「ファッションワールド東京 秋」展 過去最大規模で開催

 この10月2日~4日、リードエグジビションが主催するファッション展「ファッションワールド東京 秋」が東京ビッグサイトにて開催されました。出展社は世界35ヵ国から1,050社、来場者は3日間で20,239人と発表されています。文字通り、日本最大規模のファッションの展示会でした。

 見どころは多数ありましたが、とくに「アパレルエキスポ」から興味深く思ったブランドをご紹介します。
 
着る保湿クリーム
 リオグループホールディングスが手がける、肌の保湿に悩む人にうれしいブランドです。
 シルクのように上質な綿100%の生地に、天然由来の成分を配合したアパレルラインで、その成分はシアバターとオリーブオイル、シルクアミノ酸。毎日欠かさずに乾燥対策をしたい方や、保湿クリームのベタベタ感が苦手の方に、着て保湿できるなんて、いいですね。
Img_87591jpg   ブースではパジャマ/ルームウェアはもとより、着る人を素敵にするモードなドレス、洗練されたフォーマルウェア、ブラックフォーマルまで、女性が美しく見えるスタイルを提案していました。通販の「ナチュラン」サイトで、ランキング1位を獲得したそう。
 
ロボット・フォー・ジャパン ROBOT FOU JAPAN
  2016年に日本で誕生し、特許を取得して自社開発したという無縫製シャツのブランドです。特殊なニット生地を使用し、優れた粘着技術によりつくられているといいます。シームレス仕様も可能だそう。ポリウレタン混で伸縮性と弾力性があり、シワになりにくいのでアイロンフリーであることも訴求しています。
Img_87651jpg  なお事務所は横浜で、生産工場は中国広東省にあるとのこと。

 次に特設ゾーンとして新設された「メイド・イン・ジャパンフェア」から。

シオラ Siora
 和歌山産地でオリジナル素材を提案する「スティル・ライフ(Still Life)」が、2018年に初めて立ち上げたカットソーブランドです。
Img_88371   ニット生地に独特のハリ感やシャリ感、ヌメリ感があり、どこか懐かしいヴィンテージ感のあるコレクションです。

アイナリー AineRy
  沖縄発デニムブランドです。
Img_88431   ブランドを手掛けるのは、デザイナーの嘉数(かかず)義成さん。これまで琉球藍は栽培管理が複雑で、扱うにも長年の経験と熟練が必要だったため、量産不可能とされてきたそうです。それを自ら、栽培し育てながら、琉球藍100%のデニムを誕生させたといいます。化学染料では表現できない独特の味わいが魅力です。

 さらに50ものブランドが集中する「デザイナーゾーン」から。

ウシロマエ ushiromae
 デザイナーの後田タカコさんが2015年、立ち上げたブランドで、テーマは和と洋の融合だそう。浴衣や着物を用いた服は、洗練された感覚で小粋です。
Img_89001  「ウシロマエ」という名前のように、着方はいろいろ。後ろを前に、裏を表に、下を上に。多様性・機能性・流行りに関係ない、いつまでも長く愛用できる服づくりを目指しているといいます。
 
パキコ PAKICO
 「世界で一枚だけの手織りのストール」で、多くの方に使って頂きたいと初出展したといいます。
Img_89021   出展したパキコさんは、2016年から“さをり織り”という手法で、縦糸の成形からまったくのオリジナルでストールを制作しているそうです。
(写真はパキコさんで、さをり織りのドレスを纏っていました) 
  素材はコットンが中心で、一人でコツコツと織っているとのことです。手の温もりを感じさせる手織りの織物で、こんなにもセンスのいいものを見たのは初めて。たくさんの引き合いがあるといいな、と思ったことでした。

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2019年12月 8日 (日)

舘鼻則孝展 日本独特の文化を再定義 「アローズ」初公開

 東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスで開催されている舘鼻則孝の個展を見てきました。
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 舘鼻則孝は、日本独特の文化を現代に再定義し、新しい視点による世界観を表現する現代美術家です。
 遊女が履いた高下駄から着想を得たという「ヒールレスシューズ」の作者として知られていますね。
 
 本展では日本独自の死生観「It’s always the others who die (死ぬのはいつも他の人)」をテーマに生まれたという作品「アローズ」が初公開されていました。
Img_17461jpg  上は、一本一本丁寧に手づくりした矢を225本使ったというインスタレーションで、すべて木でつくられているそう。
 
Img_17481  もちろんヒールレスシューズの新作も、稲光を記号化したような絵画を背景にたくさん出品されていました。
 右はレディー・ガガが履いて一躍、脚光を浴びたもの。

Img_17531 それにしてもシューズの高さにはびっくり! 高さが45cmもあるので、人が履くことは想定していないのでしょうが---。
 とはいえそのシンプルでスタイリッシュなデザインに魅せられます。

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 開催は22日まで。日本と西洋の不思議な融合が楽しめる展覧会です。

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2019年12月 7日 (土)

メゾン マルジェラ アーティザナル コレクション展を体感

 今、東京・恵比寿にあるメゾン マルジェラ トーキョーで、ジョン・ガリアーノが手掛けた「アーティザナル コレクション」展が開催されています。
 展示されているのは2019年春夏の「メゾン マルジェラ オートクチュール アーティザナル Co-ed」のコレクションで、テーマは“デカダンス”です。
Img_18581  右は、入口正面の三方鏡張りのコーナーにディスプレーされているルックで、カラフルで華麗、アバンギャルドなデザインにドッキリ! 
 使用されている生地はプードル柄のジャカード地です。
 ここではもう服に区別がありません。
 裏と表はもとより、トップスとボトムス、男女の別もない、あらゆる仕切りを取り払った新しい概念の服づくりが行われているのを目の当たりにします。

