2018年12月12日 (水)

2019春夏パッサージュ合同展 新たなムーブメントの場

 2019春夏パッサージュ合同展が10月23日~25日、現代感覚あふれる渋谷駅直結のビルで開催されました。新たなムーブメントを起こす場として注目の展示会です。
 出展したのはファッション・ライフスタイル約60ブランドで、先般のTokyo新人デザイナーファッション大賞のプロ部門で入賞した3ブランドなどが参加しています。

◇カイキ (kaiki)
Img_84111_2  2018年Tokyo新人デザイナーファッション大賞のプロ部門で入賞したブランドの一つです。

  手がけるのはファッションデザイナーの飯尾 開毅さん。ブランド名の「カイキ」はご自身の名前からとったものだそう。

 さりげない無造作なナチュラル感と、きちんとした緊張感のバランスが美しいコレクションです。
 今後の活躍が期待されます。
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◇リコレクト(rekolekt)
 ブランドを手がけるのはファッションデザイナーの山崎 祐介さん。2018年Tokyo新人デザイナーファッション大賞のプロ部門で入賞を果たしました。コンセプトは「記憶の再集」です。季節のうつろいから見出される美しさ、感情のゆらぎを掬い集めるように服づくりを行っているといいます。

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 今シーズンのテーマは「サークル」です。手前はコットンローンのドレスで、くるくると螺旋を描くように舞うたんぽぽのような花を、フロッキーと顔料プリントで表現しています。

◇ハトラ(HATRA)
 2010年にデザイナーの長見 佳佑さんが立ち上げたブランドです。「居心地のよい服」をコンセプトに、スウェットパーカを中心としたコレクションを発表して、一躍話題を集めました。Img_83891  
 2018年春夏にウィメンズラインを本格化させて臨んだ今シーズン、テーマは「シェイプ・シフター」です。南方熊楠への関心から粘菌に興味を持ったという長見さん。粘菌が体を柔軟に変化させるように、形を変えるシルエットで、新しい次元のコレクションに挑んでいます。

◇ジュップ・ド・サテン(JUPE DE SATIN )
 元マルニで企画開発に携わっていたデザイナーのガブリエラ・アゴスティーニが2002年に立ち上げたブランドです。ジュップ・ド・サテン(サテンのスカートの意)というように、夢見るようなエレガント感が漂う、メイド・イン・イタリーのコレクションです。
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◇カミシマ チナミ(KAMISHIMA CHINAMI)
 デザイナーはクリエイティブなデザインで知られるカミシマ チナミさん。美しい色使いと心地よい感触の素材感、大胆なカッティングで、いつも魅了されます。
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◇ベース マーク (BASE MASK)
 デザイナーの金木志穂さんが手がけるブランドです。デザインの根底にあるのは、スタンダードな服を「今、どの様に着たいか」ということだそう。今季もベーシックにひねりを加えた洗練されたワードローブが人気を集めています。
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◇ア ミリオン アザーズ (A MILLION OTHERS)
 ブランドを手がけるのはNoriko Okumura。「かっこよくて 少しだけユニークな服」をテーマに制作しているとか。ブランド名の「ア ミリオン アザーズ」には、「人それぞれ」の意味が込められているといいます。
 手前はゆったりとしたケープ付きのドレスコートです。シルエットがしっかり表現できるコットンウェザーの先染めストライプ地が用いられています。
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◇TEEE
 ファッション須賀のHAKKA GROUPが手がけるブランドで、デザイナーは速水裕司さん。今シーズンのテーマは「a peaceful holiday(穏やかな休日)」です。パリのヴィンテージショップに並ぶコットンのブラウスのイメージに、今の空気感をプラスした、爽やかなコレクションを見せています。
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◇ブラスバンド(brassband)
 ブランドを手がけるのは、デザイナーの藤澤豊生さん。ワイドなシルエットのデニム・ジーンズをズラリと展示していたのが印象的です。
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2018年12月11日 (火)

2019春夏プラグイン展 初出展が過半数と多彩な顔触れ

 2019年春夏ファッションとライフスタイルの合同展「プラグイン(PLUG IN) 」が、この10月24日~26日、渋谷ヒカリエで開催されました。リリースによると、26回目となる今回は146社が出展し、その内75社が初出展と過半数を占め、出展の内訳は、レディスウェアが全体の23%、バッグ21%、アクセサリー20%、シューズ12%などとなっています。
 多彩な顔触れの今シーズンですが、ここではレディスウェアを中心に、とくに素材やモノづくりにこだわるブランドや洗練されたカジュアル感を打ち出しているブランドをいくつかご紹介します。

◇シンヤセキ (shinyaseki)
 パリで毎シーズンコレクションを発表している、関 慎也さんというデザイナーのブランドです。「目に見えないものにこそ価値がある」をコンセプトに、独自の立体裁断で、サイズや形が変化するデザインを手がけているといいます。素材はすべて日本製だそう。
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◇ポルス(POLS)
 播州織の産元商社「丸萬」が手がけるブランドです。クリエイティブディレクターを務めるのはテキスタイルデザイナーの梶原加奈子さん。
 従来の先染め織物を一新する色彩感覚や織組織によるストールやバッグなどが人気を集めてきましたが、今シーズンはアパレルにも進出。ブースではレディス中心にブラウスやワンピース、ボトムなどを発表していました。
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◇ポーシャル(POUSHAL)
 ワールドアンバーが手がけるブランドで、ナチュラル感があってエレガント。素材も高級感があります。
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◇インナーマインドクロノロジー (inner mind chronology)
 昨年の秋に立ち上げたというユニセックスブランドです。デザイナーは小栗香代子さん。コンセプトは100年先に届ける「Made in Japan」とか。
 1900年代初頭のヨーロッパの“働く人”をテーマに、不変のよさを追求し、職人のモノ創りにこだわってデザインしているといいます。
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◇ブークス・ブーク(Bookth:book)
 フリンジなど装飾のあしらいや色使いの豊かさが印象的です。他にないデザイン性の高いアイテムが多く、魅せられました。
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◇Dsofa
 ブランド名の「Dsofa」は、「D」がDesign やDress、「s」がSky blue(空色)、「fa」がFashionから造語とか。エレガントでリラックスした雰囲気のあるコレクションで着心地よさそう。
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2018年12月10日 (月)

