FORUM 0704 2019 ⑵ 日本の伝統柄を襖紙にして世界に

 先般のフォーラム「FORUM 0704 2019」で行われた講演の二つ目は、襖紙に関するものでした。題して「日本の伝統柄を襖紙にして世界に」です。Img_33151  登壇したのは、夏水組 代表取締役 坂田 夏水 氏と、大場紙工 専務 大場 匠真 氏。すっきりとしたきもの姿がお似合いの爽やかなお二人でした。
 大場氏によると、和室が洋室に模様替えする傾向が続き、今では和室がある家は3割以下だそう。畳がなくなり障子が消え、襖紙も排除されてきたのです。 
 襖紙をどうしたら持続可能な商品にしていくのか、考えた大場氏は、襖紙を壁紙のように使うことを思いついたそう。そこで壁紙の意匠などを手掛けている坂田氏と協働し、日本の伝統柄を用いてデザインしたオリジナル襖紙のブランド「夏水組」をプロデュース。2018年からインテリアとデザインの関連見本市「メゾン・エ・オブジェ・パリ」に出展し、国内外から注目を集めているといいます。
 その襖紙は、浴衣の注染染めに使用されてきた伊勢型紙の模様を手漉き越前和紙にシルクスクリーン印刷したもので、金粉をつけるなど柄に立体的な奥行きを持たせて仕上げているとのこと。
Img_33201  人気の柄は鶴のモチーフ、そして上の獅子地紋だそう。
 
 伊勢型紙も昨今は職人の確保が困難になっている様子です。海外展開していくには持続可能な生産が不可欠ですし、伝統を何とか守りたいといいます。私も強くそうあって欲しいと願っています。

 なおメゾン・エ・オブジェ・パリには次回も出展されるそう。もしかしたら現地でお目にかかれるかもしれないと、楽しみです。

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2019年8月17日 (土)

FORUM 0704 2019 ⑴ 「SDGsを自分ごとにする」

 去る7月6日、ファッションビジネス学会の4研究部会共催によるフォーラム「FORUM 0704 2019」が東京・渋谷区の文化学園にて開催されました。これは4研究部会の1つであるリファッション研究部会を中心に、7月4日を「おなおしの日」とし、毎年、7月4日前後にシンポジウムを開催しているもので、私もほぼ欠かさずに出席しています。
 今回は「私たちにできることは何か」という、身近な問いを考えつつ日本の伝統や労働など多角的にファッション業界の「0704=おなおし」を考察する3つの講演が行われました。 

 そのトップを切って登壇したのは、エムシープランニング 代表取締役/一般社団法人日本エシカル推進協議会 理事 薄羽 美江 氏です。「SDGsを自分ごとにする  JEI-SDGs Surveyでエシカル・セルフブランディング」をテーマに、一部聴講者参加型を取り入れたプレゼンテーションをされました。
Img_32861  冒頭、この日のご自身の服装について触れ、スーツはクリスチャン・ディオールのもので、お直しして蘇らせたといいます。バッグも缶ビールの廃プルトップでつくったブラジル製だそう。SDGsをまさに自分ごとにされていらっしゃるのですね。
 お話は、まずこのSDGs(持続可能な開発目標)からスタートしました。2015年までのMDGs(ミレニアム開発目標)と異なり、SDGsは2030年世界目標「誰も取り残さない/置き去りにしない」を目指して、全世界が一丸となってよりよい未来を実現するための17のゴールズが設けられていることなどを語られました。
 昨年発表されたSDGsの達成度ランキングでは、日本は156カ国中15位に入ったものの、北欧諸国などに比べると低いようです。 
 VUCA(Volatility(激動)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(不透明性)」の頭文字をつなげた言葉) 社会が到来し、予測不可能な時代となっている今、日本政府が提唱しているソサエティー5.0は創造社会であり、SDGsの達成に大いに貢献する未来社会の成長モデルといいます。ソサエティー4.0と呼んでいた情報社会から、ソサエティー5.0の創造社会へ向けて今、大きな革命的な変化が起きようとしていることを再認識させられました。
 次が参加型で実施された「SDGs online Survey」です。JEIエシカル教育推進ワーキンググループが開発したという誰もがオンラインで参加できるSDGs Surveyというツールを使い、聴講者たちが薄羽さんの50の質問に答えていきます。たとえば「二酸化炭素の排出のことなど世界規模で話し合うことができる?」等など。参加者は一人ひとり、スマホを取り出して、SDGs度を自己診断するのです。ちょっと質問が早すぎて,私はなかなかついていけませんでした。でも皆、楽しそうにやっていました。これにより想像力、情報力、学習力、行動力、達成力の視点で、SDGsチャートを作成し、自身のSDGs度をチェックします。さて、結果はどうだったのでしょう。
 終盤、日本における地方創生からSDGsを達成するSDGsモデルとして、北海道下川町の森づくりの取組みや、住友化学のマラリアを防ぐ防虫蚊帳「オリセット・ネット」、NPOしんせいの福島の障がい者就労支援プロジェクトなどを紹介。しかしながらエシカル消費の認知度はまだまだで、ラーニングとプロモーションによる支持行動の促進が必要と力説。市民のボイコットならぬ「バイコット(Buy-cot)」による市場形成や、ESD(持続可能開発教育)が求められているといいます。
 最後に、バックキャスティング、つまり重大な変化を予期して備えることの重要性を強調して、講演を終えました。

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2019年8月16日 (金)

銀座で「田名網敬一の観光」展 目くるめく田名網ワールド

 東京・銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリーで、21日まで「田名網敬一の観光」展が開催されています。
Img_56161  まず目に飛び込んでくるのが、巨大な人間の頭部です。「いらっしゃいませ」と迎えてくれているのでしょうか。真っ赤な橋の上から
ギョロ目で睨んで歯をむき出しているのがちょっと不気味です---。