 パンフレットでガリアーノが語る“デカダンス”についての考え方が興味深いので、要約してご紹介します。
 「私は何か新しいチャプターを始めたくて仕方がなかった。思いついたのが“デカダンス”というアイデアだ。なぜなら世の中には過剰、改ざん、衰退を表す、エネルギーが満ち溢れているからで、その過剰な気ままさとそこから来る遊び心にインスパイアされたのが今回のコレクションだ」。次いで「私はこのアイデアを鏡に映し出す必要があった。鏡は何がリアルで何がリアルでないかを描き出す方法だ。プードルというモチーフはすごくデカダンと思う。ショーのためにクリップされて毛の色を染めた華やかで美しいプードルだからね」。
Img_18781 Img_18651pg  
           左は、プードル柄のジャカードのスカートがカットされて、ボディの上を移動して、ドレスとして再解釈されたもの。ブラックタフタのプリーツディテールをほどこしたアンダードレスに重ねて。
右は、ヘリンボーン柄のスカートをセーラーパンツに着想を得たネックラインのトップに変容させ、ネックラインに鮮やかなイエローのライニングをほどこしたもの。ボトムはオーバーダイされたコートのトップ部分をカットし、ショーツに再解釈したパンツルック。
 
Img_18741_20191208155001  上は、メゾンマルジェラの2019秋冬Co-edコレクションの展示です。“デカダンス”に続く“デフィレ”コレクションで、想像力を掻き立てられる印象的なピースがハンガー展示されていました。
 
 これはガリアーノのクリエイテイブな才能を体感できる千載一遇のチャンスです。ファッションデザインを学ぶ方は必見かも。ちなみに開催は11日までです

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2019年12月 6日 (金)

「ベンベルグ裏地ミュージアム+(プラス)」を訪問して

 先般、旭化成の「ベンベルグ裏地ミュージアム+(プラス)」を訪問する機会がありました。日本ファッション協会うらら会の企業訪問の一環として行われ、格別の便宜を図っていただき実現したものです。
 ミュージアムが開設されたのは2014年で、千代田区神保町にあったそうですが、本社移転にともない、昨年11月、東京ミッドタウン日比谷に移転し、リニューアル・オープンしたとのこと。見学は業界関係者に限られ、予約制になっています。

 「ベンベルグ」は、キュプラの商標で長年裏地として親しまれてきた再生繊維です。原料がコットンリンター(綿花を採った後の短い繊維)であることから、エコな素材として脚光を浴びるようになりました。サステナビリティという追い風にも乗り、昨年あたりから再びベンベルグに注力してプロモートするようになったといいます。Img_89502
 キュプラは銅アンモニアを使用してつくられることから、銅アンモニア繊維とも呼ばれています。発明されたのは19世紀末のことでドイツのメーカー、ベンベルグ社によるものだったといいます。旭化成はこれを日本で「ベンベルグ」と呼んで売り出したのです。しかしながらドイツのベンベルグ社は製造工程で銅の回収ができずに撤退してしまいました。イタリアのメーカーも手掛けていたのですが、2009年に生産を終了し、現在キュプラを製造しているのは銅を100%回収する技術を有する旭化成のみだそうです。
Img_89431jpg  滑りやすいので裏地に最適ですし、最近はドレス素材としても人気があります。ミュージアムにはたくさんのサンプルや有力ブランドのファッション衣料が展示されていました。旭化成つながりでコム・デ・ギャルソンのものも見られました。

Img_89511  輸出では中近東向けが好調のようで、とくにインドのサリーには最も多く使われているといいます。

 あまり広くない空間にその歴史や製造法など、情報がギュッと詰まっている、そんなミュージアムでした。

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2019年12月 5日 (木)

高野口パイル「ぷわぷわ15」展 各社個性を訴求

 この10月2~4日、ラフォーレ原宿にて紀州繊維工業協同組合主催のパイルファブリックの総合展「ぷわぷわ15」が開催されました。出展したのは日本有数のパイル産地、高野口の13社です。エコファーに追い風が吹く中、多数のバイヤーが来場し、各社得意の「個性」をアピールすることができたといいます。
 機能性を持たせる、染め織りに変化をつけるなど、バリエーションが拡大する一方、エコやサステナビリティの打ち出しも多く、ともに新しい動きとして注目されます。

ヤマシタパイル
 目玉は世界初のアウトラストファーです。
Img_88751jpg  アウトラストは、快適に保つ温度調節機能(32℃)のある繊維で、Img_88781 パイル部分に使用されているとのこと。 ポリエステル<アウトラスト>50%、アクリル50%のファーです。
 また「ナチュラルテキスタイル」のテーマで、心地よいコットンパイルの提案もみられ、こちらも好評といいます。

妙中パイル織物
Img_88821  様々なビロード状の生地を提案しています。
 立体的なレリーフやプリーツ加工などを加えた装飾性の高いものなど、アパレルにまたポーチといった雑貨小物に、用途が広がっている様子です。
 
松岡織物
 コーデュロイやカットコーデュロイのようなパイルや、表がツイルやヘリンボンで裏がモコモコしたリバーシブルパイルなどを発信していました。
Img_88971jpg Img_88911jpg
 いずれも軽くて心地よい感触の、コットン100%素材です。エコフレンドリーで、カジュアルなアウトドアウェアにぴったりな生地と思いました。