2019春夏「ソレイユトーキョー」展 新形式も変化して

 2019春夏のファッションブランド合同展が、この10月末、数多く開かれました。その一つが東京・恵比寿で開催された「ソレイユトーキョー」展です。(昨夏に訪れたときのブログ記事 2017.9.6付け を参照してください。)
 本展が他と少し違うのは、出展者がその場にいないスタイルで行われていることです。出展者はハンガーラック1本、棚1段から、低コストで参加できるようになっています。これから新しく打って出ようという新進ブランドにとっては参入しやすい新形式の展示会といえます。
 2015年にスタートして以来、この形式で行われてきましたが、7回目を迎えた今回、少し変化してきました。それはショールーミング・エリアが新設されたことと、アドバイザー制の採用です。後者は、有力セレクトショップや百貨店のバイヤー、ジャーナリストといったアドバイザーのコメントが出展者にフィードバックされる仕組みといいます。これにより次につながるビジネスができるとよいですね。

 とくに印象に残ったブランドをご紹介します。

 ショールーミング・エリアでは、「ミドラ(MIDDLA)」が出展していました。
Img_84151  ミドラはAFWT東京コレクションでコレクションを発表しています。(このブログ2018.11.13付け参照) ここでは二部構成のショーの前半に登場したウエディングドレスのようなフォーマルな装いをマネキン展示していました。来場者からの評判も上々だった様子です。

Img_84211  バッグの「タッコ(TACCO)」も注目されます。これはイタリアのラボ・キゴシ(RABOKIGOSHI)のオリジナルブランドで、TACCOとはイタリア語で「ヒール」の意味だそう。バッグもヒールパンプスの様に女性を美しく魅せる存在でありたいという、デザイナーの思いが込められたブランドです。
 ナチュラルレザーを用いたデザインは機能的で、つくりもシック。人気を集めそうです。

 広々としたホールには、ラックがずらりと並んでいました。
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Img_84411  右は、セイジ イノウエ Seiji INOUEのコーナーです。「be mixed」をテーマに、大きな木の葉モチーフのアイテムを見せていました。

 トークショーなどのイベントもあったとのこと、これからが楽しみな展示会です。

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2018年12月 9日 (日)

ファッションワールド東京 スノーピークの山井社長が講演

 アウトドアスポーツが人気を呼んでいる昨今、世界に発信するアウトドア総合メーカーが新潟県三条市にあります。それが「スノーピーク(Snow Peak )」で、その熱狂的ファンという“スノーピーカー”を生み出しているといいます。
Img_83331  先般の「ファッションワールド東京2018秋展」のセミナーに、スノーピーク代表取締役社長の山井 太氏が登壇し、「好きなことだけ!を仕事にする経営 ~熱狂的ファンはいかにして生まれたか~」をテーマに特別講演されました。
 力の入った語り口に引き込まれて、聴き入ってしまった講演会でした。その概要をまとめてみます。

 本社屋はキャンプ場の中にあるというスノーピーク。3年前に東京・原宿にも本部を設けているのですが、そのコンセプトは「人生に、野遊びを。」だそう。山井氏も自らキャンパーといいます。
 まずはその沿革から。創業は1958年で、1986年に入社した山井氏は、アウトドアブームの波に乗り、オートキャンプのブランドを築きます。ブームがピークを迎えた1996年に社長に就任、社名を「スノーピーク」に改称し、1998年、「スノーピークウエー」というキャンプイベントをスタートさせます。2010年頃まで業績がシュリンクしたものの、その後年15%の成長を成し遂げ、10年で売上規模を4.3倍に拡大したといいます。
 次に山井氏は、その発展の原動力について、第一に理念、第二にブランド戦略、第三に熱量と明言しました。
 第一の理念は、同社の企業理念「ザ・スノーピークウエー」で、山井氏がもっとも大切にしているステートメントだそう。つまり自然志向のライフスタイルを提案し、実現するリーディングカンパニーになること。常に革新を起こし、自身がユーザーの立場に立って、お互いに感動できるものを提供していくという考え方です。コンパスがいつも真北を指しているように、いつもぶれることなく、この想いでやってこられたとか。東証一部上場企業になれたのも、20年前に仲間とつくったこのミッションがあったからと、振り返ります。
 第二のブランド戦略では、誰に売るのか、何を売るのか、どう売るのか、選択の自由を行使することが重要といいます。
 誰に売るのかでは、オートキャンプで初めて高価格帯のテントをつくり顧客を選んで販売したそう。日本にはなかったハイエンドな市場を狙ったことがヒットの理由といいます。
 何を売るのかでは、ハードやソフト、感性面で差別化した製品をつくる一方、全製品に永久保証を付けるなどアフターサービスにも努めているとのこと。イベントを行うなどして、ユーザーとのつながりを大事にしていることも好感されているようです。
 どう売るのかでは、問屋を使わずに直営店とECサイトで販売し、ビジネスモデルのシンプル化を実現しているとのこと。
 第三の熱量とは、つまりパッションです。「自分たちが心から欲しいものしか作らない」という信念と、徹底したユーザー目線で独自のものづくりを貫いていると強調。それが熱狂的ファン“スノーピーカー”を生み出しているのですね。
 今ではオートキャンプを中核に、アパレルからアーバンアウトドア、地方創生など、様々な事業を手掛けているといるスノーピーク。その情熱に圧倒されます。

