2017年7月25日 (火)

パリで「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展

 パリで、今月5日から始まった「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展に行ってきました。始まって間もないのに、会場のパリ装飾芸術美術館では30分待ちの行列で、さすがの人気でした。

 クリスチャン・ディオールといえば、戦後のパリのオートクチュール黄金時代をリードしたトップクチュリエです。Img_85301そのデビューコレクションから70周年を記念する大回顧展とあって、スケールは壮大で、館内の両翼すべて(3,000㎡)を使用して行われています。

 正面に飾られていたのは、1947年のデビュー作品、有名な「ニュールック」の「バースーツ」です。女性らしい優雅な曲線を強調する、シンプルな白黒が凛とした美しさで迫ってきます。
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 オートクチュール作品300点以上という膨大なコレクションから、気になったものをご紹介します。写真撮影は自由というのもうれしいです。

Img_85321jpg  まずは美術の愛好家だったクリスチャン・ディオールを偲ぶ美術品のコレクションから入っていきます。
 右真ん中はダリの作品で、異彩を放っていました。頭にフランスパンのティアラを乗せています。

Img_85551  次いで創作の発想源となった美術品をテーマに、ディオールとその後継者たちの作品が展示されます。
 右は「ロマンス」と名付けられたロココ調のセットです。

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 「アルルカン」で、ジャンフランコ・フェレのオートクチュール作品、1995年秋冬ものです。

 
 

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 「メキシコ」や「ペルー」と題されたクリスチャン・ディオールのドレスです。

 

 


 「ディオール ガーデン」コーナーは圧巻の美しさでした。
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Img_85971jpg ドレスの魅力を存分に引き出す空間構成が見事です。
 現デザイナーのマリア・グラツィア・キウリの今春夏コレクション「シークレット・ガーデン」の作品も多数見られます。

 続く向かい側の会場は、主にクリスチャン・ディオールの後を継いだ6人のデザイナー、イヴ・サンローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、Img_86121 マリア・グラツィア・キウリの作品展になっています。

 右は、21歳でメゾンの後継者となったイヴ・サンローランです。


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 左は、ジョン・ガリアーノです。

 
 

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 右は、ラフ・シモンズです。

 
 


 その反対側には、メゾン創設1947年から現在までの代表作をズラリと展示したコーナーが広がっています。
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 ディオール展は、東京でも3年前に大きな展覧会(このブログ2014.12.2付け参照)が開催されるなど、これまでにも何度も行われてきました。でもこれほど大規模なのは、私も初めてです。そのすばらしさに圧倒されました。

 会期は2018年1月7日(日)までとかなり長期にわたっています。パリに行ったら、ぜひ訪れてみてはいかがでしょう。

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2017年7月24日 (月)

ジャパンエキスポ ⑶ ジャパン プロモデルコレクション

 パリのジャパンエキスポでは、「ジャパニーズ・ビューティ」を世界に発信する「ジャパン プロモデルコレクション」が行われていました。これは本物のプロモデルになるためにコンテストで選ばれたモデルたちが、ウォーキングするファッションショーです。

 このショーのための作品を手がけたのが、長野市在住の墨絵画家で版画家、きものリメイクデザイナーの海沼永子さんです。
Img_85181  海沼さん(右)は初のパリデビューで、モデルを使ったショーをするのも初めてとか。
 墨絵作家とは思われない、色鮮やかなきもののリメイク・コレクションを披露しました。

 スタートはあでやかな打ち掛けスタイルです。
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 次いで浴衣、それにエレガントなタウンドレス、ビキニスタイルの水着も登場しました。

 フィナーレは華麗なイブニングドレスで締めくくり、モデルたちとともにご自身のブースに戻って写真撮影です。
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 エントリーされたモデルさんたち、良いお仕事が待っているといいですね。

 最後に、今回初めてジャパンエキスポを視察して、かなり日本文化にシフトしていると思いました。ジャパンエキスポはマンガやアニメから始まったイベントですので、ロリータ的なカワイイファッションが中心なのではと想像していたのです。それは少し違っていたようです。西洋の若者たちは、日本の伝統やライフスタイルの方に、むしろ大きな興味を持っていると感じました。

 日本の魅力を楽しく理解する、その橋渡し役となっているジャパンエキスポ。ビジネスを考える上でも、今後ますます注目ですね。

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2017年7月23日 (日)

ジャパンエキスポ ⑵ WABI SABIで続々キモノデビュー

 今回のジャパンエキスポ・パリで、盛り上がっていたのが「WABI SABI(ワビ サビ)」パビリオンです。日本文化を発信して、今年で7年目の出展になるそうです。 
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Img_83901  エリア内では「道」をテーマに茶道や書道など、イベントが多数行われていました。また伝統文化の振興や地域発展に取り組む地方自治体の参加が目立っていたのも特徴です。

