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2012年9月

2012年9月30日 (日)

PV・MUに初出展した島精機

 日本が誇る総合メカトロニクス企業、島精機が、この9月開催のヨーロッパのテキスタイル展、パリのプルミエール・ヴィジョン(PV)とミラノ・ウニカ(MU)に初出展し、存在感を強めています。パリでは今期より新設の横編みニットのコーナー、ニットソリューションズでの展示です。

 Cimg9063shima1 島精機はコンピュータ横編機の分野では世界シェアNo.1。しかし両展ともにマシンを設置することはできないとのことで、無縫製ホールガーメントの編成時間を大幅に短縮した新機種「マッハ2X」によるニット製品の紹介と、デザインシステム「SDS・ONE  APEX3」を発表しました。
 APEX3は、現物の糸をスキャナ入力し、データベースに登録すると、織物や編物のテキスタイルやプリント、製品イメージまで、どのようなものでも3Dバーチャルでシミュレーションできる、世界にも類を見ないオールインワンのデザインシステムです。実演を体験した来場者たちは驚きの声を上げていました。
 また写真処理した金閣寺や浮世絵の絵画展示にも驚かせられました。これは従来のマキシマム18Gから、21Gというハイゲージを可能にしたニットマシンを使って、6色使いで編成されたもの。世界初の美しいニット・タペストリーに見入ってしまいました。

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2012年9月29日 (土)

「ジョルジュ・ルオー アイ・ラブ・サーカス」展ご案内

20120921_20695_2  パナソニック 汐留ミュージアム(東京都港区東新橋)で、10月6日(土)~2012年12月16日(日)まで、「ジョルジュ・ルオー アイ・ラブ・サーカス」展が開催されます。元々このミュージアムには「ルオー・ギャラリー」が常設されていて、これまでにも度々企画展が行われてきましたが、今回はルオー作品の中で約3分の1を占めるといわれるサーカスに焦点が当てられます。 
 場末のサーカスの道化師や踊り子たちの世界に心を寄せたルオーは、彼らを描くことで人間本来の姿を表現しようとしました。そこには19-世紀末から20世紀初頭のパリのモンマルトル界隈に生きた人々の悲哀が描かれています。
 当時はマチスやデュフィらフォービズム(野獣派)の画家たちが燦然と登場した時代でしたが、ルオーは色彩豊かなフォーブとは一線を画し、アカデミズムに背を向けた孤高の画家でした。本展は、「道化師の画家」と呼ばれたルオーの精神性を探る興味深い展覧会になるでしょう。

公式サイト: http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/12/121006/


 

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2012年9月28日 (金)

PVインディゴ展で日本人デザイナーがカラー賞受賞

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 パリのプルミエール・ヴィジョン(PV)展と併催のテキスタイルデザインのインディゴ INDIGO展で、TEXPRINT 2012のカラー賞に、日本人テキスタイルデザイナー岸本万里さんが選ばれ、ネリー・ロディ審査委員長から表彰状を手渡されました。
 

 TEXPRINTは、毎年イギリスにおける最も優秀なテキスタイルデザイン卒業生を認定するプログラムです。2012年度は、各大学から選ばれた200名以上の候補者の中から、さらにプリント/織物/ニット/刺繍/ミックスメディアの各分野別に選び抜かれた最終選考の24名が選出され、この中にセント・マーチンズ芸術大学の日本人留学生が二人、プリントの岸本万里さんとニットの團之原梓沙さんが入り、他の22名とともにインディゴ展で作品が展示されました。
 TEXPRINT 2012では、この24名のテキスタイルデザイナーの作品の中から、特別賞としてボディBODY賞、スペースSPACE賞、パターンPATTERN賞、カラーCOLOR賞の4つの賞が授与され、岸本万里さんがカラー賞を受賞。同展で、4名の受賞者の表彰式が行われました。
 岸本さんは横浜市出身で杉野服飾大学短期大学部卒業後ロンドンのセント・マーチンズ芸術大学に留学。自然や鳥をテーマにした大胆な色使いのグラフィカルな作品で頭角を現した俊英です。審査員の一人は「並外れていいて、感動的。とくに彼女のイラストはすばらしい」と高く評価。今後の活躍が期待されます。Cimg9255kishimoto1        PVインディゴ展で岸本万里さん、ご自身のブースで。

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2012年9月27日 (木)

