工芸美の極致を究めるヤコブ・シュレイフファー
ヤコブ・シュレイファーJAKOB SCHLAEPFER社が、先週、東京ビッグサイトで開催されたインテリアライフスタイル・リビングに出展し、セミナーを行いました。
同社はいつもパリのテキスタイル見本市プルミエールヴィジョン(PV)に出展している、世界最高峰の刺繍やレースのメーカーで、私はPVへ行くたびにブースを訪れ、他にはない技術と創造力から生まれた美しいテキスタイルに驚嘆している一人です。
今回はインテリア部門担当のデザイナー、ミケーネ・ロンデリ氏からお話を伺いました。創業は1904年で、スイスのサン・ガレンが本拠地です。スタートはコットン産業、次いでリネン、それから刺繍やレースを手掛けるようになり、スワロフスキーを最初に用いたことで有名になります。ビジネスの主な拠点をパリとニューヨークに置き、ハイファッション、とくにルイ・ヴィトン、シャネルなどオートクチュール・メゾンを顧客に飛躍します。転写プリントを導入し、1993年、初めてスティールやブロンズ、コパーといったメタリック糸を用いたテキスタイルを打ち出します。2008年、インテリア部門を起ち上げます。このときこの部門のチーフに同氏が起用されたそうです。同社はレーザーカット刺繍技術で既にその名を馳せていますが、それをさらに発展させて、2011年、レーザーで生地を切るのではなく削ることに成功。今年、二枚の薄地をボンディングして、片面をレーザーで削って柄を浮き上がらせる「ジャスパーJasper」(右の写真) を発表しています。
毎年、約3,000点もの新作を展開し、現在は2014~15年向けコレクションをデザインしているという同氏のデザインに対する考え方は次のようです。常に市場の先を行かなければなりませんから、デザインのアイディアは、既存のファブリック以外の分野、発明、発見といった科学分野などからインスピレーションを受けて得ることが多いとか。またデザインは新しいものをつくり出すことですけれど、それはトレンドを生み出すことではなく、いかに心地よい空間を創出するかにあるともいいます。美のみではなく、ラグジュアリーな空間を想い描いて、コスト抜きに、デザイン性から入っていくそうです。
織り上がった生地に仕上げし、デコレーションを施す過程は、すべてコンピューターではなく、手描きや手縫い、手貼りなどミリ単位の手作業が加わっていて、その精緻なテキスタイルはまさに工芸美の極みです。
最後に今のファッション・トレンドについて―、刺繍やジャカード、アールデコ調の細かい手仕事の技を駆使したリッチなテキスタイルにあり、カラーは赤や黄色など、原色でコントラストをつける方向。とくにきらめくスパンコールが人気で、ウールなどマット感のある素材に組み合わるのが新しい傾向になっているとのこと。
ブースで取材した同社のオリジナルをいくつかご紹介します。(写真:クリックで拡大)
「ファントムPhantom」と呼ばれる、世界一軽い1㎡当たり10gの超ファインポリエステル100%。
手で触ると変化するジャクソン・ポロック調のメタリックなスパンコール、「ポロックPollock」。
光る箔やスパンコールをプリントにのせたカラフルなカーテン地。
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