 高知県の須崎アンバサダー・プロジェクトや唐津焼、美しい書、コケシなど日本の様々な特産品が紹介されました。

 こうした中、私が注目したのが、一人で簡単にキモノを着ることができる「ワン・ツー・キモノ」です。上下に分かれているセパレート式キモノで、下はスカートなので足を突っ込んでそのまま持ち上げるだけです。
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 開発したのは、リノーズ代表の照沼範子さんです。パターンは洋服の手法でつくられていて、生地も洋服地が使われています。
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 ブースでは、試着サービスを無料で行っていて、1日に100人もの人が試着したとか。まさにキモノデビューする人続々です。
 右は着付けする照沼さん。
 
 長襦袢からキモノ、それに帯を締めて、5分もあればきちんとした感じにキモノを着付けられるといいます。お値段は全部揃えて7~8万円ぐらい。この「ワン・ツー・キモノ」、日本でも広がりそうですね。

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2017年7月22日 (土)

ジャパンエキスポ ⑴ パリでニッポンの夏祭り

 ニュースで話題の「ジャパンエキスポ(JAPAN EXPO)」が、6~9日開催され、この最終日に間に合い、行ってきました。
Img_83611 これは毎年パリで行われている日本のポップカルチャーと伝統文化の祭典で、今年で18回目を迎えます。
 往きの電車内では早くもコスプレ姿を見かけました。駅へ着くと会場へ、長い行列ができていて、仮装した人たちと一緒に延々と大行進です。入り口までの距離が遠かった! 
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 4日間で24万人を集めるという一大フェスティバルです。大混雑は仕方がありません。

 内部はもうニッポンの夏祭り状態でした。東京・原宿の大賑わいを感じました。
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 フランス人の日本好きは、まさに噂通りでした。
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Img_84331  マンガやアニメ、ゲームの世界から飛び出してきたようなコスプレを決めた人たちの中に、キモノを着た男女も目立っていました。

 キモノもたくさん販売されています。
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Img_84721  キモノの着付けコーナーもあります。

 ステージでは、阿波踊りやヨサコイ音頭がくり広げられ、太鼓や三味線が響き、まさに「お祭り」です。
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Img_84491jpg  寿司弁当はもちろん、おにぎり、タコ焼きにヤキソバを求める人でいっぱい。屋台はとにかく混んでいます。
 和食コーナーでは日本の食品メーカーが大忙し。とくに味の素の冷凍餃子や唐揚げの試食会は大人気でした。

 ゲームコーナーは大勢の人だかりです。
  ポケモンブームは相変わらずすごい! ポケゴー、続いています。
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 コスプレ大会が行われていて、通路や広場はヒーローやヒロインスタイルであふれていました。
 皆、撮影に夢中です。
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Img_84031 居合道や剣道などの武道場もあり、練習に励んでいる姿も印象的でした。

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2017年7月21日 (金)

イッセイミヤケ・ミラノ店 歴史的建造物に現代性吹き込む

 ミラノで、この3月にオープンしたイッセイミヤケの旗艦店に行ってきました。ショップデザインを担当したのは吉岡徳仁氏です。この春開催された「スペクトル」展(このブログ2017年3月11日付け)など、このアーティスト/デザイナーの仕事に興味を持っていたこともありました。
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Img_94601jpg お店はモンテ・ナポレオーネ通りを一歩奥に入ったバグッタ通りにある邸館です。 吉岡氏はこの重厚な歴史的建造物に現代性を吹き込んでいました。空中に浮遊する緑の円盤は「歴史と未来」をつなぐ象徴のようです。緑色は自然の緑地を表しているのでしょう。

 洗練されたシンプルの極致ともいえる空間に、イッセイミヤケの代表的なブランド「プリーツプリーズ」やバッグの「バオバオ」シリーズ、香水などがすっきりとディスプレーされています。

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 階段上には、何とプリーツプリーズのキモノが展示されていました。
 このブランドのテクノロジーと手仕事の融合を印象づける一品です。

 

 2階にはメンズウェアなどが整然と置かれていて、その広さにもびっくり! 
 約500㎡あるといいます。

 ちょっと禅寺の庭でも歩いているような雰囲気を感じながら巡りました。

 古さと新しさが醸し出す、これまでにない視点の調和がそこに! 大人の街、ミラノにぴったり、と思ったことでした。

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2017年7月20日 (木)

ホスピタルとデザイン展 丸と三角と四角が生む対話

 ホスピタルアートとはいったい何?と、思いながら初日の昨日、東京・六本木のギャラリー、シンポジアで開催されている「ホスピタルとデザイン展」ギャラリーツアーに行ってきました。
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 病院というと、確かに無機質で冷たい空間です。Img_98791でもそこに人の心を躍らせるアートがあったらどんなにか癒されることでしょう。 これはグラフィックデザイナー、赤羽美和さんのホスピタルアートプロジェクトにより生まれた作品の展覧会です。


 白地に明るい鮮やかな色彩が舞うアートのImg_98881世界は、何と丸と三角と四角だけで構成されています。でも単純明快ですので、誰もが参加できそうです。実際これらの作品は病院のスタッフの方たちがワイワイ対話しながらつくったものといいます。