 事業を行っている方々にはとくに響くお話しだったのではないでしょうか。講演を終えて、会場はなお興奮冷めやらぬといった雰囲気でした。

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2018年12月 8日 (土)

国際生地・素材EXPO  独自技術が光るメーカー

 先般開催された第4回国際生地・素材EXPOは、衣服や小物の製造に関わる「生地・素材」が一堂に出展する商談展です。ここではとくに独自技術が光るメーカーを数社、ご紹介します。

小円織物 (播州織工業協同組合)
 よこ糸の配列を柔らかな曲線に移動させる「クラッシュ」織を提案。
Img_82891jpg  同社は既に昭和30年代に、横よろけ(ボーダー柄やチェック柄が曲がったように見える織物)装置で実用新案を取得し、以降多数の織物を開発してきたといいます。 
 右は波のようにうねるよろけ織で、表裏で色違いの両面クロスです。

Img_82781  中でも興味深かったのが「影織」です。
 太陽や月明かりに生地を照らすと、ストライプ状の影模様が浮き上がってくる技術で、奥行きのある表情が印象的でした。

 

篠原テキスタイル
 広島・福山で、差別化された付加価値の高いデニムを手掛けているメーカーです。
Img_83461  今回はデニムでも、ふっくらと表情豊かな両面インディゴパイル(写真左)や、プリーツデニムが人気を集めていました。Img_83151pg





 右は、篠原テキスタイルの生地を福山のサンプリーツがプリーツ加工し、同じ福山のアパークス・サトーが縫製・仕上げを担当して制作したデニムウェアのセットです。
 高度な技術が、来場者の大きな関心を集めていました。

ヤギ
 イタリアのNIPI社(Natural Insulation Products Inc.)が開発した世界初の特殊なシート状の「シンダウン (THINDOWN)」を大きく展開していました。
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Img_83511  これはダウンを中綿状にして不織布ではさみ、シートにしたものです。これによりダウンを自由に裁断できるようになり、様々なアイテムに使えるようになったといいます。軽くて、薄く、しかも暖かい。簡単に洗えるというのもいいですね。

小羽皮革
 デニムへの関心から、昨年発表して大きな反響を得たという皮革(牛革)のデニムを提案。丸洗い可能な、世界初のレザーデニムといいます。
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Img_83461  デニムの生地の凹凸を型押しした上にプリント加工してあって、本物のデニムのように見えます。よく出来ていてびっくり! 

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2018年12月 7日 (金)

国際生地・素材EXPO YKKのユニバーサルデザインに注目

  先般のファッションワールド東京と同時開催された第4回国際生地・素材EXPOで、ファスナーの世界的メーカー、YKKが出展していました。
 中でも私が注目したのが、ユニバーサルデザインのファスナーです。
 ファスナーって、手がふさがっていたりすると、使いにくく感じます。障がいのある方でしたら、お困りになることも多いのでは、と思われます。こうした状況を解決するために、YKKでは「簡単・素早い・やさしい」をコンセプトにユニバーサルデザイン商品の開発に取り組んでいるのですね。

 今回、私が「いいな」と思ったのは「クィックフリー QuickFree®」です。これは「閉じる・開く」を容易にしたファスナーで、一定以上の負荷がかかると、エレメントと呼ばれる、かみ合わせ部分が自動解放されるようになっています。またチェーンを左右に引っ張るだけで簡単に開けることができるようになっているのです。
Img_82951 とくにキッズ(子ども)ファッション向けに開発されたものだそうですが、大人にもやさしいファスナーです。実は私もかみ合わせ部分に布を引っ掛けてしまって、操作できなくなってしまうことがよくあるのです。でもこのファスナーなら「もう大丈夫。安心・安全ね」と思いました。
 なおこの「クィックフリー」は、2018年度「グッドデザイン賞」の「グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)」を受賞しています。
Img_82971 上はクィックフリーを使った製品です。 

 またファスナーで一番苦労するところが挿し込むところですが、Img_82941 この部分をはめやすくしたのが、右の「クリックトラックclick-TRAK®」です。開き具部分をつまむと自動回転して、組み合わせする仕組みになっているのです。

Img_82931  「挿入補助パーツ」は、後付けの樹脂パーツで、これを使うと、開口部が拡大されて、視認性も向上し、開き具の挿入操作が容易になるそうです。手袋をしたままでも操作できるとか。スキーなどウインタースポーツウェアにいいですね。

Img_82921_2  「コイル・No.3用挿入補助スライダー」は、スライダー(手でもって動かす部分)に挿入補助機能を採用したファスナーで、片手でも開閉できるとか。

 さすがYKK、いろいろ工夫されています。

Img_83421  ブースでは、米国の西部開拓時代に始まるジーンズのファスナーやリベット、ボタンなどの歴史を展示するコーナーもあり、大変興味深かったです。

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2018年12月 6日 (木)

「スポーツはファッションのスーパースター」寄稿

 ここ数シーズン、ファッション業界にかつてないほど大きな影響を与えているのがスポーツです。そこで「スポーツはファッションのスーパースター」をテーマに、一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION コットンプロモーション」(2018年秋号)のコラム「マーケティング・アイ」に寄稿しました。
 本紙と併せてご覧下さい。
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2018年12月 5日 (水)

ファッションワールド東京 早乙女喜栄子講演 VMD語る

 先般の「ファッションワールド東京2018秋展」で、以前からお話しを聞きたく思っていたVMDディレクターの早乙女 喜栄子氏が講演されました。
Img_83191 テーマは「購買率と客単価を高めるVMD」です。ちなみにVMDとはヴィジュアルマーチャンダイジングのことで、視覚に訴えて商品をディスプレーする考え方です。
 「お客が入りたがる店の基本的なところを伝えたい」と、事例を交えて語られました。
 その要点をまとめてみましょう。

