「グランスタ東京」⑵ 中川政七商店初のアパレル「分店 服」

 東京駅の新商業施設「グランスタ東京」1Fに、「中川政七商店 分店 服」が衣服・服飾雑貨専門店としてオープンしました。

Img_90621  中川政七商店は1716年創業の奈良の老舗です。日本の工芸をベースに、素材・技術・風習を活かした生活雑貨を展開しています。このほど誕生した分店は、生活の一場面に特化して、アパレルやトラベルなどの専門性を切り出した新業態だそう。
 「中川政七商店 分店 服」はその第1号店で、伝統の麻やかや織りの服を中心に日本の衣服と染織文化に出会える場を目指すといいます。

Img_90611  オープニング企画展は「中川政七商店の麻」と題し、麻素材の服を提案しています。麻のニット、綿麻のブラウス、かや織りの羽織りものなど。
 またとくに人気なのが、麻のエコバッグでグランスタ東京の限定品だそう。ちなみに価格は3,600円。

 なお店舗デザインを手掛けたのはデザイナーの林 洋介氏です。シンプルで力強い空間にナチュラルな麻のファッションがマッチしています。
 日本人の“服と暮らし、服と生き方”を感じる注目のショップといえるでしょう。

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2020年8月10日 (月)

「グランスタ東京」⑴ 新コンセプトストア 「IDEE TOKYO」

 この8月3日、東京駅に「グランスタ東京」が開業し、内覧会に行ってきました。
Img_90431  「グランスタ東京」はJR東日本グループの鉄道会館が運営する東京駅のエキナカ商業施設です。JR東日本で最大規模の商業施設で面積1万1330平方メートル、153の店舗が出店しています。大半は飲食ですが、アパレルや生活雑貨などの物販店も数店、新業態で出ています。
 
 その一つが、デザインプロダクト&ギャラリー分野に登場した「IDEE TOKYO(イデートウキョウ)」です。モノトーンを基調としたモダンな内装で、店舗面積は約230平方メートルと広い。  
  ここは良品計画が運営するインテリアショップ「イデー」の新コンセプトストアです。「イデー」が掲げる「生活の探求」を基調に、現在を生活に対する価値観が変わる節目ととらえ、それぞれの暮らしに寄り添うデザイン、民藝、アートを新しい審美眼で選び直したとのこと。
Img_90601   店内には、キュレーターに招聘したデザイナーの深澤直人氏と一つひとつ丁寧に選んだというデザインプロダクトが並んでいます。東京駅というたくさんのひとが行き交う場所で、ふと足をとめて、心にすっと花を咲かせるような“いいもの”を提案していくそうです。
 
 服飾雑貨では、私の目に留まったのが、STIR(スティア)ブランドの一枚で着るアウターシャツです。
Img_90561jpg   これはまさに“気づいていなかったいいもの”といえるでしょう。一段上の上質なシャツとTシャツで、脇にスリットポケットが付くなど、細部まで気配りされています。
 素材のコットンは最高級エジプト綿で、イタリアの生地の名門「アルビーニ」社のタグが付いていました。
 
 なお店内にはギャラリーも設けられていて、毎月テーマを変えて国内外のアーティストの個展やプロジェクトの展示などが開催されています。ちなみに今月はオープニング企画として、陶芸家 黒田泰蔵氏の個展が開かれていて、黒田氏の白磁の作品が放つ魅力を堪能できます。
 東京駅へ行く楽しみが一つ増えました。

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2020年8月 9日 (日)

鎌倉は住宅地にもタイワンリスが出没

 タイワンリスはもう何十年も前から、湘南一帯に棲息しています。山の多い鎌倉では、森の中だけではなく、住宅地にも出没して、果樹を荒らしたり、電線を齧ったり。住人はもうすっかり慣れっこになってしまっています。
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 彼らは動きが早いので、写真撮影はなかなかできなかったのですが、最近ようやく、その姿を民家の2階からカメラに収めることができました。それが上のタイワンリスが電線を伝っているショットです。全身グレージュで、ふさふさとした毛並みの長い尾が特徴。眼がキレイ!
 
