ジャパン ベストニット セレクション2019 国産ニット一堂に

 「ジャパン ベストニット セレクション(略してJBKS)2019」が、12月4日~5日、東京国際フォーラムで開催されました。
 第12回目となる今回は国産ニット関連メーカー、60社が一堂に会して出展、その内訳はニット42社、カットソー4社、生地・素材・靴下・小物12社、協賛2社。来場者は市場の停滞もあって昨年に比べ減少し2,686人と発表されています。
 各社提案ではSDGsへの意識の拡がりが注目されます。天然素材やリサイクル原料の使用、環境負荷の低い染色仕上げ法の採用、省資源に貢献する無縫製ニット“ホールガーメント”訴求など、といった動きが目立っていました。

 最終日の午後、恒例の2019アワード表彰式も行われました。グランプリと経済産業省経済産業大臣賞にバーンズファクトリー、準グランプリに奥山メリヤスと昨年グランプリのサトウ エススクエアがそれぞれ受賞、また特別に設けられた奨励賞に今間メリヤスが選ばれました。
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◇バーンズファクトリー
Img_17741  東京都・板橋区で2010年に創業。自社工場で丸編みを行い、糸という原料から縫製までコントロールし受注生産体制を確立しているニット企業です。
 アワード受賞は今回で3回目とのことで、松浦永社長は「大変励みになります。これからもみんなで力を合わせていい未来を築きたい」と挨拶されました。
 右は、シルエットの美しいカシミアニットのコートです。
 しなやかな軽い着心地が魅力です。
 縫製は“TPS”縫製という、特殊千鳥ミシンにより生地を突き合わせて縫製する、縫い代の無い製法になっていることも特徴です。縫い目が平坦で、生地に厚みが出ません。縫い代のアタリがないので、着心地良く着用できるのです。

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          (上の写真は裏側から見た縫い目) 

◇丸正ニットファクトリー
 新潟県見附市で天保3年創業の老舗で、プルミエールヴィジョン・パリにも出展し、ホールガーメントを積極的に設備してブランド開発につなげるなど、新しいことにチャレンジしているニット企業です。

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 今回の一押しは、経編と横編みをハイブリッドした製品(上写真)です。デザインの幅が広がり、目新しく映りました。

◇東亜ニット

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Img_17961  大阪府松原市で丸編み生地の企画・製造販売を手掛ける企業です。
 
 両面選針機を活用した3Dニット技術で、斬新な編地を多数提案しています。

◇トシテックス
  桐生産地の小巾ラッセル編メーカーです。
Img_17881jpg  今回は“きものストール”を提案。これはきもの地をテープ状にスリットして編み込んだストールで、服飾素材の付属としても使えるといいます。
 アップサイクルへの取り組みの一つとして、期待されます。

◇島精機
 本展示会に協賛出展している、日本を代表するニット編み機のトップメーカーです。

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 Img_17811jpg 今回は、スプリング式可動型シンカーを搭載した4枚ベッド機構のホールガーメント横編機のMach2XS 103を紹介していました。
 100cm幅で女性用ドレスが編めることや、8色使いが可能になったこと、今まで手編みが必要だったカフス部分も、その必要がなくなったことなど、新型機を実動しアピールしていたのが印象的です。

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2020年1月17日 (金)

JFW JC2020/ PTJ20AW ⑷ 環境配慮に拘りのデニム

 先般の「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」では、環境配慮に徹底的に拘ったデニムが注目されました。

◇カイハラ
 デニム製造における全工程、「紡績」「染色」「織布」「整理加工」を一貫体制で行っている日本を代表するデニムファブリックメーカーです。年間800~1000種類もの生地開発を行い、徹底した品質管理による高品質な素材を提供しているといいます。
Img_13841  今回は新染色「E-BLUE」を訴求していました。これは精錬剤(洗剤)を使用しなくとも従来通りのインディゴ染色を実現する染色法といいます。
 これまでは染色性を高め、均一に染める目的で精錬剤を使って糸に含まれる油分を除去してきたそうです。排水にも精錬剤の成分が流れ出て排水処理にも負担がかかっていたのですね。でもこの環境配慮型の新染色方法なら、美しい藍色をキープでき、水使用量も精錬工程の効率化により20%削減でき、薬剤使用料は「ゼロ」、排水処理エネルギーも17%削減するとのことです。さすが選ばれるカイハラデニム、ですね。
 
◇篠原テキスタイル
 カイハラと同じ福山市が本拠地で、糸や染め、織、仕上げに深く拘った、上質なデニムを追求しています。
Img_15481jpg  ブースではCOTTON USAの認証ジーンズを展示していました。デニムは40番手コーマ糸使いのきれいなストレート糸シリーズのものです。
 リサイクルポリエステルを使用したり、従来に比べよりCO2の排出量を減らした染色方法を採用したり、エコやトレーサビリティといった環境配慮にも力を入れているメーカーです。

◇ダックテキスタイル
 ここも福山市が本拠地のデニムメーカーです。
 Img_14641_20200118230701 2020秋冬向けには、環境配慮を意識したエコ染色によるデニムと、起毛したデニム、色落ちしにくい反応染めデニムなどを提案。また独自性、意匠性の高いジャカードデニムも多数揃えて、高い開発力をアピールしています。

◇シバタ
Img_14551  同様にデニムのメッカ、福山市にあるメーカーで、ブースではとくにオーガニックコットン使いのジャカードを展示していました。

◇播(へそデニム)
 西脇産地で播州織の企画・製造・販売を行っている企業で、“へそデニム”はこの産地初の一貫生産デニムです。
Img_14531jpg  今季は綛染めを中心に、加工や撚糸によって様々な変化をつけた生地を提案しています。

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2020年1月16日 (木)

JFW JC2020/ PTJ20AW⑶ サステなハイエンドカジュアル

 先般開催された「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」では、サステナビリティを意識したハイエンドカジュアル素材が広がりました。ウールやウインターコットンなどの天然素材が、充実した展開を見せています。

◇大江
 丹後産地の生地製造卸で、シルク、ウール、綿、麻、再生セルロースなどの天然素材系にノベーティブな加工を施し、他にはない新しい素材を開発しているメーカーです。とくに今シーズン、間伐材から液体を抽出して糸を染める「原木染」を訴求して注目されます。
 日本中で放置されたままになっている間伐材を利用することで、「SDG’s(持続可能な開発目標)に貢献できる」上、従来の染色と比べて大幅に染色時間も短いとか。
Img_15671jpg  色は基本的に茶色一色ですけれど、糸の種類によってむら感が出るのが特徴だそう。木材を原料にしているため、天然の抗菌性や消臭性、耐光性などに優れるほか、自然なハリ・コシも出るといいます。

◇森菊
 三河産地の生地メーカーで、2018年に立ち上げたサスティナブルマテリアルのテキスタイルブランド「NATURE & SONS」を今回も大きく打ち出しています。 Img_14171 Img_14191g Img_14241
 オーガニックコットン、リヨセルを中心に混紡、交織、特殊加工など、他にはない泥染めや多重織コットンガーゼなどエコ素材を提案し、好評の様子です。
 