 そこには目くるめくような田名網ワールドが広がっていました。
 (以前このブログ2017.7.9付けで掲載した個展「貘の札」もご参照ください。)
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 今年83歳になられるという作家の創作へのエネルギーはもう衰えを知らないようです。恐るべきパワー!
 かつて体験された戦争の記憶、徘徊する妖怪たち、若冲からアメリカンコミックまで、様々なモチーフがこれでもか、これでもかというようにパワフルに組み合わさって、奇想天外な宇宙観を作り上げています。それは死者たちの理想の世界を表現した“曼荼羅”のようなものなのでしょうか。作家の悟りの境地---、とはいえとびきりポップ!です。 
 
 階下も鮮やかなカラーであふれていました。伊達な武装を思わせる、装飾いっぱいの服飾作品も展示されています。Img_56091 Img_56011 
 またこの春から発売されている田名網敬一とアディダスのコラボコレクション「Tanaami × adidas Originals」のコーナーも設けられています。Img_56141Img_56121jpg

 Tanaami独特のグラフィックを落とし込んだ黒のアイコニックなスポーツウェアは、さりげなく個性的で、洗練された感覚です。
 
 アートワークとファッションの連携は今どきのブーム。
 田名網ワールドにこれからも注目です。

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2019年8月15日 (木)

今夏の山行きはシャクナゲ群落から秩父最高峰へ

 今夏のお盆休みは台風直撃とあって、山行きが躊躇われました。でも近場で日帰りならと一日、大弛峠から国師ヶ岳、秩父最高峰の北奥千丈岳へ行って来ました。
 大弛峠は標高2,360mの日本最高所の車道峠です。さすがに涼しい!空気が違います。 あの蒸し暑さが嘘のような別天地でした。
 花の百名山といわれる国師ヶ岳を目指して進むと、シャクナゲの群落が現れました。20190812134536imgp48591
20190812132532imgp48191  シャクナゲはハクサンシャクナゲという種類で亜高山帯を彩る代表的な花だそう。でもこの時期はもう旬をとうに過ぎて散っていました。
20190812135048imgp48701  それでもまだ名残の花がちらほらと咲いていて、出会う度に、登りの息切れを癒してくれます。つつじに似た白く淡いピンク色で、内側に薄い緑色の斑点がある爽やかな花です。

 ここは「夢の庭園」と呼ばれているスポットで、巨岩のある広場からの眺めはすばらしかったです。

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 遠くに金峰山の頂きにそびえたつ五丈岩が見えました。

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 北奥千丈岳はここからあと少しです。標高は2,601mで秩父最高峰といいます。山頂から南アルプスや八ヶ岳を展望し、すぐ隣にある標高2,592mの国師ヶ岳へ。ピークに着くと突然霧が発生してきて下山しました。
 峠から1時間で登れるという山ですけれど、花を楽しみながらゆっくりと、その倍以上の時間をかけての山歩きでした。

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2019年8月14日 (水)

トークセッションifs fashion insight に参加して

 先般開催された伊藤忠ファッションシステム ナレッジ室主催のトークセッションシリーズ、ifsファッションインサイトに参加しました。これは「ファッションを再定義する」をテーマに、次代に向けたファッション×ビジネスの視点を提案するというものです。
Img_53641                 (今夏渋谷の街角で)
  今回はシリーズ5回目の最終回で、テーマは、「10のキーワードでみる、ファッション×ビジネス・生活者」です。
   進行は稲着達也氏(ifs fashion insight オフィシャルモデレーター/アソビシステム株式会社 CCO兼エグゼクティブプロデューサー)、パネリストは小関翼氏(スタイラー株式会社 代表取締役)、小原直花氏(伊藤忠ファッションシステム株式会社)、中村ゆい氏(伊藤忠ファッションシステム株式会社)の錚々たるメンバーが登壇しました。
  これまでの4回を振り返った後、2019年以降の生活者の志向を探ります。人口減少、成熟社会、デジタル化、ポストバブル社会の真っ只中にあって、時代と消費はどのような方向に動いていくのか、興味津々です。
 提案された下記キーワードを基に、対談が進められました。
1. 境界の再設定 ― 新しい方向へ仕切り直し
2 .消費活用 = コミュニケーション
3. モノ・コトづくり → 関わりづくり 
4. “べき”意識 → “好き”という感情や感覚へ
5. 一人の欲望 → 二人以上の欲望へ 皆で楽しむ
6. オフラインの経験 ― コピーできない体験
7. おたくモード消費 → ソーシャルモード消費へ
8. 欧米 → アジア! 欧米人もアジアにシフト
9. 共感 > 差別化ツール
10. SNS時代のファッション → オンライン化したコミュニケーションの枠内で可視化されたライフスタイルへ

 さらに「次世代に向けてファッション×ビジネスに欠かせない視点とは?」を議論。
 小関氏は、「アジアへの視点」を強調。これからはアジアが重要なマーケットになってくるといいます。インターネットは日本よりアジアの方が進んでいるし、スタートアップも日本はアジアより5年くらい遅れているそう。これはもう現地に行って事実を体感するしかない、ようです。
 稲着氏は、「アジアの消費動向は、エンタメと結びついている。ファッション業界とマンガ業界とのコラボを進める必要がある」といいます。
 また「ファッションがセクシャルではなくなった」と話し、社会的ジェンダーが薄まり、性的魅力を隠す方に動いていると指摘。小原氏は「かつてハナコ世代は、ファッションを恋愛のコミュニケーションツールととらえ、女性らしさや男性らしさを求めた」といいます。これには1995年をピークに消費がシュリンクしたことも一因でしょうし、コミュニティ意識や家族志向が強まっていることのあらわれもあるのでは、などといった興味深い意見も出ていました。
 