ミラノ・ウニカ 初の「タッチ・ザ・ファブリック」アワード

 今回ミラノ・ウニカで、初めて開催されたのが「タッチ・ザ・ファブリック」アワードです。これはイタリアのフィレンツェを中心とするトスカナ州プラトーのテキスタイルメーカーが、「メイド・イン・トスカニー」ブランドを世界に広めようと、未来のデザイナー育成を目的にスタートさせたプロジェクトで、世界的に著名な10か所のファッションやデザインスクールの学生たち19名が、参加企業16社の生地を使ってデザイン制作した作品が38点、モーダイン・エリアに展示されました。 日本からは文化服装学院の村田章さんと山﨑陽子さんの二人が参加し表彰を受けました。
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 二人は3年生だった昨年、デザイン画で申し込み、今年3月にワークショップに招待され、糸や織物づくりを学び、ブラトーのメーカー数社の工場を訪問して生地選びをしたそうです。選んだ生地は「タッチ・ザ・ファブリック=布地に触れる」というように、思い通りに加工して、服に仕立てました。
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 写真右は、村田さんの作品で「紙に滲むインクの染み」をテーマに、ニードルパンチを駆使したスーツ。
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 写真左は、山﨑さんの作品で「質感のあるものから質を感じさせないものへ」をテーマに、糸を引き抜く、解すなどした布地を組み合わせてつくったレイヤードスタイル。 
 
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 なお最優秀賞を受賞したのは、中国・北京のLIU RUIさんのメンズ作品でした。
 
 このアワードは始まったばかりで、日本ではほとんど知られていません。山﨑さんは「この賞は特典が大きいですし、もっと多くの学生に応募してほしい。」と話していました。

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2012年9月26日 (水)

ミラノ・ウニカ 2013/14秋冬のテキスタイル

 「More is never enough. もっとでは、まだ足りない。」―― 90年代ミニマリズム旋風を批判したジャンニ・ヴェルサーチェの言葉。
  ミラノ・ウニカのスタイル委員会コーディネーター、アンジェロ・ウズレンギ氏は、上記を引用し、来秋冬のテキスタイルを「Rich & Preciousリッチ&プレシャス」としています。「経済危機の時代には、プアーなものは好まれず、逆に高級感や贅沢感のあるものこそが求められる」と語り、ジャカードを中心にベルベット、レース、メタリック加工など、高度に洗練された極上の素材感を強調しています。

○触り心地は「クリーミー」 : フエルト調、コンパクトネス、チェック、ダブルフェイス
○ジオメトリカルなジャカード : ミクロ(極小)とマキシ(極大)のジャカードの多彩なバリエーション 
○シルクの軽さ : オパール加工、レース、透かし織りなど、見えそうで見えないセミ・シースルー
○サテンや反射する光 : ラミネートやラッカー加工、ブロンズやコパー、スティールなどのメタリック、ときにはミラー効果を発揮し、宇宙的な色彩をイメージさせる光沢感
○ジャージー : 多用途に拡大
○精巧なディテール : 職人技や細緻な手仕事の結晶

<提案された4つのテーマ>
○INFORMAL & SPICY                                                 カジュアルなくつろぎに息づくスパイシーな活気
 インテリアヒント/多種多様なチェック/フォークロアの遺産
○FORMAL & SUGARY                                                「薔薇色のメガネ」で見た昔堅気
 優雅でポジティブな生き方/デザートにみる心地よさ/ブルジョワ的な楽しみ
○COLD & SENSUOUS                                                        慎ましさの中に浮かび上がる魅惑と魔法
 節度ある滑らかさ/宇宙からの光/曲線美のアピール
○HOT & CLASSY                                                           本物のシックを備えたエキセントリックな奇抜さ
 アーチストの狂気/完璧なダンディズム/オリエンタルな貴族性写真 Hot_classy_0151_6


トレンドコーナー                                                              4つのテーマの内、ウズレンギ氏が最も重要と指摘したHOT & CLASSYの展示


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2012年9月25日 (火)

2013/14秋冬向けミラノ・ウニカ

 ミラノ・ウニカとは、年2回、2月と9月にミラノで開催され、高級品市場において世界をリードしているテキスタイル展です。2005年に、38年以上にわたって世界にイタリアとヨーロッパのコレクションを紹介してきた4つのテキスタイル展、イデアビエッラ(高級紳士服地)、シャツ・アヴェニュー(シャツ地)、イデアコモ(シルクとプリント服地)、モーダ・イン(服地と服飾付属品)が統合し、誕生しました。
 
 第15回目となる今回は、9月11~13日、ミラノのフィエラシティで開催され、2013/14秋冬もののテキスタイルが発表されました。出展企業は458社(内、欧州企業74社)で昨年同期比25社減少しましたが、来場者は21,000人で昨年同期並み。英国などヨーロッパからの来場が大幅減。しかしそれをカバーしたのが中国(+75%)、日本(+12%)やロシア(+4%)でした。
 