Img_98891 病院は、スウェーデンのストックホルムにあるセント・ヨーラン病院です。2016年春に改築オープンした緊急病棟に、2013年アートコンペで選出された赤羽さんの提案による作品が展示されています。
 コンペはガラスのパーティションなどに用いるパターンを募る内容だったといいます。赤羽さんは武蔵野美術大学卒業後、スウェーデンに留学していた経験からこのコンペに応募。 テーマは「パターンとストーリーテリング」で、ワークショップ―対話のドローイングという発想が新鮮と評価されたといいます。制作プロセス自体にストーリー性をもたせたアートプロジェクトで、作品名は「JAM」。ジャズの響きにも似た即興的な躍動感にあふれています。
 実際、皆で集まって自由な感じで共同作業している様子を映像で拝見し、楽しそう!と思いました。
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 スウェーデンには1%ルールというのがあるそうです。これは公共建築の新築や改築の際、全体予算の1%をアートにあてるというもので、1937年に法律で定められました。ストックホルムでは1970年代初頭にこれが2%に引き上げられ、近年はアートやデザインをこれまで以上に積極的に生かそうという機運があるといいます。弱い立場の患者を支えることができるのは、まさにデザインやアートの力です。北欧諸国の人権意識の高さは、こんなところにも表れていたのですね。

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 この取り組みは日本の京都ルネス病院でも行われ、ワークショップで誕生したデザインを組み合わせてつくった陶板作品が壁を飾っています。

 なお開催は25日までです。この週末、土日には、トークセッションも予定されています。「医療に対してクリエイティブな発想ができること」と題して、医療関係者やデザイナー、アーティストたちが、医療現場でのデザインやアートの可能性について語り合うとのこと。デザインの新しいカタチを模索されている方におすすめです。

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2017年7月19日 (水)

ミラノ 「リナシェンテ100周年 イノベーションの歴史」展

  このところ、セレブなブランドの歴史をたどる動きが顕著です。ミラノの有名百貨店「リナシェンテ」も今年創業100周年とのことで、これを祝うイベント「リナシェンテ100周年 イノベーションの歴史」展が行われていました。場所はミラノの中心地、ドゥオーモの横にある美術館「パラッツォ・レアーレ」で、9月24日までです。
 私もミラノウニカ終了後の時間を利用して、見に行ってきました。
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Img_98411jpg_3  リナシェンテの始まりは、1865年に遡るといいます。服地と仕立てを業としていた店を1917年にボルレッティ卿が買い取り、現在の名称に改められて、今に受け継がれてきたのですね。
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Img_98471  展覧会では、その長いブランドの歴史を、ポスターや写真、イラストなど様々なアーカイブで辿ります。

 1950~60年代のファッションも並んでいます。

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  リナシェンテは日本の百貨店と比べれば小規模ですけれど、感性豊かな商品を揃えています。  

 新しくできたウイメンズウェア館は、スポーツやアスレジャーに特化した売り場になっていて、ちょっと驚きました。アメリカン?なイメージで、エレガントな大人向けという殻を見事に打ち破っていたからです。
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Img_94281_3  時代の変化によって、伝統も少しずつ変わっていきます。
 リナシェンテの新しい顔を見て、改めてそう思いました。

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2017年7月18日 (火)

ミラノウニカ ⑺ 結果速報 早期開催に有意義な成果

 第25回ミラノウニカが13日、閉幕し、その直後に結果速報が届きました。
 それによりますと、初の早期開催について、出展者から歓迎され、また来場者からも支持されて、有意義な成果が得られたといいます。
 来場者は、企業数で約6,000社を超え、昨年の9月展並みと発表されています。

 出展者数については、このブログ2017.7.12付けでも記した通り、前年同期比20%増となったことで、出展者に好評だったことがわかります。また今回はバイヤー登録者の訪問時間が倍になり、中身の濃い商談につながったと伝えられました。出展者にとっては来場者数よりもビジネスが重要で、7月開催に舵を切ったことは好意的に評価されたとしています。
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 上は会場入り口付近です。

 なお次期開催は、2月展については前倒しの要望が少ないことから、2019年春夏物は2018年2月6日~8日に、そして2019/20年秋冬物は今年同様、2018年7月10~12日に決定したそうです。
 ファッションシステムが大きな変化を迎えている今、ひとまずはこれで正解だったということでしょう。

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2017年7月17日 (月)

ミラノウニカ ⑹ 未来を担う若者たちの展示

 ミラノウニカでは毎回、若者たちのクリエーションを展示するコーナーを設けられています。

 その一つが、実験的な「カモン(comOn)」です。
 今回は「Now is hybrid(今はハイブリッド--)」展が行われていました。
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Img_93621_4  今やハイブリッドは、ファッションの新しい視点ですね。

 ここではテキスタイルとデザインがともに形を成していくサイエンスラボが紹介されました。


 もう一つが、Polimi(ミラノ工科大学)のコーナーです。
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Polimi_21 ここでは同大学のデザイン・ファッション科の学生たちによる、新素材や最新技術を用いた作品が展示されました。制作にはミラノウニカに出展しているテキスタイルメーカー数社も協力しているとのことです。

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2017年7月16日 (日)