 ファッションは時代のムードとともに変わります。その未来の景色を開くキーワードがたくさんありました。これからのファッション×ビジネスの世界を改めて考え直させてくれたトークセッションでした。

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2019年8月13日 (火)

国際文具・紙製品展 ⑶ ジオデザインの「書けるレタス」

 先般の国際文具・紙製品展を巡っていましたら、「えっ、八百屋さん!」のようなブースを目にしてびっくり。レタスやニンジンにトマト---、こんなところで野菜を売っているなんて、ありえません。
Img_32291jpg  ここはジオデザイン(geodesign)のブースです。「!」なものづくりがコンセプトとか。そういえば昨年、チューブ入りワサビそっくりのマーカーがTVで話題を集めていましたね。
Img_32241  よく見るとレタスはメモ用紙です。これは「書けるレタス」だったのです。
 くしゃくしゃでもメモできればいいですよね。
 ニンジンやトマトは布のナプキンで「折って巻いたらベジタブル!」とあります。

  他にも朝食シリーズとして、いろいろなフード文具が出ています。
Img_32221jpg   金色納豆です。
 本物の納豆容器に納豆のタレそっくりの「ねばったれ」マグネットが入っていて、金色クリップやネギ色クリップがくっついているのです。
Img_32301jpg  

 「かみぼこ」という、板付きかまぼこにそっくりな付箋紙もあります。




Img_32281jpg  それに豆腐型付箋紙「豆腐一丁」。
 思わず二度見!食べられないことを確認します。
 ホント、楽しい驚きの食品コレクションでした。


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2019年8月12日 (月)

国際文具・紙製品展 ⑵ 日本文具大賞 利便性のよさに注目

 先般の第30回「国際文具・紙製品」(通称ISOT)展では、第28回日本文具大賞が発表されました。選ばれたのは、グランプリと優秀賞、合わせて10製品です。
 中でも「あったらいいナ」と注目したのが、ちょっとした利便性のよさを考えた製品です。

 一つは、プラチナ万年筆の「プロシオン」です。機能部門でグランプリを受賞しました。
 私も最近「万年筆が気になりはじめた」一人です。実際に書いてみると滑らかな書き味でした。
1_20190811092101  ペン先の真ん中にインクの取り入れ口があるので、ペン先の肩口あたりまで浸すだけでインクを吸ってくれます。ですから残量の少ないインク瓶からもインクを吸入しやすいといいます。また密閉度が高い「スリップシール機構」なので、1年くらい使わなくてもインクが乾かなくて、さらっと書き出せるそう。価格は5,000+税でリーズナブルです。
 
 もう一つは、デザインフィルの「パッとメモ」です。 
2_20190811092101  これは未使用のページがすぐに開くリングタイプのメモです。メモの側面が糊で閉じられていて、書いた後にページをめくると糊付けした面がはがれるようになっています。ですから次にメモを開くときに新しいページがパッと開くのです。
 誰もが思いつきそうな単純なアイデア、「ありそうでなかった」とは、こういうものをいうのでしょうね。価格は320円+税。
 
 さらに、興味を引いたのがマグエバーの「マグサンド」です。
3_20190811092101  サンド、つまりサンドイッチするように、“挟んで貼れる”マグネットフックです。フック付きのマグネットと受け手となる超強力磁石がセットになっていて、これまで磁石が貼れなかったガラスや樹脂、また木材にも、さらに布面にも、設置面を傷つけないで貼ることができるそうです。シリコンコーティングされていて錆びにくく滑りにくいので、お風呂場やキッチンでも使いやすいといいます。
 文具だけではなくインテリアツールとして、イメージが広がります。1,300円+税。

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2019年8月11日 (日)

国際文具・紙製品展 ⑴ 文具業界の「サカナクン」が講演

 少し前のことになりますが、第30回「国際文具・紙製品」(通称 ISOT)展が、ライフスタイル総合エキスポ2019夏展の一つとして、6月26日から28日、東京ビッグサイトにて開催されました。これは日本最大の文具・紙製品・オフィス用品の展示会です。来場者数も約5万人と発表されています。
 関連セミナーもいろいろ開かれました。
  中でも興味深かったのが、文具業界の「サカナクン」、こと高畑 正幸さんによる「文具の歴史&最新トレンド」をテーマにした講演会です。   
Img_32151  高畑さんは、テレビ東京の人気番組「TVチャンピオン」の「全国文房具通選手権」に出場して、1999年、2001年、2005年と3連続で優勝し、「文具王」と呼ばれているそうです。そのユーモアたっぷりのお話をまとめてみましょう。
 題して「ISOTと文具の30年とこれから ~平成とともに歩んできたISOTと文具の変化を振り返り、この先を考える~」です。
 今年30周年を迎えたISOTの歴史はまさに「文房具の歴史」ということで、まずは平成を振り返ります。
 平成は文具業界にとって試練の時代だったといいます。インターネットの普及により、この30年間で文具店は激減したのです。売り上げの4割は今やECだそう。平成7年(1995年)ウインドーズが登場した頃までは、手帳も皮革製が売れていたのですが、スマホ時代の現在は手帳もデジタル化しています。筆記具も同様に変化して、紙のノートは不要といった言葉も飛び出すなど、文房具はその役割を終えつつあるのではないかと言われているのです。
 次に、今後の文房具についてです。
 ネットで何でもできるようになった現在、これからどうなっていくのでしょう。「文具王」は次の4つの項目を紹介しました。①紙信仰の崩壊とさらなるデジタル化の加速、②消える紙と残る紙の二つに分かれる、③効率以外の軸に移行する動き、➃存在そのものが重要になる。
 デジタルが進化した結果として、逆にアナログが見直されていると指摘します。たとえば手書きです。書く人の気持ちや想いが伝えられるとあって、毛筆や万年筆に再び関心が集まっているのです。ロックフェスや見本市も盛んで、リアルなものへの人気は衰えていません。アナログには意味がある、と強調します。
 最後を締めくくったのは「文房具は残って欲しい」という「文具王」らしい言葉でした。