 初日のオープニングセレモニーは、イタリア共和国首相マリオ・モンティ氏も列席して行われ、ミラノ・ウニカ会長シルヴィオ・アルビーニ氏をはじめとする繊維業界や関連団体の重鎮が各々登壇し、出展企業やジャーナリストら来場者に歓迎の挨拶をしました。その要旨をまとめてみましょう。

Cerimonia_052_2写真左マリオ・モンティ首相 右シルヴィオ・アルビーニ会長



 システマ・モーダ・イタリア研究所のデータから「今年上半期、イタリアのテキスタイル産業の生産は数量ベースで15.3%減少。テキスタイルの輸出も金額ベースで5%、とくに数量ベースで10.4%減少した。しかし不況の影響はイタリアのテキスタイル産業の様々な部門に対し同じように及んだわけではなく、たとえば紡毛織物の海外販売は金額ベースで3.7%伸び、ピュアシルクの織物の輸出は5.3%増加した。イタリアは毛織物部門では世界第1位の輸出国で、世界市場の39.7%を占め、麻織物と絹織物の輸出においても第2位を維持し、それぞれ16.8%と15.2%のシェアを占めている。それに対して綿織物とニット生地については、イタリアはそれぞれ第4位と第5位の輸出国となっている。一方、中国は毛織物部門を除くすべての種類の織物の輸出国として首位の座を誇っている。」
 これを受けて、シルヴィオ・アルビーニ会長は、「加盟企業の未来は、輸出を成長させ、新しい重要な市場における存在感を高めることにかかっている。今年前半、中国は香港とともにドイツに次ぐ輸出相手国となり、中国向け輸出の伸びは7.4%増加。またアメリカ向けも6.8%増、ポルトガル向け3.2%増となっている。海外市場がますます重要となっていることから、この10月22~25日に上海で開かれるMUチャイナには、123社が参加する予定。これは今年3月の北京展に比べ30%増だ。」
 そしてモンティ首相に対し、「ミラノ・ウニカが、イタリアの経済・社会・文化の発展に貢献し続けていくためには、国と公的機関が常に背後にあることを確信している必要があり、企業とそこで働く人々に対して、誇りと情熱を傾けることができる国づくりを願っている」と締めくくりました。
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 この日の夕べには、ウールマークの協力でファッションショーのイベント第4回「ON Stage」が開催され、中国やブラジル、スエーデンなど各国から招聘された10名の新進デザイナーが、イタリアのテキスタイルメーカー70社と協力して制作した作品を発表しました。                

             写真右 Co/Te(イタリア)の作品

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写真左 初めてアフリカから招待されたOmer Asim(スーダン)の作品

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2012年9月24日 (月)

ヨーロッパ出張で最大の話題は日本企業のPVアワード受賞

 一昨日の夜、ヨーロッパより帰国しました。約2週間でミラノ、ロンドン、パリを巡り、ミラノでイタリアのテキスタイル展、ミラノ・ウニカ(MU)、パリで世界最高級のテキスタイル見本市、プルミエール・ヴィジョン・プリュリエル(PV)を取材しました。
 9月初旬のミラノは日本同様の暑さでしたが、ロンドンでは急に涼しくなり、パリも寒暖差が激しく、カフェでは早くも暖房が始まるなど、もう冬の足音がしていて、さすがの私も軽い風邪を引いてしまいました。ホテルではインターネット環境が悪く、時折中断、遅いこともあり、ブログの更新ができませんでした。
 
 今回の出張で、取材したテキスタイル展のメイントピックスといえば、やはりPVアワードで、日本のニッケ(日本毛織株式会社)がイマジネーション賞を受賞したことです。PVアワードとは、PV出展メーカーのコレクションの中から最もクリエイティブなテキスタイルに与えられる賞で、下記4つの賞で構成されています。
 ○審査委員大賞―抜きんでて優れたテキスタイル 
 ○ハンドル賞―タッチや風合いや動きで最も新鮮な驚きを与えるテキスタイル
 ○イノベーション賞―最も革新的、先進的、クリエイティブなテキスタイル
 ○イマジネーション賞―素材、技術、柄や装飾、加工の面で最も大胆な意表を突くテキスタイル
 
 年に1回、9月展で行われるこのイベントは、今年で4回目ですが、毎年日本企業が受賞しています。ニッケは2010年に、ウールマーク特別賞を受賞しましたから、2度の栄誉に輝いたことになります。The2012pvawardswinners_2_colonnes_4         写真右がニッケのミラノオフィス大野正博氏。 