野上織物
 美しい「再織」に目を奪われました。
Img_88891  「再織」とはシェニール織のことです。一度織り上げた生地をタテ糸に沿って裁断し、モール状に仕上げ、そのモール糸をヨコ糸に使い再度織り上げるのでこう呼ばれているのです。綿の持つやわらかな風合いを艶やかに、表裏無く表現できる特殊な織物で、ラグジュアリーブランドからの引き合いが増えているといいます。

青野パイル
Img_88861jpg  シンカーベロア、多色ベロアで注目のメーカーです。
 レーヨンやコットン混でニードルパンチのような味わい深い雰囲気を表現しています。
 右はそのシリーズの一つです。

吉田染工
Img_88731  ツィードのようなファンシーな表現は、パイルではなく、島精機のスライというコンピューターシャカードニット機により生み出されたものです。
 広がる可能性に期待しています。
 

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2019年12月 4日 (水)

「桐生テキスタイル2020秋冬」展 サステナブルを意識

 この10月3日~4日、東京・北青山テピアで開催された桐生織物協同組合主催「桐生テキスタイルコレクション2020秋冬」に行ってきました。
 出展したのは桐生産地の織物メーカー11社です。今シーズンはサステナブルを意識した提案が目に付きました。自然素材使いのものも多く、秋冬物でしたが綿も目に付きました。端切れを利用したものやアップサイクルのユニークな素材にも注目です。
 そのいくつかをご紹介します。
 
トシテックス(Toshi-Tex)
 アップサイクルのブランケットニットを提案していたのが印象的です。
Img_88631  右は、加工ミスやオーバー生産で在庫となっているニット生地をテープ状にカットして格子状に組み合わせ、ニードルパンチ加工でブランケットにしたものです。
 テープの幅を変えたり、色の組み合わせを工夫したり、また布帛と合わせたり、カラフルで斬新なファブリックの可能性は無限大に広がるといいます。

テックスボックス(TEX BOX)
 端切れを使ったニードルパンチ。そのアートなデザインと技術のすばらしさに、いつも驚嘆させられます。
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小林当織物

 伝統の英国調チェックをやや大柄にアレンジするなど、洗練されたジャカード織物をみせています。
Img_88521 Img_88501jpg_20191201224401  
ミタショー
 Img_88611 今シーズンもトレンド感のあるコレクションを見せています。
 キュプラなどサステナブルな素材や、綿混のカットジャカードにも注目です。

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2019年12月 3日 (火)

丹後織物総合展/展示商談会 製品化して提案へ

 この10月2日と3日、“ちりめんの故郷”京丹後市や与謝野町の生地メーカー13社が出展して、代官山ヒルサイドテラスで丹後織物総合展/展示商談会が開催されました。
 今年は生地を製品化して提案しているところが多く、バイヤーに好評だったようです。

山政テキスタイル
Img_87871    丹後産地が得意とする強撚糸加工技術を駆使したオリジナル素材を提案。
 ポリエステルちりめんに箔加工の生地などを見せていました。

宮眞
 Img_87861jpg シルクにとどまらず複合など新素材にチャレンジしているメーカーです。
 部屋着を展示してアピールしていました。


 
大江
Img_87921  多種多様なシルク生地を手掛けているメーカーです。
 今シーズンは作務衣やインナー、ベビー服など幅広い展開が可能なテキスタイルを揃えていました。

民谷螺鈿
Img_87951  ずば抜けた匠の技で、貝殻を織り込んだ螺鈿織など唯一無二のテキスタイルを展示。
 カード入れや長財布など小物の提案が好調の様子です。

創作工房 糸あそび
 Img_87971 絹や毛、麻、綿など天然素材にこだわり、ツィードやジャカードなど、手技とテクノロジーの融合により開発したユニークなストールの提案が注目されます。

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2019年12月 2日 (月)

ジャンポール・ゴルチエ特別企画展 創造への尽きない情熱

 この9月末、オンワードホールディングスの複合施設「カシヤマ ダイカンヤマ」で開催されていたジャンポール・ゴルチエ特別企画展に行ってきました。「エクスパンディング ファッション バイ ジャンポール・ゴルチエ(EXPANDING FASHION by JEAN PAUL GAULTIER)」と題された展覧会は、ゴルチエのファッション創造への尽きない情熱を感じた素晴らしいものでした。

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 ジャンポール・ゴルチエは1981年よりオンワードグループとパートナーシップを築き、前衛的かつ挑戦的なコレクションでセンセーションを巻き起こしてきました。2003年から2011年、エルメスのアーティスティック ディレクターを務めた後、2015年自身のプレタポルテコレクションを終了、香水とオートクチュール部門のみにフォーカスしつつ、現在も世界のファッションシーンを牽引するトップデザイナーとして君臨しています。

 本展ではオートクチュールコレクションを中心に13体が展示されていました。印象に残った作品をご紹介します。

 下の二つの作品は、今年初めに行われた2019年春夏オートクチュールコレクションで話題となった「プリーツゲーム、歌舞伎」です。歌舞伎をイメージした色とりどりのダイアモンド柄のドレス、プリーツオーガンジーのサッシュがゴージャスです。
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  上は、左が2015/16年秋冬オートクチュールコレクション「パリ~ブレスト」、アイボリーのプリーツフリルチュールドレスとシルクのストライプセーラーです。右は2016/17年秋冬オートクチュールコレクション「ベジタル」のテーマから、グリーンのクレープのロングドレス。バイカラーのラメメッシュリボンテープが上に伸びるデザインは森の妖精のようでした。