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2019年8月10日 (土)

「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン」展 

 先日、三菱一号館美術館で開催中の「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」の内覧会に参加しました。
 本展はプリーツドレス「デルフォス」で20世紀初頭の服飾業界で支持され、近年世界的に注目されているマリアノ・フォルチュニにフォーカスする初の企画展です。
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 担当学芸員の阿佐美淑子さんが、「青い日記帳」のTakさんをナビゲーターにギャラリートークされました。これによると、フォルチュニは総合芸術家であり科学者でもあるという、まさに天才!でした。私は実はファッションデザイナーとしての顔しか知らなかったのです。阿佐美さんも最初はそのように思われていたそうです。 ところが実際は、絵画や舞台芸術、染色、写真などあらゆる芸術の分野で活躍し、プリントやプリーツの機械、照明技術なども開発した発明家だったのです。

 Img_54341jpg 右の天井の照明器具もフォルチュニの作品です。
 精巧なつくりで手作りだそう。
 大小あって、これは小さい方です。

 本展の開催にあたっては、ヴェネツィアのフォルチュニ美術館による全面協力があったといいます。このため資料が多岐にわたり、何を重点的に展示するか、阿佐美さんも熟考されたそうです。結局、服飾を軸とすることでまとまり、絵画や版画、写真、舞台関連作品、デザイン関連資料などの各展示室には必ず一体、「デルフォス」を展示して、服飾作品に焦点を当てていることを暗に表現したといいます。Img_54561
 
 この「デルフォス」、設計図は残されているのですが、その通りにつくろうとしても、再現は不可能だそうです。 それほどに複雑なプリーツがとられているのですね。打ち寄せるさざ波のように重なり合う襞、そのレイヤーの繊細さに感動させられます。
Img_54191jpg Img_55351jpg 













 ところで「デルフォス」が誕生したきっかけは、当時発掘された「デルフォイの御者」像(上の左写真)だったそう。この像を見た妻のアンリエッタのアドバイスがヒントになったとか。確かにこの御者像がまとっているものによく似ています。「デルフォス」の名称もこれに由来していたのですね。
 またフォルチュニはグラナダ生まれのスペイン人です。父親が画家だったことから画業を志し、パリに移り住みます。そこで妻となるアンリエッタと出会い、イタリアのベネツィアで暮らすようになったといいます。母親は日本のきものの蒐集家だったそうで、アンリエッタは日常的にきものを着こなしていたようです。きものはフォルチュニにとって身近な存在で、妻のためにも、きものスタイルのドレスを創作したのでしょう。妻思いの優しい人柄が偲ばれます。
 フォルチュニの「日本趣味」の謎が一つ解けました。
Img_54661  上はきものを着たアンリエッタです。

Img_55181  紫色のデルフォスにオペラジャケットの組み合わせ。1920年代の作品です。

 ところで、「デルフォス」を始めとする衣装を数多く所蔵しているのは、日本とアメリカで、肝心のベネツィアのフォルチュニ美術館には、服飾関連は意外にも少ないといいます。では何故日本に多いのかというと、かつて資生堂のモデルとして活躍した故ティナ・チャウのコレクションがあったからだそうです。
 80年代初めのティナ・チャウこと、ティナ・ラッツの透き通るような美しさが思い出されます。あの頃、フォルチュニ展がしばしば開かれ、私も見に行きました。それを再びここで見るとは、感慨深いです。

Img_54441  上は「デルフォス」収納用の箱です。

Img_55081jpg  絹製のプリーツの形状を保つために簾のようにドレスを巻き取り、さらに捩じってまとめると、驚くほどコンパクトになります。この簡便かつ携帯性の高さが、人気を押し上げる要因の一つになったそう。これも現代に通じる画期的な発明です。それにしても既に記したように、襞が美しい!

 Img_55201jpg  桜か梅、桃と思われる文様を配した羽織風ジャケットです。袖や襟の形がきもののように平面的です。とはいえ脇や袖の明き部分や衽が省略されていて、きものの仕立てではありません。西洋服の構成になっていることが見て取れました。
  
  テキスタイルにも驚嘆させられました。Img_55221_20190810093901
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  フォルチュニはドレスや外衣だけではなく、室内装飾用にも時として同じデザイン、材質のものを使用したといいます。 日本の布の図案をそのまま引き写して絹や木綿のベルベットにプリントを施したのです。Img_55301 出来上がった模様は、プリントではなく織物によるものとしか見えません。
 右はジャカード織のベルベットのようなプリント生地です。
 
 フォルチュニはプリントの技術を考案するなど、特許も多数取得していたといいます。
Img_54931  日本の染め型紙や型押し木型、プリント生地もたくさん出品されています。
 
 それにしてもこの「デルフォス」、もう復刻できないとはいえ、映画やTVドラマなどで時折登場します。「ダウントン・アビー」で、ミシェル・ドッカリーが着ていたのも「デルフォス」だそう。そのエッセンスは現代に受け継がれています。イッセイミヤケの「プリーツ・プリーズ」のように---。

 本展を見て、女性の身体をコルセットから解放し、自然な曲線を美しくみせるその先進性に、改めて感銘させられました。「100年経っても新しい」、この言葉がぴったりな展覧会でした。

 (なお写真は美術館の許可を得て撮影しています。)
 会期は10月6日まで。詳細はHP、https://mimt.jp/fortuny/をご覧ください。

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2019年8月 9日 (金)