ミラノウニカ ⑸ オリジン・パッション&ビリーフスに注目

 第25回ミラノウニカで、注目されたのが「オリジン・パッション&ビリーフス」展です。イタリアファッション製造業界の展示会で、昨年9月展に初参加し(このブログ2016.9.13付け参照)、今回再び特設エリアを構えて登場しました。
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 出展したのは81社で、テキスタイル、レザー、ストーン、テクノロジーの4つのゾーンに分かれてブース展示。極上のメイド・イン・イタリア製品を提案していました。

 Img_93001右はトークショーなどが行われたオポチュニティ・ラウンジでの展示です。
 討論会やワークショップを開くなど、積極的な活動を見せていたのが印象的です。

 ガイドツアーも行われ、訪問した中から3カ所をご紹介します。

NICKI COLOMBO
 1895年にシルクのメーカーとして創業した老舗で、とくにカシミアはトップ・クオリティを誇るといいます。本拠地はヴェニスに近いトレヴィーゾです。
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Img_92641jpg  ブースには時間が止まったかのような古式の手織り機が置かれています。
 何年も見捨てられていたようになっていた織機だそうですが、手織りの独特の風合いを求める顧客に向けて、再稼働しているとのことです。
 実際に織っているところを写真に撮らせていただきました。

D’ ORICA
 ゴールドとシルクをあしらったジュエリーをつくっているクラフト工房で、本拠地はヴェネト州ヴィチェンツァです。
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 シルクはイタリア産の「イタリアン・エシカル・シルク」で、中国産ではないといいます。Img_92761同工房でも蚕を丹精込めて育てているそうです。ブースには実際に、蚕がいて桑の葉を食んでいました。

 右のドレスはデザイナーのアルベルト・ザンベリのデザインです。

MARIBERT
 ボタンとシャツのピンやクリップといったアクセサリー専門のメーカーで、イタリア北西部ロンバルディア州のレッコが本拠地。
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 このほど開発したのが導電性のあるボタンで、スマホと連動しているところを見せて頂きました。
 ボタンも進化しています。

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2017年7月15日 (土)

ミラノウニカ ⑷ ジャパンエリアの反応はまだら模様

 今回もミラノウニカに、日本ファッションウィーク機構とジェトロの主催によるジャパンエリア「ザ・ジャパン・オブザーバトリー」が開設されました。出展したのは4 0社・団体です。
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Osservatorio_giappone_31  ジャパントレンド・コーナーには、2018/19秋冬向けトレンドテーマに合わせた約400点の素材が展示されました。いずれも最先端の革新性と伝統を重んじる職人魂あふれるものばかりです。
 なおミラノウニカ全体のトレンド・エリアには128点が出品されたといいます。

 人気の日本素材ですが、ブースに伺うと商談の反応はまだら模様といったところでした。良かったというところと、予想を下回ったというところと、差が目立っていました。

 取材した企業のいくつかをご紹介します。

  ○綿関係では、福田織物の変わりコーデュロイの「ベコ」シリーズImg_97251が好評で、これを目指して来るバイヤーが増えているそうです。

 イタリアのメーカーにもこのような多彩な表情のコーデュロイはないといいます。 


古橋織布では、相変わらず高密度織物のタイプライタークロスが好調です。Img_97221
 収縮率の差から生まれるさざ波のようなシワ感と、カサッとした触感の生地を、シャツに仕立てて見せていました。



○京プリントのデザインハウス風では、美しい色調のプリントが目を惹きます。
Img_97941 写真のプリントは、ミラノウニカに向けて特別にデザインしたコレクションだそうです。
 透ける薄地のプリントで、実は何枚にも重ねて展示し、微妙な重なり具合の変化を見せたかったとか。継続は力で、毎回少しずつビジネスが伸びているとのことでした。

リリーレースは、客の入りが予想以上に少なくて、やや盛り上がりに欠けた様子でした。
Img_96891jpg  とはいえ次回へ向けて動きだしています。
レースをビロードのように見せるフロッキー加工や、またヴィンテージ調の箔加工など、同社得意のファンシーな加工ものが好評だったといいます。

○テキスタイル繊維商社のサンウエルでは、Img_96931昨年以上に良い感じで商談ができたといいます。
人気はウールガーゼやツイル、コーデュロイ、またチェックの薄起毛シャツ地など、30年以上も前からの定番的クオリティに手応えを感じているとのことでした。

Aガールズは、Img_97101ここでは「ループ」がテーマ。
 渡邊パイルとのコラボによるタオル生地を、高級ホームウェアアパレル向けに展示。いつものジャージーと異なる展開でしたが、狙いは当たったようです。

宇仁繊維もいつもと異なり、Img_97831メンズウェア向けの素材を前面に出していたのが印象的です。
 ミラノウニカの会期が早まったことから、メンズ関連バイヤーを意識しての提案といいます。

吉田染工は和歌山県有数の染色加工メーカーです。今回も新規の取り組みに注目が集まりました。
 それは同じ和歌山本拠地の島精機の横編み機を用いた特殊なニットです。ループで止めてジャカード織のような様々な柄をつくり出しています。ニットなのに織物のような安定した風合いも特徴です。1時間に1mくらいしかつくれないそうで、まさにハイテクとクラフトワークの合わせ技です。
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 他にないものをつくろうというチャレンジ精神に、期待が高まります。