 Cimg9185nikke1_2受賞したテキスタイルは、ウール100%でありながら合繊タッチを狙って、樹脂加工によりハリ感をもたせた高密度な「ウールハードケミカルシャークスキン」と呼ばれる素材。これにより日本のクオリティのすばらしさを、またしても世界中に認知させることができたわけで、大変誇らしく感動しました。

 なお審査委員大賞はイタリアのリッチアリーニが受賞。パープルとベージュのエンボス加工(シルク63/ナイロン37)の2枚の布の間にスポンジをサンドイッチしたしなやかな弾力性のある質感の素材。エンボス加工によるペーズリー柄の光沢と艶消しの表情も高く評価されました。ハンドル賞はイタリアのジャッキーテックスで、これもスポンジのような弾力性のある、しかも非常にやわらかい感触のダブルニット(シルク73/ナイロン27)。またイノベーション賞はリッチアリーニで、大賞も獲得しましたから喜びのダブル受賞となりました。テキスタイルはウール100%の超強撚ナチュラルストレッチ織物で、織りとは思われない驚異の伸縮性に驚かされました。
 ちなみに今回の審査委員長は、ラコステのアーティスティックディレクター、フェリペ・オリヴィエラ・バティスタ氏。

 世界のテキスタイルメーカーとバイヤーが心待ちにする一大イベントとなったPVアワードのコンテストで、日本企業がイタリア勢と並んで受賞する姿はまさにクール。クールジャパンここにあり!です。

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2012年9月17日 (月)

ルイ・ヴィトン×草間彌生の陰に

 ロンドンではセルフリッジ百貨店に立ち寄ったところ、Cimg8676selfrige1_2 正面玄関の頭上に草間彌生の巨大な像が立っていてびっくり!  もちろんショーウインドーもすべてルイ・ヴィトン×草間彌生のコラボづくしでした。
 

 そして今、パリのオープランタン百貨店では、ルイ・ヴィトン×草間彌生のポップアップストアがオープンしていて、にぎわっています。Cimg8769printemp1_2 シャンゼリゼ本店では当前のことですが、この水玉のデザインを全面的に打ち出し、地下鉄などあちこちでポスターも目につきます。
 
 

 ところが、最近パリ巷間で騒がれているのが、またしてもルイ・ヴィトンLVMHオーナー、ベルナール・アルノー氏の話題です。アルノー氏がベルギー国籍を申請したことについて、左派が税金逃れと非難の声をあげているのです。キオスクの看板広告で「Pourquoi ce riche trahit la France? 何故金持ちはフランスを裏切るのか!」と同氏を写真入りで大々的に取り上げていて驚きました。
 ルイ・ヴィトン×草間彌生の華やかなイメージが広がるその陰で、フランスの失業者は300万人に達し、今後は低所得者層への所得税も上がるのではないかと報じられています。今日の午前中、電車のストライキがあって困りましたが、これからまたフランスはストライキの季節が始まるのかと思いました。
 貧富の差がますます広がっていることを感じさせられます。

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2012年9月12日 (水)

アートの要素を採り入れたファッション広がる

 ミラノのショッピングストリートで多くなったと感じるのは、アートの要素を取り入れたファッションです。

 Cimg81731_2 ルイ・ヴィトンと草間彌生のコラボコレクション、第二弾は東京同様、こちらでも目立っています。




 
 Cimg8195_pinc1_4 子ども服にモンドリアンの抽象画をデザインしたドレス。モンドリアンドレスは、1960年代、イブ・サンローランが発表したものですが、昨年、再び形を変えて登場し、話題を集めました。それがこの秋、子ども服にも登場しています。

 Cimg81571_2 1_2 シュールレアリズムの画家、ルネ・マグリットの作品を小さなパネルにして取り付けた帽子。パネルはレザーのようなしっかりした材質です。

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2012年9月11日 (火)

ミラノも暑い!

 ミラノに来ています。東京が暑かったので、涼しいと期待していましたが、今日は29度もあったのです。おしゃれなミラノっ子は皆夏姿です。Cimg81501_2
 写真はストリートで見つけたすてきな家族です。

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2012年9月10日 (月)