Img_88251jpg  右は、2009年春夏プレタポルテコレクション「踊り子たち」。
 タトゥープリントしたオーバーサイズの引き裾のローブ、おそろいのタンクトップとショートパンツです。

 ステージでは2018年にパリで上演されたミュージカルショー「ファッションフリーク」の映像も上映されていました。もうまさに夢のように華麗なポップカルチャーの世界です。  
 さすが「時代の寵児」、ゴルチエ! 記憶に残る展覧会でした。

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2019年12月 1日 (日)

国際福祉機器展 「超高齢社会を救う人にやさしいロボット」

 先般、東京ビッグサイトで開催された第46回「国際福祉機器展 H.C.R. 2019」で、信州大学発ベンチャー「アシストモーション(AssistMotion)」が出展し、同社代表の橋本 稔氏が「超高齢社会を救う人にやさしいロボット」と題して講演しました。
  
  橋本代表はこの春まで信州大学繊維学部の特任教授でした。Img_87331 国際福祉機器展では長年にわたり同大学として参加されていたのです。(このブログ2018.11.25付けもご参照ください) 今年は大学を退官されたこともあり、2017年にご自身が創設した企業「アシストモーション」で出展されていました。

 講演内容は大きく次の二つでした。

 一つは、ウエアラブル(着る)ロボティックウェア「クララcurara ⓇWR」です。ちなみにWRは、WALKING REHABILITATION(ウォーキング・リハビリテーション)の略です。もう一つは腰サポートウェア「ハイジ heige LS」です。
 まず「クララ」は歩行をアシストするロボットで、4号機スタンダードモデルには次のような特徴があります。
 ⑴ 4kgと軽量で、動きやすい。⑵ 装着が簡単。着脱は1分程度でできて容易。⑶ 優しいアシスト。装着している人のリズムに合わせて歩行をアシストする。⑷ 充電一回で2時間使用可能。⑸ 小回りの利いた歩行ができ、街中を歩いてもそれほど違和感はない。歩幅が広がり速く歩けるようになるなど。
 既に病院や介護施設などで実証実験されていて、自立支援に役立っているといいます。
 その上でこのほど新たに開発した起立アシスト制御技術が紹介されました。これまで椅子に座った状態から立つことが一苦労だったのが、この新技術ですっと立ち上れるようになるそう。デモンストレーションも行われました。立つ動作に合わせてロボットが立ち上がりやすくしてくれるといいます。

 次に「ハイジ」です。これは背面に設置されたPVCゲルアクチュエータが伸縮し、筋力をサポートしてくれるものだそう。PVCゲルアクチュエータとは、ポリ塩化ビニル(PVC)を可塑剤によりゲル化した高分子素材で、電圧を印加すると陽極の表面に沿って変形する特異な性質を持っているといいます。この電気応答性を利用して、実現されたのが生体筋肉のように伸縮駆動する世界初の“人工筋肉”なのです。やわらかくて軽量、透明、しかも比較的安価で、国際会議のデモセッションでは最優秀賞を獲得するなど、今大いに注目されているといいます。
 試作機では円筒の中に約2kgのアクチュエータが入っていて、クララの起立アシストもこの筋肉の働きでふんわりと浮くように立ち上がることかできたとか。
Img_87321  とくに挙上動作が楽になるそうで、重さ10 kgもの箱を持ち上げる実演も実施されました。写真はそのときの様子を撮ったものです。
 試着されてスイッチが入った途端、引っ張り力が働いて、軽く持ち上げることができたそう。腰への負担が軽くなる効果を実感したとのお話しでした。
 これは今後、介護現場や農作業、建設、運輸など、あらゆる作業シーンで腰の負担を軽減するサポートウェアとして使われることになりそうです。

 最後に、これらをどう事業化していくか、抱負を語られていたのでご紹介します。
 「クララ」は2020年の量産化を目指していて、これに先駆け、有償モニタ貸出しをするとのことです。初期費用12万円、月額8万円で、最低でも3ヶ月間使用した感想をフィードバックしていただき、さらなる改良につなげていくそう。このお試し価格で、“着るロボット”をぜひ体感して欲しいといいます。
 「ハイジ」は2021年を目標に製品化に向けて邁進していくとのことでした。
 
 我が国ではロコモ(運動器症候群)は、“国民病”とまで言われています。変形性関節症と骨粗鬆症に限っても、推計患者数は10年前の統計で4700万人だったそうですから、現在はもっと増えていると思われます。
 私もいつか歩けなくなります。でも「クララ」や「ハイジ」で希望を見出せそう。最期まで自立して生きていくために、ウエアラブルロボティックウェアはなくてはならないものになってくるでしょう。早く普及して多くの人々が救われる社会になることを願ってやみません。 
 このことにご尽力されているアシストモーションの橋本代表に改めて敬意を表します。

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2019年11月30日 (土)

「プロジェクト東京」9月展 注目のアパレルブランド

 少し前になりますが、「プロジェクト東京」が、9月末の2日間、渋谷ヒカリエにて開催されました。これはアパレルを始めジュエリーやライフスタイルブランドなど、ファッション業界が探し求めるブランドを発掘キュレートするファッションイベントです。年2回行われていて、この9月展では263ブランド、内日本196ブランド、海外67ブランドが参加したといいます。
 会場を巡り、とくにアパレルで注目したブランドをいくつかご紹介します。