 まずは何といっても視覚が重要で、「お客が入りたいかどうかは2秒で決まる」といいます。最近は動画をウインドーに映し、それに合わせてスカーフなどが空間を舞うディスプレーなど、動きのあるものが増えているそうです。また以前表参道ヒルズで巨大な鯨を出現させたことがあったのですが、そうした意表をつくオブジェを採り入れるのも集客につながるとのこと。見た目キャッチーなものが求められているのですね。
 次に売場づくりでは人間の習性を知ることが大切だそう。例えば人は明るい方へ動く、また視線が左から右に水平移動することから、右に解放的な空間をとるようにするとよいといいます。また人間の5感で、視覚に次いで重視されるのが香りなので、高級品売場でゆったりとした気分にさせるフローラの香りを漂わせるのも購買意欲をそそるといいます。
 売場に求められるチェックポイントも次のように紹介されました。
 4つのEとしてエンターテインメント(Entertainment もてなし)、エキサイトメント(Excitement  感動)、エンジョイメント(Enjoyment  楽しみ)、エクスペリアンス(Experience  経験)。
 4つのFとしてフレッシュ(Fresh 鮮度感、清潔感)、フィーリング(Feeling 気付き、こだわり)、フィクション(Fiction、非日常性)、フェミニン(Feminin  やさしさ、思いやり)を挙げて解説。
 さらにVMDの基本として、見せ場と売り場をはっきり分けることや、センスのよいコーディネイト、客ダマリの重要性にも言及。配色は明度差が大きいほど視認性が高まることや、強弱のコントラストがつけられる3角形構成のディスプレー手法も披露されました。

 最後に来店客に視覚的にわかりやすく伝えることが成功の鍵!と強調。大変中身の濃い講演会でした。

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2018年12月 4日 (火)

ファッションワールド東京 滝沢直己講演AI時代のデザイン

 ファッションデザイナーの滝沢直己氏が、先般の「ファッションワールド東京2018秋展」で特別講演されました。
Img_82671  滝沢直己氏といえば、イッセイミヤケのクリエイティブディレクターを経て、ユニクロのデザインディレクターに就任し、美智子皇后陛下の衣装デザインも担当するという、実用衣料のユニクロと皇室という真逆の方向でデザイン活動を行っている、世界が認めるデザイナーです。2007年にはフランス芸術文化シュバリエ勲章を受賞されています。
 2017年にブレザージャケットのブランド「B-Tokyo」を立ち上げ、この10月には自身初のコンセプトショップ「NAOKI TAKIZAWA FITTING ROOM」を東京・代官山にオープンしました。

 そんな話題のデザイナーが考えるAI時代の風景とは、どのようなものなのか、興味津々で講演を拝聴しました。テーマは「私のデザイン ワークアウト」です。
 2006年、イッセイミヤケを離れて、独立した滝沢直己氏。異業種の方々と仕事する機会が多くなり、ディレクターとして全体のバランスをとることがメインの仕事になったといいます。どうすれば成功するのか、AIがトレンドを教えてくれれば楽なのですが---と言いながら、次のような見解を述べられました。

 まずトレンドとは人がつくって、人が終わらせるものといいます。多様な要素が絡まり合ってトレンドが生まれ、それを終わらせるのも人間なのですね。トレンドが生まれる瞬間をいち早く察知して、そのときのムードをつかめば、来たるシーズンを予想できるといいます。 
 このために大切にしているのがトレンドリサーチだそう。社会現象や気候変動からくるトレンド、アートや建築からの影響、ストリートカルチャーなど、様々な動きを常に意識しているそうです。またプルミエール・ヴィジョン・パリのようなトレードフェアからの情報も重要といいます。しかしデザイナーはそうしたアナリストたちの分析をうのみにしないこと、それらはあくまでもヒントと解釈すべきと釘を刺します。
 次にファッション業界の現状について、今はLVMHとケリンググループが主導権争いをしている大きな変化の時代との認識を吐露。こうした流れの中で、新しい傾向として「ラグジュアリー・ストリート」が浮上しているといいます。リードしているのは、セリーヌのエディ・スリマンやディオール・オムのキム・ジョーンズ、ルイ・ヴィトンのヴァージル・アブローといったデザイナーたち。さらに有力インフルエンサーの発信にも注目しているそうです。たとえばファッションアイコンとして有名なカリーヌ・ロワトフェルドやミラノのキアラ・フェラーニなど。
 こうした様々なファクターから色や素材、形などの方向づけをするのがディレクターであり、AIが優れているとしても、それだけに頼っていてはトレンドをつくることはできないと強調。 
 ディレクターとしてのものの見方をわかりやすく解説されました。

 最後に、ご自身のブランド「B-Tokyo」にふれ、ジャケットとシャツ、デニムにスタイリングを限定、とくにシャツを重視していると持論を語って、締めくくりました。

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2018年12月 3日 (月)

「ヒューマンセントリックラボ 」ユーザー視点で機能を実証

 この10月末、東京お台場の「ヒューマンセントリックラボ Human Centric Laboratory(HC Lab)」見学会があり参加しました。(これは私もメンバーの一人となっているユニバーサルファッション協会商品研究会の研究の一環として、東京都立産業技術研究センターのご紹介により行われたものです。)
 ヒューマンセントリックラボ、略して HC Lab は、今年5月にオープンしたばかりの繊維製品の検査機関です。とはいえ単なる検査機関ではないことが見学を通じて理解できました。ヒューマンセントリック=人間中心というように、ここはユーザー視点で製品やサービスの機能の有効性を検証し付加価値を提供していく施設なのです。
 運営も民間で、伊藤忠ファッションシステム(ifs)とユニチカガーメンテック(UGT)の協業により設立されました。