 家の屋根裏に入り込んで巣をつくることもあるといいますから注意しないといけません。タイワンリスはここでは害獣です。
 我が家でも以前、ビワの木があったとき、実を食べられて大変でした。私は早朝、たくさんのタイワンリスがビワの木に群がり、大きな鳴き声をあげながらビワの実をほおばっているのを目撃して、ビックリしたことがありました。

 カワイイ小動物なのに駆除の対象になっているとは、ちょっと複雑な気持ちになりますね。

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2020年8月 8日 (土)

鎌倉 鶴岡八幡宮「ぼんぼり祭」コロナ退散を祈願して

 久しぶりに鎌倉 鶴岡八幡宮の夏の風物詩「ぼんぼり祭」に行ってきました。ずっと以前に来たことがあるお祭りですが、今年はコロナでいつもより人出が少なかったのでしょう。丁度よい混み具合でした。
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 参道にズラリと立ち並んだ“ぼんぼり”は、大小400基だそう。幻想的な光景が広がっていました。
 鎌倉ゆかりの画家や文人など多くの著名人の揮ごうを眺めながら進みます。
 テーマではやはりコロナ退散、新型コロナウイルス収束を祈願する揮ごうが目立っていました。

Img_92501  上は、 歌手の岩崎宏美さんの“アマビエ”です。
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 これは昔から疫病除けと伝えられている妖怪ですね。
 今年はあちらこちらで流行っています。

 右は、刀剣作家の宮本なるさんによる切り絵の“アマビエ”です。
 シルエットの陰影が繊細で、印象的です。 

 神奈川県の黒岩祐治知事も“アマビエ”を出していました。


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 左は、三谷幸喜さんの揮ごうです。

 2022年のNHKテレビの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、脚本を手掛けるとか。

 モチーフは主人公の北条義時でしょう。

 大河がヒットして、鎌倉に賑いが戻って来ますように---。

 
Img_92521  俳優の竹中直人さんも「ぼんぼり祭」の常連です。色鮮やかで個性的な画作にちょっとびっくり!
 Img_92871 うちわの揮ごうも竹中直人さんらしい楽しい作品です。
 Imgp67721  穢れを落とすという“茅の輪くぐり”も体験。これは茅の輪を3回くぐって人形(ひとがた)で体を撫でて息を吹きかけるというものです。これで少しは浄められたかな。
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 舞殿では、“雲龍KNOB”による献笛のパフォーマンスが行われ、神秘的な響きが境内にこだましていました。
 「疫病退散」の願いが届けられますように、切に願っています。

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2020年8月 7日 (金)

山本寛斎「日本元気プロジェクト2020スーパーエネルギー!!」

 「日本のファッション、ここにあり」でならした山本寛斎さん。その寛斎さんの訃報をこの7月21日に聞かされて驚愕しました。最近はファッション業界のパーティにもよく出ていらっしゃっていて、お話ししたことも何度かあり、気さくな方でした。いつもお元気そうでしたのに---、あの笑顔が忘れられません。 
 私がパリに在住していた1974年、寛斎さんが初めてパリコレでファッションショーをしたときのことも覚えています。歌舞伎の要素を取り入れたパフォーマンスは周囲をあっと言わせ、スタンディングオベーションと感動の渦に包まれました。その後、急ピッチで国際的なファッションデザイナーに上り詰めていきます。ここ20年は「KANSAI SUPER SHOW」を世界各地で開催、私もその映像を目にするたび、ショーをイベントとして盛り上げるそのパワーに圧倒されていました。

1_20200808142201  上の写真はこの7月31日、山本寛斎さん自身がプロデュースしたオンラインイベント「日本元気プロジェクト2020スーパーエネルギー!!」の動画からとったものです。
 左のモデルは、歌舞伎役者の市川右團次さん。モチーフは「凧絵」で、1971年にロンドンのショーで披露したデビュー作です。右は、かの有名なデヴィッド・ボウイのために寛斎さんがデザインした衣裳「TOKYO POP」で、着装しているのは俳優の夏木マリさん。
 いずれも寛斎さんの代表作といえるものですね。静けさの中に力強さを感じさせる演出も心に響きました。
 土屋アンナさんとハリー杉山さんのMC二人も、息が合っていましたね。
 