「肌にあう、が見つかる」スムースデイ

 「肌にあう、が見つかる」をコンセプトにした新しいショップ「スムースデイ(smoothday)」が表参道エリアにオープンしました。
 商品はすべてカットソーで、シンプルなTシャツやタンクトップ、スエットシャツ、カーディガンやジャケット、それにショールなどが、ハンガーラックにバランスよくかけられています。シルクのような光沢のある素材は、合繊かと思いきや、触ってみると、さらさらして気持ちいい手触りの綿100%です。最近はジャージーも綿100%のものが少なくなってきましたが、ここでは綿100%にこだわり、最上の綿繊維を使って、極細の超強撚糸で編み立てています。その上肌にまとわりつかないというのも、大きな特徴です。 Cimg79811_3  
 オーナーは小野元延氏で、小野莫大小(小野メリヤス)工業社長です。2005年から3年間、パリのプルミエール・ヴィジョン展に出展されていましたから、私もその折り取材で訪れ、「コズモラマ」と名付けられた綿ジャージーのすばらしさに感動したことを覚えています。今ではほぼすべての著名ブランドに採用されるようになったそうで、同展への出展は控えているとお聞きしました。
 この「コズモラマ」開発の背景にあったのは、細番手糸で編んだ編み地に多いファスナー現象という問題でした。これは生地が薄いために布どうしがくっつき合ってしまう現象で、これが起きると、衣服の縫製がやり難く、また縫い上がった衣服の見た目も悪く、製品の質を下げてしまいます。原因は静電気とされ、防止策がとられていますが、良好な結果は得られていません。事実、静電気を帯びにくい綿糸でも少なからず発生します。そこで同社は研究の結果、生地表面の毛羽立ちが絡み合ってファスナー現象を引き起こしていることに気づき、毛羽立ちを抑える技術として毛焼き処理に着目しました。綿原糸を毛焼き処理した後、撚り合わせて糸にする方法を発明し、ファスニングしない生地をつくることに成功したのです。3年前には、特許も取得しました。
 ファスニングフリーで、ドレープ性があってやわらかい、優しい風合いの綿100%生地の誕生はまさに画期的といえるでしょう。今やその種類は、糸番手や糸の凹凸、色、編み方、また様々な組み合わせもあり、1,000パターン以上もあるそうです。
 ショップの運営に携わる、デザイナーの杉原淳史さん(写真下)Cimg798711 のお話によると、大きく3種類の生地があるとのこと。一つはさらっとした薄地の「コズモラマ」、二つ目はぬめり感を持たせて光沢のあるヴィンテージ調の「テクノラマ」、三つ目はふんわりとやわらかいカシミアタッチの「ディオラマ」。いずれも好評ですが、どちらかというと国内では「テクノラマ」、海外では「コズモラマ」が人気といいます。価格は6,000~。クシャクシャにしてもシワにならないので、旅行着にも便利そうです。私も試しに「ディオラマ」のTシャツを着てみました。肌触りが心地よく、一着7,500円のものを購入してしまいました。
 アイテムとしては現在、トップスだけですが、秋の深まりとともに、コートなど厚地のものや、ボトムス、さらにはインテリア製品も多数提案していくそうです。
 デザインは男女両用で着用できることもあり、とくに素材に凝る男性にぜひ試していただきたいと、杉原さん。ご自身も、パリのクチュールで仕事をしていたときに、出会ったカットソーが「コズモラマ」だったことから、この素材の質感と機能に魅せられ、愛用するようになって、とうとう「スムースデイ(smoothday)」の開業を手伝うことになったといいます。  
 ショップ名は、スムースな一日を送る文化を発信していく場という意味だそう。肌に合う布のよさを伝えられるように、製品と同じ生地を挿し込んだショップカードや、袖だけの「スリーブサンプル」も用意、パッケージも後々まで使えるように工夫されています。
 「ファッションはライフスタイルであることを、この店を通じて発信していきたい」という杉原さんの言葉が印象に残っています。

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2012年9月 9日 (日)