ヴェントリロクィスト(Ventriloquist)
 デザイナーの伊藤理恵子さんと根本貴史さんのデュオが手がけるブランドです。腹話術師という意味のブランド名は、デザイナーが語らずとも作品がストーリーを語り出す、そんな服づくりを意図して名付けたそう。
 2020年春夏のテーマは「Hidden place(隠された場所)」で、想像上の楽園をイメージし、南国の鳥を題材にしたプリントのドレスを発表していました。
Img_87151jpg  またこのブランドは、職人の手を加えたものが多いのも特徴です。昔のものや時代背景を尊重し、現在のものに置き換えてデザインされているのです。ブース正面に打ち出されていたロングティアードスカートは、手間暇かけて藍染めしたレース使いで、染むらを活かしたラッフルフリルが懐かしい情緒を醸し出しています。
 
壺草苑
 東京・青梅の藍染工房です。日本古来の藍の染液を作る方法「天然藍灰汁醗酵建て」で、本物の藍でしか得られない美しい製品を並べていたのが印象的です。Img_86941

フーガ (HOUGA)
 デザイナーの石田萌さんが、“媚びない、自分らしいパーティードレス”をコンセプトに、この春に立ち上げたばかりのブランドです。
 身体に沿った華美なドレスが苦手な人へ向けて、曲線を使った立体的なシルエットや布をたっぷりと使った動きのある形で、自分らしいドレスアップをして欲しいといいます。Img_86981  2020年春夏は「ゴールデン・アフタヌーン」がテーマ。どこかワクワクときめく感じを覚えたコレクションでした。
 
コトン ドゥ (COTON DOUX)
 1994年、トレンドのパリ・マレで創業し、「世界で一番楽しいシャツの店」を目指すブランドです。ブースには遊び心いっぱいのオリジナルプリントのシャツが、メンズやレディース、キッズ向けに勢揃いしていました。 Img_87171  シャツだけではなくネクタイ・蝶ネクタイ・ポケットチーフ・ソックス・ボクサーパンツ・トランクスもあり、プリントデザインは年間約150種類といいます。ルーブル美術館のパートナーブランドでもあり、多くの著名人から愛されているとか。

フランク&ドリーズ (Frank&Dolly's)
 オーストラリアから日本に初上陸したブランドで、ハンドクラフトをキーワードにスローファッションを提案しています。
Img_87051   オーストラリア先住民のアボリジニのアートを思わせるプリミティブなモチーフのプリントデザインに目を奪われました。

ブキ アコモラフェ (BUKI AKOMOLAFE)
 西アフリカのナイジェリアからやって来たデザイナー、ブキ アコモラフェがドイツのベルリンで2016年に設立したブランドで、日本初上陸です。
Img_86861jpg   コンテンポラリーなハイエンドの婦人服が中心で、認定コットンやオーガニックヘンプ、アフリカンワックスプリントなどエコ素材にこだわりを見せています。リバーシブルのキルトピースも注目されます。

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2019年11月29日 (金)

毎日ファッション大賞 「アンリアレイジ」森永邦彦が大賞に

 2019年(第37回)「毎日ファッション大賞」表彰式が、11月8日、東京・恵比寿で開催されました。
 大賞を受賞したのは、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦氏です。2011年に新人賞をとられて以来、候補には挙がるものの大賞には至らず、もうとれないと思われていたそうでうれしさも一入だったようです。
Img_07211  コメントで、昨年亡くなられた毎日ファッション大賞の創設者である田中宏氏とのエピソードを語られていたのがとくに印象に残りました。
 田中氏はブランド立ち上げの頃から、背中を押してこられた方だそうです。森永氏は大賞受賞の知らせを聞いて、田中氏の言葉「ブレず、弛まず、あなたの道を」通り、この先も歩んでいこうと思われたといいます。
 誠実なお人柄と心のこもった挨拶にまたしても感銘しました。
 
 新人賞・資生堂奨励賞は「オーラリー(AURALEE)」の岩井良太デザイナーが受賞し、記念パーティで2020春夏メンズ・ウィメンズ コレクションが披露されました。
Img_07551jpg Img_07611jpg_20191129113801  Img_07421  「着る人の個性を引き出す服」というように、洗練されたシンプルなフォルムが好評のブランドです。凛とした直線的なラインで、裾で揺れるシルエットが優美です。
 
 また鯨岡阿美子賞は、鈴木淳・台東デザイナーズビレッジ村長に、話題賞は無印良品 銀座に、特別賞は日本環境設計に、選考委員特設賞「トモ コイズミ」の小泉智貴デザイナーにそれぞれ贈られました。Img_07291jpg 受賞者全員で記念撮影。

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2019年11月28日 (木)

「健康回復に活躍するコットン」寄稿

 「健康保持にはコットンが一番いい!」この事実は、小児科医が生まれたばかりのベビー服に綿100%の生地を推奨していることからも明らかです。 
  先般発行された一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION コットンプロモーション」(2019年秋号)に、このことに関するコラムを寄稿しています。テーマは「健康回復に活躍するコットン」です。本紙と併せてご覧下さい。Scan0107

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2019年11月27日 (水)