 本イベントは比叡山延暦寺からの生中継でした。「光」がテーマというように、山頂から「若者の未来を照らす」サーチライトが照らされていたのも印象的です。デザイナーを目指す学生によるファッションショーも行われ、コロナ禍でも前向きに取り組んで欲しいと病床から元気を送られていたのかな、と思いました。
 この模様は、誰でもこのURL https://www.youtube.com/watch?v=DZ-sFuIau04をクリックすると視聴できます。オンラインなのに「どんな未来も着こなしてやる!!」という寛斎さんの意気込みが伝わってくるようです。追悼にふさわしいイベントでした。 

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2020年8月 6日 (木)

「永遠のソールライター」展 何気ない都市の一瞬を撮影

 東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「永遠のソール・ライター」展に行ってきました。2017年に初めて開催して、大きな反響があったので再度企画され、今年初めに行われたものの、コロナ感染拡大で中止となり、再開されたというアンコール展です。 
Img_89761 それだけ熱狂的ファンが多い展覧会と思いながら鑑賞しました。
 
 ソール・ライター(Saul Leiter)はプロフィールによると、1950年代からニューヨークで活躍した第一線のファッション・カメラマンです。58歳でスタジオを閉じ世間から姿を消した謎の人物ですが、80歳を過ぎた2006年にドイツのシュタイデル社によって出版された作品集を機に、再び写真界で脚光を浴びるようになったといいます。
 80歳を過ぎて、というのがすばらしいです。人生、急ぐ必要はないということですね。
 
 本展は、パート1「ソール・ライターの世界」、「モノクローム」の小品から始まります。次に「カラー写真のソール・ライター」と呼ばれたカラー作品が登場します。やはりこのコーナーが一番気に入りました。
 ポスターやチラシに使われている1950年代の「薄紅色の傘」は、背景がうっすらとぼけているのがステキです。雪の日の「赤い傘」も心に残りました。
1_20200803111301  とくに印象的だったのが、雨降りの日、窓ガラス越しに撮った「帽子」(写真右)という作品。雨粒の動きでぼんやりとした影で表現されている人物像が幻想的で、想像がふくらみます。
 
 何気ない都市の日常、その一瞬を、何とも情緒豊かに切り取っている点に感銘させられます。
 写真に添えられたソール・ライターの言葉で、「神秘的なことは馴染み深い場所で起こる。なにも地球の裏側まで行く必要はないのだ」も重く響きました。
 
 パート2は「ソール・ライターを探して」で、セルフポートレートや家族、恋人などの身近な女性を撮影した作品展になっています。
 
Img_89711jpg  最後に、唯一撮影可能だった壁面展示が現れます。ソール・ライターが住んでいたアパートメントの壁を再現したもので、自身が描いた絵画など、ソール・ライターの大切なものが飾られています。その人となりをひとしきり偲んで出口に向かいます。


 Bunkamura ザ・ミュージアムの動画も公開されています。併せてご覧ください。
 この回顧展は9月28日まで。興味のある方、どうぞお早めに。

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2020年8月 5日 (水)

「広がるリラクシングカジュアルウェア」寄稿

 新型コロナの影響で、消費行動の軸となったのが家での“快適さ”です。ファッションも、家でもまたちょっとした外出にも着ていけるリラクシングカジュアルウェアが求められています。そこで一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION コットンプロモーション」(2020年夏号)のコラム「マーケティング・アイ」に、「広がるリラクシングカジュアルウェア」をテーマに寄稿しました。
 本紙と併せてご覧下さい。
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2020年8月 4日 (火)