◇アバンティ
 オーガニックコットンを専門に手がける同社、今回、久しぶりの出展です。
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 環境に極力負荷を与えない加工工程、杢糸シリーズの展開、ウールや麻、シルクとの交織企画を提案し人気を集めていました。
 
◇豊島
 「フード テキスタイル FOOD TEXTILE」を展開。とくに食べ物が持つ「色」に注目したテキスタイルブランドで、食品会社・飲食店・農園の製造過程で出る、野菜や食材の残渣が色の元になっているそう。
Img_15251  食品廃棄物問題の解決方法を提案する注目のブランドです。
 
◇スタイルテックス
 埼玉県川越市を本拠地に、抜群の耐光堅牢度を誇るスレン染の技術を駆使した高密度織物を手掛けているメーカーです。
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  コート用の本物のギャバジン、綿100%、綿/ポリエステル交織、 ポリエステル/綿交織の3品番をストック販売していて、ミラノウニカにも2018秋冬Img_14321 ものから出展、 その高いクオリティが 国内外で好評を得ているといいます。
 今シーズンは全ての商品に撥水加工を施し、エコの一環としてフッ素フリーの撥水加工への取り組みをアピールしていました。

◇東海染工
 今回のテーマは「コンビネーション」で、今まで取り組んでこなかった新しい素材を 加工と組み合わせたテキスタイルを提案しています。
Img_13641jpg  右は「せのうみ(石花海)」と名づけられた加工です。波紋のようなフェードした色合いやヴィンテージ調の表現が特長。また新風合い加工「VOLIBIA(ボリビア)」や「塩縮風ニット ゴットン」なども。

◇鈴木晒
 遠州産地にて、創業60年以上の天然繊維を中心に染色、整理を行っている加工場です。
 今シーズンは花粉症のようなアレルギー症状をかかえる人向けの、アレルゲン鎮静化加工「アレルアタック」を訴求していました。
Img_14981pg  上はこの「アレルアタック」加工の生地を使ったパジャマです。

◇柴屋
 プルミエールヴィジョン・パリにも出展しているハイエンドなカジュアル・テキスタイルのメーカーです。
Img_15331  “極上天日干し”を大きく打ち出していました。
 
◇小松和
Img_15391  小さな釜で染色することで、織物にテンションを加えずリラックスさせて染める「東炊き(あずまだき)加工」に続いて「織姫炊き加工」をアピール。肉厚な素材も「織姫炊き加工」でソフトな仕上がりになるといいます。バリエーションが増えています。

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2020年1月15日 (水)

JFW JC2020/ PTJ20AW ⑵ ファンシー・プリント・先染め

 先般のテキスタイルビジネス商談会「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」で、出展各社の新作コレクションの中から注目した素材を分野別にピックアップしてご紹介します。

<ファンシー>
◇森川レース
 福井産地のレース生地メーカーで、昨年2月のミラノウニカや前シーズンのPTJに出展していて、このブログにも記事を掲載しています。(このブログ2019.6.15付け参照)
 打ち出していたのはトップテキスタイルデザイナーの梶原加奈子さんが手がけるオリジナルブランド「andante」です。ここで扱われているレースは国内に2台しかない1987年製のラッシェルレース編機で生み出されているといいます。従来のラッシェルレースの概念を覆すデザイン性にあふれたラインナップで、魅了されました。
 Img_13361jpg  上はデニム カムフラージュ レースで仕立てたジャケットです。

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 左上はストライプ・リブ、コーデュロイのようなレースです。
 右上はストライプ刺し子レースです。
 いずれも綿高率混で、ヴィンテージ感や和のイメージも感じさせます。

◇久山染工
 京都にある手捺染の工場で、古来よりまつわる友禅染を継承しているといいます。そのオリジナルの特殊加工によるクリエイションは、内外のバイヤーの目を惹き付けてやみません。
Img_13681  今シーズンの一押しは、土に還る成分解機能をもった自然に優しい素材で、しかも革の表情をもった素材「3WL」だそう。
Img_13721 Img_13791jpg  左上は綿100%のもの、右上はボロボンディングです。

◇クロスジャパン
Img_15041jpg  テキスタイルの企画・提案会社で、東京・千駄ヶ谷にショールームがあります。
  ブースでもドビー・ジャカード織物を中心に、刺繍・カットソー等、テクスチャーにこだわった自社オリジナル企画の生地を展開していました。

◇クリスタルクロス
 大阪が本拠地の婦人テキスタイル企画・販売会社で、今シーズンも布帛・ニット・プリント・刺しゅうなど、トレンディなテキスタイルコレクションが人気です。
Img_14861 Img_14881  毛足のある表情豊かなウール地が注目されます。

◇マルマス
 ファンシーな宇仁繊維グループ企業で、元老舗だった頃のアーカイブに着想したファッション性の高いオリジナルテキスタイルを開発しています。
Img_15101 Img_15121  左上はTCRストレッチコール、右上はマットオーガンジーフロッキー顔料加工のものです。

<プリント>
◇コッカ
 プルミエールヴィジョン・パリに毎回出展している日本を代表するプリント生地商社です。商品はALLSTOCKされていて、コッカネットで商品在庫検索、注文、発送を行う事が出来るようになっています。Img_15281pg
Img_15291 Img_15301_20200118143401  日本製やサステナビリティにこだわったものづくりにも注目です。
 
◇イマダ
 プリントのモチーフは花、花、花---。
Img_14931 Img_14941  地組織を活かしたプリントや、スカーフパネル柄のものなど。

◇グローブ
Img_15161jpg  大阪が本拠地のテキスタイルコンバーターで、プリントテキスタイルならあらゆるニーズにクイックに応えられるといいます。
 その斬新なグラフィックが今も目に焼きついています。

<先染め>
◇植山織物
 播州織の織布工場で、オリジナルの企画生地は600品番以上を在庫していて国内外の様々な要望に対応できるとのこと。またグループ企業を通じて生地の企画・製造・販売から衣料製品・付属品の企画・製造・販売まで、一貫して行っているのも強みといいます。
Img_13891  2020秋冬は「昔と今、自然とそこにあるモノと日々を、大切にゆっくりと積み重ねた時間の経過を感じさせるヴィンテージ感と洗練されたナチュラルへの未来」をテーマに新作を発表。表情豊かで心地良い天然素材による「サスティナブル」で「ナチュラル」なブース構成が印象的です。Img_13981g

◇カゲヤマ
Img_14911_20200118150101  播州織の産地西脇市が本社の産元商社です。
 今シーズンは、しっとりとやわらかく温かいヤク使いのテクスチャーを打ち出していました。

◇浅記
 新潟産地で「糸染、製織、整理加工」等全ての工程を一貫生産している織物メーカーです。
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 Img_1474j1pg 今季の目玉は、一つが「ウインターツイーディコットン」シリーズで、一押しは起毛素材やネップツイード素材によるチェック柄。もう一つは「メイキング テクスチャーズ」でより表面感とテクニカル感を出したドビー織や複合素材のシリーズです。