 まずご案内いただいたのが、ifsが手がける物性評価の検査室です。
Img_84471jpg  洗濯による染色堅牢度や耐光性から、引っ張り、引き裂き、ピリングなどの物理性能、寸法変化率などを調べる機器が並んでいます。
 右は摩擦強度を計測する機器です。

 次にUGTの環境試験室を拝見しました。3室あり、それぞれ気温と湿度を調整できるようになっていて、機能性と快適性の評価が行われています。たとえば保温性や接触温冷感、温湿度センサーやサーモグラフィー装置による着用試験などです。

 中でも興味深かったのが、発汗サーマルマネキンによるシミュレーション試験でした。
Img_84541 写真はサーマルマネキンによる布団保温性などを計測しているところです。
 このマネキンは発熱するだけではなく、模擬発汗が可能で、発汗時の衣服内や寝床内の温湿度変化や放熱量を測定できるそう。たくさんの管につながれて、マネキンといえども可哀そうな気分になりました。

 また人体生理計測、つまり筋電図や心拍、脳波など様々な生理学的測定も各種とり揃えているといいます。

 HC Labではこんな風に、人と製品の間に生じる様々な課題や隠れた要求を可視化しているのですね。価値にストーリー性が求められる昨今、データ化した情報は品質保証だけではなく、消費者に有益性をアピールする材料としてもきっと役立つはずと思いました。
 それにしても東京のこんなに便利な場所にある検査機関です。訪れてみてはいかがでしょう。

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2018年12月 2日 (日)

リニューアルされた今治タオル本店に行ってきました!

 先般、今治タオル工業組合のお招きで、コットンについて講演するためにテクスポート今治(愛媛県今治市)へ行く機会がありました。
 講演終了後、隣接する今治タオル本店を訪れ、そのめざましい発展ぶりにびっくり!
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 ここは昨年春にリニューアルオープンした国内最大の店舗だそう。主軸の真っ白なタオルから色柄物、マフラーなどのタオル製品まで、タオルメーカー28社による約400種・2万点以上もの商品が取り揃えられているといいます。

 内装デザインを手掛けたのは、「今治タオル」のブランディング プロデューサー、佐藤可士和氏です。Img_82421_3「今治タオルファクトリー」をコンセプトに、タオル織機でたて糸を動かすために使われる「通じ糸」を、ブランドロゴの赤・白・青の三色に染めたアートワークがインスタレーションされていて、目に鮮やかに迫ってきます。

Img_82401jpg_2  中でもひときわ目を引いていたのが、右の「ロゴアート」タオルのコーナーでした。これは、今治タオルのロゴ配色をグラデーションで表現したガーゼ地のタオルで、やさしい感触が何とも心地いいのです。

 今治タオル本店の隣には、タオルについて学べる体感施設「今治タオルLAB(ラボ)」が併設されています。
 Img_82441  ここでまず目に飛び込んで来たのが、上の大型タオル織機です。

Img_82491_2  窓際に は、「5秒ルール」という体験コーナーが置かれていました。これはタオル片を水に浮かべて、5秒以内に沈み始めれば今治タオルとして合格というものです。
 さらに「タオルソムリエ」の資格試験を試すことができるクイズコーナーもあります。楽しみながらタオルの知識が得られるなんて、よく考えられている、と思いました。

Img_82501jpg  外では今治タオル祭りが行われていて、そのにぎわいぶりにも驚かされました。

 今治はまさにタオルのまち。タオルがすっかり市民に根付いていることを改めて実感しました。

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2018年12月 1日 (土)

2019/20秋冬尾州マテリアル・エキシビション 糸展も併催

 一宮地場産業ファッションデザインセンター(FDC)主催の「尾州マテリアル・エキシビション」が、10月17日~19日、東京・北青山のテピアにて開催されました。
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 リリースによると、17回目を迎えた今回、出展したのは尾州産地のテキスタイルメーカー16社です。2019/20年秋冬に向けてそれぞれが開発した新作1,570点、また会場中央にFDCが提携しているネリーロディ社のトレンド情報を基に製作した開発素材191点が展示されたといいます。
 また糸展「尾州ヤーン・フェア」も併催され、尾州産地内の糸業者、浅野撚糸や豊島など8社がブース出展していました。

Img_80021jpg  さらに目新しく思ったのが、「環境」をテーマとしたモノづくりコーナーです。尾州ヤーン・フェア出展企業の糸で作った生地10点が展示され、サステナビリティへの関心の高さをうかがわせていました。
 来場者は1,844名で、前年比でやや減少となったのですが、会場は終始盛況であったと報告されています。

 素材傾向全般としては、コットンを含む化合繊との複合素材や紡毛へのシフトが多く見受けられたように思います。これにはウール原料の高騰の影響もあったようです。高品質な生地をつくるためにコストを抑える狙いがあったものと思われます。

 ここからは会場中央に設置されたトレンドエリアでの展示をご紹介します。ネリーロディ社が提案しているトレンドコンセプトは「ラジカルな生き方」です。これを基に、各社の開発素材191点が下記3つのテーマで分類展示されました。

◇ABSOLU  (アブソリュ = 絶対的なもの)
制御されたエレガンス。余分なものを排除する。建築的シルエット。

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     ソトージェイテック         林実業
     テンセル/綿防縮         綿スラブとリリヤン糸のからみ

◇RIDE  (ライド = 乗馬)
「スケールの大きい」ライフスタイルへ向けて個性を追求するテーマ。
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     日本エース                        ファインテキスタイル
     コットン/ウール リバーシブル      ジロン綿千鳥

◇UTOPIA  (ユートピア )
ふんわりと心地よいドリームランド。ハイブリッドなシルエット。
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     西川毛織               長大
     C/Wジャカード           リサイクルウールデニム

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2018年11月30日 (金)