萩原メリヤスが、和歌山県ニットの合同ブースから出て、今回初めて単独出展していました。Img_97791pg
 イタリアメーカーがやらない少しラフなタッチ、ヴィンテージ調のジャージーを提案し、両脇に縫い目のないTシャツをアピールしていたことが印象的です。

尾州ウールコレクションには、今季、一宮地場産業Img_97331ファッションデザインセンター 傘下の8社が参加しました。
 イタリアにはない優れものを選んで出品、とくにカシミア100%のふんわりと軽いコート地が人気だったといいます。
 今回は前回よりも場所取りがよかったこともあり、バイヤーの入りもよく笑顔でした。

○ジャカードでは、山形県米沢産地が出展。Img_97001
 阿部吉青文テキスタイルの2社が、米沢織の新作を見せていました。
 とくに青文のオリジナリティあふれる丸編みジャカードは、人気といいます。


○同じくジャカードで、桐生の小林当織物が3回目Img_97151の出展をしていました。
 綿など天然素材中心のコレクションで、前回よりも好調といいます。

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2017年7月14日 (金)

ミラノウニカ ⑶ 2018/19秋冬トレンドの発想源は映画

 今回のミラノウニカで発表された2018/19秋冬トレンドは、映画の世界がインスピレーション源になっています。チャールズ・チャップリンが「映画は本質的に夢からつくられる」というように、ファッションも夢や憧れなくしては生まれません。映画とファッションは、いつの時代も相互に影響し合ってきました。
 今シーズン、トレンドテーマは、著名な映画監督が自身の作品ではない他者のつくった名作を手がけたらどうなるだろうか、という発想の下で提案されています。
Area_trend_11  
 トレンド・エリアでは、総じて過去に映画の一シーンで見たことがあるようなゴージャスな感覚の、しかも現代性にあふれたテキスタイルが多くなっているようです。 
 装飾的な厚地が主役で、天然素材が中心。やわらかな二重織に、かたや撥水加工や保温効果などの機能加工を施したものも。元来スポーツウェア向けネオプレンもニードルパンチやエンブロイダリーを効果的に用いてエレガントに、エコファーも技術革新で毛足や毛並みのより一層本物に近いものに。その一方、ツィーディなブークレは太目の糸使いでざっくりとラスティックに見えるものが目に付きます。ラメやフリンジ使いなどリッチなジャカードが増え、ベルベットも復活してマストなものとなっています。メタリックや玉虫のような光沢、プリーツなど彫刻のような表面感、プリントや刺繍など多彩で贅沢なイメージで見られます。

 提案されたトレンドテーマは下記4つです。
〇ソレンティーノ監督による「ダイナスティ」
  <快楽主義からトランプ主義へ> 
Area_trend_51jpg 目を奪うのはラメなど光る素材。ゴールドや黒を基調にライラックやグリーンなど。
 ジャカードやインターシャなど種類豊富なニット、また豪華なファーも目立つ。
 美をオーバーに誇張。
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〇アルモドバル監督による「ビクター/ビクトリア」
  <グラマラスなジェンダーレス> 
Area_trend_41_2 印象的なコントラストを見せるテーマ。赤を囲むようにグレー、そこにピンクやグリーン。クラシックが見直され、千鳥格子やネクタイ柄など糸効果と色使いでモダンに表現。クロッシェ編みも復活。
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○キューブリック監督による「シャーロック」
 <機能性に富んだ英国調>
Area_trend_31 英国風を基調に、テクニカルな素材によるクラシシズムの極致のような素材が出現。
 シャツ地ストライプやタータンチェックなど、先染めを斬新に表現。イギリスのタペストリーに見るイメージも。
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○タランティーノ監督による「リトル・ブッダ」
 <極限の旅人のスピリット>
Area_trend_21 多文化的テーマで、フリンジとレリーフがキープレーヤー。エスニック調のディテールを採り入れたアウター素材など。
 ナチュラルカラーに蛍光色や玉虫調のカラーをプラスして。
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2017年7月13日 (木)

ミラノウニカ ⑵ カンパニア州「カプリのスタイル」イベント

 第25回ミラノウニカの初日、見本市を彩る華やかな夕べの催しとして「オンツアー ON Tour」が開かれました。これはテキスタイル発祥の地であるイタリアとヨーロッパの文化を関係づけ、格調の高さとテキスタイル技術、地域の3つの要素をつなぐイベントです。コンセプトは「世界とメイド・イン・イタリアとの対話」といいます。
 このオンツアー、テーマはカンパニア州「カプリのスタイル」でした。カンパニア州の州都はおなじみのナポリです。地方色豊かな食や音楽で、私たちを大いに楽しませてくれました。
 ちなみに昨年は南東部のプッリャ州(このブログ9月10日付け参照)でした。

 会場を入ると、ライトアップされた木が目印の広場に出ます。
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 そこを抜けると本物そっくりの佇まいをした街並みが現れました。Img_91101
Img_91111pg  それにしても、たった一夜のために、ここまで本格的な街を造ってしまうとは! 
 