コシノヒロコ銀座店オープニング記念展「小篠弘子 十八歳の眼差し」

 日本を代表するファッションデザイナーのコシノヒロコさんが旗艦店を銀座にオープンしました。地下1階には、ご自身のアート作品を発表するKHギャラリーが併設され、オープニング記念として「小篠弘子 十八歳の眼差し」展が11月25日(日)まで開催されています。
 このほど行われた内覧会に姿を見せたコシノさんが、アートに込めた熱い胸の内を語られました。Cimg79951
 幼い頃から絵を描くことが好きだったコシノさん。絵はファッションクリエーションの源泉といいます。「アートという独自の世界を歩みながら、新しい自分を発見しています。ですから限界を感じないのでしょう。刺激を受け、それを咀嚼し、発揮させていきたい。自分自身を触発するため、新しい環境で活動したいと考えるようになり、やっと理想の場を見つけたと思っています。もともと銀座はデザイナーとしてスタートした最初の場所でしたから、改めて返り咲いた気がしています。当時私は18歳でした。その頃の視点を大切にしたいと思い、個展のテーマを『十八歳の眼差し』としました。」
 続けて、「ここは以前、西村画廊という現代アート発祥の地だったところです。私がここを獲得できたのは、ここでやるようにと、神様が使命を与えてくれたからではないかと不思議な感じがしています。夢は願い、努力していると向こうからやってくるものです。お母ちゃんが『今日が一番若い。そやから、明日もっと頑張れる。これからやで!』と言っていたのを思い出し、いつまでも夢をもって新鮮な気持ちでやっていこうと思っています。」
 このほどメンズファッション協会から素敵な大人に与えられる賞、グッドエイジャー賞を受賞したことにも触れられ、「まだまだやれると思いました。97歳になられる報道写真家の笹本恒子さんが隣にいらっしゃったのですから」とも。
 ところで今回の作品のインスピレーション源は、イタリアのシチリア島だそうです。クラシックさと新しさが同居しているところに惹かれ、そこに日本画のタッチを加えて仕上げたといいます。東洋と西洋の混交はコシノさんがいつも意識されていることで、日本の自然を織り交ぜながら自分らしい世界観を表現したとのこと。これは次の2013春夏コレクションのテキスタイルのモチーフとして使用されているそうです。 
 「ヒロココシノ」ブランド、ますます楽しみになってきました。さらなるご活躍を!
 

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2012年9月 8日 (土)

ヴォーグ「ファッションズ・ナイト・アウト」

 「ファッションズ・ナイト・アウト」が、8日夜、東京の表参道・青山・原宿で開催されました。これはUSヴォーグ誌の編集長アナ・ウインターの提唱で、2009年に始まったグローバルなショッピングイベントで、ヴォーグ誌を発行する19か国が一致団結し、経済活動をファッションの力で盛り上げることが目的です。
  Cimg80141_2 表参道ヒルズで行われたオープニングセレモニーでは、MCにクリス・ペプラーさんやモデルの冨永愛さん、土屋アンナさんらが登壇し、歌手のJUJUさんがライブを披露。会場は人、人、人の波に埋まり、大歓声が上がって、お祭りムードがいっぱいでした。
 
 イベントで目についた店をご紹介しましょう。(写真:クリックで拡大)

Cimg80291_2 「シャネル」では、ネイルのカラーリングサービス。

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 「セオリー」では、Tシャツやバッグに好きな柄をプリントできるステンシル・プリントのサービス。

 Cimg80211_3 「ヴィヴィアン・タム」の店先では、中国式獅子舞のショー。
 

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 「マックス・マーラ」のショーウインドーに、マネキン人形ではない、生きたモデルが登場。

Cimg80151_5 「マイケル・コース」では、モデル撮影会。

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2012年9月 7日 (金)

津森千里の初の本格的原画展「ツモリの森」

 パリコレでツモリチサト(TSUMORI CHISATO)ブランドを発表し、インターナショナルに商品を展開しているファッションデザイナー、津森千里による初の本格的原画展「ツモリの森」が、東京・神宮前のギャラリーキッチンで、9月23日まで開催されています。
 約70点の原画はコレクションでテキスタイルに使用されたもので、「サボテンと太陽」とか「ドリームバード」、「アフリカアニマルズ」、「ギザギザフォレスト」、「フラッフィフラワー」、「ムーンライト」といったテーマが付けられ、大人のファンタジーがいっぱい。ドレスも4点出品され、カラフルなプリントに施されたビーズやスパンコール刺繍、アップリケ、パッチワークは手が込んでいて、まさにクラフトアートのよう。Cimg80051_2
 そこには夢のように楽しい、ハッピーなツモリワールドが広がっていました。

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2012年9月 6日 (木)

ぺプラムでクラシカルな女らしさ

 ぺプラムとは、ウエストから下の短いスカートのような裾広がりの部分のこと。ウエストをしぼり、女性の体に沿った曲線的なラインをつくります。一般にトップス(上衣)のジャケットやオーバーブラウスなどの裾部を指しますが、スカートやパンツの上部に見られものもあり、今年はどちらかというと、こうしたボトムス(下衣)に付けられたペプラムが目立っています。1_5  
 この春から目につくようになったディテールですが、秋の店頭でますます多くなっています。Cimg79793_3
 ファッションに少し大人っぽいフェミニンなムードが戻ってきていることもあるのでしょう。気になる腰もカバーしてくれます。
 ぺプラムで久々にクラシカルな女らしさを楽しんでみてはいかがでしょう。

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2012年9月 5日 (水)