19/20秋冬T・N Japan東京展「キララつややか」テーマに

  2019/20年秋冬ものテキスタイルを発表する「テキスタイルネットワーク T・N Japan 東京」展が、この10月17~18日、渋谷文化ファッションインキュベーションにて開催されました。
 この展示会は小規模ですが、各産地の選りすぐり職人技を持つ企業の合同展です。今回の出展は13小間27社で、いずれも付加価値の高いこだわり素材を出品していました。とくに今シーズンはテーマが「キララつややか」“光の反射と深い色艶・贅沢のすすめ”とあって、高級感のある見た目と感触の生地が多く見られたのが印象的です。

古橋織布(静岡県浜松市)
 昔ながらの低速のシャトル織機を使って織り上げた綿織物が人気。今回は虹のような光りを発するラメ糸使いの綿ツィードや、ポリエステルのフィルムヤーンを使用した生地の提案が目新しく思えました。
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福田織物(静岡県掛川市)

 同社得意の超細番手糸使いで、上品なしっとりとした光沢のコットンサテンを前面に展示。綿100%のしなやかに流れるような風合いが美しい。

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播州の機屋(播州織工業組合) 遠孫織布
 カラフルなジャカード織物が得意とあって、今シーズンはラメ糸使いのさらにファンタジックな印象の生地を多数見せています。
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渡辺パイル

Img_77461  タオル織機でファッショナブルなものづくりに挑戦している同社。
 こだわりの素材にラメ糸をつかった贅沢なタオル生地が注目されます。

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2018年11月29日 (木)

第3回「ニ・ナウ」 若手テキスタイルデザイナー6人展

 「ニ・ナウ(NI-NOW)」展は、テキスタイル産地の技術を継承し、次代を担うテキスタイルデザイナーたちが、自ら企画運営するテキスタイルの合同展です。(このブログ2017.12.14付けで、第1回展の模様を記事にしています。)
 第3回を迎えた今回も、10月18-19日の2日間、東京・代官山で、「ニュー・クラシック」をテーマに新作が披露されました。
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 参加したのは、4産地から6人の若手デザイナーです。愛知県・尾州の小島日和さん(テリハエル)、兵庫県・播州の穐原真奈さん(大城戸織布)、小野圭耶さん(東播染工)、山梨県・郡内の井上美里さん(槙田商店)、群馬県・桐生の川上由綺さん(桐生整染商事)、それに初参加の愛知県・一宮の大井理衣さん(葛利毛織工業)。
 
Img_78821 右は、東播染工の小野さんのコーナーです。
 色合いに気を付けながら原料を吟味、シャツ生地を中心に様々な素材に取組んでいるといいます。

Img_78741jpg  上はデザイナーによるプレゼンテーション風景です。
 代表の小島さんがメンバーを一人ずつ紹介、それぞれが意見を述べ合い、頑張っている様子が伝わってきました。
 産地を盛り上げようとしている若い人たちの存在、ほんとうに頼もしいです。

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2018年11月28日 (水)

2019春夏「PR01. 」トレードショー 注目のブランド

 今回もアマゾンファッションウィーク東京(AFWT)と同時期に、「PR01. 」トレードショーが、東京・恵比寿で開催されました。

Img_78591  「ワンオー」が主催する本展には、国内外から厳選49ブランドが出展し、3日間で2,500人の来場があったと発表されています。
 全体にアジア系やメンズ、ストリートブランドが多かったようです。こうしたなか、注目したレディスブランドを3つ、ご紹介します。

ティート トウキョウ(tiit tokyo)
 ブランドを手掛けるのは、岩田翔さんと滝澤裕史さんのデザイナー・デュオです。テーマは「レトロフューチャー」で、ノスタルジックな要素を上手く組み合わせて、今風のファンタジーに仕上げています。その手腕は、さすがですね。
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 AFWTでのランウェイショーを見損なってしまったので、ここで見ることができてよかったです。

カッティーシオマラ(KATTYXIOMARA)
 1999 年に北ポルトガルの港町ポルトで創業したという、ポルトガルを代表するブランドです。
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 パリやニューヨークでもコレクションを発表しています。
Img_78701 今シーズンは目の覚めるようなクリアな色調のシンプルでスポーティな感覚のドレスを提案。構成主義のポスターにインスパイアされたというプリントのドレスもエレガントで人気を集めそうです。

Furugi ni lace Rowrunder
 古着のリメイク風コレクションを見せるブランドです。レースやシフォンなどロマンティックな雰囲気の素材を、ニットやスエット、デニムなどにあしらったストリート感覚なワードローブが目に付きました。
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2018年11月27日 (火)

鈴木啓太さん新作ガラススピーカーのインスタレーション

  今シーズンのアマゾンファッションウィーク東京の期間中、プロダクトデザイナー鈴木啓太さんがデザインした新作のガラススピーカーのインスタレーションが行われました。
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 会場となったのはフリッツ・ハンセン東京・青山本店です。私もコレクションの合間にのぞきに行ってきました。
 テーマは「60 sounds, 60’s spirits」です。フリッツ・ハンセンが60年代モダンを復刻したというテーブルの上に、そのガラススピーカーが置かれていました。
Img_76991jpg  シンプルな丸みのある形で透ける花瓶のようなオブジェです。真ん中が凹んでいて、そこにスマートフォンを入れると、その音が拡張される仕組みになっています。
 ガラススピーカーからサカナクションの山口一郎率いるNFの60年代気分あふれる楽曲が流れて、心地よい音の空間を演出していました。 
 ガラスなので音がクリアに響きます。制作のきっかけとなったのは、スマートフォンをワインクーラーの中に入れたら、上手く共鳴したことだったとか。菅原工芸硝子とコラボレーションし、試行錯誤して誕生したといいます。名前は「exponential(エクスポネンシャル)」で、「指数関数」という意味。金管楽器の指数的な変化を表す言葉です。金管楽器のように時代を超えた存在になれるように、との思いを込めて名付けたといいます。
 電源不要で、いつでもどこでも音楽が楽しめて、お部屋の彩りにもなるガラススピーカー、一つ持っているとセンスが光りそうですね。