 そのスケールの大きさにもびっくりです。  


Img_91151jpg_2  ストリートにはギターとマンドリーナの流しがいて、郷愁を誘う響きを奏でていました。
  もうまるでカンパニア州のどこかを旅しているような気分になります。

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 屋台もたくさん出て、おいしいピザやチーズ、魚介など地元の料理を堪能しました。

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 舞台では、テノール歌手が声量たっぷりにカンツォーネを披露。「オーソレ・ミオ」など、素晴らしかったです。

 ミラノウニカに新たな活力を吹き込む、素敵なイベントでした。

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2017年7月12日 (水)

第25回ミラノウニカ ⑴ 7月開催に大きな支持

 第25回ミラノウニカが予定を早めて7月11日~13日、フィエラミラノ・ローで開幕しました。この早期開催は、業界からは勇気ある決断と高い評価を受けている様子です。といのも出展者が増えたからです。日本と韓国のパビリオンやオリジンの企業を含めると601社が参加し、新規出展は77社。ミラノウニカ自体の出展社数も456社となり、前年9月比20%増となっています。とくにレディス分野は29%増で、メンズウェアとレディスウェアの出展企業の間のバランスがよくなったといいます。
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 初日のオープニング・セレモニーでは首脳陣がスピーチし、ミラノウニカ会長のエルコレ・ポッド・ポアーラ氏が、 「市場ニーズを先取りする見本市業界のパイオニアとしての歩みを大切に守りつつ、成長を続ける」と開会を宣言。「ファッション産業はイタリア独自の資産。その現場から伝統と技術革新に根差した新しいビジネスのアイディアが生まれている。そうしたアイディアは未来に伝えていくべきものであり、マーケティングやコミュニケーションのチャンネルを通じて一層の強化を図る」と語り、デジタル面での革新の重要性を強調。さらに「サスティナビリティの取り組みも推進する。但しコストはかかる」などと話しました。
 次にミラノ市長のジュゼッペ・サーラ氏が、「ミラノはファッション産業が盛んな世界都市。ミラノの観光とビジネスの発信に力を入れる」と挨拶。
 また経済発展省政務次官のイヴァン・スカルファロット氏は、数日前に大枠合意した日EU経済連携協定(EPA )に触れ、「日伊の貿易促進で、メイド・イン・イタリアの優れた製品の輸出に期待している。とくに繊維は重要な産業と位置付け、今後も支援していく」。
 さらにシステマ・モーダ・イタリア(SMI)会長のクラウディオ・マレンツィ氏が登壇。SMI研究センターが調査した統計資料を披露しました。
 それによると2017年1月~3月期の輸出高は8億3,000万ユーロで前年比3.5%増、輸入高は4億3,300万ユーロで1.2%減。 
 輸出の内訳はウールファブリックが浮上し3.1%増、コットンファブリックはトレンドの転換で6.8%増。またニットも4.8%増。逆にリネンとシルクは各々、9.7%減、6.9%減と落ち込んだとのこと。
 輸入についてはコットンとリネンが上向きで、コットンは1.7%増、リネンは18.4%増。逆にウールは6.4%減、ニット3.3%減。
 主なマーケットでは、中国への輸出が22.1%増と大幅に伸び、USAも6.2%増、日本4%増。ネガティブだったのがフランス5%減、ドイツ2.8%減、トルコ4.9%減。
 イタリアへの輸入では、最大の中国が0.8%減。一方、日本は15.4%増を記録したといいます。日本のクオリティが欧州で売れ行きを伸ばしていることを裏付ける数字ですね。

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2017年7月11日 (火)

今夏のファッションは80年代風!

 パリやミラノの街でファッション・ウオッチングしました。

Img_8787j1pg 日本同様、何しろ暑いので、すべてが夏姿です。

 女性ファッションでは、80年代風がフラッシュバックしているかのようでした。
 中でも目につくのが、アシンメトリック(左右の異なる非対称)なカットです。

 写真のようなワンショルダーは日本でも流行っていますが、こちらでもよく見ます。
 肩を見せる袖のつくりもキュートでカワイイ!です。

Img_87891  ボトムでは、ゆったりと幅広いフレアパンツが人気です。

 ウエストを絞るシルエットになりますが、全体にリラックスしていてはきやすいですね。

 中でも目立つのがプリントなどの柄ものです。モチーフは圧倒的に花で、ボタニカル調の花模様が多く見られます。

 アシンメトリーにフレアボトム、それに肩見せなど肩を強調するデザインは、まさに80年代を思い出させます。 この秋へ続く注目のファッションでしょう。

 ファッションは気づかぬうちに変わっていきます。

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2017年7月10日 (月)

パリに来ました!!