21春夏テキスタイルネットワーク ジャパン展 リアルに開催

 テキスタイル展をリアルに開催することが困難なご時世です。しかし生地は実際に触ってみないとわからないとあって、リアル展への要望は強く、延期されていたテキスタイルネットワーク ジャパン(TN JAPAN)展が、この7月21~21-22日、会場を東京・中目黒に移して行われました。Img_89311jpg
 21春夏のテーマは「We Fashion(ウイ・ラブ・ファッション)」です。先を見ている、今を創りたいデザイナーに向けて、ファッションで笑みを届けたい、そんな想いが込められているといいます。
  出展したのは、クレッシェンド・ヨネザワ、行方工業(有)、宮下織物(株)、(有)福田織物、FUKUI布のえき、(株)ウエマツ、双葉レース(株)、(株)山崎ビロード、中嶋機業場です。例年より数は少ないものの、全国の産地から、ユニークな服地づくりで定評のある機屋さんたちが集まっていました。
 とはいえブースに常駐されていたのは、クレッシェンド・ヨネザワと福田織物、行方工業、双葉レースの4社のみで、あとはハンガーサンプルだけという展示でした。産地の方々のコロナ感染へのおそれは私たちが考えている以上に強い、ということを改めて感じました。
 
 静岡県掛川市の福田織物は、PCでZOOMなども活用して応対していました。綿100%のナチュラルストレッチ織物が人気で、また下記の素材も目に付きました。
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 左 カットストライプ(綿100%)、右 超軽量先染めストレッチコーデュロイ(綿98/ポリウレタン2)。
 
 山形県米沢市のクレッシェンド・ヨネザワも新作ストールを多数展示。シルクやリネンに加えてコットン素材のものも多くなっている様子です。

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Img_89341jpg  絞りなど、職人の手作業による趣のある大判はまさにアートで、いつものことながら素晴らしい!クリエーションです。
 また1点、山形緞通のシートクッションも展示され、人目を惹いていました。
 
Img_89411  同様に米沢産地から参加している行方(なみかた)工業も、きちんとした丁寧なつくりの織物が魅力的です。
 絹や化合繊が中心ですが、右のような綿混の打ち込みのよいしっかりしたスーツ地も出ています。
 
 各社、ネットショップに力を入れながら、サンプルを送付するなど、工夫してこの苦境を乗り切ろうとされていることが分かりました。
 なお、来場者数ですが、ぽつりぽつりと、一社あたりの人数は少なかったものの、約100社が訪れたとのことでした。

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2020年8月 3日 (月)

21春夏ミラノ・メンズFW⑸ ドルチェ&ガッバーナ ソレント

 「“デジタルショー” という解決策は好きではない」と、ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)のデザイナー、ドメニコ・ドルチェは語っています。「ファッションショーは、スクリーン上のものでは代用できないのです。ファッションは人と人とのつながりから始まるのですから」。この言葉通り、ドルチェ&ガッバーナはミラノ・メンズ・ファッションウィーク(FW)で、エトロと同様にリアルなショーを開催しました。
 場所はミラノにあるウマニタス大学のキャンパスです。ここはコロナウイルス対策への研究支援等を続けている大学で、ショーはチャリティイベントを兼ねているといいます。
 観客はエトロのときと比べると、マスクを着けた人が多く、フィナーレに姿を見せたドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナの二人のデザイナーもきちんとマスクしていましたね。

 (動画は広告が入ります。)

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 開幕は、人気のオペラポップトリオ、イル・ヴォーロによる「帰れソレントへ」の歌声から始まりました。登場したのは、ソレントのパルコ・デイ・プリンチピホテルに着想したという美しいブルーのタイルパターンのアイテムです。ちなみにこのホテルのデザインを手掛けたのは、イタリア建築界の父と呼ばれるジオ・ポンティ(Gio Ponti)だそう。カラーは軽やかな白に爽やかな海のブルーが圧倒的、質感の違う素材組み合わせやパッチワークが多く見られます。
 夏らしさあふれるソレントでのリゾートムード満点のコレクション。フィナーレは「ボラーレ」の熱唱で締め括っています。

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2020年8月 2日 (日)