「マドモアゼル プリヴェ」展 ガブリエル シャネルの世界

 先日、といっても10月末でしたが、天王洲アイルB&C HALLで開催されている「マドモアゼル プリヴェ(MADEMOISELLE PRIVE)」展を見てきました。「マドモアゼル プリヴェ」とは、パリのカンボン通り31番地にあるガブリエル シャネルのメゾンの入口に掲げられた言葉です。この言葉通り本展はシャネルのアトリエをテーマとした展覧会で、私もそのクリエイティブな世界を堪能した次第です。
 入場はラインを通じた日時指定制になっています。予約があっても行列させられ、それなりに待たされました。多くの人が投稿していますし、人気のほどがわかります。
 会場は2フロアで、5つのエリアを巡ります。用意されたQRコードを読み取り、解説を聴きながら回れる仕組みになっているのもいいですね。
 展示エリアは、ホワイト、ベージュ、黒、赤、ゴールドの色調別に分かれていて、一つひとつがアパルトマンの部屋のようなつくりになっています。「何があるのかしら」とお部屋を覗き見るといった感じになるのも興味深かったです。
 メゾンのエスプリを体現する美しいドレスは、1990年代以降のオートクチュールコレクションからのもので、今は亡きカール・ラガーフェルドのデザインです。ドレスに合わせて、フレグランスやジュエリーも展示されています。その各エリアをご紹介しましょう。
 
 まずホワイトのエリア「ミラード・ステアケース(鏡の階段)」です。マドモアゼル シャネルは階段の上段に座って、誰からも見られないようにして、ランウェイショーを見るのがお気に入りだったとか。
Img_04341_20191128122901  白はマドモアゼル シャネルが好んだ色の一つです。
 Img_04401 ベーシックカラーとして黒やシルバーと組み合わせるなどして美を表現したといいます。

  右は、バカラ社製クリスタルボトルの「シャネル N°5」とダイヤモンド ジュエリーの復刻版です。

 「シャネル N°5」は1921年に誕生した伝説的なフレグランスですね。その直線的でシンプルなデザインに、シャネルスタイルの真髄が表れているといつも思います。

 次がベージュのエリアで「ソファ」と名づけられています。シャネルは1930年代、アトリエのソファをサンドベージュのスウェードに張り替えたそうです。1913年にマドモアゼル シャネルがデザインした服もジャージーの自然な色合いを活かしたベージュでした。ベージュはシャネルにとって欠かせない色だったといいます。
Img_04441jpg
 その次はブラックのエリア「ダイニングルーム」です。シャネルが友人たちを招いたというダイニングルームには、漆塗りの中国風コロマンデル屏風が広がっていたといいます。
 黒はマドモアゼル シャネルの先見性とモダニティを最もよく表す色なのですね。エレガントでシンプルな黒いジャージードレス、「リトルブラックドレス」は、今やシャネルの固有名詞になっているほどです。Img_04471   この黒を取り上げたカール・ラガーフェルドのシリーズも見応えがありました。白いレースの付け襟やトリム、スパンコールなどがあしらった、カールらしい洗練されたドレスに注目です。
 
 さらに赤のエリア「ライティング デスク」です。赤といっても落ち着いた色調のレッドで、マドモアゼル シャネルのアパルトマンには書斎をはじめいたるところに採り入れられていたといいます。赤はガフリエルが愛した色だったのですね。
Img_04531  カール・ラガーフェルドも様々な色合いの赤のアイテムを発表し、ランウェイを印象的に見せていました。
 
 最後がバロックゴールドのエリア「ファイアプレイス(暖炉)」です。リビングの暖炉はゴールドに囲まれていて、火が絶えることなく炊かれていたといいます。
Img_04621  ゴールドはマドモアゼル シャネルの重要なインスピレーション源だったそうで、カール・ラガーフェルドもこれを受け継いでいます。コレクションではレースや刺繍、ツィードなどに煌めくゴールドを多用しているのです。その繊細・精緻な凝った生地や手仕事の装飾美に圧倒されました。

Img_04691jpg  壁面には多数のスケッチも架かっています。真ん中のキュービックな階段は、あのホワイトのエリアの項で記した「鏡の階段」ですね。

 見終わって、帰りがけに解説本とポーチをお土産にいただきました。入場無料なのにほんとうにうれしいサービス付き。別会場で見たムービーも必見のすばらしさでした。
 「ファッションは移り変わるけれど、スタイルは永遠」というマドモアゼル シャネルの名言を、カール・ラガーフェルドは見事に体得していたのですね。ムービーの中でカールが、「永遠のスタイルとは、"シャネルスタイル" と "ジーンズと "白いシャツ"」と述べていたのが印象的です。

 もう予約はとれないかもしれませんが---、開催は12月1日までです。

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2019年11月26日 (火)

平塚「八幡山の洋館」を訪ねて

 この初秋の一日、平塚の八幡山公園へ行ってきました。平塚八幡宮の奥に、こんなに美しい西洋館が建っていたとは、知らなかったです。
  ここは「八幡山の洋館」と呼ばれる旧横浜ゴム平塚製造所記念館で、国登録有形文化財になっているそうです。文化財とはいえ今も現役で、誰でも無料で見学できます。P_20190922_155543_vhdr_on1_1
  また同館利用団体の活動発表の場になっていて、この日は楽しいミュージックのコンサートが催されていました。 
 資料によると、この横浜ゴム製造所は戦時中、海軍の火薬製造工場だったそうです。この明るいピンクの洋館がかつてはそんな過酷な場所だったのですね。
P_20190922_163003_vhdr_on1_1   外に出ると、来たときは気付かなかった平和慰霊塔が見えました。長閑な一日でした。

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2019年11月25日 (月)