 8日、ミラノでミラノウニカの取材のため、羽田を出発しました。いつものようにエア・フランスですのでパリ経由です。パリではジャパン・エキスポなどの見本市が開催されていました。これらの見聞記は帰国後に整理して、レポートします。
 それにしてもジャパン・エキスポでは、ものすごいフランス人の日本愛に圧倒されて、唯々ビックリ、ドッキリの連続でした。

Unnamed  右はパリの友人が撮って送ってくれた写真です。背中に「吉愛」のタトゥーがクッキリ! 地下鉄のホームで、だそうです。
 マンガやアニメ、ゲームのパワーって、ほんとうに限りない。

 この日の夜は雷雨で、稲妻が走り、これも激しかったです。翌日も雷鳴が轟いて、またしても雨。地下鉄の駅では、そのいくつかに水が流れ込んで、使えなくなったと、ニュースで報じられていました。
 一晩で、1ヶ月分の雨量を記録したとか、パリの友人からのメールです。こんなことパリでは珍しい。日本ではよくあることですが---、地球温暖化による天候の極端化を改めて実感しました。

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2017年7月 9日 (日)

田名網敬一新作個展 「貘の札」

 NHKのEテレで「団塊スタイル」という番組があり、オープニングのイラストがサイケデリック・アーティスト、田名網敬一作品でした。あまりにも奇妙来哲烈で、「エーッ」と思いましたけれど、団塊世代が若かりし頃はそんなポップで前衛的な感覚が人気を集めたことが思い出されました。

 今、この田名網敬一の新作を集めた個展が、東京・渋谷のNANZUKA画廊で開かれていています。題して「貘の札」です。獏は、空想上の妖怪で、人の夢を喰って生きると言われています。
Img_83371

 Kt_10s_068これは戦争に対する警告的作品のようです。絵を見ていると、戦闘の混沌としたカオスにはまり、ギラギラする鮮やかな色彩の渦に巻き込まれて、目がクラクラしてきます。獏は戦争の悪夢を食べる霊符の象徴なのですね。
 そう思うと、そのすさまじいエネルギーに圧倒されます。
 平和な日本ですが、改めてこの平和ボケを刺激された気がしました。開催は8月5日までです。

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2017年7月 8日 (土)

2018春夏モーダ・イタリア/シューズ・フロム・イタリー

 早くも2018春夏向けコレクションを発表する「第51回モーダ・イタリア/Img_83521jpg 第61回シューズ・フロム・イタリー展 (イタリア貿易振興会主催)」が、この4~6日、ベルサール渋谷ガーデンで開催されました。

 出展したのは、142社(アパレル関連51社、レザー関連35社、シューズ関連55社)です。
 会場には明るい爽やかなカラーが目立ち、盛況の様子でした。

 初日に行われた記者発表会に参加しました。
 最初にイタリア大使館l駐日イタリア臨時代理大使ロレンツォ・モリーニ氏が「洗練されたクラフトへの関心から、イタリア製品に注目が集まっている。イタリアブランドの普及に尽力する」と挨拶。次いで同大使館貿易促進部部長アリスティデ・マルテッリーニ氏が「日本のアパレル市場はデータを見ると芳しくない。しかしアパレル輸入に占めるイタリアのシェアは横ばいか、あるいは少し増えている。日本は引き続き重要な市場」と述べ、イタリア貿易促進機構評議員ジュゼッペ・マッツァレッラ氏も「イタリアは高品質なモノづくりで世界のファッションリーダーとなっている。9月11~24日開催のミラノファッションウィークに来て欲しい」などと語られました。

 最後にトレンド・リサーチャーのロベルト・コルベッリ氏が、2018年春夏のトレンドを映像を紹介しながら解説しました。そのポイントは次のようです。
 世界は早いリズムで動き、ウエアラブルなツールが重要になり、世界は小さくなる。バーチャルが拡がる一方で、本物やリアルが求められ、クオリティへのニーズが高まり、職人の力がリバイバルする。またスポーツやウエルネスへの関心が強まり、アレルギーフリーが鍵になる。女性市場のパワーが強まり、オートクチュール未満プレタポルテ以上の「ドゥミ・クチュールDemi -Couture」が台頭する。これはイタリアにとって大きなチャンスといいます。
 挙げられたキーワードは「サスティナビリティ」、「シェアリング」、「イノベーション」、「ウエルネス」、「カスタマイゼーション」、「アシスタンス」、「カルチャー」、「テクノロジー」、「タレント」、「トレランス」、「エクセランス」、「ダイバーシティ」。

 テーマは下記、4つです。
 ⑴シェード・オブ・ピュアリティ SHADE OF PURITY ― 白をベースにペールカラー、冷たい光沢、なめらかさなど。
 ⑵ポエティック・カルチャー POETIC CULTURE ― 世界中の文化の混淆、中世やルネサンスムードにエスニック・ミックス。
 ⑶ニュー・オプティミズム NEW OPTIMISM ― デジタルカラーやスポーツムード、マリーンからのインスピレーションなど。
 ⑷バック・トゥ・ブラック  BACK TO BLACK ― 黒はマストとなりグレーも。白と赤も差し色として不可欠。

 来シーズンはまたしても永遠の黒が復活するというのが印象的でした。果たしてどうなることでしょう。私も注目してみています。

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2017年7月 7日 (金)

JAFIC懇親会でデザイナーと素材産地のコラボ作品を披露

 日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)が6月30日、東京ミッドタウンで開催した総会後の懇親会に行ってきました。

