカスでも移動式ではなく、シルク・ディベール(Cirque d’ hiver 冬のサーカス)のような常設の豪華なサーカスを描くようになります。道化師も柔和に微笑むホワイト・クラウンが好んで描かれます。

1_2  晩年は、今回のポスターにも使われている「貴族風なピエロ」のように、高貴な風格のある道化師が多くなります。色彩も明るく輝きを増しています。ルオー自身も苦悩から解き放たれ、聖なる高みへ上がっていったかのようです。

 あらあらしさから静けさへ、厳しさからやさしい安らぎへ、そして最後にキリストのような神聖な存在へ――。謹厳実直そうに見えて、実は相当な遊び人だったらしい、一人の画家の生涯を上手にまとめた、記憶に残る展覧会でした。

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