堀畑裕之著『言葉の服 おしゃれと気づきの哲学』を読んで

 ファッションブランド「まとふ (matohu))のデザイナー、堀畑裕之さんが、初の書籍『言葉の服 おしゃれと気づきの哲学』をトランスビュー社より出版されました。先月25日、この出版記念パーティが開催されるというので、表参道本店に行ってきました。
 アイコンの長着をまとった堀畑さんが、にこやかに迎えて下さり、本にすてきなサインもいただきました。ありがとうございました。
Img_53071    私は朝日新聞夕刊に堀畑さんが連載されていたコラム『言葉の服』の切り抜きを、今も大切に保存しています。「まとふ」の創作の秘密がちりばめられたファッションの哲学が書き綴られていました。

   本書は、このコラムなどを全面的に加筆、新たに書き下ろしたものを加えたエッセイ集です。最終章は哲学者 鷲田清一氏との対話篇になっています。D4607013156140 本の装丁も、朝焼けのような重ね色目のグラデーションに、ロゴマークの「千鳥」を浮かび上がらせた美しいデザインです。優美な和の伝統を重んじる温かな心が伝わってきます。
 拝読して、『言葉の服』の意味が分かりました。最初に「言葉」があって、それがコレクションという「創作」を規定しているのですね。この本にはそんなメモしておきたい名言があふれています。
 例えば「服は、人のうつわ」。料理を引き立てる「器=服」と捉える考え方です。服はかけがえのない「私」を彩るものです。私も自分のクローゼットを見直そう、と思ったことでした。
 「おしゃれ」についての考察も、大変興味深かったです。「おしゃれとは何だろう」と、私はいつも考えていました。その語源がドクロの「しゃれこうべ」だったとは!「晒されて、--- 素のままが格好いい。それが『しゃれる』ということ」とあり、やっと合点がいきました。
 また古い日本語で「うつくし」は「美しい」ではなく、「愛らしい」、「かわいい」を指す言葉だったということも、目からウロコ!でした。 だから「かわいい」には、人を惹きつける力、すなわち強さも備わっているのですね。
 副題が『おしゃれと気づきの哲学』となっていて、美意識を読み解く哲学書のようですが、ページを開いてみると文章が実に読みやすく書かれています。日常の中で通り過ぎていく何気ないものに気付き、そこに美を感じる、そんな感受性を呼び覚ましてくれるような本です。日本の美ってほんとうに奥が深い、ですね。
 傍に常においておきたいと思う一冊です。

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2019年8月 8日 (木)

モード・イン・フランス展 ⑶ 初出展した好評レディース

 今回のモード・イン・フランス展では、レディースも8ブランドが初出展しています。中でも注目はシャネルのミューズとして知られるイネス・ドゥ・ラ・フレサンジュが立ち上げたイネス・ドゥ・ラ・フラサンジュ・パリです。またすでに日本支社も有するコテラック、レジーヌ製ジュエリーのトム・エ・エマも良い結果を残したといいます。
 初出展したレディースブランドから、好評を博した5社を紹介します。

イネス・ド・ラ・フレサンジュ・パリ  INES DE LA FRESSANGE PARIS
 元モデルのイネス・ド・ラ・フレサンジュが1991年に創業、パリのモンテーニュ通りにブティックをオープンすると、瞬く間にヨーロッパやアメリカ、日本などで成功を収めた有名ブランドです。とはいえ2000年にイネスがブランドを離れると休業状態に陥ったそう。再スタートしたのは、ファブリス・ボエ氏を社長に迎え、イネスもアートディレクターとして復帰した2015年でした。
Img_52871  日本ではユニクロとの協業もあり知名度が高いブランドと思っていました。それが「どうして初出展?」と社長のファブリス・ボエ氏に伺いますと、「高島屋で取り扱われているものの、本領を発揮できていません。知名度はまだまだ。日本には愛着を感じていて、ダイレクトに日本の反応を知りたいのです」。
 またブランドの本質を「パリジェンヌのライフスタイルのエッセンスを幅広いラインナップを通して提供していくこと」と話します。基調はイネスらしいエフォートレス(リラックスした感覚)なナチュラル派エレガンス。今シーズンもこれを基に、南仏へのバカンスをテーマにしたコレクションを提案しています。
 ファッションが目まぐるしく変わる時代、シックなパリジェンヌは、世界中の女性がお手本にしたい普遍的なシンボルですね。イネスはまさにそれを体現する存在に思われます。

エシャペ・ベル ECHAPPEES BELLES
 ブルターニュ地方のモエラン=シュル=メールで2000年に誕生したブランドで、ブランド名のようにチャーミングな驚きに満ちた魅力を持つブランドです。
Img_52831  使用されている生地の4分の3は日本製とのこと。コットン素材のものもたくさん見られます。丸みを帯びたボリューム感と温かみのあるフォルムが特徴で、年齢を問わず着こなせるデザインと思いました。
 また今シーズンのテーマは“自転車”だそうです。アクティブで動きやすいカッティングやディテールにこだわった新作を見せてくれました。ファッションをさりげなく着こなしたい女性のための、一挙一動を美しく個性的に演出するコレクションです。

エキオグ EKYOG
 2003年に創業した、人と環境にやさしいエシカルファッションブランドです。全工程において、労働者や女性の健康、環境問題に配慮し、有毒物質の使用禁止やGOTS認証など、徹底したトレーサビリティシステムを導入しているといいます。
Img_52941   素材は中国やインドなどを中心に、適切に管理された環境のものを調達しているそう。“エシカルデニム”と名づけたデニムは、レーザープリンターシステムで従来のものに比べ95%節水していると話していました。