公演の成功は優れた舞台装置あってこそ

 今や、エンターテインメントのための様々な公演は、日本全国ツアーから世界ツアー化し、世界中の人々を魅了しています。韓流ブームは一段落したとはいえ、昨年度のチケットの総売り上げは、前年比15%増だったといいます。
 スポーツなど各種イベント公演が成功を収めているその陰には、会場設営から運営管理まで一切を取り仕切る、優れた「裏方」が不可欠です。とくにミュージックコンサート公演の舞台装置は、音響や照明効果もあり、また格別なものがあります。
 Cimg79761 こうした公演を裏から支えるビジネスで、我が国トップクラスの実績を誇る㈱シミズオクトの代表取締役会長清水卓治氏の講演会が、日本ファッション協会うらら会主催で開催されました。テーマは「コンサート舞台の歴史と今後の傾向」。概略は下記のようです。
 1960年代、東京オリンピック後の施設利用で、柔道の試合場として建てられた畳敷きの日本武道館をコンサートホールに改造し、ビートルズ来日公演を実現させたことで、大掛かりな式典や歌謡ショーなどのコンサート会場に日本武道館が使われるようになっていく。
 1970年代、外国人アーティストが多数来日するロックコンサート時代になり、トラスが開発され工法が進化し、真上から明かりが取れるようになって、歌手の衣装や肌の色を格段に美しく見せられるようになる。スピーカーも天井から吊るす装置が登場し、音響効果が向上した。
 1980~90年代、音楽祭全盛時代で、舞台装置(リギング)がコンピュータ化とともにますます発展。1989年に東京ドームが出現し、巨大ドームによるステージ革命が起きる。
 2000年代、ドーム興行とともに世界ツアーに乗り出す。
 またこの8月20日に開催された、初めてのロンドンオリンピック凱旋パレードも、同社のプランで実施されたといいます。
 最後に安全管理を問われて、2000年に、同氏を理事長に日本舞台技術安全協会が設立され、ガイドラインを策定。といっても日本では大きな事故は起きていないといいます。
 今回の講演では、スライドの合間にたくさんの懐かしい曲の入ったビデオを流していただきました。歌手の名声は、シミズオクトの力あってこその賜物だったということを思いながら、お聴きした楽しい会でした。
 
 

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2012年9月 4日 (火)

巨大な南瓜のオブジェ「パンプキン」出現!

 ルイ・ヴィトン 松屋銀座店に、前衛芸術家草間彌生の高さ2mもの巨大な南瓜「パンプキン」が展示されています。南瓜は、水玉と同様に有名な草間のモチーフで、これをインスピレーションの一つとする「ルイ・ヴィトンヤヨイ・クサマ コレクション」の第2弾先行販売を記念し、ディスプレーされています。以前行ったことのある瀬戸内海のアートの島、直島のシンボル「パンプキン」と形は同じですが、シルバーに光るメタリックな材質なのでモダンな感覚です。1
 ルイ・ヴィトンは今年、草間彌生と連携し、今夏始まった第1弾は水玉づくしで、街行く人をあっと言わせました。今回の第2弾パンプキン・シリーズは9月14日から全国展開されます。また思いがけない遊び心のあるファッションで、私たちを楽しませてくれることでしょう。ファッションとアーティストのコラボ、これから先も何が飛び出すのか、目が離せません。

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2012年9月 3日 (月)

優しいソフトなヒョウ柄

 秋一番のヤングレディス向けファッションで、目立っているのがヒョウ柄のアイテムです。スカートやパンツ、ドレスから、バッグや靴といったアクセサリー類まで増えています。2_3




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 ヒョウ柄というと、一般にスノビッシュ(ちよっと気取った)で強いイメージがありますが、他のアニマル柄のパイソンやクロコダイルなどに比べると、より女らしくて親しみやすい雰囲気です。しかも今季は全体に優しいやわらかな印象のものが多くなっていますから、採り入れやすいでしょう。
 赤やブルーをアクセントに使ったもの、少しポップに散らしたもの、花柄と組み合わせたもの、長い毛足のフェイクファーのものなど、様々。2_2

 優しくソフトになったヒョウ柄、これまでの花に代わる新しい柄として注目です。

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2012年9月 2日 (日)

特別陳列「夢窓疎石と鎌倉の禅宗文化」

 Cimg79661_4  神奈川県立歴史博物館で、鎌倉にゆかりの深い夢窓疎石の特別陳列「夢窓疎石と鎌倉の禅宗文化」が開催されています。円覚寺雲頂庵のご住職から、本展のご案内をいただき、早速行ってきました。
 