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2018年11月26日 (月)

国際福祉機器展 骨折を防ぐ「プロテクト介護機能衣料」

 先般、東京ビッグサイトで開催された国際福祉機器展で、ユニフォーム類の企画販売を手がけるメーカーのユニコ(UNICO)が出展し、「プロテクト介護機能衣料」を提案していました。
 これは、転倒で起こり得る骨折などの発生を低減・軽減することで二次的問題を予防することを目的とした、新しい発想の「転倒時衝撃軽減服」です。
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 デザインを手掛けたのは、小林由則さん。大手アパレルでパターンやデザインに従事し、中国企業のディレクターを務めた後、帰国して介護資格を取得。現在、介護の現場で介護機能衣料の研究開発を行っているそうです。
 企画構想4年、介護現場4年、サンプル開発2年を費やし、今回初出展したといいます。

 介護機能衣料といっても、見た目は普通のジャージ上下、つまりスウェット(トレーニングウェアともいう)です。生地は綿/ポリエステル混。
 ですから普段着として、いつでもどこでも昼夜を問わず、Img_72391jpgまた男女両用で着用することができます。東日本大震災の際、被災された方々にとってもっとも重宝した服は、ジャージだったという話を伺ったことを思い出しました。

Img_72321  プロテクトとあるのは、保護機能のあるパッド(右写真)が、肩や肘、膝、でん部、大腿骨部に縫い込まれているからです。これにはバイクなどのモータースポーツで使用されている保護ウェアのノウハウが取り入れられているそうです。シンプルで格好良く仕上がっているのは、この手法にあるようです。
 パッドは低反発性のあるウレタンのような素材でパンチング(穴あき)されていてしなやか、もちろん家庭で洗濯可能です。その衝撃吸収力については、伊藤忠ファッションシステム繊維技術室の落下衝撃試験で確認されており、現在特許出願中といいます。

 超高齢社会となり、思わぬ転倒で高齢者の約1割が骨折するというデータも出ています。大腿骨骨折で寝たきり----というのも他人ごとではなくなりました。
 この「プロテクト介護機能衣料」は、骨折を防ぐ必要最低限の保護を実現するもの。しかもスマートに見えます。誰もが「あったらいいな」と思うような服になるに違いありません。
 今回、出展して高評価が得られたという小林さん。今後の商品化や販路開拓への取り組みを期待しています。

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2018年11月25日 (日)

国際福祉機器展 信州大“着る”ロボット「クララ」4号機

 先般開催された国際福祉機器展H.C.R.2018で、信州大学繊維学部の“着る”生活支援ロボット「クララ (curara)」の最新モデル、4号機を発表する講演会が開かれました。
 講師は、2008年から長年にわたり開発に携わられている同大学繊維学部の特任教授橋本稔氏です。従来のモデルよりも軽量化、また小型化されてよりスタイリッシュに進化したクララ4号機がデモンストレーションを交えて紹介されました。
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 自分の足でもう一度歩きたい――。クララはそうした高齢者や障がい者の願いをかなえるロボティックウェアです。
Img_72021  右はそのスタンダードモデル(装着型)で、重量約4kgを実現。リハビリなどの施設での利用に向いているといいます。

 もう一つはパンツモデル(衣服型)で、パンツ部にロボットが内蔵されています。重量は約5kgですが、機器を装着しているとは思えないスマートな外観で、一度位置調整を行なえば、次回からは調整不要といいます。衣服のように穿くことができるので、住宅などでの個人利用におすすめだそう。
 (なおこの後聞いた話ですが、パンツモデルについて、フレックスジャパンが縫製をサポートするとのことです。)
 ともに専用のモバイル端末で簡単に操作でき、装着も専用の椅子に座って楽にできるようになり、一人でも使用可能になるように改良されているといいます。

 この“着る”ロボットの特徴は次のようです。
・身体を支えることはしない。支えると人はそれに頼って逆に歩けなくなる。支える機能がないことにメリットがある。
・軌道制御することで正しい歩き方を教示する。
・人の歩き方に合わせる。
・着脱が短時間でできるなど、使い勝手に優れている。
・拘束が少なく装着感がよい。
・ロボットらしくないので、生活環境に取り込みやすい。

 信州大学では昨年、このロボティックウェアの製品化と事業化を目指して、橋本稔教授を代表取締役に大学発ベンチャー「アシストモーション」を立ち上げています。医療機器としての臨床試験も始まっているそうです。今後は、さらなる軽量化と安全性、装着性に優れた量産化モデルのクララ5号機を開発し、2019年にモニター販売を行い、2020年から量産する予定であると語られました。

 今回も病院や福祉施設などから大きな手応えがあったというクララ。リハビリに取り組まれている患者さんたちに明るい希望をもたらしてくれるツールになることでしょう。ますます期待が高まります。

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2018年11月24日 (土)

「神々のやどる器―中国青銅器の文様―」展

 先日16日、東京・六本木 泉屋博古館分館にて「神々のやどる器―中国青銅器の文様―」展の内覧会が催され、タイトルに「文様」とあるのにつられて参加しました。中国文明にはなじみが薄かった私ですが、拝見して中国を身近に感じるようになりました。

 日本がまだ縄文の頃、中国では3,500年以上も前から青銅器がつくられていたといいます。その悠久の昔、青銅器は中国最古の王朝といわれる殷、その後を継いだ周の時代に、複雑な造形へ発達していくのです。
 施されている装飾は彫刻ではなく、すべて鋳造で、鋳型の凹みによるものであることにも驚嘆しました。精密さにおいて、それはまさに超絶技巧!そのものです。古代中国の工人たちの技術は、後世の中国のみならず日本の伝統的な金属工芸品にも大きな影響を与えているのです。