アコテ ACOTE/コテラック COTELAC
 コテラックは1993年の創業で、アコテは2004年に誕生した、その妹ブランドです。
 コテラックは、素材の美しさを最大限に引き出す緻密な加工作業を得意としていて、プリーツや圧縮加工などに日本の技術が採り入れられているといいます。
Img_52961  アコテは、ヴィンテージファッションにロックとボヘミアンテイストを融合した、トラディッショナルなスタイルで、コテラックよりも若い感覚のブランドです。2020年春夏は、アメリカ西部への旅をテーマに、エアリーで軽いワンピースや、ほどよく中性的なシルエットのアイテムを提案しています。

フィアンディーズ FILLANDISES
 今回、唯一のランジェリーブランドとして参加。大人の女性の身体へと変化していく自分の娘のためにブラジャーを作ろうと、母親が立ち上げたというブランドです。とはいえ大人の女性に向けて、幅広くサイズ展開しています。
 1つ、気になったのは、パッドが付いていないブラが多く出ていたこと。日本と違って、ヨーロッパではワイヤレスとともにパッドレスが普通なのです。でも日本ではワイヤレスはよくても、これは難しそう。日本と欧米、ボディへの考え方の違いを改めて感じさせられました。

Img_52971  楽しいイラストのTシャツも提案していました。パリっぽくてカワイイです。

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2019年8月 7日 (水)

モード・イン・フランス展 ⑵ 初出展メンズブランドに注目

 今回開催されたモード・イン・フランス展では(昨日のこのブログにも掲載したように)、創造性や伝統の知識と技術があるフランス製ブランド「エスパス・ラベル」ゾーンに、メンズを中心とするブランドが集結していました。
 ファイナルレポートによると、この展示ゾーンに初出展したのは8社です。中でも好評を博したのは、オロウ、スポール・デポック、オセアン・シュルプリュス、ル・モン・サン・ミッシェルで、すでにある取引を拡大、あるいは新規顧客や代理店との商談が進行中といいます。
 プレスツアーで取材した、その8社をご紹介します。
 
オロウ OLOW
   2006年に二人の若者が立ち上げたメンズブランドで、自由なエスプリに詩的な魅力をプラスしたアーバンスタイルを提案。
Img_52531  二人は写真やデッサン、美しいものを追求し形にしたいという共通の目標を持っているそうで、コレクションでは著名なアーティスト(日本人も入っている)とのコラボ・アイテムに注目が集まりました。今シーズンのテーマは「ブーメラン」といいます。
 生産はポルトガルの家族経営の工場で行われていて、どのプロジェクトでも、根幹にある理念は「エシカルであること」。労働環境や賃金体系から、ソーラーパネルや雨水の利用など、エシカルや自然環境に配慮した経営を行っているといいます。また製品の60%はオーガニックな天然繊維使いで、いずれは100%にしていくとのこと。
 パリ市内に直営2店舗を構え、世界200店舗で取り扱いがあるといいます。

スポール・デポック SPORTS D’EPOQUE
 ヴィンテージのスポーツウェアをコンセプトとするブランドで、すべてがスポーツの歴史を基にデザインされているといいます。ラグビーの本で見た昔のユニフォームに魅せられた兄弟が、当時のウェアを復活させようと2007年に立ち上げたのが始まりとか。
 ユニフォームのレプリカであるレトロなコレクションはもちろん、現代的でありながら、スポーツ史よりインスパイアされた刺繍や素材、カッティングなどを取り入れたラインも発表しています。
Img_52671  上の写真のシャツは、1932年の日本のラグビーチームのユニフォームだそう。1964年の東京オリンピックのときの復刻版もあるそうです。
  2020年春夏は東京オリンピックとサッカーのヨーロッパリーグを意識し、3つのテーマ:自転車のツール・ド・フランス、陸上競技、サッカー・シリーズを展開中。いずれも昔懐かしいヴィンテージ感にこだわって提案しているといいます。
 パリのマレ地区にフラッグシップ・ショップがあるそう。
 
オセアン・シュルプリュス OCEAN SURPLUS
 「レゴイスト(L’EGOISTE)」のデザイナー、ステファン・ガフィーノがこれまでのキャリアの集大成として、2010年に立ち上げたメンズブランドです。高級リゾート地のビアリッツを拠点に、パリやドーヴィル、サントロペを始め、ニューヨークにも出店しているといいます。
 オーセンティックで洗練されていて、しかも程よくくだけたテイストで、迷彩やバンダナ、ジプシー、キリム、アロハなどストーリー性のあるモチーフと、チノ、帆布、フィールドジャケット、ベストなどの素材やアイテムをミックス。ブルーを基調にしたマリーン系あるいはミリタリー調のデザインが多く、パッチワークやリメイクシャツも見られます。手縫いなど丁寧な縫製も特徴です。
Img_52621  2020年春夏は、デニム、パッチワーク、バンダナモチーフ、迷彩、麻のヘリンボーンを使った80種以上のアイテムを集めたコレクションに注目です。

ル・モン・サンミッシェル LE MONT SAINT MICHEL
 1913年創業のワークウェアの老舗で、1998年にアレクサンドル・ミランの手によって、都会的なファッションブランドに生まれ変わったといいます。ワークウェア、都会的、グラフィックをキーワードに、メンズ&レディースのワークジャケット、プルオーバーなど数多くのアイテムを展開しています。
Img_52571  アイコンはカバーオールで、素材は打ち込みのいいコットン100%モールスキン。通常のものよりもずっと強い丈夫な生地です。シンボルカラーはブルーですが、各色揃っていて、サイズも5サイズあります。 
 またもう一つの柱がニットで、1919年にアレクサンドルの曽祖母がブルターニュのモントランに工場を建設して以来ずっと手がけているそう。工場には数十年に渡って編み出されたデザインが大切に保管されていて、そのアーカイブが新たなインスピレーションの源となっているといいます。
 