◇モナ・ニット
  愛知県豊川市で丸編みニット生地とアパレル製品を主体に、Img_15421 企画から製品化まで自社一貫生産している繊維メーカーです。
 ブースでは編みと加工のテクニックによるオリジナルデザインが数多く取り揃えられていました。
  今シーズンはジャカードニットを中心に展開、下はスペック染めによるインディゴ調のカットソーです。Img_15441

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2020年1月14日 (火)

JFW JC2020/ PTJ20AW ⑴  新作素材一堂に

 2020/21秋冬新作素材を一堂に集めた日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)主催「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」が、昨年11月19日~20日、東京・有楽町の東京国際フォーラム・展示ホールで開催されました。
 今回は、84件・294社/210.3小間(うち海外出展者9件・19社/19.5小間)、PTJは85件/116.5小間(9件・9小間)と過去最多の出展社数となり、来場者数は、消費税導入など衣料市場の苦戦にもかかわらず、16,811人(昨年17,220人)とほぼ前年並みを維持したとのことです。全体に新規出展者が増加し、バリエーションが拡大、海外からの来場者が増えたことも特徴だったといいます。
 
 各社一押しの素材が並ぶトレンド&インデックスコーナーには、新しい商材を求めるバイヤーが熱心にメモをとる姿が数多く見受けられました。とくにサステナブルに対応した素材は高く評価された模様で、来年度からのサステナビリティコーナー開設が期待されています。

 下記注目のトレンドコーナーをご紹介します。メインテーマは「意識と感覚」で、791点の素材が4つのストーリーに分類され、提案されました。詳細はHPをご覧ください。
 
哲学 ≒ 美学 -Philosophy ≒ Aesthetics-
 ソフトで柔らかな感性を利かせた、繊細なカラーパレットで展開されるグループ。
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魅力 ≒ 魔力 -Charm ≒ Mystique-

 ダークに妖しく魅せるカラーを、ヴィヴィッドに鮮度アップされたカラーで魅せる。
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発想 ≒ 妄想 -Inspiration ≒ Delusion-

 パウダリーグレイッシュソフトカラーを、品よく洗練させたカラーパレットで展開。
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個性 ≒ 感性 -Individuality ≒ Sensitivity-

 シックで深みを感じさせるミディアムカラーバリエーションを、情緒的なカラーパレットで。
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2020年1月13日 (月)

杉原厚吉氏講演会 不可能立体最前線~脳の不条理な世界

  先般のAIITイノベーションデザインフォーラムで、明治大学の杉原厚吉研究特別教授が登壇、「不可能立体の最前線~脳が作り出す不条理な世界~」をテーマに講演されました。
 先生は、国際ベスト錯覚コンテスト(Best Illusion of the Year Contest)の常連ファイナリストで3回優勝、2回準優勝され、また現在、2月23日まで台湾の故宮博物院の特別展で作品が展示されている、不可能立体の第一人者です。
 まず“不可能立体”とは何か、ですが、これは絵を見たときなどのあり得ない立体の印象であり、そのような立体を表す“だまし絵”のことです。エッシャーの名画などに見る技法であり、ファッションデザインの表現にもよく使われます。
 この不可能立体をつくるトリックとして、次の3つ、①不連続のトリック : つながっているように見えるところにギャップを設ける。②曲面のトリック : 平面のように見えるところに曲面を使う。③非直角のトリック : 直角に見えるところに直角以外の角度を使う、があるといいます。
 次に紹介されたのが、あり得ない動きが見えてくる「不可能モーション立体」です。(ここから方程式による立体の探索が始まり、頭が混乱してきます----。) 人間の脳は、3組の平行線しか使われていないのに、面と面が直角に接続していると勝手に思ってしまうそう。脳が直角好きだからで、車を運転していて遭遇する“お化け坂”、つまり上り坂が下り坂に、また下り坂が上り坂に見える坂道錯視もその一つといいます。
 さらに変身立体という鏡に映すと姿が変わる立体について解説。これは二つの方向から見たとき、まったく別の形に見える立体で、本当に不思議!と思いました。
Img_16201jpg Img_16171  
 上の写真はそのとき先生がお持ちになられた実物見本の中の二つです。正面から見た立体は、鏡の中のものと全く異なる形をしています。
  P_20191120_203401_vhdr_on2_3 でもそれを横から見て、分かりました。
 右のように正面からは円筒形に見えたのが、実は角のある立方体だったのです。
 
 最後に、まとめとして不可能立体の背景には次の二つの性質があるといいます。①数理的性質 : 一枚の画像には奥行きの情報がない。②心理学的性質: 脳は直角を優先する傾向がある。確かに人は平行四辺形の立体を直方体と思って見ているようです。
 
 先生はこの錯視の考え方を、道路信号の位置や標識などに採り入れることで交通安全に役立てられるといいます。グラフィックデザインのポイントとして心に刻みたいと思いました。
 但し、なぜ人間は直角が好きなのか、その理由は謎のようです。

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2020年1月12日 (日)

クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019”⑵ 伝えるの未来

 先般開催された “AnyTokyo(エニートーキョー)2019”は、クリエイティブの祭典というように、予測できない未来を実験、そして発見するための斬新なアイデアがいっぱい。中でもオヤッと思ったのが、コミュニケーションに新たな価値を生み出そうとする動きでした。

 トークセッション「伝えるの未来」ではそうしたアーティストたちの活動に目を見張ったことが思い出されます。
Img_12681jpg    それは博報堂が発刊する雑誌「広告」の編集長でクリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーの小野直紀さん(右)をモデレーターに、パネリストとしてインタープリターのmmm/サンマロさん(左)と、クラウドファンディング・MOTION GALLERY/POPcorn共同代表の大高健志さん(中)が参加して行われた座談会でした。
 コミュニケーションといえば主体は言語です。最近は翻訳もテクノロジーの進化で精度が上がり、国境の壁がなくなってきました。しかしこのディスカッションで気づかされたのは、言葉だけでない、ボディランゲージやビジュアルの重要性でした。

 とくに印象に残ったのは、mmm/サンマロさんです。手話を第一言語に育ち、インタープリター、つまり手話通訳家であるそう。盲聾の方に向けて触手話もやっていらっしゃるといいます。mが3つ並ぶお名前には、音波の波のイメージが込められているようです。
1_20200112091501  ここでは音楽家Kenta Tanakaと音で空間をデザインする展示を見せていました。ヘッドフォンを通して聞こえる音とそこに存在する空間,視覚での実像と聴覚での虚像の関わりを感じる実験行為です。文章で表現するのは何とも難しいのですが---。写真はAnyTokyoのHPからの引用です。
 
 さらにお話しは音の可能性へと展開し、音とは振動であること、その振動のバイブレーションが骨を通して音として伝わる「骨伝導」へ広がりました。今人気の骨伝導イヤホンから、話題は本展の目玉となっている「エコー(echo) プロジェクト」へ。これは以前から私がもっとも注目しているプロジェクトです。このウェアが“骨”を中心につくられていると伺って、納得しました。