 本展の会場は大きく2つ、殷・周そして商の青銅器と秦・漢以降の青銅の鏡に分けられています。
   (写真の単体撮影は、今回特別に許可していただきました。)

  まず青銅器です。
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  青銅器は先祖を特別な器で手厚くもてなすために、儀式や祭祀用としてつくられたものだそうです。
 そこにあしらわれている文様は、獣を象ったものが多いのですが、単なる動物ではなくて、神の化身として表現されたものといいます。実在しない想像上の生き物、龍とか鳳凰のモチーフもたくさん見られます。

Img_87331 右は、「虎卣(こゆう)」で、商時代後期 前11世紀頃のもの。卣(ゆう)とは酒器のことで、この時代、食器が頻りにつくられたようです。
 これはトトロのような耳をした虎で、口の中に人が入っています。虎型の神様に人間が守られている様子を表したものといいます。脇には皇帝の象徴といわれる龍、把手はバクのような動物、象の鼻の形の尻尾が付いているのもおもしろいです。

Img_87231  右は、「戈卣(かゆう)」という背中合わせの二羽のミミズクを表現した器です。ちょっと内股気味なのもカワイイ。商後期の紀元前12世紀頃のもの。
 ここにも龍などいろいろな動物がいて、何がいるのか観察するのも楽しいですね。

 他にも鼎(かなえ)など様々な青銅器が見られます。

Img_87751  上の「鐘」は、西周~戦国時代にかけて制作されたもののレプリカです。叩いて音を楽しめますよ。

 次に銅鏡の展示です。
Img_88221jpg  
 秦の始皇帝の時代から漢代に流行したのが、青銅の鏡だそうです。持っていると幸運が訪れるとのことで、当時のラッキーアイテムだったといいます。

Img_87971  右は、神人竜虎画像鏡という後漢中期1~2世紀のものです。外側四方に二神二獣が並んでいます。青龍と白虎が対置し、人物像は仙人への憧れを表しているとか。

Img_87901  右は、唐代8世紀頃の貼銀鍍金舞鳳凰八稜鏡です。鳳凰は徳の高い賢人を表す吉祥文様だそう。

 見終わって、十二支に見る動物など、改めて日本と中国の繋がりの深さに気付かされました。

 なお開催は12月24日までです。ご興味のある方はどうぞお早めに。詳細はWEBサイトhttps://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/ でご確認ください。

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2018年11月23日 (金)

「全員巨匠!フィリップス・コレクション展」 内覧会

 今、東京・丸の内の三菱一号館美術館にて「全員巨匠!フィリップス・コレクション展」が開催されています。この1日、内覧会があり参加しました。
 フィリップス・コレクションは、1921年に開館したワシントンD.C.にある私立美術館で、米国で最も優れた美術館の一つといわれています。中核をなすのが、裕福な実業家でコレクターだったダンカン・フィリップス氏のコレクションです。その4,000点以上にも上る作品の中から、今回印象派以降の秀作75点が来ているのです。

 最初に案内されたのは、いつもと勝手が異なるミュージアムストアでした。ここの目玉となっているのが何とドールハウス---。フィリップス・コレクションのメインギャラリーを12分の1に縮小したミニチュアです。
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  このミニチュアは、モノクロの写真を基にミニチュア作家のHIROYUKI & KYOKOのお二人が制作したとのことで、内部の絵画も12分の1でつくられていて世界最小とか。精巧にできていて、まずはびっくり!

 ストアではポストカード64種類を用意。一枚150円(税込み)で、セット価格5,000円で販売もされています。

 館内ホールでは安井裕雄 学芸員と青い日記帳のTakさんによるトークが行われました。
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 興味深かったのは展示順で、ここでは作品が購入年順に展示されています。展示は一般に、画家順や風景画順などというように見せていくものだそうです。ところが本展ではフィリップス氏の目線に立って、現場をもろに体感していただきたいとの思いから、購入した年代順に、色彩や色調の似たもの同士を並べられているのです。

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 最初は1920年代で、モネに始まり、ドーミエやクールベ(上は1924年収蔵されたギュスタフ・クールベの「地中海」)、マネなどを見ることができます。

Img_84951jpg_2  ホールにはボナール作品が集められていて、上は1928年収蔵の「棕櫚の木」。ボナールの真骨頂といわれる絵ですね。フィリップス氏はこの頃、ボナールを好んで購入したといいます。
 フィリップス・コレクションはオルセー美術館に次いで世界第二番目に多くボナールを所蔵しているそうです。国立新美術館で現在開催中の「ボナール展」も見ておくといいなと思いました。

Img_85011_2  その横に1930年所蔵のゴッホの「アルル公園の入口」が展示されています。

Img_85041_2  1939年所蔵では、セザンヌの有名な「ザクロと洋梨のあるショウガ壺」もあります。

Img_85081  右は、Takさんおすすめのスーラの「石割り人夫」です。スーラっぽくないところがいいとか。
 1940年所蔵のものです。

Img_85351jpg_2  晩年には、1966年に購入したというブラックの「鳥」も見られます。本作はフィリップス氏にとって最後のブラックの作品となったとか。

Img_85321  フィリップス氏の死後、コレクションに加わったというピカソの三点の絵画と「女の頭部」(右)、ロダンの彫刻も展示されていました。

 この他、ユトリロやデュフィ、モディリアーニ、コロー、ゴーガン、アングル、ジャコメッティなど、一つひとつが全員巨匠! 見応えのある展覧会でした。

 なお写真は、撮影不可のものもありましたが、今回は珍しく一点ずつ必ず額縁込みで撮影する許可をいただきました。

 会期は来年2月11日まで。詳細はWEBを参照してください。https://mimt.jp/pc/

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