21春夏ミラノ・メンズFW ⑷ エトロ リアルショー敢行

 ミラノ・メンズ・ファッション(FW)は今シーズン、デジタルでの開催だったとはいえ、リアルでランウェイショーを敢行したブランドもいくつかありました。
 その一つがエトロ(ETRO)です。フォーシーズンズホテルの庭園に小人数のゲストを招待して、2021 春夏メンズ&ウィメンズプレコレクションを開いたのです。ブランドを手掛けるキーン・エトロ&ヴェロニカ・エトロ夫妻は、「街に活気と活力を取り戻したかった」というのが理由といいます。とはいえライブ配信を見ると、マスクをしていない観客が多くて、気になりますが---。
 ショーの雰囲気は、全体に軽やかで、リラックスしていて、着やすいリアルなものだったようです。「今は誰も複雑な服を欲しがっていない」と彼らは言います。



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 登場したモデルは、エトロらしいレパートリーの独創的なアーカイブパターンや、豊かなカラーパレット、ボヘミアンなマインドを再構築したルックス。またマスキュリンとフェミニンの遊び心のある組み合わせも注目です。
 素材はサステナビリティに向けた取り組みという企業方針に沿い、エコフレンドリーな生地を使用、アーカイブに二度目の生を与えるアップサイクリングもフル回転させているといいます。

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2020年8月 1日 (土)

21春夏ミラノ・メンズFW ⑶ エルメネジルド ゼニア

 エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)がミラノ・メンズファッションウィーク(FW)で、2021春夏コレクションのショートムービーを発表しています。
 同社は、1910年創業の老舗テキスタイルメーカーです。本拠地はイタリアのビエラ・アルプスにある小さな町、トリヴェロにあり、高品質の紳士服地で有名です。
 ムービーのテーマは「NATURE | MAN | MACHINE (自然|人間|機械 )」で、モデルたちはゼニアが管理する自然公園「オアジゼニア」を足早に歩き、歴史ある本社工場内に入って、通路を抜けていきます。その姿はさっそうとしてカッコいい。いかにもと思わせる、イタリアンらしいシックさで、上質な仕立てと高級感のある美しい生地を際立たせています。
 屋上にモデルが勢揃いするフィナーレも壮観です。彼らを待ち受けているのがアーティスティック・ディレクターのアレッサンドロ・サルトリ(Alessandro Sartori)で、主要アイテムを解説して締め括りとなります。

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 テーマは「軽さ」で、着やすくリラックスしたシルエットが中心です。軽い構造のものが多く、スーツやコート地にシャツ地並みの180gという軽量な生地が用いられているとのことです。まっすぐな肩線とともに、オーバーボリュームでスポーティなドロップショルダーやメンズジャケットには珍しいラグラン袖の活動的なものも見られます。
 素材はウールやコットン、シルク、リネンなどのナチュラルな繊維、それにリサイクルのものも増えているといいます。カラーも自然を感じさせる微妙なニュアンスのベージュやグレー、ペールな色調が印象的です。

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2020年7月31日 (金)

21春夏ミラノ・メンズFW ⑵ グッチ エピローグ発表

 ミラノ・メンズ・ファッションウィーク(FW)で、ビッグブランドのグッチ(GUCCI)が2021春夏コレクションをデジタル配信しています。そのストリーミングを視聴したのですが、あまりにも長かった! アトリエでの撮影からルックブックがつくられるまでの舞台裏の風景を延々12時間にわたって発信していました。これはこの2月に開催したコレクション「FAIRY TALE(おとぎ話)」3部作に続くものです。そしてこの最終章となるエピローグ・コレクション、21春夏メンズとプレ・ウイメンズが今、約20分間の動画に収められてYouTubeで発表されています。