静嘉堂文庫美術館 初の染織展!「名物裂と古渡り更紗」

 今、静嘉堂文庫美術館で「名物裂と古渡り更紗」展が開催されています。今月初め、この内覧会に行ってきました。
 これは静嘉堂文庫美術館所蔵の茶道具と煎茶道具に含まれる優れた染織品を紹介する展覧会で、同館初の染織展であるそう。
Img_05931  河野元昭館長は「これらの染織品は日本文化そのもの」といいます。(右は金襴のネクタイを着けた河野館長)
  抹茶の文化は日本では連綿と受け継がれて現代に至っていますが、中国にはもうないのですね。本展の主軸となっている茶道具を包み飾る布「仕覆 = 士服(しふく)」というものも今の中国にはありません。「名物裂」とは、この厳選された布のことで、そのほとんどは中国渡来の貴重な織物です。裁ち切って使用したことから、“裂地”と呼ばれているのです。
 ところで「仕覆」とは、茶の湯で使われている言葉で、比較的新しい語であるそう。語源は「季節の服」の意味の「時服(じふく)」で、昭和初期頃から「しふく」と呼称されるようになったとか。
 日本では仕覆のような中身よりも価値ある高価な包装で品物を大切に扱い保存する文化が培われてきたのです。こうした「包む文化」は西洋など他の国々には見られない日本独特の文化と改めて感じ入ったことでした。
 
 ここから展覧会の模様を簡単にご紹介します。写真はほんの一部です。(美術館より許可を得て撮影しました)
 エピローグから第二章までは「名物裂」の展示になっていて、大きく次の3つの種類があるといいます。「金襴(きんらん)」という金糸を贅沢に使ったもの、なめらかな繻子織りの「緞子(どんす)」、縞や格子、絣などの「間道」(かんどう)です。
 第三章からは先は「古渡り更紗」です。名物裂が絹の織物なのに対し、古渡り更紗は木綿の型や手染めのプリント生地で、17世紀頃に南蛮貿易により伝えられ、とくにオランダの東インド会社を通して日本に来たものが多いといいます。“紋づくし”など様々な愛称がつけられていて、武士は中でも“ぶどう”や“リス”のモチーフを好んだそう。また本場の「インド更紗」は日本でつくられた「和更紗」に比べ退色が少なく、洗っても色落ちしないとのことです。そこには明らかに技術の違いがあったようです。
 
 プロローグ~至宝を包む~
Img_06981  静嘉堂文庫美術館が誇る国宝の“曜変天目”の仕覆です。いずれも明時代(14~16世紀)のもので、左手前は牡丹唐草紋の金地金襴です。金がはがれていますが、元は地紋の入子菱が金色に輝いていたそう。その右奥のものは白地金襴で格調の高さを感じます。

 第一章~名物裂、古渡り更紗を愛でる~「唐物茶入<利休物相>」の次第から
Img_06281  千利休が所持していたという茶入れに合わせて誂えられたという丸い仕覆です。明時代初期の裂地で仕立てられているといいます。
 
 第二章~茶入・棗を包む~織りの美、「名物裂」の世界
 ここでは中国の宋末~明時代に日本にもたらされた「金襴」、「緞子」、「間道」から、その後の桃山~江戸時代、南蛮貿易やオランダとの貿易により輸入された名物裂まで、大切に仕立てられた仕覆が展示されています。
Img_06001g  真ん中に置かれている仕覆は元から明時代の鶏頭金襴(14~15世紀)。江戸時代、当時の金額で200両ぐらいだったのではないか、と言われているそうです。

Img_06441  左は古金襴の裏を表にして仕立てた貴重な作例の仕覆、右は清水裂、片身替わりの仕覆です
 
 第三章~茶銚・茶心壺を包む~染めの美、「古渡り更紗」の世界
 「更紗」はヒンディ語の「sarasa(最高級)」から来た言葉で、インドの高度な染織技術によって誕生した木綿布です。ヨーロッパだけではなく、アジア、日本にも輸出されて、日本人は大いに魅了されたといいます。Img_06031_20191127165501
Img_06581g  上はインドの絣更紗(16~17世紀)の仕覆。
 
   江戸時代中期に煎茶文化が日本にもたらされると、更紗は茶銚・茶心壺など煎茶の主要な道具の仕覆に採用されるようになり、道具を華やかに引き立てるものとなっていきます。
 また大判の布のまま敷物にも用いられて、茶席に“異国の風” を吹き込んだともいわれています。 
Img_06741  敷物となっている鮮烈な赤地の更紗は、19世紀ヨーロッパのもの。ローラープリントによるもので、長さ16mあるそう。ここまで長い更紗を保管しているのは珍しいといいます。
 
 美しいデザインと繊細な手の技を今日に伝える名物裂と古渡り更紗、その優品を堪能させていただいたひと時でした。
 本展は12月15日までです。詳細はHPhttp://www.seikado.or.jp/exhibition/index.htmlをチェックしてください。

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2019年11月24日 (日)

2020春夏リトゥンアフターワーズ“フローティング ノマド”