ワティン・パリ WATTINNE PARIS
 時代を越えたファッションアイコンのスタイルを提案する、ラグジュアリーなメンズブランドで、2016年にパリのマレ地区でスタート。
Img_52391  アイコンはポロシャツで、前立てジッパー開きが特徴。またトレンチコートやボンバージャケット、スエット、パンツなどをラインナップ。裏にスエード使いなど、内側にもこだわってデザインされています。
 コットンや麻、シルク100%の天然素材を使用したフランス製です。
 
ノース・ヒル NORTH HILL
Img_52431  パリ18区にあるサクレクール寺院をロゴモチーフにしているメンズストリートウエアブランドです。ミュージックグループの3人が独学で服飾を学び、2014年に立ち上げたといいます。
 最新コレクションは、フランス北部に見られる多国籍文化をカラーブロックなどのデザインで表現したもの。地元の熟練したアトリエの技術がブランドを支え、街から着想を得て生まれる今の時代らしい、オリジナリティにあふれた、高品質かつ着やすいアイテムを提案しています。

ギリズ GILI’S
 メンズ&キッズ向けの水着ブランドです。ブランド名は、創業者のクラリス&エメリック夫妻が新婚旅行で訪れたインドネシアの島々の名称から付けたそう。旅行好きの二人らしい、異国情緒にあふれたプリントが多く、ブランドの象徴ともいえるのがポルトガルの伝統的なタイル「アズレージョ」のモチーフとか。
Img_52481  今季は「オーストラリア」をテーマに、ボンダイビーチのサーファーやバイロンベイの波、シドニーのオペラハウスなどを、随所に取り入れたデザインに仕上げています。
 ウェストゴムの「トラワンガン」と、ベルトタイプの「エアー」の2ラインを展開し、親子お揃いのものも。
 
フレンチ・テオ FRENCH THEO
 2016年創業のシューズブランドで、快適、シンプル、ミニマルをコンセプトに、フラットサンダルやサボなどを提案。メンズ、レディースともに展開しています。
Img_52791  素材は100%天然のものを使用、天然ゴムやコットン、木材、植物タンニンなめしのレザーなどにこだわっているといいます。

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2019年8月 6日 (火)

モード・イン・フランス展⑴ EPA効果もあり連日の賑わい

 第47回モード・イン・フランス展(仏プレタポルテ連盟主催)が東京・渋谷ベルサールファーストで7月24日~26日、開催されました。今回、2020年春夏コレクションをパリに先駆けて紹介したのは、44社50ブランドで昨年7月展に比べ若干増加。その内15ブランドが初出展で、その半数がメンズ関連だったことも注目されます。ファイナルレポートによると、来場企業数も、昨年7月展比3.52%増となり、各ブースとも連日よく賑わい、ポジティブな雰囲気で会期を終えることができたといいます。

 昨年7月展にも来日した同連盟プロジェクト・ディレクターのエルヴェ・ユシェ氏は、2日目に会見し、次のように語っています。
 Img_52371 「フランスから日本への衣料品の輸出は、2019年1月初めから5月末までの5ヶ月間で、1年前の同時期と比較し18%増となった。2018年末の統計ではわずか1%増だったから、この伸びは飛躍的だ。これには、今年2月に発効された日・EU間のEPA(経済連携協定)効果が大きく影響していると考えている」。
 また創設されて2年目となる「エスパス・ラベル」に関しては、「メンズブランドの若手を再発見していただきたいとの思いから、今回はメンズ中心に集約した。初出展初日の来場者は前年同期比5.4%増で、とくに有力セレクト各社のメンズバイヤーによる商談やアドバイスの機会を数多く得ることができた」。ユシェ氏はフランス紳士服連盟のディレクターも兼任されています。今後についても「メンズを拡充し、メンズバイヤーの来場を促していきたい」と述べています。

 さらに来期、2020/21秋冬展は、イタリアブランドを集積した「モーダ・イタリア展」の開催に合わせて、2020年2月5~7日に実施するとのことです。バイヤーにアンケートをとったところ、イタリア展と同じ時期を望む声が多かったからだそうです。その次の2021春夏展は、東京オリンピック・パラリンピックを避けて、8月26~28日に開催する予定と話していました。これまでの7月開催では早過ぎるとするメーカーに配慮したともいいます。

 このように来年は開催月が従来と比べ約1か月遅れとなります。この点もちょっと留意しておきたいですね。

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2019年8月 5日 (月)

デビュー50周年記念「萩尾望都 ポーの一族」展

 銀座松屋で開催されている「萩尾望都 ポーの一族」展に行って来ました。少女マンガに革新をもたらした萩尾望都のデビュー50周年記念展です。萩尾望都ももう70歳なのですね。会場は思いがけなく混んでいて、50代以上ではと思われる女性たちでいっぱいでした。Img_55851
 展示されているのは約300点もの魅惑的な原画です。デビュー前のものから「ポーの一族」第1作に始まるシリーズがズラリ。それに「トーマの心臓」もあります。
 2016年には40年ぶりとなるシリーズ新作が大反響を巻き起こし、2018年には宝塚歌劇団によって舞台化が実現したのですね。本展の奥のコーナーに、そのときの花組の公演「ポーの一族」の舞台が再現されています。
 舞台衣装や・小道具も特別展示されていて、衣裳は撮影が可能です。
Img_55611 Img_55651jpg Img_55631jpg  





 







 左はメリーベルとエドガー、右はシーラとポーツネル男爵です。
 
Img_55811  左はアラン、右はエドガーです。
Img_55571  
 右はエドガーです。
 時代衣裳とはいえ、男子服はモダンです。今着ても全然おかしくないし---、というよりも装飾を求めるファッションに合っています。