 最初に目に飛び込んできたのは、鎌倉・瑞泉寺にある夢窓疎石の開山像です。ちらしにも使われている寄木造りの座像で、袈裟の後方に柿の蔕(へた)の紋様が確認できるといいます。夢窓疎石は後に京都・天竜寺を開山しましたが、天竜寺の頂相(禅宗の祖師像)にも同様の柿の蔕紋と花紋を交互に配した模様が見られ、これは瑞泉寺の彫像と同じ袈裟ではないかとみられているそうです。しかも弟子の無極志玄の頂相にも同様の紋様があることから、同じ衣が弟子から弟子へ、代々受け継がれていったと考えられているとのことでした。
 ところでこの展覧会が催されるきっかけとなったのは、相模原市津久井の光明寺にある開山像の初公開でした。この修復が2年前に完成し、お披露目が計画されていたというわけです。修復された田相には、夢窓疎石の印紋である団龍紋が見られるとのことでしたが、そう言われて見れば確かに丸い紋があるようでした。 
 この津久井・光明寺は、甲斐と鎌倉を結ぶ中継地にあり、夢窓国師はこの地に宝積寺という名の寺を建て、それが後に光明寺と改名されたといいます。しかし文書によると、鎌倉・山崎にも宝積寺の記述があり、場所は現在、山崎天神社のあるところというのです。宝積寺が二つあるというのは変ですが、昔は都と郡の二か所に設置されたことが間々あったそうです。
 実は私は鎌倉市在住で、山崎は近所です。これはぜひ訪ねてみたいと思いました。
 
 夢窓疎石(1275~1351)は、鎌倉末期から南北朝、室町時代にわたり活躍した禅僧で、全国各地に寺を創建し、庭園をつくり、現在の日本文化の基礎を築きました。この夢窓国師を「日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称する人もいます。後世に枯山水といわれる「禅の庭」を創造したその世界観は、ダ・ヴィンチに通じるところがあります。しかしダ・ヴィンチよりも170年あまりも前の時代に、このような境地を切り開いた日本人がいたのです。展覧会でこの事実を目の当たりにし、改めて日本文化のすばらしさに胸をうたれたことでした。
 

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2012年9月 1日 (土)

「遺伝子の不都合な真実―すべての能力は遺伝である」(ちくま新書)読後感

 まず題名に惹きつけられ、副題にぎょっとさせられました。人間の能力はすべて遺伝子の影響をうけていると、はっきり突き付けられてしまったからです。それは確かに「不都合な真実」なのですが、しかしここでは不都合なのは遺伝子ではなく、社会や教育制度といった環境が遺伝子にとって不都合だと言っています。不都合=不平等と考えたら、わかりやすいと思いました。
 著者の安藤寿康氏は、私の知人のお兄様で、行動遺伝学や教育心理学を研究されています。この知人がお兄様の多数の著作の中で初めて読破した本というので、私も読んでみようという気になりました。遺伝と言うと理系的ですが、この本は文系です。とはいえ、やはり難解でした。
 しかし「遺伝は遺伝しない」の項で、「親と同じ遺伝的素質をもった子はむしろ非常に現れにくい」という個所は、目からウロコでした。私も「遺伝の影響があると親と同じ性質をもつた子どもが生まれる」という先入観を持っていましたから、少し救われたような気分になりました。
 「遺伝子の民族差はあるか?」も興味深かったです。遺伝子型の違いが、「集団主義的」文化か「個人主義的」文化かにかなり関連していて、韓国や中国などは集団主義的傾向が強く、アメリカやイギリスなどは個人主義的傾向が高い。日本はその中間に位置するといいます。これも何となくそう感じていたことでしたので、納得です。
 また能力差は遺伝だけではなく、環境要因も相当関わっていることを、双生児研究からつきとめた「遺伝と環境は算出できる」という項目も、面白かったです。SF映画「ガタカ」を見て、この映画の主人公が、宇宙飛行士には不適正とされた遺伝子を持っているにもかかわらず、可能性を信じて、ついに宇宙へ行く夢を実現させます。劇的な結末でしたが、希望を感じさせられました。
 最終章の「いかに遺伝的才能を発揮するか」では、「2万もの遺伝子の組み合わせからなる遺伝的組成はひとりひとりみな違い、予測もしなかった環境の中でそれが発現してくるのですから、だれも答えを知らない。ひとりひとりがその答えとなる物語を自分で作るしかない」、というのにも「やっぱり!」と同感しました。
 「遺伝子の不都合な真実」、これは遺伝子にとって不都合な社会や文化や制度の真実にきちんと向き合っていく必要がある、という、提言の書。いろいろ考えさせられるところが多い著書でした。一読をお薦めします。Photo_3

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