 ところでこの「エコー(echo)プロジェクト」とは何か、簡単にご紹介しましょう。
 これはダイアログ・イン・ザ・ダーク檜山晃とライゾマティクスリサーチ、アンリアレイジが協働で取り組んでいる事業で、目の見えない方を支援しようと、ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017での展示から始まったといいます。服には導電性繊維が用いられていて、信号を発し、距離を計測することで空間を認知し、その反応が振動として着ている人自身に返ってきます。服自体が発信し空間との距離を感じる「エコー(echo)」を通して、今までに感じたことのない空間の知覚方法を体験、思い巡らすという、感動的なプロジェクト!です。
Img_11881jpg  Img_11871jpg  
 この「エコーウェアecho wear」を制作したのがアンリアレイジのデザイナー、森永邦彦さん。和服は“骨”、洋服は“肉”で着るとの考え方を基に、和服をイメージしてシルエットをつくったといいます。さすが森永さんと、またしても敬服させられたことでした。
 
 この他、表現の伝え方、その理解の仕方など、楽しいトークが続き、何と茶道の茶室の提案も出てビックリ。暗闇で所作をする茶の湯では触覚が頼りです。見えない場所では感覚が研ぎ澄まされます。
 現代人はそうした直観力をもっと磨く必要があるのかもしれません。
 
 この先の「伝える」とは何か、改めて考えさせられたトークセッションでした。

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2020年1月11日 (土)

クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019” ⑴ 「着るの未来」

 クリエイティブの祭典といわれる“AnyTokyo(エニートーキョー)2019”が、昨年11月16日~24日、kudan house(東京・九段下)にて開催されました。
 2015年に国の重要文化財・増上寺(このブログ2015.11.30参照)で開かれて以来、4年ぶりの開催で、4回目となる今回は、会場が東京・九段下の九段ハウスkudan house(旧山口萬吉邸)でした。登録有形文化財として登録されている歴史的建造物で、2018年にリノベーションされて、日本庭園のある会員制ビジネスサロンとしてオープンしています。
 どんなところかしらとドキドキしながら門をくぐり受付をすませて入ってみると、玄関前には、巨大な蜘蛛のような“モンスター”が鎮座していました。
Img_12511jpg  これはアーティスト高島マキ子さんの「Hopeful monster」という作品です。女性が嫉妬から蜘蛛へと変身させられるギリシャ神話の生物に着想し制作したといいます。キメラ化された妖怪は現代女性の不条理・恐怖を考察し具象化したものとか。抑圧者から逃れようと長い足を時折動かして、少しの希望を求めてもがいている姿が、何か切なく見えました。
 
 大正ロマンの香り漂う洋館の内部では、高島さんのような各分野のイノベーターたち、25組の作品が、インスタレーションされていました。テーマは“Crazy Futures / かもしれない未来”で、プロダクトからファッション、インテリア、建築、ロボティクス、コミュニケーション… まで様々。いずれも暮らしにイノベーションを起こすこれからのデザインです。それらがジャンルの垣根を超えて集まり、お互いの創造力やイマジネーションを刺激し合っているように思われました。

 Img_12071_20200110120801 ファッション分野で、一つ、興味深かったのが右の「アルゴリズミック/キメラ」です。これはAIによる衣服の製造システムを提案するもので、手掛けたのはファッションとテクノロジーの融合を目指すSynfluxのメンバー、スペキュラティヴ・ファッションデザイナーの川崎和也さんと佐野虎太郎さん、デザインエンジニアの清水快さんと藤平祐輔さんです。
 このシステムなら、これまで大量に出ていた生地の廃棄部分を削減でき、環境面でもコスト面でも効果を発揮できると明言しています。生地もバクテリアを培養してつくった生分解素材を使用し、バイオロジカル・テーラーメイドを目指しているとのこと。次の“スパイバー”になれるか、期待されます。ファッションブランドの「ハトラ」も係わっているとのことで、驚きました。
Img_12091  アルゴリズミック・クチュールを衣服製造の新たなスタンダードにしていきたいというSynflux、今後が楽しみです。

 “AnyTokyo 2019”では、「着るの未来」と題したトークセッションも開かれました。
 WWD JAPAN.com編集長・村上要氏をモデレーターに、バイオアーティストの福原志保さん、それに上記「アルゴリズミック/キメラ」の作品制作に携わったスペキュラティヴ・ファッションデザイナーの川崎和也さんが、私たちの衣服、着る行為は、この先どのように変わっていくのか、語りました。Img_11831jpg
 過去100年ほどの間、衣服の形はそれほど大きく変わらず、ファッションシステムもあまり変化しなかった業界ですが、近年、激震が起こっています。情報技術の発達や深刻化する環境問題をはじめとした、ファッションに関わる倫理的な問題を提起する動きが活発になっているからです。
 こうした中で、川崎さんはサステナビリティの見地から、ファッションシステムの見直しと更新を訴えました。福原さんはテクノロジーを採り入れることでイノベーションを起こしている伝統工芸や職人の話をされていたことが印象に残りました。

Img_12441  右は福原さんが着用されていたリーバイスの「トラッカー ジャケット ウィズ ジャカード バイ グーグル」です。袖のカフス部分に、ご自身も開発を担当した導電性繊維が埋め込まれていて、この部分に触れるとスマホを操作できようになっています。
 Img_12471jpg 右のサンローランのリュックサックのショルダーベルトにも、この導電性繊維が使われているとのことで、有力ブランドを中心にこのようなウエアラブルテクノロジーが広がっていることに驚かされました。

 目に見えないところでデジタルが活躍するエキサイティングな未来が増殖し始めています。「着るの未来」、どんどん楽しくなってきそうでワクワクします。

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2020年1月10日 (金)

IFFT/インテリアライフスタイルリビング⑵ ハイムトレンド

 先般のIFFT/インテリアライフスタイルリビング展で、現在ドイツのフランクフルトで開催されている「ハイムテキスタイル(HEIMTEXTIL)」のトレンドを解説するトークショーが行われました。テーマは「布のトレンドがみるみる分かる!南村 弾のファブリックマジック2019」で、プレゼンターは無論、ダンプロジェクト代表でハイムテキスタイルのトレンドセッターでもある南村 弾氏です。ジャーナリスト 本間美紀氏との対談形式で、その先行情報を披露しました。
1_20200109190701  メインテーマは「WHERE I BELONG (私が属しているところ)」で、サステナビリティであることが大前提といいます。人は地球上のどこに属しているのか、新興国の人々から見ると違った解釈があり、そこが好奇心を誘う興味深いテーマになっているようです。

 提案されたのは次の5つのストーリーです。

マキシマム・グラム MAXIMUM GLAM
Img_12751jpg  エキセントリックにシュールリアルな表現や色彩のぶつかり合い、装飾を盛った一点もの風、手織り調、不完全なものも。