  山縣良和が手がける「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」の2020年春夏コレクションが、上野恩賜公園・噴水広場を舞台に、誰もが自由に観覧できるオープンな環境で開催されました。
 その2年ぶりのショーは、またしてもデザイナーの気概を感じさせる一大スペクタクルでした。それは壮大なスケールで現代社会が抱える難題を描いたストーリー性のある演出で、ファッションというより社会派のアート作品のようです。すっかり驚嘆させられました。
 テーマは“フローティング ノマド(Floating Nomads)”、つまり浮遊するジプシー= 放浪の民です。
 ショーの冒頭、夜の闇の中に立ち上った白煙とともに、不思議な膨らんだ衣装を着けたモデルたちが池の端に現れました。彼らは池の真ん中を貫くように架けられた橋の上を静かに、まるで流浪の民のように渡っていくのです。イメージしたのは苦難の道を歩む魔女であるそう。それが昨今世界中で問題になっている難民を思わせ、胸を打ちました。
 (夜で写真が上手く撮れなかったのですが、ご紹介します)
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  ドレスのシルエットはもう自由奔放です。Img_08381 哀愁が漂う中にもユーモアや楽しさを感じさせるものも見られます。装飾を乗せたり、膨らみをさらに重ねたり、大きなパッチを付けたり。頭上にはとんがり帽子や巨大なつばのある奇抜な帽子も登場。“着ぐるみ”たちもモデル一と緒にウォーキング、モデルに追いつこうと歩く姿が放浪者とダブって見えます。
 色は圧倒的に赤が目立っていました。それに白や黒。柄ではブロックチェック柄のプリントが多く、赤/白、黒/白といったツートンで目につきました。
Img_08401 Img_08561jpg Img_08391  フィナーレには「アリラン」が大音量で流れたのも印象的でした。流れ行く人々の遥かなる故郷を想う気持に思わず身につまされてしまいました。
 
 私はこのショーの前に行われた展示会も取材しています。そのときのテーマは「Anxious Witches(不安な魔女)」でした。これは2019年春夏シーズンに続く3部作「For witches」の最終章で、今回のコレクションはこの章を落とし込んだものだそう。
Img_03431_20191126105901  上は展示会の写真で、コットン素材もたくさん使われていました。
 
 「これからも新しいことをやり続けたい」という山縣デザイナー、ますます期待しています。

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2019年11月23日 (土)

2020春夏RFWT「ザ ファクトリー」プロヴァンスからの風

 南仏プロヴァンスからの風に乗って、2020春夏RFWTにやって来たのが「ザ ファクトリー(THE FACTORY)」です。ブランドを手掛けるのはイタリア出身のデザイナー、ロシャン・シルバ。「時代を経ても色あせないもの」をコンセプトに、懐かしさや心地よさ、手のぬくもりを感じさせる温かみのあるスローな感覚をシンプルでモダンに見せるブランドです。

Img_02561jpg  今季のコレクションは、どこまでもラベンダー畑が続く19~20世紀の南仏プロヴァンス地方の作業着に着想。
 着心地のよいコットンやコットン/リネンを使用し、ギャザーやプリーツを多用、デフォルメしたフォルムにリラックスしたムードの抜け感を演出しています。
 カラーはラベンダー色をはじめとするスモーキーパステルが中心。
 郷愁を誘うヴィンテージ感を現代的に再構築した爽やかなコレクションでした。
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2019年11月22日 (金)

2020春夏RFWT「ダイエット ブッチャー スリム スキン」

 デザイナーの深民 尚が手がける「ダイエットブッチャースリムスキン(DIET BUTCHER SLIM SKIN)」が、RFWT渋谷ヒカリエにて2020年春夏コレクションを発表しました。
 一時期画家を目指したという深民 尚。今回はアートとファッション、カルチャーとファッションの共存をテーマに、心惹かれるアーティスト二人とコラボレーションしています。登場したアイテム、ジャケットやパンツ、ニット、スカーフ、バッグなどには、二人の作品がプリントだけでなくジャカードや刺繍と様々な手法で落とし込まれていました。
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Img_02541jpg  気張らずに街へ、旅行へ、普段着にファッションを楽しんでほしいとのメッセージも送られて、全体に軽やかでゆったりとリラックスした雰囲気のコレクションでした。

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2019年11月21日 (木)

2020春夏RFWT「リト」“ハイパー・ネイチャー”テーマに

 「リト(Rito)」は、繊維商社スタイレムで海外のハイブランドのテキスタイルデザインを手がけたデザイナー、嶋川美也子が2016A/Wに立ち上げたブランドです。その2020年春夏コレクションが、東京・渋谷のトランクホテルのチャペルにてプレゼンテーション形式で披露されました。
Img_02041  テーマは“ハイパー・ネイチャー”です。自然を超えた自由なクリエーションという視点で、デザイナーが提案したのはちょっと気だるい、もの憂い雰囲気です。
 ブードワール風のドレスやジャケット、ブラウス、ニットなど。
 流れるような流麗なドレープを演出するこだわりの素材が用いられています。
 カラーは神聖なチャペルという空間にふさわしい、静謐なホワイトが中心です。

 女性らしい優しさに満ちたコレクションでした。
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2019年11月20日 (水)

2020春夏RFWT「タエ アシダ」アートの流れに目を向けて

 芦田多恵が手がける「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」が、今シーズンも2020年春夏コレクションを東京・六本木のグランド ハイアット 東京で発表しました。

Img_01571jpg  今シーズンはアートの流れに目を向けたアーティスティックなコレクションを展開しています。
 ファーストルックはまさにモダンアートを見るようなプリントのルックが登場。鮮やかな色彩も印象的でした。
 目や唇を描いたグラフィックな人の顔のイラストも斬新!
 先シーズン、デビューしたメンズルックも時折見られました。ジャケットにトカゲのモチーフを刺繍したものも。
 中盤のプリーツのドレスも美しい。
Img_01881 Img_01801_20191123185101  Img_01941jpg    洗練されてエレガント、そこに現代的でポップな要素をさりげなく採り入れた、タエ アシダならではのステキなコレクションでした。

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