 会場には、JAFICプラットフォームに参加するデザイナーが素材産地メーカーとコラボレーションして制作した作品、60点が、尾州、播州、遠州、石川の素材産地別に展示されて、壮観でした。 Img_82891 上は播州産地コーナーです。

 懇親会では、冒頭、廣内 武 理事長が「ファッションは生活に活力を与えるもの。 ワクワク、ドキドキ感を提案し、お客様が元気になるように、そして業界が明るくなるようにしていきたい」と挨拶。

Img_82981 新体制となった役員紹介の後、今秋冬コレクションショーが行われました。

 デザイナー、30名が各1点ずつ作品を披露しました。

 左は、ヒスイ(HISUI)ブランドを手がける伊藤弘子さんの作品です。

 ショーの運営を任されたのは学生たちで、一般大学のファッションサークルなどの仲間たちといいます。

 

Img_83091
 ショー終了後は、デザイナー自身が作品の側に立つなどの思いがけない演出もありました。

Img_83171_3  右は、インプロセス(IN PROCESS)のデザイナー、大原由梨佳さん。隣のモデルは大原さんが「イースト・ミーツ・ウエスト(東西の出会い)」をテーマにデザインしたシックなプリントドレスを着装しています。

 アパレル企業とデザイナー、素材メーカー、それに学生との交流がより一層深まった印象のイベントでした。

2_2  帰りがけに、「チームベンチ(TEAM BENCH)」のバッジ(左)が配られました。これはファッションで障がい者スポーツを応援し、その輪を日本全国に広げたいというプロジェクトです。
 今秋から始動するとのことで、購入金額の一部が日本障がい者スポーツ協会に寄付されるそうです。

 JAFICの取り組み、ますます期待しています。

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2017年7月 6日 (木)

日本のジュエリーの歴史と美 ― 近代の髪飾り、帯留、指輪

 先般6月27日、東京・南青山で日本ファッション協会うらら会主催により、「日本のジュエリーの歴史と美 ― 近代の髪飾り、帯留、指輪など」と題したセミナーが行われました。講師は、宝飾研究家で日本宝飾クラフト学院理事長 露木 宏氏です。
Img_82791  同氏は日本のジュエリー研究の第一人者で、コレクターではないとのことですが、約3,000点ものジュエリーを所蔵し、その整理に追われる毎日をお過ごしといいます。日本は欧米と異なりジュエリー研究者が非常に少なく、研究はまさにこれからであるとも。
 今回のセミナーでは、つい先頃閉幕した横浜美術館の「ファッションとアート、麗しき東西交流展」でのご講演を基に、日本女性がいかに装身具に愛着を示し、おしゃれを楽しんできたのかを、豊富な資料とともに語っていただきました。
 最初はネックレスとブローチです。明治時代にネックレスは「首掛け飾り」、ブローチは「襟留」と呼ばれて和服に採り入れられたといいます。鏑木清方の作品「嫁ぐ人」にも見られるように、とくに明治40年頃に流行したとのことです。とはいえ当時の女性は、西洋のものだから何でも受け入れた、というのではなかったそうで、たとえばイヤリングはしなかったとか。その頃のイヤリングはピアスで、身体を傷つけることを善しとしなかったといいます。ジュエリーも単なる飾りではない実用性があることが支持され、ネックレスには懐中時計が付き、ブローチは「襟留」というように、文字通り半襟を留めるためのものだったとか。昔の女性は堅実だったのですね。
 次に束髪用の髪飾りについて。日本髪に替わる髪型として、明治初期、女学生の間から束髪が流行り始め、花簪を飾ったとか。明治41年頃にべっ甲の櫛が復活し、昭和初期には櫛が落ちにくい波状の歯のものが出てきたり、アールヌーボー調の曲線を多用した簪が好まれたり---、実物を見ながら解説していただきました。
 また帯留の話も、興味深かったです。1800年頃から帯幅が広くなり、帯を留める目的で始まったのが帯留とか。明治時代にはパチン式が登場し、男性もつけていたそうです。大正時代には引っ掛けて留める引っ掛け式が主流となり、昭和になると帯を留める必要がなくなり、現在のような紐通し式になったそうです。天賞堂のコレクションなどを見せていただきました。 
 さらに指輪です。実は指輪は江戸時代から人気のアクセサリーだったといいます。但し今と違うのは右手の小指に付けていたこと。「指切りげんまん」の歌が残されているように、指輪には愛の誓いという意味が込められていたといいます。指輪は明治になって突然出てきたものではなかったのですね。なので結婚指輪など、西洋風の習慣はすんなりと受け入れられたといいます。明治後期には結婚リングは当たり前になっていったようです。とくに愛好されたのはプラチナで、大正期には誕生石の指輪も登場し、人気を集めたといいます。
 しかし日本では多くのジュエリーが、戦争で供出されてしまったのですね。残されたものはわずかだったというのが残念です。

 お話を伺って、和装にアクセサリーは要らないのでは、と思っていたのが、みごとに覆されました。日本のジュエリーには浅いどころか、奥の深い、長い歴史がありました。
 改めて日本女性の美意識の高さに感じ入った講演会でした。

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