ピュア・スピリチュアル PURE SPIRITUAL
 ナチュラル、シンプルを求める動きで、自然由来の天然素材、綿や麻のみならず、海藻や菌類、苔、木の布も。

アクティブ・アーバン ACTIVE URBAN
Img_12711  スポーツよりのテーマで、リサイクルやアップサイクルといった循環性を意識させるもの、廃棄されたエアバッグでつくったクッション(右)、回収した布のフュージョンなど。

ヘリテージ・リュクス HERITAGE LUX
 ロココやバロックなどリッチな伝統を再解釈する。ノスタルジアとともに、アーティスティックな贅沢感も。透ける素材や、希少な貴石、パールの光り。

マルチ・ローカル MULTI-LOCAL
Img_12731  アジアやアフリカ、中東など多様な国々の文化に影響されたデザイン。民族の文化とクラフトマンシップの混淆など。

(なお、上に掲載した写真3点は南村氏が提案された布です。ここではそのほんの一部をご紹介しました。)


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2020年1月 9日 (木)

IFFT/インテリアライフスタイルリビング ⑴ 注目の展示

 東京国際家具見本市(IFFT)を前身とするIFFT/インテリアライフスタイルリビング展が、昨年11月20日~22日、東京ビッグサイト南館にて開催され、行って来ました。日本各地の家具産地をはじめ、テーブルウェア、デザイン雑貨、生活用品など、空間全体を構成する商材をもつ400を超える出展者が集まり、3日間の来場者数は合計16,005名と発表されています。
 
 今回とくに注目した展示をご紹介しましょう。

特別展示「アップサイクル」
 「アップサイクル」とは、廃棄物を利用するリサイクルや繰り返し使うリユースに対し、元の何かに新たな視点やアイデアを加えて、魅力あるものを生み出すことです。とはいえ一般にはなかなか浸透していっていないようです。そこで有力デザイナーや建築家に依頼し、アップサイクルの事例を作品展示することになったそう。この特別展示がアップサイクルを再考するキッカケになるといいなと思います。
Img_13201  いろいろあった中で、おもしろいなと思ったのが、上の作品です。
 “もこもこソファ”(鈴野浩一、禿 貞哉/トラフ建築設計事務所)と名づけられた、ポリエチレン発泡体の端材をカットして束ねただけのソファです。
 
Negura(ねぐら) 大東寝具工業
 これは睡眠に特化した空間で、普段の寝室に天井や四方をカバーリングすることにより、いつもと違った快眠を体感してみては、というアイデアです。Img_12841jpg_20200109164001   中芯2層構造によるオリジナル敷布団“伏見”や、以前から訴求している“テトラ tetra”を提案。テトラは座ると自然に背もたれが立ち上がり、姿勢を変えるたびにビーズ素材が身体に寄り添って、体勢に合わせて変形するクッション座椅子です。素材はしっかりした8号帆布やシェニール、デニムなど、替えカバーも揃っています。
 
KEIKO KUROISHI
 デザイナー黒石恵子さんによるオリジナルテキスタイル・ブランドで、七夕の網飾りの構造を布で再現したストールは代表作です。私も時折、着けて楽しんでいます。Img_12891
 Img_12911 今回は新しく布張り茶箱を提案していました。
 スツールやちょっとしたベンチとしても使用できるといいます。
 布はコットンサテンのジャカード織で、“オリーブの樹 ” を表現したデザインが印象的です。
 
BIWACOTTON(ビワコットン)
 カイタックファミリーが手がける新ブランドです。“びわ”というように、滋賀県北西部に位置する琵琶湖の畔、高島市で江戸時代からつくられてきた“高島ちぢみ”が源流といいます。その製法を現代服に合うように進化させた“ビワコットン”は、綿100%の心地よさと強撚糸使いによる清涼感のある風合いが特長です。
Img_12801jpg  “からっと、かるい、きもちいい”のコピーで、Tシャツをアピールしていました。

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2020年1月 8日 (水)

FB学会 特別講演 齊藤孝浩氏「ファッション・サバイバル」

 先般、ファッションビジネス(FB)学会2019全国大会で、昨年2月に上梓された「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞社刊)の著者、ディマンドワークス代表の齊藤孝浩氏が特別講演されました。Img_09702 テーマは「ファッション・サバイバル~これから10年のファッション消費の未来」です。講演は、ご著書「アパレル・サバイバル」に沿う内容で進められ、ITシフトにより大きく変わる「消費の形」とともに、進化するアパレル業界の最前線に迫る、という大変興味深いものでした。
 前半はデジタルショッピングを中心に、後半はサステナブルの考え方、とくにクローゼットに溢れている服やものの循環について語られました。
 冒頭挙げたのが日本の衣料品市場規模と販路別シェアの変化です。2008年から2017年までの10年間で、規模は7%シュリンクし、販路別では百貨店や量販店が減じた一方、専門店や通販は約4割増となり、プレイヤーが入れ替わったといいます。
 まず、ファッションの流通革新は10年周期で起こっているとし、これからの10年を意識して活動していかないといけないと注意喚起しました。1990年代後半にユニクロなどのベーシックSPAが登場し、2000年代後半にH&Mなどのファストファッションが旋風を巻き起こしました。その後2010年代後半にはショッピングのデジタル革新が起こり、ファストファッションには定着感があるといいます。2018年はポストファストファッションへ向けて節目の年だったと指摘します。
 次に日本は欧米から10年遅れで追随していると釘を刺します。欧米では既にオムニチャネルを卒業し2020年からサステナブルの時代に入っているのに、日本はまだオムニチャネル時代でECモール依存からも脱皮していないといいます。
 そこで変化のヒントをつかむべく、ポストファストファッション時代に向けて先行する欧米の事例を大きく4つ、紹介しました。
①都市型トレンドファッションディスカウンターの台頭。例えばH&Mの6掛けで販売する英国のプライマーク。また米国のオフプライスストア(ブランドの余剰在庫を低価格で販売する店舗)TJXカンパニーなど。TJXはもしかしたら世界一の売上高とか。日本でもワールドが子会社を通じてオフプライスストア「アンドブリッジ(&BRIDGE)」を展開しています。
②女性の内面の美にフォーカスするビューティ部門を導入したファッションストア。ビクトリアシークレットを始め、アンソロポロジーもスキンケアに乗り出しています。
③コト提案をする体験予約型ストア。教室やパーソナルカウンセリングに力を入れるルルレモンやセフォラなど。
④ショッピングのオンライン活用とオムニチャネルリテイリングOMOへの取り組み。アマゾンの自宅をフィッティングルームにする「アマゾン プライム ワードローブ」やゾゾのWEARなど。
 これら、とくに④のサービスがこれまでと違うのは、情報のパーソナライズを提供することで、時間短縮やコスト節約、それに加えて無駄足なし待ち時間なしでストレスを解消していることといいます。従来のオンラインショッピングは事前情報収集や店舗行き、商品探しといった消費者が抱えるショッピングの悩みを流通革新(イノベーション)により解決してきました。しかしこれからはアマゾンなどの例にみられるように、パーソナライズを通じて、顧客の発見の過程をさらに加速する(最適化)する時代になっているのです。
 その上で、オンラインショッピング時代に残された課題は、フィッティング、コーディネイト、商品受け取りであるとの見解を披露。デジタル時代の店舗革新の例として、英国ではクリック&コレクト、米国ではストアピックアップが進んでいること、また欧米店舗では、来店客のスマホを店頭でオンラインにつなぐことにより、ショッピングの体験価値を拡張する試みが進行中であるとレポートしました。情報収集~ショッピング~その後のフォローを途切れることなくシームレスにつなぐシームレスショッピングにより、とくにザラでは顧客に「失敗」させない最適解を提供しているといいます。
 またテクノロジーの進化に関する明言も興味深かったです。「これまでテクノロジーは企業の勝ち残りのためのものでした。しかしスマホ・4G以降、テクノロジーは消費者の豊かさのためのものになった」といいます。そして「次の革新は消費者のスマホの中で起こる。解決すべき消費者の課題は買うだけではなくその先にあるクローゼットにも広がっていく」。パラダイムシフトが「~1990年代のプロダクト・アウト」から「1990年代のマーケット・イン」へ、「2000年代はクローゼット・イン」へ変化している、との提言も目からウロコでした。
 さらに「革新の舞台は店頭から顧客のクローゼット最適化へ」お話は佳境に入っていきます。ここではスマホを舞台に繰り広げられる、主なワードローブ(服)の循環支援型ファッションテックをピックアップしました。
①コーディネイトをヒントに買い足しを手伝うシェアリングサービス
②ワードローブの着回し管理アプリ
③着なくなった服を下取りして新しい服を買うオンライン古着販売
④大好きな服と長く付き合うオンラインクリーニング完結型サービス
⑤オフシーズン服を預かり撮影、オンラインクローゼットにのせる都市型トランクルームサービス
⑥着なくなった服をもって買い物に行く、自己完結型衣料品循環プロジェクトなど
 ほんとうにいろいろな事例があっていずれも巨額の利益を出しているというのも驚きです。