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 クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)のメッセージとともに登場するのは男女76体です。モデルは皆、アトリエのスタッフだそうです。だからでしょうか。仕事をする人間らしい温かい雰囲気を感じます。ラグジュアリーがより親しみやすいものになっていると思いました。
 全体に70年代風のレトロ感が漂うコレクションで、セットアップやべルボトムパンツが当時を喚起させます。カラフルな花柄やペーズリー、爽やかなデニムブルー、それにグッチといえばお馴染みのディズニーアニメのモチーフも。ミッキーマウスやドナルドダックに加えて、今季新たに “ドラエモン ”(上の写真のバッグ)が加わっていて、ちょっとビックリ!でした。

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2020年7月30日 (木)

21春夏ミラノ・メンズFW ⑴ プラダ “洗練されてミニマル”

 オンラインで開催された2021春夏メンズ・ファッションウィーク(FW)。この7月14日から7月17日、パリに続いてミラノでデジタルファッションウィークが開催されました。参加した43ブランドの中から、そのいくつかをピックアップしてご紹介します。

 まずビッグブランドのプラダ(PRADA)です。今回はデジタル配信ということで、これまでだったら絶対にありえない方式がとられています。それは、従来のような単一のステートメントではない、世界的なアーティスト5人による複数の異なった視点からのアプローチです。
 その5人とは、ベルギー出身のファッション写真家、ウィリー・ヴァンデルパー(Willy Vanderperre)、マーク ジェイコブスの広告写真を撮り続けていることで知られる写真家、ユルゲン・テラー(Juergen Teller)、ロンドンを拠点に活動しているポーランドの写真家、ジョアンナ・ピオトロヴスカ((Joanna Piotrowska)、ロサンゼルスを拠点に活動するアメリカ人アーティスト、マルティーヌ・シム(Martine Syms)、テキサス州ダラス出身のアメリカ人の映画作家で俳優、ミュージシャンのテレンス・ナンス(Terence Nance)です。
 彼ら一人ひとりが、プラダの2021春夏コレクションの一面を捉えたフィルムを制作し、それぞれの世界観を表現しています。その映像が興味深くて、さすがプラダと思いました。

 
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 彼らの目を通して発表された2021春夏コレクションは、一言で“洗練されてミニマル” です。端正なスーツやジャケット、ストレートなプリーツ入りパンツ、ポケットにロゴが施されたシャツなど。バッグ用に大ヒットした黒いナイロン生地を使用したドレスも見られます。
 プラダらしさを際立たせる象徴的なアイテムが目立つコレクションです。

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2020年7月29日 (水)

U.S.コットン・トラスト・プロトコル 持続可能へ要求高まる

 U.S.コットン・トラスト・プロトコルは先頃、コロナ禍の世界市場においてアパレルと小売のサステナビリティ(持続可能性)計画がどう変化したかを調べる調査を実施しました。調査結果によると新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降、消費者からのサステナビリティへの取り組み要求が一層高まり、公約を果たさないアパレルは顧客を失う可能性があると半数以上が回答したといいます。

 下記は、この調査結果をまとめたパネルです。
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 U.S.コットン・トラスト・プロトコルのプレジデントであるGary Adams博士も語られていますが---、新型コロナ感染拡大の影響によって経済的な問題が生じていることは明らかです。しかしこの調査を見れば、消費者は引き続きサステナビリティ(持続可能性)を重要視していることが分かります。ですからアパレルは、科学的根拠に基づく目標を満たしていることを示すことが必要で、このためのデータを入手できるU.S.コットン・トラスト・プロトコルのようなシステムが、これまで以上に重みを増すことになるのではないでしょうか。
 欧州のブランドはコロナ禍でもサステナビリティ投資を継続しているといいます。日本もこの取り組みをさらに推進させたいですね。

 一般財団法人日本綿業振興会のHP http://www.cotton.or.jp/pr2020-07-22.html にはこれに関する詳細なリリースが掲載されています。併せてご覧ください。
 


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2020年7月28日 (火)

21春夏パリ・メンズFW⑻ ダブレット 何でもない日大切に

 「ダブレット(doublet)」を手掛ける井野将之デザイナーは今シーズン、パリ・メンズ・ファッションウィーク(FW)で、気持ちをホッコリとさせるメッセージ性のある動画を発表しています。
 テーマは“A VERY MERRY UNBIRTHDAY FOR YOU(何でもない日、おめでとう)”です。ベアのぬいぐるみに身を包んだ配達員、それは井野デザイナー自身だそうですが、あちらこちらにプレゼントを届けて回り、行く先々の人々を笑顔にするストーリーになっています。