 このコーナー、見逃せません。

 なお展覧会は明日6日までです。
 興味のある方はお急ぎください。

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2019年8月 4日 (日)

銀座で“打ち水”! いっときの涼を楽しむ

 “災害”級といわれる酷暑が続くなか、昨日銀座のど真ん中で“打ち水”をやっていました。これは「ゆかたで銀ぶら2019」のメインイベントです。ストリートにはいっときの涼を楽しむ人でいっぱいでした。

 ゲストはパラアスリートの井谷俊介氏です。
Img_55491  陸上短距離選手の井谷氏が力強くオープニングを宣言すると、太鼓が打ち鳴らされて、ゆかた姿の人や買い物客たちがいっせいに水をまきました。Img_55551
 これによりイベント会場の路面温度は13.5℃も下がったそうです。焼け石に水かと思っていましたら、かなり効果があるのですね。

Img_55461jpg   北海道の美唄市から来たという雪氷も置かれて、子どもたちがはしゃいでいました。冬に降った雪を雪山の中で保管したものだそうです。

 それにしても打ち水って、一昔前まで普通に行われていましたね。この習慣はなくなったと思っていましたが、平成に入って全国的に復活しているといいます。これも昭和レトロのあらわれでしょうか---。
 定着を目指す東京都の呼びかけもあるようで、日本の夏の風物詩になっていきそうです。

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2019年8月 3日 (土)

「循環型社会へ向けて」寄稿

 このところ世界のあちらこちらで「サーキュラー・エコノミー」、つまり「循環型社会」という言葉が飛び交うようになりました。これを聞くと私はいつも、かつて大橋さんと親しくさせていただいていた社会学者の故大橋照枝さんが「静脈系社会」を提唱されていたことを思い出します。大橋さんが主張されていたような社会へ向けた活動が、今ようやく地に着き始めたのです。
 先般発行された一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION コットンプロモーション」(2019年夏号)に、このことに関するコラムを寄稿しています。テーマは「循環型社会へ向けて」です。本紙と併せてご覧下さい。Me-2019

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2019年8月 2日 (金)

2020/21年秋冬ミラノウニカ コットン素材傾向

 一般財団法人日本綿業振興会のHP内、「Newsプレスリリース」の7月31日付けで、柳原美紗子が寄稿した「2020/21年秋冬ミラノウニカ コットン素材傾向」の記事が掲載されました。
 http://www.cotton.or.jp/pr2019-07-31.htmlをクリックしてご覧ください。

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2019年8月 1日 (木)

ヤブノケンセイ展 「SPOUT(注ぎ口)」をテーマに

 今、ヤブノケンセイ(KENSEI YABUNO)の展覧会が、渋谷のelephant STUDIOにて8月1日まで開かれています。
Img_53441  テーマは「SPOUT(注ぎ口)」です。
 注ぎ口から液体があふれ出すような、有機的なフォルムは何かの生き物のよう。ちょっとコミカルでファンタジックな世界です。Img_53421
 ヤブノケンセイは26年にわたり、様々な媒体で発表し続けているアーティストです。2011年春夏のコム・デ・ギャルソンのコレクションでは、作品がテキスタイルとして採用されるなど、クリエーションの発想源にもなっています。
 そんなグラフィックの世界に注目です。

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2019年7月31日 (水)

アーカイブ ストア 90年代のジャン=ポール・ゴルチエ展

 「アーカイブ ストア(Archive Store)」という、ブランドの希少なアーカイブを展開しているセレクトショップが渋谷区神南にあります。今、この店で90年代のジャン=ポール・ゴルチエ展「Collection of Jean Paul GAULTIER from 1990's」が行われていると聞き、行って来ました。
 ジャン=ポール・ゴルチエといえば、アバンギャルドなパンク精神にあふれたファッション界の異端児と呼ばれるデザイナーです。1980年代にはフランスを代表するファッションブランドとなり、長年人気ナンバーワンを守り続けました。パリコレでは常に大喝采を浴びていたことが思い出されます。
Img_53591  そのゴルチエ作品約50点が、ビルの地下にあるショップで展示・販売されています。狭い部屋ですが、全面鏡張りなので広く感じました。
Img_53551jpg  入って真っ先に目に飛び込んできたのが、右の “キモノ”ドレスです。
 1999年春夏コレクションで発表されたもので、ベールのような透ける素材に女性のボディがプリントされています。
 ちょっと妖しげな雰囲気が漂う逸品です。

 ハンガーにはゴルチエのアイコニックなアイテム、マリンボーダーニットからドラゴンのタトゥープリント、メンズ用スカート、“見せる” ランジェリーなどがズラリ!と揃っていました。

Img_53581  上は"サイバードット"、1995年秋冬の作品です。

 ジャン=ポール・ゴルチエがいかに当時のファッションを塗り替えた先駆者だったかがわかるエキシビションでした。
 なおこれは31日までの開催で、次回は8月半ば頃からアンダーカバーのアーカイブを展示するそうです。また楽しみですね。

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2019年7月30日 (火)

ユニーク バイ モードシティ⑶ ジューンブライドの白が復活

 ユニーク バイ モードシティの会場で、最初に目に付いたのが特別展示「Bride to Be(未来の花嫁)」でした。Img_33421  6月の花嫁、“ジューンブライド”の伝説があるヨーロッパでは、日本と異なりこの時期にウェディングベルを鳴らす人たちは多いのです。
 このコーナーには白いウエディング・ランジェリーが集結していました。Img_33441
 とはいえ清楚なコットンの白いドレスは、普通にタウンウェアとして着こなせます。ボイルやチュール、ドット・メッシュなど、無垢な白ほど洗練されたエレガントを強調する色はありません。
 2020年夏はその白が復活してくると予想されています。ブライダルの白に注目です。

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