41r20ccpbl  最後に「クリエイティブとは、新しいものを創り出すだけでなく、問題提起をし、解決策を提案すること」の言葉で締めくくりました。このことに気付いて実行できれば、未来は決して悲観するばかりではありません。逆に明るく楽しいショッピング環境が整うと、改めて思いました。

 今やサバイバルの分岐点、「アパレル・サバイバル」、ぜひ一読をお勧めします。

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2020年1月 7日 (火)

JAPANTEX 2019 ⑵ 特別対談 わたなべひろこ×須藤玲子

 今回JAPANTEX(ジャパンテックス)2019で行われたセミナーの一つ、「テキスタイルデザイナー特別対談 わたなべひろこ×須藤玲子」に参加しました。わたなべひろこ氏は国際テキスタイルネットワークジャパン 代表/多摩美術大学 名誉教授、須藤玲子氏は(株)布 取締役デザインディレクター/(株)良品計画 アドバイザリーボードメンバーです。
  この我が国を代表するテキスタイルデザイナー、お二人が「日本のImg_09351 繊維産業が忘れているものを考える」をテーマに、 日本の豊かな繊維文化をもう一度取り戻し、新しい繊維産業の未来を拓く為に私たちは今何をすべきか、語られました。

 最初にわたなべひろこ氏が自己紹介。四季の風土に根ざした日本の染織文化には世界に誇れるものがあり、この仕事に長年携わってきたことに喜びを感じているといいます。
 その上で、テキスタイルデザイナーとは、色柄はもちろん素材加工、使用目的に応じた諸々のことまで企画する職業であると定義。かつてテキスタイルデザインといえば京都や大阪が主体で、ファッション系に偏っていたといい、東京はどちらかというと不毛だったそうです。そこで住居の中のインテリアテキスタイルの道に進もうと思うようになり、そのためにはテキスタイルの勉強だけではなく、建築も学ぶ必要があると気づかれたと話されました。

 次に紹介された須藤玲子氏が、そのキャリアをプレゼンテーション。1984年に「布」ブランドの設立に加わり、1987年から本格的に「布」のものづくりから販売まで、全てを担当するようになったといいます。建築家伊藤豊雄氏との出会いは「布」を立ち上げた頃で、今治市伊藤豊雄建築ミュージアム「シルバーハット」のテキスタイルを任せられたのが始まりとか。その後伊藤豊雄氏とパリのポンピドゥセンターでの展覧会など、いろいろな仕事をするようになったそうです。「せんだいメディアテーク」の壁の布がN YのMOMAで再現されるなど、そのすばらしい技量が重なり国際的に高い評価を集めるようになっていきます。
 そうした折りに入って来たのが、2005年に開業したマンダリン オリエンタル東京というホテルのオリジナルテキスタイルを手掛ける仕事だったといいます。皇居が見えることから「森と水」の“成長と成熟”をテーマに、京都や桐生など全国80カ所の工場とテキスタイル制作に取り組まれたそう。あれから14年経った今も、テキスタイルは当時のまま変わりなく古びていないのは、まさに職人の為せる技だからでしょう。わたなべひろこ氏も「感動した!」と絶賛されていました。

 2018年に国立新美術館で開催された「こいのぼり」展(このブログ2018.5.14参照)も話題に上り、須藤玲子氏が「産地の職人との布づくりが何よりも大切」と強調。「デザインの仕事は人をつなぎ、人の暮らしを豊かにする仕事」と述べると、わたなべひろこ氏も、「生活の中にアートが入りクロスオーバーする時代に、テキスタイルアートの世界には大きな未来がある。これが廃れてしまうのはもったいない」と持論を展開。「繊維産業は国策でやるべき」と提言されたのも印象的でした。

 最後に、日本では繊維産業の多くが軽んじられ、目先のビジネスに追われて衰退している現状を憂えて、日本の繊維文化を見直し、忘れてしまったもの取り戻そうと呼びかけ締めくくりました。

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2020年1月 6日 (月)

JAPANTEX 2019 ⑴ デザインコンペとデニムのカーテン

 今年も国内最大級のインテリア展示会、第38回JAPANTEX(ジャパンテックス)2019が昨年11月13日~15日、東京ビッグサイトで開催されました。今回はジャパン・ホーム&ビルディングショーやトイレ産業展、アジアファニシング展との合同開催展となり、全体で40,664名(プレス別)の来場があったと報告されています。
 
 全体を回って、ちょっと気になった展示を二つ、「インテリアデザインコンペ」とデニムのカーテン「瀬戸内デニム」のブースをご紹介します。
 
 「インテリアデザインコンペ」のコーナーでは、「空間を装うインテリアファブリックス」をテーマに応募のあった219点の作品の中から約40点をパネル展示。この内、3作品が優秀賞に選ばれて表彰されました。