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 プレゼントはもちろん同ブランドの新作アイテムです。さりげないチェックのシャツやテディベアのプリントブラウス、ハートのアップリケ、リボンディテールなど、やわらかい色使いでどこか懐かしい、心温まる感じのするものばかり。
 こういう時代だからこそ、なんでもない日を大切にしたいという、デザイナーの想いが伝わるコレクションです。

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2020年7月27日 (月)

21春夏パリ・メンズFW⑺ メゾン・ミハラヤスヒロ 人形劇

パリ・メンズ・ファッションウィーク(FW)で、日本のブランド「メゾン・ミハラヤスヒロ(Maison MIHARAYASUHIRO)」が発表したのが、パペット人形劇を採り入れたコレクション動画です。パペット人形たちがファッションショーを風刺するようなコミカルな演出になっていて、見ていて楽しい!
 主人公はジャーナリストで、朝起きて支度してショー会場に行き、何とか中に潜り込みます。最前列で有名人と自撮りした写真をSNSにアップするなどしていると、幕か開いて、ランウェイショーが始まります。
 登場するモデルはすべて四角いお面をつけて頭を隠しているのが奇妙です。
 テーマは「モア・オア・レス(More or Less)=多かれ少なかれ」で、これについてブランドを手掛ける三原康弘デザイナーは、「ファッションは完璧を求めれば求めるほど、面白くなくなり、美しさを見出せなくなる。多かれ少なかれ、ゆがんでいたり曲がっていたりするものの方が美しい」と持論を述べ、自身のファッション哲学を次のように語っています。「ファッションとは、結局のところ、頼りないものであり非論理的で、コメディや人形劇と同じようなものにすぎない」と。
 フィナーレで、デザイナーをなぞるようなパペット人形が出てきて挨拶するのも意味深です。

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 ショーでは、このブランドらしい高いデザイン性と素材へのこだわりに注目です。新シリーズ「Spray on」は、京都の老舗加工工場で、染色したような風合いを出す特殊なハンドスプレー技術を用いて、縫製後にスプレーを施したものとか。独特の風合いと職人技が感じられるオンリーワンのアイテムに仕上がっていて、人気を集めそうです。また独自の接合技術もアップデートされて、ブルゾンやシャツなど実質的に2つのアイテムを袖付きで前後に接ぎ合わせたものや、脚の部分を分解して別のパンツに埋め込んだようなパンツなど、ユニークです。
 さらにブルゾンやカーディガンで、袖やアームホールを動かして肩を落とすように配置したり、パーツをつまんで大きなパーツを小さくする、いわゆる「リサイズ」という手法を活用したり。シルエットにもブランドのオリジナリティが追求されているのを目にすることができます。

 デザイナーの遊び心を感じるデザインが印象に残る今シーズンのコレクションでした。

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2020年7月26日 (日)

21春夏パリ・メンズFW ⑹ ヨウジヤマモト ダークな陰影

 2021春夏パリ・メンズ・ファッションウィーク(FW)には日本からも11ブランドが参加しています。
 その大御所が「ヨウジヤマモト」です。デジタルで発表されたコレクションは、このブランドらしいダークな陰影に満ちています。 登場するワードローブに一点ずつ説明がついているのはデジテルならではの効用でしょう。

 
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 シルエットはルーズで、全体に退廃的な佇まいです。“取扱注意”や“こわれもの”といった文字を刺繍したパッチが付いていたり、デザイナーの山本耀司の首にナイフを突きつける女性の図像をプリントしたシャツが見られたり、どこか不穏な空気を感じます。とくに特徴的なのが「眼」を表現したボタンで、シュールな感覚です。これは監視カメラの隠喩でしょうか。
 19世紀のナポレオン風ミリタリールックにも注目です。
 モデルに俳優の東出昌大(上の写真)が出演したことも話題のコレクションでした。