  その一つが、「Hagire ステルヌノカラ、ウマレルヌノ」(新潟工科専門学校の杉山翔太さん)の作品です。
Img_09441jpg  子どもの頃に愛用していたタオルやブランケット、お部屋を飾っていたカーテンなどの布は、寂しさを解消してくれた大切な布です。そうした布はなかなか手放せないものです。これは長年手元にとっておいた布を裁断して、クッションやラグマットなどに作り替えるアイデアです。
 一人暮らしをするようになったときなど、そんな布のアイテムがあったら不安な気持ちもきっと落ち着くかもしれませんね。大事なものを捨てられないという、誰もが抱く心理を突いた提案です。
 
   もう一つ、今の時代を反映していると思ったのが、審査員特別賞のImg_09511 「ファブリック×終活のインテリア」(茨城大学齋藤ゼミC 今井菜摘・中野頌子・齋藤芳徳)です。
 これは故人が生前に使用していたファブリックを裁断して額に飾り、オリジナルの空間を演出したり、また葬儀場の壁に張り、葬儀後は持ち帰って故人を偲んだりするというもの。
 超高齢社会から多死社会となり、お葬式も様変わりして、小規模になり家族中心になっているといいます。
 これはそんな現代の葬儀事情に似合う、インテリアの新しい発想、と思いました。

 展示ブースでは、瀬戸内デニムに注目しました。
 デニムのオーダーカーテンを扱っているメーカーで、デニムは備後福山でつくられているといいます。備後福山は同社の本拠地で、瀬戸内海に面した“高級デニム生産日本一”の街です。
Img_09591  無地だけではなく、インディゴと生成りのストライプなど柄物もローンチ。また同社のデニムはきちんと色止めされているので、色落ちの心配はないといいます。
  ジーンズの裾をロールアップするように、カーテンのボトムもImg_09631jpg ロールアップしてみたり、トーンを変えてみたり、オーダーですので加工は自由自在。お部屋に遊び心のあるジーンズの世界観を取り入れて、自分らしい空間を表現してみるのも楽しいですね。

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2020年1月 5日 (日)

映画『アパレル・デザイナー』 業界を熱くするストーリー

 先月半ば、映画『アパレル・デザイナー』の特別試写会に行ってきました。東京・代々木の会場には、ファッション関係者らが続々詰めかけ、ほぼ満席でした。

Dac42e4540f5be9c  このところ、現在活躍しているデザイナーをクローズアップしたドキュメンタリー映画を目にする機会が多くなりました。でも“インハウス・デザイナー”と呼ばれる企業内デザイナーはあまり表に出て来ません。ましてやアパレル企業の中で働くデザイナーを主人公にした映画なんて、これまでありませんでした。この映画はまさに日本初のアパレルをテーマにした画期的な作品です。

 ストーリーは、苦境に追い込まれた老舗アパレル企業を立て直すという、業界を熱くするようなお話しです。会社再生を託されたデザイナーの藤村雄二(高嶋政伸)を中心に組成されたデザインチームが、新しいブランド立ち上げに向かって挑戦する姿が描かれています。
 ここでは服づくりの裏方であるパタンナー、加世田京子(堀田 茜)も準主役です。仕事を命じるデザイナーを殺したいと思うほどに疲れ切っているのに、服をつくりたい一心で奮闘します。靴職人ヒールクリエイターの岸本ゆり子(西村美柚)の凛とした初々しさも魅力的です。そんな脇役たちの存在感が光っていました。

 言ってみればファッションの舞台裏で起こるドタバタの苦労話です。現実はそんなに甘くないと思われる業界人は多いかもしれません。でも旧弊を乗り越えようとする藤村雄二の精神にはきっと誰もが励まされるのではないでしょうか。
 26年ぶりに主役を演じた高嶋政伸は、流石の名演技を見せてくれました。その藤村の科白の一つ、「服は人間の身体に一番近いアート」という言葉が印象的です。
 
  なお試写会では出演者数人が挨拶しました。 また上映終了後には映画の大団円となったファッションショーが、 主題歌『Destiny』に乗って、 画面から 現実の舞台に飛び出す ハプニングの 演出もありました。
Img_24881   たくさんのモデルたちが登場し、目の前でショーを繰り広げた、大変楽しい試写会でした。

 業界人なら必見の特筆すべき記念作です。一般公開は1月10日から。ぜひご覧ください。
 


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2020年1月 4日 (土)

理研よこはまシンポジウム AIと人間の感性による価値創出

 昨年11月25日、横浜ランドマークタワーホールにて「理研よこはまシンポジウム」が開催されました。これは理化学研究所主催、横浜市経済局後援「横浜ライフイノベーションプラットフォーム」の補助事業として実施されたイベントで、メインテーマは「人工知能(AI)と人間の感性の融合による新しい価値の創出」です。シンポジウムでは価値創出の例として、第1部 AIを用いたドレスのデザインのファッションショー、第2部 分身ロボット「アバター」の実演、第3部 座談会「心とは何かから考える知性としての健康」が行われました。
 AIと人間の感性が融合する近未来を実体験したような印象的な内容でした。以下その概要です。
 
 第1部は、「エマリーエ(EMARIE)」2019-20秋冬コレクションの発表会でした。
 Img_16211 エマリーエはデザイナーのエマ理永(旧名 松居エリ)さんが手がけるドレスのブランドです。
 理化学研究所とコラボレーションした、AIとの協働による新作がファッションショー形式で披露されました。
 作品はすべて、AIが同ブランドのアーカイブ500点のデータや“自然の美”から生成したイメージをもとにエマ理永さんがデザイン制作したもの。
 
 右は、色彩がグリッド状に散りばめられたドレスです。
 
Img_16451jpg Img_16571  左上は、美しい曲線を持つ貝殻の形に着想してデザインしたドレス。
 右上は、横浜市の花「バラ」をモチーフにAIがイメージをアウトプットして、制作された華やかなドレスです。

Img_16591  フィナーレのウエディングドレスのパターンの美しさにも感動しました。

Img_16681
 ファッションとは人を幸せな気持ちにさせてくれるものです。人それぞれが美を求める個の時代となり、異なる個性を持つ人間の一人ひとりを幸せにするために、AIとの共創は欠かせないものになってくる、と改めて思ったことでした。
 
 第2部は、アバターのデモンストレーションです。「アバター技術開発の現状と未来の可能性」をテーマに、ANAホールディングスのアバター準備室ディレクター 深堀 昴氏が、アバターを介して、その場にいながら離れた場所を観光したり、さまざまなアクティビティを体験したりすることができる「アバター・イン」プロジェクトを紹介。さらに、実際のアバター(ロボット)を介して遠隔地(東京都中央区)にいる人と会場(横浜市)をリアルタイムでつなぐ実演も見せてくれました。Img_17081jpg
 2050年頃までに物理的距離と身体的限界をゼロにするそうで、これまで夢としか思われていなかった物質の“テレポーテーション”も可能になるといいます。ほんとうにスゴイ!ことが起こってきそうで、その可能性にワクワクさせられました。
 
 第3部は、座談会です。「心」の持つ意味や、「健康」について「病気か、病気ではないか」という二元論を超えた考え方、科学の役割、「心と身体」「感性と理性」の融合としての『知性』が 社会にとってなぜ重要なのか、などが語られました。現代社会の課題の一つ「死」にも触れるなど、興味深かったです。
 
 今やAIは第三次ブーム迎え、社会実装の段階に入っているといいます。最後を締め括ったのは、AIに無用の警戒心を抱くよりもAIとの共同作業で人類にとっての新しい価値を開拓する、そんな明るい未来に期待している、との言葉でした。

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2020年1月 3日 (金)

箱根駅伝2020 ナイキの厚底シューズに注目!