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2020年7月25日 (土)

21春夏パリ・メンズFW ⑸ ベルルッティ 陶芸家とコラボ

 パリ・メンズFWでは、アーティストとのコラボレーションが多く見られます。アーティスティック・ディレクターのクリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)が手がける「ベルルッティ(Berluti)」の2021年春夏コレクションもその一つです。
 今シーズンは、ロサンゼルスを拠点に活動するアメリカ人陶芸家ブライアン・ロシュフォールのとの遠距離コラボレーションフィルムを公開。ロシュフォール作品の有機的で立体的な質感や色彩を取り入れた力強いプリントデザインやニットが、何とも斬新なコレクションを見せています。
 

 クリスのクリエイティブなコレクションの背景には、このようなエモーショナルなクラフトアートがあったことを知る、貴重なムービーです。

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2020年7月24日 (金)

21春夏パリ・メンズFW ⑷ ロエベ "モダンクラフト”

 今回のパリ・メンズ・ファッションウィーク(FW)で、興味を惹かれたのが、ロエベ(LOEWE)です。
 公開されたフィルムでは、クリエイティブディレク―のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が自ら、その2021春夏コレクションを語っていて、好感しました。
 映像では冒頭、「ショー・イン・ボックス(Show-in-a-Box)」というキットが紹介されます。これは報道関係者らに送付されたものだそうです。箱の中には新作を立体的にみられる紙の「飛び出す絵本」や生地サンプルなどが入っていて、実物を想像しやすくなっている様子。デジタル配信でもこういうのがあると親切ですね。バイイングの一助になります。ロエベの公式HPにはその詳細や型紙も見ることができるようになっていて、ステキなアイデアと思いました。



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 キーシルエットはクラシックを崩す、彫刻的なボリュームです。ねじれ、ループ、包み込むようなフォルムが衣服の3D的な存在感を伝えてくれます。 
 中でも注目は、"モダンクラフト" なアイテムの数々です。それはアンダーソンのコラボレーターたちによる丹精込めた手仕事で、レザーワーカーの協力を得てつくられたというバスケット織りのトップスや、ラフな3Dニット、しぼり柄が放射状に広がるチュニック、アメリカ人アーティストのポール・カドムスとのコラボ作品など。
 ものづくりをする人々、それに携わる職人への敬意にあふれたコレクションが印象的です。

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2020年7月23日 (木)

21春夏パリ・メンズFW⑶ ディオール アーティストの肖像

 パリ・メンズ・ファッションウィーク(FW)で、ディオールオム(DIOR HOMME)のクリエイティブディレクター、キム・ジョーンズ(Kim Jones)は、ガーナ生まれのアーティスト、アモアコ・ボアフォ(Amoako Boafo)とコラボレーションしたコレクションをショートムービーで発表しています。
 ムービーは2部構成で、第一部ではアモアコ・ボアフォがアトリエでフィンガーペイントを用いて制作している様子を映し出しています。手袋をはめて指に絵具をつけて描くフィンガーペイントという技法が興味深いです。
 第二部では、ディオールらしいエレガントでスポーティなメンズファッションが登場します。ボアフォが描いた肖像画を大きくあしらったアイテムも目を惹きます。 

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 これまでも何度かアーティストと組んでコレクションを創作しているというキム・ジョーンズ。アフリカ生まれで、アフリカのアートは常に重要と考えてきたといいます。昔からアフリカ人アーティストと仕事したいと思っていたそうで、コレクションのスタイリングは、ボアフォが生み出す肖像画と現実に描いていたものに目を向け、別の方法で蘇らせたといいます。黒人の肖像とともに、アフリカの大地に咲く花のモチーフや光のイエロー、赤、グリーン、スカイブルーといった鮮やかな色彩が印象的です。
  
 ボアフォの作品がキム・ジョーンズの手法で服に生まれ変わっていく、その過程を目にする、またとない映像に注目です。

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