  お正月恒例の箱根駅伝、復路に当たる茅ケ崎の浜須賀交差点までサイクリングして来ました。
 先導する車やバイクの後からアナウンスが流れて、8区を走る選手が近づいているのを報せてくれます。

20200103101650imgp57825  待つこと数分、トップランナーが淡々と走ってきました。青学大3年の岩見秀哉さんです。履いているのは、あの噂のナイキ製ピンクの厚底シューズ「ヴェイパーフライ ネクスト%」です。軽くてクッション性がよく、しかも撥水性の高い素材が用いられているので給水で濡れないのもよいといいます。
 続いて現れた東海大4年の小松陽平さんも、ナイキのシューズで左右色違いのものでした。

20200103103134imgp58461  それにしてもナイキのシューズ、多かったです。とくに注目はピンクの厚底シューズで、選手たちのお気に入りのようです。

 沿道には旗を持っている人がいっぱい。でもランナーには「旗を振らないでください。大声で叫んでください!」との呼びかけがされていました。旗を振ると音が響いて、応援の声がランナーに届かないからだそうです。応援のスタイルも最近はそんな風に変わってきたようです。

 総合優勝したのは青学大でした。あれからもずっとトップを譲らず逃げ切ったのですね。ついにやりきったといった表情の選手たちをテレビ画面で見て、みんないい顔をしているなと思いました。

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2020年1月 2日 (木)

初詣 鎌倉鶴岡八幡宮に混雑覚悟でお参りして来ました!

 鎌倉で初詣といえばやはり鶴岡八幡宮です。今年は久しぶりに混雑覚悟でお参りに行ってきました。
Img_26511g  お正月はいつも大混雑していますので敬遠していたのですが---、行列は思っていたほど長くはなくて、30分ほどで石段へ。

20200102141642imgp05251  参拝後、源氏池へ。ユリカモメの群れや鴨の間に海鵜もいて羽根を休めていました。穏やかに泳ぐ水鳥の姿が印象的でした。

Img_26491  池の近くには “さざれ石”が置かれています。今年はオリンピックイヤーなので、君が代に詠まれているこの石に注目が集まりそうです。 正式名称は「石灰質角礫岩」で、小石が雨水などで溶けた石灰岩の乳状液により凝結して岩のように多きくなったものとか。
 ここには何度も来ているのに、今まで気づきませんでした。
 
 来てみるといろいろな発見があるものですね。
 
20200102155818imgp57681jpg  稲村ケ崎から見た夕方の江ノ島です。右手に富士山も望める絶景ポイントですが、あいにく富士山は薄雲に隠れて山頂だけがうっすらと見えました。

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2020年1月 1日 (水)

2020年初日の出 尾瀬岩鞍から明けましておめでとう!

 明けましておめでとうございます!
20200101071512imgp55871pg  2020年の初日の出は尾瀬岩鞍スキー場のリゾートホテルの窓から見ました。猛吹雪だった大晦日から一転、晴れ間が見えてうれしかったです。
 スキー場はどこも雪不足で、オープンできないゲレンデが続出していました。ここも同様でしたけれど、昨日の雪は“恵みの雪”になったようです。晴れているのに小雪が降る“狐の嫁入り”状態で、コンディションは少し良くなっていました。昨日は運休してしまったゴンドラやリフトが運行し、ブッシュも隠れて新雪を楽しむことができました。
 
20191231205942imgp55621   昨夜は花火イベントも行われて、屋台が出るなど賑やかな年越しでした。
 
 本年も楽しい一年になりますように心から祈っています。

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2019年12月31日 (火)

2020-21年秋冬ミラノウニカ 流行色2019 WINTER掲載

Scan0112  この春発行された「流行色2019 WINTER No.599」に、今年7月に開催された「2020-21年秋冬ミラノウニカ」の柳原美紗子の記事が、掲載されました。

 その概要や発表されたトレンドテーマやカラー、また展示場で見られた素材の特徴などを4ページにわたり解説しています。ご参照ください。
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2019年12月30日 (月)

日本文化を世界へ インテリアショップAREAパリオープン

 この11月18日、インテリアブランド「AREA TOKYO (エリア・トーキョー)」が海外初の店舗をパリにオープンしたそうです。そこでこの程、同ブランドを展開するクラウンの野田 豪代表が東京・北青山のショップにて記者発表会を行いました。
Img_09081_20191230151801  AREAは2003年に茅ヶ崎でスタートしたインテリアブランドで、「素材」「つくり」「デザイン」が三位一体となる日本製オリジナル家具や建具を展開。2006年頃から海外進出に向けて準備を始め、今年ようやく念願を叶えたといいます。
 パリ店は、市内サンジェルマン・デ・プレ地区のギャラリー街“ユニヴェルシテ通り(4 rue de l'université 75007 Paris FRANCE)”に位置しているそうで、私も今度ぜひ訪ねてみたいと思いました。 
 ショップのデザインは、デザイナーの橋本夕紀夫 氏(橋本夕紀夫デザインスタジオ)監修で、テーマは「SHADE & SHADOW」、つまり日本文化の中にある“陰影礼賛”です。暗がりに潜む空間を様々なところに配してあるといいます。
 ここにたどり着くまでの経緯を、野田代表は、次のように語られました。
 実はパリ出店に際して何を持っていくのか、考えあぐねていたといいます。世界の中のモダンなのか日本の伝統なのか---、と迷っているうちに、日本人のルーツにたどり着き、「日本は終点」であり世界中から起こった文化が流れ込む“ふきだまり”になっていることに気づいたとか。“ふきだまり”というと様々なものがミックスして深化するイメージがありますが、そこから谷崎潤一郎の「陰影礼賛」を思いつき、日本文化はヨーロッパの家具をどのように咀嚼し発展させたのか? また日本インテリアの立ち位置、さらにその可能性を、フランスを始めヨーロッパ各国の方々に、問いかける場所にしていきたい---。そう思うようになって、この考え方を新作家具に落とし込んだといいます。
 
 その一部をご紹介します。
 
Img_09111  手前は風神雷神図の風神をモチーフにしたパネル。
 
Img_09151jpg  奥には老梅図屏風や雪見障子にヒントをとった作品。

Img_09201  また会津の郷土玩具“赤べこ”は、野田代表が「日本らしさを見せたい」と思いついたアイデアだそう。
 パリでも大好評とか。可愛いですね。
 
 日本文化を世界へ、と意気込む野田代表。次はニューヨークに出店したいそうです。期待が高まります。

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